シアトルのダウンタウンは駐車場が少なくて高いし渋滞するので、多くの人がバスで通勤しています。職場の同僚も9割がバスか電車利用でした。
「メトロ」と呼ばれている、黄色と緑色の市バス(
King County Metro Transit、キング郡交通局なので本当は「郡バス」ですが)のほかにも、近郊の郡にまたがって運行されている
Sound Transit (サウンド・トランジット)の高速バスやライトレールや通勤用電車があって、シアトル周辺は公共交通網が優秀だねえ、と思っていたら、これだけ整備されてきたのは「わりと最近」なのだそうです。近郊から小一時間かけてダウンタウンに電車通勤している友人Rさんは、「ここ数年くらいで、や〜っとポートランドに追いついてきた」と言ってました。
たしかに郊外からダウンタウンに来るサウンド・トランジットのバスや電車は、メトロバスに比べてピカピカで新品感いっぱいです。
シアトルダウンタウン圏内のバスは、午前7時から午後7時まで乗り降り無料。
(追記:この乗り降り無料区間は、
2012年9月末に予算難のため廃止されてしまいました)
乗り降り無料区間はいきおい、ホームレスの人たちの足にもなっているので、ときに異臭が漂ってしまうのは、いかんともしがたい事実。メトロのバスは行き先によってかなり雰囲気が違います。
住宅街からのバスは、本やKindle やiPad やラップトップを広げている勤め人や学生さんがほとんどです。バスの中で本を読んでいる人が多いのは、ハワイのバスと大きく違うところ。朝のバスは、片手にトラベルマグ、片手にKindleかハードカバー、という人が多くて、コーヒーの香りが漂ってたりします。
シアトルのバスが利用しやすいのは、2009年に導入された「
ORCA カード」の存在が大きいはず。
バスも鉄道もフェリーも近郊の交通機関はこれ1枚で乗り降りが出来る、日本の「スイカ」や「イコカ」みたいなタッチ式のICカードです。プリペイドのお財布式と、決まった路線用の定期式が選べます。
ホノルルでバスを利用すると、運転手さんは絶対におつりはくれないし、お金を崩してもくれないので(日本のバスのような両替機なんてシャレたものはついてません)、ぴったりの小銭とドル札を用意しなくてはならないのがとっても面倒でした。
ORCAは「One Regional Card for All」の略ですが、オルカも住んでいるピュージェット湾の周辺地域にぴったりで、「イコカ」にはちょっとかなわないかもしれないけど、「スイカ」には軽く勝っているナイスネーミングではありませんか。
ていうか、オルカカードの名前を考案した人びとの頭には、お手本として「スイカ」「イコカ」があったのに間違いないですね。いまカタカナにしてみて、勝手に確信しました。
カード購入はダウンタウンの「地下駅」や電車の駅の自販機か
オンラインでの注文
のみ(カードのデポジットは5ドルです)。
(追記:その後、 スーパーマーケットでも新規のカードが買えるようになりました。
新規カードが買える場所の一覧は
こちら)。
追加入金は自販機やオンラインだけでなく、スーパーマーケットでもできます。
が、オンラインで入金すると
24時間以上カードに反映されないので、翌日乗車の必要があるなら自販機か小売店に行くのをお勧めします。この辺が、日本のサービスに慣れているとなんとも歯がゆいところ。でも、アメリカの公共交通機関でここまでやってくれるなら、文句は言えません。