2021/01/13

炭治郎とオバマ


これは↑2018年の7月に行った、熊野本宮の大斎原です。

朝、だれも人がいなくて、川には低い霧がかかっていて、田んぼの上に蜻蛉がたくさん飛んでいました。すがすがしかった。

日本の原風景のひとつ、だと感じました。

日本にはなんだか切実な不安を抱いて陰謀論にはまっちゃっている人が続出しているようです。日本の神様たちがそっと心を正して、安心させてあげてくださいますように。


ところで鬼滅の刃、ただいま20話目が終わったところです!佳境です。

日本の最近のアニメがつまらないっていってごめんなさい。

最近Netflixで期待して見たアニメが軒並みつまらなくてがっくりだったのですが、これは面白いっす!

『サムライチャンプルー』で育ったうちの青年も気に入ってます。


ウェブサイトはまだ「COMING SOON」になってますね。無限列車。
はやく公開されないかな。

CGを駆使した奥行きのある背景。特に、炭治郎たちが山へ歩いていく場面の、低い穏やかな山々の重なりが美しくて、ああ、日本の山だー!とぐっときました。

鼓の鬼がいる家のふすまや天井も美しくて、驚いた。
ふすま絵は誰かがかなり楽しんで描いてるのかなーって気がする。
浅草の夜の風景もよかったなー。

「水の呼吸」の技の描写も綺麗で大好きです。
浮世絵を劇画風にしたみたいな独特のタッチが面白い。

そしてキャラクターがみんな一生懸命でかわいいですねー。

最近のアニメには今の日本の自信のなさが反映されていて(何度も言うけど、攻殻機動隊よ………)見ていて息苦しく感じることがあるのだけど、このアニメにはまったくそれがなくて、みんなそれぞれ元気いっぱいで。

肋骨が折れても戦うって…昭和の星飛雄馬よりも根性あるのに!炭治郎くんはどよーんと暗くなることがなくてひたすらまっすぐにチャレンジしていくところがいいな。コロナで家籠もりのときに、このひたむきな明るさが刺さるの、わかります。


(なにげにネタバレてますが、もう日本語圏の人は全員見ている気がしている……)。

炭治郎はいい子だねー。釈迦なのか。菩薩か。ナウシカか。

こんなにほかの人のことばかり全力で気遣う少年はそうそうこの世に生まれていないよね。泣ける。みんな炭治郎みたいに人に優しく強く生きたいと思うからこそ、この作品は支持されてるのだと信じたい。

そして、いまのZ世代には日本にもアメリカにも、ああいう明るい目をした清々しい子たちがけっこういると思う。

世界のあちこちにミニ炭治郎がいるから、人類の未来は大丈夫だって思える。

ドロヘドロも鬼滅の刃も、原作者が女性だっていうのが面白いですね。
かなりグロい殺傷シーンがあるのも共通。『鬼滅』は息子が低学年だったら見せるのに躊躇すると思う。

とはいえ、現実にも鬼がいる。

人を中傷しつづけ、ウソをばらまき、嫌悪と恐怖を煽ることで支持者の熱情を掻き立てて、とうとう暴徒にしてしまった指導者とか。


暴力をふるったり人を揶揄したり、集団で狼藉をはたらいて鬱憤を晴らすことに下劣な喜びを見出す人たちや。

6日の議事堂襲撃の際の、なんともひどい映像や画像が次々に明るみに出てきて、見るたびに心が沈む毎日ですが、そんななかでクーリエ・ジャポンに掲載された『アトランティック』誌のオバマ前大統領へのインタビュー記事(原文は去年11月のもの)の翻訳を読んで、まじで泣けてきました。

静かに号泣。

あんな小学生みたいな駄々っ子がヒーローになるとは…」オバマが斬る右派ポピュリズム | クーリエ・ジャポン]

『アトランティック』誌の元記事はこちら

「何が真実で何が虚偽であるかの区別もつかないようなら、定義上、言論の自由市場は成り立ちません。定義上、この国の民主主義も機能しません。私たちはいま認識論的な危機を迎えています」


そうですね。そして11月以来、それが驚くほどの勢いで加速している。




「あなたや私が育った時代、アメリカ文化に登場する古典的なヒーローといえばジョン・ウェインやゲーリー・クーパー、クリント・イーストウッドみたいな人たちでした。男らしさを定める行動規範があったんです。男は有言実行で責任をとり、愚痴を言わず、弱いものいじめをしない。むしろ、いじめっ子から弱い人たちを守るのが男でした。

だから、ポリティカル・コレクトネスに辟易している人たちでも、まさか金持ちのボンボン的な──愚痴とウソばかりで、責任なんて絶対とらない人間──をヒーローとみなすようになるとは思いませんでした」

……うん(涙)。
群衆に向かって「議会へ向かおう!」と焚きつけながら自分はホワイトハウスに隠れてテレビを見ていて、議事堂から議員が「なんとかしてくれ」と電話をかけても一切出なかったという、「親分」。自分の言動に責任をとったことが4年間一度もなかった。テレビに出れば自己憐憫と愚痴ばかり。

ほんとうに、日本でトランプを礼賛している人たちが「親分」の品性を正確に評価できず、崇拝していることが一番の謎です。言葉の壁の問題だけなのかな。



さらにオバマの言葉。

「私には変わらない信念があります。それは人類がもっと優しくなれる。もっとフェアになれる。もっと合理的になれる。もっと寛容になれるという信念です。そうなるのは必然ではありません。歴史は直線で動きません。でも、善意の人がそれなりの数集まり、このような価値観のために行動する覚悟さえあれば、物事は良い方向に変わっていくのです」


うう…(号泣)。炭治郎……。

こういう言葉で語れる人が大統領であった時代もあったのに。つい数年前に。 もう遠い昔になってしまいました。



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2021/01/11

はやくも桜が。


どんより空と雨の日が続くシアトル。日曜日は少し晴れ間が見えたので、バラード・ロックスの水門付近に散歩にいってきました。

古い橋と、長い長い貨物列車。


殺風景だけれどこの橋は趣きがあります。

この日は水門のほうには行かず、公園敷地内をちょろっと散歩。

これは米国陸軍工兵隊のシンボルです。かわいい。



この植木も工兵隊のシンボルのかたちに刈り込んである。植木屋さん頑張りましたね。



なんと、桜が咲いていました!
高いところにあってカメラが届かなかったので青年のiPhoneで撮ってもらったのですが、ピントが合ってないぞ。



こちらが全景です。この写真じゃまるで枯れ木にしか見えませんね。

見た目もぜんぜん華やかではないけれど、たしかに桜。

奥に見えるのは陸軍工兵隊の大佐が住む公邸です。



 ミツマタがもう咲いてました。シャワーヘッドみたい。
咲き始めでも、とても良い香り。

 

 

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2021/01/10

苔とロビン

ウィッチヘーゼルが咲き始めました。

今朝は深い霧。久しぶりに少しだけ長めの散歩。

6日の騒乱を見て以来、なんだか変なエネルギーが溜まってしまったのか、水曜日の夜にはお腹を壊して寝込み、調子が外れっぱなしです。
 

重い空気を感じます。んー、やだなー。



 ロビンたちが今日はかしましい。

もう早々と春の声で鳴いている子もいました。

 


これは去年の春、3月のロビンちゃん。

ロビンたちは一年中いるけれど、春になると独特のさえずりかたをするのです。

日本のうぐいすのように、春を告げる鳥。ピョロロッピョロロッと、透き通った声で、木のてっぺんでさえずります。

 


ご近所の素敵な苔の壁。

シアトルの古めの住宅街には、こういうロックガーデン的な石積みがよく見られます。
坂が多い土地ならでは、なのかも。

このあたりもゆるやかに坂になっているので、傾斜地に建っているお宅が多いのです。



苔の花。

緑と、鳥や動物にはほんとうに癒されます。きょうは頭の赤いハミングバードもいた。

お散歩中の犬とすれ違うだけで、癒やされる。犬たちってほんとに真っ直ぐないきものですね。




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2021/01/09

烏合の衆

きょうもまたニュースを見続けてしまうのであった。

Twitterが現職大統領の永久追放を決めましたねー。

うちの青年と、それが良い判断なのかどうかについてえんえんディスカッションをしてしまいました。暇ですね。

わたしは、6日の暴動を引き起こした張本人にこれ以上自社のツールを暴力推進&悪口雑言怨恨拡散装置として提供し続けることはできない、という企業としての判断を示すのは理解できるし支持できる、と思うのですが。

うちの青年は、プラットフォームとして、今トランプを締め出してしまったら、フォロワーさんたちが逆上してますます陰謀論が燃え上がり、逆効果になるし、対話の可能性を狭めてしまい、二極化をすすめてしまうのではないか、というのです。

でもTwitterは対話のツールとしてはぜんぜん機能してないじゃん。と思うのだけど。


共和党員の中にもいる陰謀論好きな方の間では「6日の議事堂への突入は極左が仕掛けたものだ」という話がさっそくできあがっていますが、警官が一人亡くなっているうえに、FBIが数百人単位で動員されていることだし、だんだんと全貌が明らかになっていくのでしょう。

もちろんそれでもあとからあとから陰謀論は湧いて出てくるでしょうけれど。

今日までに見た中で一番生々しかった映像のひとつが、これでした↓↓↓。


 


 この記事の一番下にある、7分間の映像です。
英国のitvのDC特派員がカメラマンと一緒に、群衆に混じって議事堂の内外で撮影したもの。


「STEAL IS REAL!」(選挙が盗まれたというのは本当だ!)

「USA!USA!」

と大声で叫びつつ議事堂内に乱入するトランプ支持者さんたちの群れがとらえられてます。

これを目にしたらFOXニュースの解説者のように「保守派は左派と違って、法と秩序を守る人たちだから」というようなたわけたことはもう言えないと思いますが。

現場で議事堂内に乱入したトランプ支持者に、「議事堂に来た目的は?」と聞くと、誰ひとりとして明確に答えられないというのが印象的でした。

中には捕虜を取って立てこもるつもりだったらしく、プラスチック製の手錠を持っている人の姿も捉えられています。

「烏合の衆」というのはつまりこういうことか、という見本のような群衆です。

ていうか、カラスの群れのほうが、もっとちゃんと目的を持ってると思うな。

何をしたらいいかわからないけどとにかく親玉が「議事堂に向かえ」というから来た、俺たちが来たからにはきっと選挙人投票確認がくつがえって、親分がまた大統領になるだろう、と思っているらしかった人たち。

一部の先鋭的テロリストグループは、本当に議員殺害とか人質を取るとかクーデターとか考えていたかもしれないけれど、本気で実行するだけの組織力はないわけだ。

…実行力がなくて、本当によかった。

犠牲者が出たのはほんとうに残念だけど、あれ以上ひどいことにならなくてよかった…。 

この人たちを見ていると、たしかにこのあと、怒りは蓄積されていくだろうけれど、組織的になにかこれ以上ひどいことをしでかす動きが出てくるとは思えない。一部を除いて大半はもう少し穏健な保守派に吸収されていくのではないだろうかと思うのですが。

トランプを超えるカリスマのあるポピュリストのリーダーが出てこない限り。

立てこもり事件とか嫌がらせ事件は、もしかしてこれから局所的に頻出するかもしれないですね。

うちの青年はそれを考えてストレスを感じているようだけど、今回の暴動は世論を正気に戻すのにかなり役立つはずだとわたしは楽観してます。

 

 


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2021/01/08

トランプの幻想と単純なラベルはり

 



暴徒が鎮圧されてまる一日たった今日の夕方になって、トランプはようやく、昨日の暴動を「mayham (騒乱)」として非難し(自分の関与にはまったく触れませんでしたが)、「新政権は1月20日に就任する」「今はスムースで秩序ある政権移行に注力する」という2分間のビデオメッセージを発表しました。



ホワイトハウスの広報官もほぼ同様の、昨日の暴徒は厳しく非難するという記者発表をして、質問はいっさい受けずに退場。


きのうの午後に公開し、Twitterから暴力を促進する可能性があり危険とみなされて削除された動画メッセージ(議事堂に乱入した暴徒に「気持ちはわかる。君たちはスペシャルだ。愛してるよ。しかし今は家に帰りなさい」と呼びかけるもの)とはずいぶんとトーンが違い、選挙後初めて、バイデン新政権への移行を、つまり自分の敗北を、認めたことになりますね。

きのうの暴動を明らかに焚き付けたトランプを憲法25条により罷免しろという要求が、民主党はもちろんのこと産業界や共和党の一部からも出ていたので、これはさすがにまずいと1日かけて説得されたのでしょう。

前日の、ホワイトハウスの前の、ラリーの支持者を前にしたスピーチでトランプは、

「バイデンの票はコンピュータで捏造されたものだ。第三世界の選挙だってこんなにひどくない。君たちの声を沈黙させはしないぞ」
…など、もうすでにトランプ支持者以外には単なる陰謀論として理解されている「不正」についてえんえんと語り、「民主党の極左」と「フェイクニュースのメディア」への嫌悪を煽り、この国をかれらの手から守らねばならない!と煽り。

「俺は絶対負けを認めない。ドロボウに負けを認めたりしないんだ!」
「地獄のように戦わなくてはならない!」
「民主党員は問題外だ。弱い共和党員に、やつらに必要なプライドと大胆さを見せてやるんだ」
「みんなで議事堂に行進していこう!」
と支持者たちに元気よく焚き付けました。(全文はこちら


本当にこの時点までは、トランプも、まだこの/選挙人投票集計確認の段階で、自分が大統領に選ばれると信じていたっぽいですね。


このときの意気揚々とした表情に比べて、今日の「スムーズな政権移譲に注力する」と語った動画の表情は石のように固かった。終始、「渋柿を噛んだ」というのはこういう顔か!とおもうような顔でした。

さてさて、日本にも、「わたしたちは真実を知っている。アメリカに住む人はマスコミのウソを信じているので、わたしたちの知っている真実を知らない」と本気で考えているトランプ支持者がけっこう多いのに驚きます。

このブログにもそういったかたの一人からコメントをいただきました。
「情報をマスメディアに依存して得ている方たちは、不正選挙の詳細も知らないから驚きます」とおどろかれています。

「不正選挙」を立件しようと、トランプさんたちは2か月かけて60件もの裁判を起こそうとしたものの、そのすべてが「baseless」(根拠なし)だとして裁判所に却下されていて、トランプが指名した裁判官にさえ立件に値しないと判断されているのですが……。トランプ派が「証拠」として示しているものは、「いや、それ普通のルーティンだから」「それ、票が入ってた箱じゃなくて機材の箱だから」などと、ことごとく検証によって退けられています。(トランプさんは昨日の集会のスピーチの中で、判事たちのことを「あの裁判官たちは、自分たちが俺の人形だって記事を書かれて、それが恥ずかしくて、反トランプ的行動をしてるんだ」と説明してましたが…。みなが自分と同じ原理に従って行動すると思っているのか)

人の考え方はそれぞれなので、真実がひとつでないのは、この世の摂理でもありますけれどね。

ほんとにけっこう多いのですよね。トランプは中国から「自由社会」を守ってくれる救世主だと信じている日本の人が。

トランプのスピーチは、name calling (悪口、ある一定のグループに過激なラベルをつけること)と恐怖を煽ることで成り立っています。それが支持者に響いている。こういう過激なののしり言葉は、自分の権利がエリートに蹂躙されている、移民やマイノリティが自分たちより優遇されている、既得権を脅かされている、といったルサンチマンに響くのだとしか思われない。とにかくトランプ支持者は怒っている。

でも日本のトランプ支持者、陰謀論支持者はどうなんでしょう。
やっぱり何かを奪われていると感じる、不安や恐れが強いのか。

「マスコミはウソばかり」「政府は信用できない」と、なにかこう、すべてをシンプルな文脈で理解しようとしている人が多いのではないかと思うのですが。

トランプは、そういう簡単で過激なラベル貼りがとてもうまい、というか、そこにだけ皆の注意を集中させるのがとてもうまい。
「極左が国を乗っ取ろうとしている」
「沼(官僚のせいで腐敗したシステムのこと)を干せ!」など。

世の中を複雑なものだと捉えるのはしんどいものですが、単純なラベルを貼ったとたんに、見える世界が限定されてしまいます。

「マスメディアに依存している人は知らない真実をわたしは知っている」と考えている人は、マスメディアではない独立系メディア=すなわち真実、という短絡におちいっているのではないだろうか。

そしてその根底には、やはり、根深い不信があるのですよね。

この不信こそ、トランプが4年間をかけてアメリカ社会に培ってきたものです。

もちろん、疑ってみることは大切です。メディアはどれもバイアスを持っているものだし、それは人も同じです。
情報の出どころをチェックするのは大切だし、オピニオン記事であればその人がどのような立ち位置でどのようなバイアスを持って書いているのか、理解しようとする態度は大切ですよね。

それは自分自身のバイアスをチェックすることにもつながります。

ジャーナリズムも、法律も、科学の世界も、それぞれに長い時間をかけて無数の人びとにより、一定のルールと基準を守って積み上げられてきたものです。

機能していない部分があるからといって、そのエコシステムのすべてを否定してしまっては、世界を極端に狭くすることになるんではないか。というより、結局自分を傷つけることになるのではないか。

どんなシステムも人が作っているもので、中にはひどい人もいるし優れた人もいる。究極、陰謀論に走ってしまう人は、人間の作った社会、社会のなかの人間を信頼することができなくなっているのではないかと思うのです。

うちの青年が働く企業のデザイン部にも、2、3年先輩にQアノン信者がいるそうです。

その青年は、今日のトランプの「政権移譲に注力する」という動画メッセージを、「戒厳令を実施し政権を奪取する」という暗号だと受け取っているそうな……。

彼はあまり友人もいなくて、孤立した生活を送っているらしい。うちの青年はなるべく彼とふつうにコミュニケーションを取ろうとしているのだけど、彼が「リサーチした」「これを読んだほうがいい」と送ってくるニュースメディアの出どころがすべてQアノン系なので、それには辟易していると言ってました。
彼とは1月21日に誰がホワイトハウスにいるか、バイデンかトランプか、という賭けをしていて、レアなスニーカーを一足、賭けてるそうです。

Qアノンで面白かったのは、昨日、議事堂に乱入したなかで目立ってた水牛の角をつけて毛皮を着、槍を持った半裸の男、この人長年Qアノンの先頭に立ってる人だそうですけど「おれはアンティファじゃない」と怒っているという話


陰謀論者や共和党右派は、「この議事堂の暴動はアンティファが仕掛けたものだ」と主張しはじめてますが、筋金入りトランプ支持者が自分でFBやツイッターにセルフィーをたくさん掲載してるのですけどね……。

 


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2021/01/06

民主主義の危機でも内戦のはじまりでもない。

 


ごぞんじのとおり、今日はこの国の首都の議事堂にトランプ支持者たちが乱入して、新大統領の確定中だった議会が途中で中断して議員が避難し、議事堂が閉鎖され…という流れになっています。

観光客のように記念撮影をするトランプ支持者たち……。

 

窓を割って飛び込む「プロテスター」。



この夏、ポートランドでプロテスターたちが連邦ビルの前を占拠したときは「連邦の建物を破壊する奴らは最低10年は牢屋に入れろ!」とツイートしていた大統領は、今日はこの「プロテスター」たちに

「盗まれた不正な選挙に怒っている気持ちはわかる。でもいまは家に帰りなさい。愛してるよ。きみたちはスペシャルなピープルだ。反対側のやつらはとっても悪いやつらだ。気持ちはわかる。でも家に帰りなさい」

ビデオメッセージを送ってます。これが状況を落ち着かせるための 精一杯のメッセージなんだ。「あいつらは悪い。俺らは正しい。でも今は帰れ」というのがメッセージ。

で、このメッセージはTwitterからリツイートも「いいね」も出来ないようにフラグが立てられてます。 

(追記:その後、「ワシントンDCの暴力的な状況を鑑み」てトランプのツイート3件が削除され、大統領のアカウントが12時間凍結されました!)

今日はちょうど、ミッチ・マコーネルが、ようやくようやく、トランプの「不正選挙だ」という主張を「陰謀論」だとはっきり退けて、「選挙の結果をひっくり返せという大統領の要請には何の根拠もない。選挙結果を覆せば割我々が敬意をもって共有している基本的なルールに背くことになり、この国の根幹が崩れる。 民主主義が墜落することになる」と明言したスピーチ(こちら)を聞いていたその直後に、「プロテスター」が議事堂に乱入したというニュースを聞いて、午後中ニュースをえんえん見続けてしまいました。

 

乱入したトランプ支持者の先鋒たち。この水牛の角つけたすっとんきょうないでたちの人はあちこちのデモで目立っている有名なQアノンの人だそうです。

 


 宴会の客みたいにどやどや入ってくる「プロテスター」たち。

これがBLMのプロテスターだったら「全員撃たれて死んでるよ」とうちの青年。

という声はツイッターでもとても多かった。

 

ツイッターより。

記念に議事堂の備品を持ち帰ろうとするプロテスター、いや、ルーター。

 


南軍の旗(歴史的に南部の白人至上主義の象徴とみなされています)をかついで議事堂を歩くトランプ支持者。

DCでは夜間外出禁止令が発布され、ナショナルガード(州兵)が展開してます。

この騒乱を「民主主義の危機」だと言う人もいるけれど、いやいやもうそれはずっと前から始まっていたんですから。

トランプは今日のDCの集会で「議会へ向かうのだ!力を見せなければならない」と煽っていたし、その前から「6日には大きなことがあるぜ!DCで会おう!」と支持者を焚きつけていたし、SNSで極右が議会に銃を持ち込む企画をオープンに語っていたし。

今日の結果は、かなりの人が予想していたと思う。

ただ、目の当たりにするとやはり衝撃ですが。

国のトップであるはずのトランプさんがウソを大真面目に語り始め、そのウソを売り値で買う人が続出していた時点で、民主主義の危機というか、劣化は始まってたんです。

ジョー・バイデンは今日のビデオメッセージで「民主主義はフラジャイルな(壊れやすい)ものだ」と言ってました。それは本当にそのとおりだと思います。みんなそれを感じてるはず。

でもまだ、少なくとも、ミッチ・マコーネルの言う「shared respect of ground rules(皆が敬意を払う共通のルール)」は、生きている。

国のすくなくとも半分以上の人は、その共通のルールを信じている(と思いたい)。

この国はすくなくとも法も政府も銀行も機能しているし、大統領といえどもロシアや北朝鮮や中国のように勝手な真似はできない。いまのところ。

このごろ、世界がカオスの第二次大戦に突入していった1930年代が脳裏にちらついています。人びとが疲れ果てて考えるのをやめたら、あっという間に変な流れに呑まれる。そんな変な強い潮流が生まれつつあるのは、たしかに感じます。

でも、まだまだ時間はあるし、民主主義のルールである「共通の基盤」と信頼を築きなおすことはぜんぜん可能なだけのリソースがたっぷり、この国にはあるとわたしは思います。

日本の様子はあんまりよくわからないけれど、むしろ日本のほうがちょっと元気なさすぎて心配。リソースというのはつまり、人の力だから。

騒乱のあいだにジョージア州では上院2席に民主党の議員が当確になったようです。
とりあえず嬉しい。

今日の騒乱は、民主主義の終わりのはじまりでも内戦のはじまりでもなくて、トランプ時代の終わりだと思いますよ。

 

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ダメ男と救われない男と



うちのお皿じゃありません。ボストン美術館で見た素敵なお皿。

なんとなくお正月っぽく、めでたい気がして載せてみた。どこの国のお皿かも忘れてしまいました。

ジョージア州で上院の2議席をめぐって追加選挙がありただいま開票中。がんばれジョージア。

例の「1万1780票見つけてちょうだい」と1時間にわたってトランプさんがジョージア州州務長官にネゴシエートしつづけた通話の件、BBCジャパンのこの記事が、いままでで一番、トランプさんの口調を正確に翻訳していると思いました。

 「ものすごく違法なんだから」………(´・ω・`)。


さてただいまHULUで『鬼滅の刃』を消化中。アメリカではNetflix配信じゃなくてHULUなんですよ。なので1か月無料お試し期間中でぜんぶ見てしまおうというせこい戦略。


しかしほんとうは『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』も気になっているのだ。

暮れにはいろいろ映画を観ました。

 


 

アダム・サンドラーが史上最悪のダメ男を演じる『Uncut Gem(アンカット・ダイヤモンド)』(2019)。

ほんとうにひどい話で、人間のわけわからないパワーに圧倒される。面白かったけど、ぐえええ、となる。こういう人実際にあちこちにいるのだろうな。ぞわぞわする。

でもこれダイヤモンドの話じゃないんだけど、どうして邦題はダイヤモンドなんだ。



ケネス・ロナーガン監督の『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016)。これはもうほんとうに辛気臭い悲しい話で、ずどんときました。淡々とした語り口と、地味だけれど緻密な画面と。しみじみ沁みる、とても良い映画だった。男はつらいねー。

青年はボストンにいたときに友人たちとこの町に遊びにいったことがあり、「クリーピー(薄気味悪い)な町だった」と言ってました。

水べには豪邸が立ち並ぶ端正で静かな港町なのですが、住民のほとんど全員が白人で、よそものを受け入れない偏屈で特権的な(そしてその自覚がまったくない)コミュニティを感じたようです。外部のマイノリティから見るとクリーピーな、そんな小さな町の話。

救われない主人公についてNOTEにポストしたので、お暇でしたらご笑覧くださいませ。

ネタバレ全開なので、観た人限定です。観てねこの映画。


『The Last Black Man in San Francisco(ラスト・ブラックマン・イン・サンフランシスコ)』(2019)。うーん、とても詩的なんだけど、ちょっと繊細すぎてついていけないところもあった。切ない話。

 

 

 

『One Flew Over the Cockoo's Nest(カッコーの巣の上で)』(1975)。何十年かぶりに観て、ジャック・ニコルソンやっぱすげえと思い、反抗すべき権威を代理しているのが看護婦の「母性」であるところにびっくり。うーんそうだったのか。60年代初頭を舞台にした70年代なかばの映画。女性の描かれ方がこんなだったとは全然覚えていなかった。
なるほどー。

10代のころ、三鷹か高田馬場か下高井戸の3本立て映画館のどこかで観たときには、単純にマクマーフィーの心情にぴったり寄り添って(たつもりで)感動したのだけどなー。

青年は、なにかの映画で「マクマーフィーされちゃう」というセリフが気になっていたのだけど、やっとどういう意味だかわかった、と言ってました。




『Memento(メメント)』(2000)。なぜか観てなかった。ストーリーテリングがとても面白かった。でもクリストファー・ノーランの世界観にはあまり共感できない。

 




 『Ma Rainer's Black Bottom(マ・レイニーのブラックボトム)』(2020)。
戯曲の映画化。
これが遺作となったチャドウィック・ボーズマンと、正真正銘(淡谷のり子じゃなくて)ブルーズの女王を演じるヴィオラ・デイヴィスがとにかくすごいです。ど迫力。

濃い、というのはこのこと。

舞台劇をもとにしているのでほとんどが室内の場面なのに、1920年代のシカゴと南部が迫力たっぷりに描写されていました。必見。



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