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2020/07/21

天国の池と働かないアリ


先週末の快晴の土曜日、山の中の池に行ってきました。

シアトルからは車で東へ50分ほど。
スノコルミーのスキーリゾートの少し先にある、Gold Creek Pondというところです。

トレイルヘッドにたどり着くまでに穴ぼこだらけの砂利道があるのはお約束どおり。駐車場は舗装されているのですが、途中の道が未舗装でなかなかスリリングです。
プリウスちゃん頑張った。

ここはハイキングというほどでもなく、池のまわりをぐるっととりまく遊歩道がある。
車椅子でもアクセスできるコースです。

ちょっと今、体力が落ちていて坂を登るのはつらいので、平らな散歩コースを息子がみつけてくれました。


水がきれい!


山の中から流れこむ水です。靴を脱いで足をひたしてみると、冷たい!

特に、小川が注ぎこんでいるところでは、山の上から流れてきたての水が、足の切れるほど冷たかったです。



駐車場は満車で、道端にもずらっと車が並んでいましたが、トレイルはそれほどの混雑ではなく、ちょうど行ったときにはここの、池に突き出した小さな岬のようになった場所が貸し切り状態でラッキーでした。

ここの突端のとこにある藪の日陰に座って、途中で買っていったフジベーカリーのクリームパンを食べ、お茶を飲みながら小一時間の読書。なんという幸せであろうか。

わたしが本を読んでいるあいだ、青年は行き倒れのように、土の上に(ブランケットも持っていかなかった)じかに横たわって上半身ハダカで爆睡していました。
よく眠る青年です。時々本気で心配になるほどよく寝ている。




こんなキレイな景色のなかでのんびり本を読んでられるなんて、またもや天国に来てしまったのか。

しかし、こんなに良い場所を独占していたツケがやってきました。

池で泳いで水をたっぷり含んだ大型犬が二匹、興奮して追いかけっこをはじめ、岬の突端をすごい勢いで回り込んで、私がのんびり本を開いている1センチ横を走り抜けていきました。おかげで半身ずぶ濡れに。

飼い主さんは(若い男性)「うわあああー、ごめんごめん!」とあわててましたが、わんこは可愛かったのでゆるす。




この水の色。神秘の沼みたいだ。どうしてこんなにキレイなエメラルドグリーンになるんでしょう。ミネラル成分?

赤い笹のような、見たことのない水草が生えていました。五色の神秘池です。
勝手にパワスポに認定します。ここで水に足をひたしてノンビリしてたら本当にたちまち元気になりました。白骨温泉なみの効果です。




バーベキューグリルやピクニックテーブルがある広場もあり、なんとアジア人のカップルがウェディングをやってました。上品なラベンダー色のドレスを着たブライズメイドさんたちがかわいかった。

谷のむこうに雪を抱いた山がどーん!と見えて、ドラマチックな背景ですね。



トレイルの両側に、このようなこんもりした小山があり、なんだろうと近づいてみたらアリ塚でした。
1センチほどの赤と黒のアリがうじゃうじゃ働いている。ダグラスファーなどの針葉樹の針のような落ち葉をあつめてきて、アリにしてみたら巨大なこの塚山を築いています。

アリは、生まれた途端に山を作りたくてたまらなくなるのだろうか。きっとみんなで山をつくる作業にドーパミン出まくりなのでしょうね。

でも、ついこのあいだYouTubeで福岡伸一ハカセの話を聞いていたら、アリのうち2割は「忙しがっているだけでほんとうは働いていない」奴らなのだそうです。で、そういうアリを排除してコロニーを再編してみると、またそのうち2割はサボりだすのだそうで。一方、サボるアリばかり集めてみると、こんどはその8割が働き者になるんだそうです。

だから、サボったり働き者になったりというのは遺伝情報で決定されている個性ではなくて、集団の特性としてそういう「遊ぶ人」が一定数でてくるようになっているらしいという、たいへん示唆にとんだお話でした。

「三年寝太郎」「ものぐさ太郎」のような、徹底的にサボってる人がある日突然、大事業を成し遂げる話がありますけど、それも「遊ぶ人」の大切さを示しているのかもしれません。

ということで、ダラダラする人も大切なのだ!と胸を張るww



ところでこれは、トレイルの入り口にある集金箱。

この池とトレイルはU.S. Forest Service(合衆国森林局)の管轄です。森林局の管理するトレイルはどこも、パーキングを使うときには1日5ドルの利用料金を払うことになっています。それはいいのだけど、集金システムがいまだにこの19世紀のようなスタイル。

封筒に現金!を入れ、ペンで名前と日付と車のナンバーを書き、この茶色い箱にいれ、その半券を車のダッシュボードに提示するシステム。

たまたま5ドル札または1ドル札5枚とペンを持っていないと支払いができないのです。
そしてこの茶色の箱もギュウギュウになっていて、封筒を差し込むのにたいへん苦労しました。

車に戻って半券を置いてこなければならないし、とても時間がかかる。
見ていると、半数以上の人が完全スルーしていました。支払いの意思はあってもハードル高いです。

森林局、スマートフォンで支払いができるシステムを早く導入してはいかがでしょう。


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2019/08/17

海辺の絶景ハイキング、Ebey's Landing


Ebey's Landing州立公園&ヘリテージ公園の海沿いのトレイルに行ってきました。



ここです。

ウィドビー島にあります。シアトルから北上して島の北端を通って行くと、曜日や時間にもよりますが、片道約2時間のドライブ。

以前に(もう6年前だ‼ひゃー!)崖の上ハイキングに行ったデセプション・パスの橋を通っていきます。
 
けっこうな長距離ドライブでした。
ウィドビー島に行ったのはずいぶん久しぶりなので、どんだけ遠いかを忘れてた。

Ebey's Landing のパーキングは古い墓地の前に5台分くらい。

その先の管理オフィス(週末だけ開いてるようです)の裏にも、もっと広いパーキングスペースがあり、トレイル入り口にトイレもあります(こまめに掃除の人が来るわけではないのでかなりキタナイです。汲取式トイレなので夏場は蝿の大群がお出迎え。)

広いほうのパーキングに停めるときは、「ディスカバリー・パス」(州立公園の年間利用パス、年間30ドル)が必要だそうです。

週末はかなり混むらしいですが、わたしと友人M太郎が行ったのは火曜の午後遅くだったので、パーキングも楽勝でした。



こちらがトレイルマップ。
海に面した、細長い魚のようなかたちのループトレイルが「Bluff Loop」トレイル。

一周5.6マイル(約9キロ)のコースです。標高差は260フィート(約79メートル)だけど、右回りでいくとゆるやかなのぼりなので、せいぜい4階ぶんくらいしかのぼった気がしませんでした。

わたしたちは暑さを避けて(日陰がほとんどないので、カンカン照りの夏の日の昼間はかなり暑いと思います)午後4時半くらいから歩きはじめ、のんびり歩いて2時間強で一周しました。



パーキングからしばらくは、ひらけた牧草地。
ここは19世紀にEbeyさんはじめ、入植者たちがやってきて居を構えたところ。

パーキングからはのどかな田園風景を前景に、ベイカー山が左に、レーニア山が右に見えます。


しばらく行くと、ふたつの木造建物が見えてきます。
小さいほうは「Block House(ブロックハウス)」。
1856年にEbeyさんたちが、「北のインディアン」(アラスカやブリティッシュコロンビアの民族のこと)の襲撃を恐れて建てたものだと書いてありました。

別の場所にあったのをここに移築してあります。

Ebeyさんはここにはじめて入植した白人で、ミズーリから新天地をもとめて1849年にやってきたそうです。

1850年には、このへん(太平洋北西部)の好きな土地を選んで4年間土地を耕作しつつ住み続ければ夫婦で640エーカー(約259ヘクタール)の土地の所有権が手に入る、というとても太っ腹な法律がありました。

1862年の「ホームステッド法」の下敷きになった法律だそうです。

もちろんこれは「ネイティブを除く、だってネイティブ民族はアメリカ人じゃないから」という非常に勝手きわまりないものであったのですが!!

「ホームステッド法」は『大草原の小さな家』シリーズにもでてきました。インガルス一家もその法律で土地を手に入れて、家を建てたんでした。

『プラム・クリークの土手で』だったかな。すみません、手元になくて確認できず。

ホームステッド法は160エーカーともっと小規模になり、入植者には6年後に政府から土地を買取るオプションが与えられるという法律でした。


のどかな田園の景色を見ながら平坦な道を5分くらい歩くと、ピュージェット湾の眺望がひらけてきます。この写真ではよくわかりませんが、湾のむこうにレーニア山がきれいに見えます。

穏やかな海、穏やかな気候、肥沃な土地。

「天国みたいなところだからぜひおいで」と、Ebeyさんは家族に書き送り、親戚一同がミズーリからひっこしてきたそうです。


トレイルは海辺の崖の上。180度、目の前にピュージェット湾がひろがります。

南にはレーニア山。対岸はオリンピック半島のポートタウンゼント。
北にはカナダのバンクーバー島が見える、ほんとにこれ以上広々できないほどひろびろした景色。

犬は、リーシュにつないでいれば同行OKです。

道はこのように狭くて、左側はほんとに文字通りの崖になってるので、小さいお子さんや犬連れのときには充分注意が必要。とくに元気な子犬ちゃんは大変かも。


とても不思議な木がありました。どうなっちゃったのコレ? 彫刻みたいですね。


小一時間ほど、崖の上の細道をえんえんと歩きます。

いかに絶景といえども、だんだん飽きてくるという人もいるかも。

ほんとに日陰はほとんどないので、夏の昼間にいくときにはお水をたくさん持っていかないと大変です。

砂州のあいだのラグーンに溜まった水のなかで何か腐っているのか、途中で腐臭がただようところがありました。

でもそのほかはいたってのどかな道。崖の上のトレイルは、アップダウンがほとんどありません。

反対側から回ってきたのか、途中で引き返してきたのか、4組くらいのハイカーとすれ違いました。ひとりできびきびと歩いていた初老の女性、家族連れ、女性ふたり組。犬を連れた家族。

かなり離れて私たちの前を歩いていたカップルがひと組。

砂州のおわったあたりが折り返し点。
ジグザクの道でビーチに降りていきます。



夏目漱石先生も好きだったというトクサがいちめんに生えています。



細長いビーチを歩いて戻ります。
満潮時はもっと狭くなるかもしれません。

大型クルーズ船がカナダの方に向かってゆったり航行し、ポートタウンゼントからウィドビー島へのフェリーが湾を横切っていくのが見えました。


太平洋北西部の海岸ではどこでも、とんでもない大きさの丸太がごろごろしています。

これはまた、樹齢千年くらいありそうな丸太で、しかもここに流れ着いてから百年くらいは経っていそうな風化のしかたでした。どんな歴史を見てきたのか。




ジャリジャリのビーチに、くちばしの赤い小型のかもめがなぜか等間隔に並んでました。

波の間にアザラシの頭がプカプカしてるのも見えた。のどかな浜です。



出発を夕方にして正解でした。爽やかで、ほとんど汗もかかず。夏の日は長い。
午後6時すぎ、ちょうど歩き終わった頃に、いい感じの夕陽がさしてきました。


海岸からトレイルに戻る階段。

地図で見たときにはもうすこしハードな上りなのかなと思ったけど、きつい坂はこの階段と、ジグザグに降りた坂だけでした。
逆まわりだともう少し上りがきついかもしれません。



階段の先はトレイルヘッドまでゆるやかな上り坂。
ビーチをもう少し先まで歩くと別の駐車場があり、そこからスタートすることもできます。


縦にしてみた。
この写真じゃほとんどわからないけど、湾の先のほうにうっすらレーニア山が見えています。
実際にはもっと間近に見えて壮麗です。

穏やかな夕日を浴びながらのんびり車に帰ります。


帰りは、ウィドビー島南端にあるクリントンからフェリーでマカティオにわたりました。所要時間は約20分。

このフェリーを使うと、北の橋を通っていくよりも、運転時間が30分以上短縮できます。


もう売店が閉まってて自販機の変なカプチーノしかなかったけど、ずっとコーヒーが飲みたかったのでほっとひと息。

やっぱりフェリーはいいですね。
ウィドビー島、ゆっくり滞在してみたいです。



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2019/07/26

上高地 その2 明神池とコーヒー


梓川の橋をわたると、わりとすぐに明神池があります。
池への道の入り口に穂高神社の鳥居が立っている。
なぜ菊の御紋がついているのだろう。

神社小百科サイトを見てみると、神社の紋というのはとくに決まりはないらしく、伊勢神宮も明治になってから菊の紋を神紋としたそうです。
国家神道寄りの神社ってことなのかな。


とてもこじんまりとしたお宮。明神池のむこうに山を遥拝する奥宮です。

このお宮があるだけなのかと思ったら、ちゃんと社務所があって神社の人がいるのでちょっと驚いた。御朱印も出してるしここで祈祷も受付けてるそうです。てことは神職さんが通ってきてるのか、夏の間ここに常駐してるのですね。



おお、この狛犬さんは下界の穂高神社のあの戦闘系狛犬さんと同じ!
でもなぜか、環境のせいかな、こちらのほうが柔らかく見える。


この桟橋にもやってある船は遊覧用ではなく、御神事に使われる船でした。


池についた途端に、本格的に雨が降ってきました。


バスターミナルのあたりはあんなに人が多かったのに、そこからほんの小一時間の明神池までは来る人がとても少ないのは不思議。みんな反対側の大正池のほうに行くのか。
でもおかげですごく静かでした。


池の周りを少し歩くと、急流が。

「水晶のような水」ってクリシェだけどほんとうに水晶みたい。
このうえなく綺麗な、山から流れてくる水。雨のおかげで少し水量が多いのか、沸き立つような流れでした。


明神の山はかろうじて雨をついて姿を見せていてくれました。


池が静かで水がすきとおっているからなのか、雨粒の波紋がものすごく綺麗でした。
こんなに綺麗な波紋は初めて見たよっていうくらい綺麗で、見ていて飽きなかった。


素敵すぎる水面。
携帯カメラではなくてフィルムカメラで撮れたらかっこいい写真になったかも。


青空の上高地も見てみたかったけど、雨の上高地も本当にしっとり静かでよかったです。


ここで御神事をするのはいつからの伝統なのか。海の民の安曇族はこの小さな山の上の池に海を見たんでしょうか。

安曇族がやってくる前からここは聖域だったのか。

謎が多い不思議な場所です。

それこそ麓から歩いたら数日かかる行程だったろうに。



池の近くに嘉門次小屋という山小屋があります。大正時代からある歴史ある山小屋。

嘉門次さんはウェストンさんを案内したので有名になった人ですが、実際この場所に小屋を建てて、猟師をしていたんだそうだ。
「杣人」という人たちが山には住んでたんですね。


コーヒーを飲みました。「kamonji」ってソーサーに書いてあった。


ビールや鮎定食やカレーもあります。

コーヒーを飲み終わっても、雨はやまず。

雨のなか、バスターミナルを目指して戻る。来た道とは梓川をはさんで対岸を通る、ループコースです。


クマザサのあいだの広葉樹の森。時々ハイカーとすれ違ったり追い越したりするほかは、ほとんど人の姿のない静かな道でした。

クマが出ると書いてあったので、明神小屋でいちおうクマよけの鈴を買ってみた。


水の密度が下界と違う気がする。なんでしょうかこの美しさ。


彫刻のような水です。

帰り道はほぼ雨に降られまくりでしたが、ポンチョのおかげでわりと快適でした。靴カバーはあまり役に立たなかったw


バスで新島々へ降り、「アルピコ鉄道」のカラフルな電車で松本へ。


そして特急あずさで東京(多摩の弟宅)へ帰る。駅弁は迷ったあげくに紫米の「大糸線の旅」。大糸線じゃなくて中央線の旅だけど。

煮物に梅干し、豚の味噌焼き、卵に黒豆。すべて地元の食材なのだそうで、とてもおいしかったのだけどボリューム的にはちょっとものたりなかった。高齢者向けか。


大変活躍してくれた1000円のポンチョ。使い捨てと思ったけど背中のロゴがかわいいので、わざわざ干して乾かして、持って帰ってきました。また使う日が来るかしら。

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