ヴェネツィアに行く前にヴェネツィアについて知っていたのは
1)沈みかかっている。
2)むかしドージェという元首がいた都市国家だったらしい(…マンガで読んだ。森川久美だだったかな…懐かしいけど詳細はまったくおぼえてません…)。
3)サン・マルコ広場にサン・マルコ大聖堂がある。
…くらいのおそまつさんでした。我ながらひどい。
行く途中の飛行機の中で、有名旅行ライターRick Steves(この人シアトル近郊の出身でワシントン大学卒業生なんですね。知らなかった)のガイドブックとスマートフォン用アプリでちょっとだけ勉強しました(一夜漬けすぎ)。
(スティーブスさんのアプリ、すごくよくできてて、サン・マルコ大聖堂でもフィレンツェの街歩きと美術館でも大活用させていただいた。内容もいかにもアメリカ人的なジョークがちょっとうざいけど、とても面白いです。)
河口の砂州みたいなとこに杭を打って建てた都市なんだ。そりゃ500年もしたらだんだん沈んでいくだろうな、と素朴に思う。
そしてほんとうに交通手段は船だけなんですねー。
車がいっさい入れない都市というのは世界でもほかにあんまりないのでは。自転車も禁止されてるそうです。
だから、なんだか現実感がまるでない。
どこを見ても、どの運河もどの路地もあまりにも絵葉書のように絵になりすぎて、ウソみたいな都市だ。
運河は150もあるそうです。
ゴンドラに乗っているのは日本人、中国人、韓国人の観光客が圧倒的に多かった。
どこかのドアの取手。建物の細部がいちいち、めちゃくちゃ本気出してるディテール。
現実味のない都市だけど、ディテールはすごい。
いったいなんの生物だかわからない意匠のノッカー。
Kちゃんが、自分ちのバーニーズマウンテンドッグ、ブーンちゃんにそっくり!と大騒ぎでした。
たしかに似てる。
リック・スティーブスさんはヴェネツィアのことを「beautiful decay」と表現していました。
わたしも、この都市は「美しい抜け殻」だなと思った。
うちの青年とKちゃんは「来たのが100年遅かった」と嘆いていた。
何百年も前からヨーロッパの有閑階級の青年たちが遊びにくる観光地だったそうですけど。きみは百年前に来たら有閑階級青年ではなくて荷物をはこぶ人とかだったんじゃないかね。
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