10日の土曜日、グリーンウッド/フィニーのART UP に行ってきました。
今回は般若心経全文をチョークで道路に書くその周りを3人の黒装束女性が踊る、という舞踏の旅。ヒロシマ・ナガサキの鎮魂でもある。
7時頃開始。ピアノ屋さんの前で第1文字目。
かっこええ。
カラフルな夏の子どもたちの中でモノトーンな集団が際立つ。
「えええーとこれはブディズムの有名なスートラでぇ、たしか全文が3百何文字かあってぇ…」とまるでしどろもどろな答えしかできなかったのをはげしく反省。
音楽は千種さんの三味線で、ベンベンベンベン…とうねるような、低い控えめな伴奏でした。
去年のART UPの舞踏の旅は、薫さんとジョアンさんのコミカルな道中で、夏の夕方の歩行者天国(死語?)のお祭りに溶け込んだ、アップビートなものだったのだけど、今年のこれはもう180度違う、葬列のような静かな道中でした。
何の映画だったか、緑の田園の中を棺をかついだ葬列が行く風景を思い出した。
「弔」を纏う女。声のない女たちがひきずる黒いリボン。
道のあちこちで賑やかなバンドが演奏したりもしているのだけど、そんなことには全く関係なく、異界の道中が少しずつ進んでいく。
般若心経が、子どもたちのチョークお絵描き広場へ突入。
「 OLIVE」を迂回していくお経。
犬たちも見守る。シアトルの夏の日は長いとはいえ、だんだんと日暮れが早くなってきた。この日の日没は8時半頃。
とっぷりと日も暮れきった午後9時半ちかく。Ken's Market の前で、ついに最後の一文字が完成。
と、この時。見守るのは「弔」の女たちだけではなく、わらわらと子どもたちが集まってきたではありませんか。
何か魔法の完成を見ているかのような釘付けっぷり。
何かこの子どもたちを強力に惹きつけるものがあるのだな。
背中がぞくぞくとしました。
美しい円におさまった、きらきらと光る文字。
約2時間半におよぶ声のない道中は、こどもたちの拍手でしめくくり。
2時間半のアスファルト写経を終えたよしこ氏の指の皮が剥けていました。
荒行を見届けた。輝いていますね。