2022/01/03

あけましておめでとうございます



あけましておめでとうございます。

なんと、2022年を迎えることができました。毎日が奇跡でございます。

よき年となりますように。



 
年末年始、ずっと零下で降った雪が凍りつき、出かけない、出かけられない、静かなお正月でした。

年末さいごの週は放射線治療と化学療法が立て続けだったので、野望はいだかず、できあいの黒豆、きんとん、伊達巻とかまぼこに、なますとお雑煮だけのお正月。よく見るとかなり雑ななますでございます。蜜柑だと思って買った小ぶりのオレンジがちょうどよいサイズだったので、柚子釜のかわりに。
あとはよく漬かった数の子だけで、ささやかながら大満足のお年始でした。

お雑煮の菜は、小松菜も水菜もなかったので、近所スーパーで売っていた「アジアンブロッコリー」を代用に。アブラナのようなカイランという野菜だそうですが、くせがなくて、お雑煮にはぴったりでした。

大晦日はがんばって天ぷらそばをつくり、シアトル高野山のお護摩をZOOMで拝見しての年越し。



お元日にようやく気温が氷点下を脱しましたが、道はまだカチカチ。


ロビンたちが集団で赤い実を食べにやってきていました。




2日に雨が降りはじめて、やっと道路の雪が溶けました。




きれいな色合いの地衣類。



窓ガラスにはりついて、熱心にハチドリ観察をしている猫さんが。


うちのハチドリフィーダーも買い直さなくては。


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2021/12/31

年の暮れ 


 青空が見えた、水曜日。気温はまだ氷点下、マイナス2℃。

 


またスパイクをつけて、青年と近所のスーパーへ買い物に出かけました。



 きれいな氷をパリパリ踏んでいくのが楽しいです。

 


スーパーは混んでいて、配送が雪で混乱しているのか、牛乳とか肉などがやや品薄でした。

お正月用にあかるい黄色のチューリップと水仙を買いました。
徒歩10分の圏内に気の利いたスーパーがあって、ほんとにたすかります。



いろいろな足あとが雪の上についていました。 

 


 からすたちの右往左往。 

 


 うさぎ。

 


ハチドリも寒さで膨らんでいました。

 


アザラシ的な出で立ち。



夜、Pちゃんがわざわざ雪道にクルマを飛ばして「おせいぼ」を届けてくれました。
なんと錦松梅も〜!そして手作りタルト・タタンと、可愛いチューリップ。

いろいろいただきものが多くて、うれしい年の瀬です。

こんなソコツ者を、まわりで心優しい人びとが気遣ってくれること、ほんとうに感謝です。



木曜の夜にまた雪が降り出して、夜中2時すぎに目がさめて窓のそとを見ると、大きなぼたん雪が飛びかっていて、一瞬、寝ぼけた目には白い蛾が飛んでいるように見え、なんだか夢のようにキレイでした。

気温は1℃まで上がったけれど、また氷点下に戻る予報。
元日までは雪の世界が続きそうです。

そしてはやくも大晦日。

 
今年は、起きたことだけを見ると本当にまあいろいろあって、まだまだ世界もわたし自身もいろいろと、かならずしも理想的とはいえない現実に直面していますが、そのなかでも心静かにすごせる時間がたくさんあって、よい本やよい音楽やよい作品、よい人びとに囲まれて、とてもよい1年でした。

 
新しい年が、みなさまに心穏やかな、あかるい日々をもたらしますよう。

世界がより優しい場所になっていきますように。

 

 

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2021/12/30

バーキンと世界の終わり


雪の夜の散歩。近所のおうちのディスプレイが綺麗でした。




こんもり雪が積もったガラス玉がかわいい。

ところで昨日、Netflixでみた『Don't Look Up』が最高でした。



目をみはるばかりの豪華俳優陣がみんなこれ以上ないほどのはまり役だし、(ディカプリオはちょっとロビン・ウィリアムズふうの冴えない大学教授が堂に入ってるし、ジェニファー・ローレンスはいつもの迫力だし、ジョナ・ヒルとメリル・ストリープの親子はおかしすぎるし、ケイト・ブランシェットとタイラー・ペリーのやたらにテンションの高いニュース番組キャスターもあまりにあるあるすぎて戦慄)ほんとに素晴らしい。

以下ネタばれあります。本当に面白いので、ぜひぜひ御覧くださいませ。




地方大学の教授(ディカプリオ)と博士候補の学生(ジェニファー・ローレンス)が、地球に衝突することまちがいなしの彗星を発見して大統領に進言するも…というお話。

大統領がメリル・ストリープ。その息子で大統領首席補佐官がジョナ・ヒル。

もちろん大統領は選挙のことしか頭にないし、スティーブ・ジョブズとイーロン・マスクとジェフ・ベゾズとレインマンをあわせて4で割ったような天才エンジニア企業家(ビジネスマンと呼ばれるのを極度に嫌う、風呂敷を広げるのが好きなナルシスト)に、あの彗星は貴重な資源のカタマリだと進言されて、シャトルをぶつけて彗星の起動を逸らせる作戦を中止する。

これはコメディなのだけど、最近見たどのSFよりも、ある意味、本質的にすごくリアルでした。

いま現実にアメリカで起きていることを、彗星という比喩を使って、まんま率直に描いているのがすごいです。

 


 

メリル・ストリープはもちろんトランプのパロディで、女性大統領、ゲイっぽい息子、IT企業のエキセントリックな大富豪創業者、という、トランプが自分のフォロワーに向かって「こいつらが敵だ、悪だ」認定をしてディスる対象のステレオタイプが、トランプとおなじ立場でおなじことをしている、つまり客観的事実をウソだと言い張り、極端なレトリックで群衆をあおって保身をはかっている、というのが最高におかしい。

映画ははっきり言っていないけれど、クリントンと抱き合っている写真をオフィスに飾っているところから、この大統領は民主党なのだと思われます。

民主党と共和党の、どっちの大統領がホワイトハウスにいても既存の価値観を上書きする力が働くことにかわりはないという状況をこの映画は無遠慮に描いていて、トランプ支持者が見ても、民主党支持者が見ても、ある程度は居心地が悪くなるようにできていて、そこが素晴らしい。

でもすっかりニヒリスティックな映画かというと、ぜんぜんそうではなくて、本当に価値があるのは大切な人と一緒にいることだよね、とか、自分が正しいと思うことを真摯にできるだけやってみるって大切なことだよね、というところは、しんみりと描いてくれている。

『デューン』の救世主、ティモシー・シャラメくんが劇中で世界の終末を前にして捧げるお祈りも、心に響きます。

彼はキリスト教福音派の、おそらく戦闘的で排他的な家族の出身で、教会は嫌いになったけれど、神様との個人的なコネクションを真剣に大事にしている若者、という設定。



メリル・ストリープの「マダム大統領」の小道具として黒いバーキンが何度も登場するのがすごく印象にのこる。


息子で側近のジェイソン(ジョナ・ヒル)がそれを小脇に下げて出てくるのが笑えます。

言うまでもなく、エルメスのバーキンはステイタスと排他性の象徴、物欲と拝金主義と、「持てるもの」の洗練と文化と、とほうもなく偏ってしまった富の象徴ですが、そのバーキンを、ママのカバン持ちとして抱えて歩くというのはジョナ自身のアイデアだそうです。

このジェイソンが捧げる、「素敵なモノたちがなくなりませんように」という祈りは、シャラメくんのお祈りと対をなしています。

このお祈りには、快適で素敵で高価なモノにしか価値を見いだせない精神のあり方がうきぼりにされているわけですが、なかなか含蓄あるというか、バカにしているだけじゃなく、自分たちの足もとを痛烈に指摘されているようでもあります。

クレジットの最後におまけ映像があるので、それもお見逃しなく!

2021年という年の最後を飾るにふさわしい、世界の終わり映画でした。


 

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2021/12/29

厳寒のおでかけと、初タトゥーと治療

曲がってゆく、猫のあしあと。

日曜は一日じゅう雪が降って、月曜日の朝は朝焼けがきれいでした。

青空の下、朝の気温はマイナス8℃でした。
予報されていたマイナス11℃にはならなかった(ちょっとだけ残念)。


ベランダのラベンダーがこんなありさま。


 ハチドリのためのフィーダーは、完全に凍って、割れてしまいました。


道路もかちかち。

こんな日にかぎって病院をハシゴする予約を入れていて、もちろん、うちのプリウスちゃんをこんな道で運転したくはないので、バスと電車で行くことにしました。

翌日の治療のための採血とドクターのフォローアップはいつものクリニックで午前8時からの予定だったのが、雪のために午後に変更になり、ドクターアポは「テレヘルス」(ビデオチャット)に変更に。看護師さんは出なきゃいけないけどドクターは家から診察できるのね。

まずバスで病院1の放射線治療に行き、そこから病院2での採血のために電車とバスをのりついで行くという遠足でした。


 

うちからバス停までは、ふつうに歩いて10分弱。
ワシントン大学に通っていたときにいつも乗っていた44番のバスで、終点が病院の目の前なので、らくらくです。

青年が雪渓ハイキング用に買って持っていた、靴にひっかけて装着する式のスパイクをわたしのブーツにとりつけてくれたので、滑る心配もなく気持ちよく歩けました。

宮沢賢治の『雪わたり』みたい。

キックキック、トントン、凍み雪しんこ、堅雪かんこ。

 


お昼ころの気温はマイナス5℃。とはいえ、風はなかったので、それほど寒さは感じませんでした。




ソリにこどもと食料品をのせて、買い物から帰るお母さん。たのもしい。かっこいい。

このところ年に一度は「大雪」が降るので、シアトルの人もけっこう雪の生活に慣れてきたのかもしれません。

それとも、この数年、トランプとかCOVIDとかで「アブノーマル」な状態というものに慣れてきたのかも…。

数年前のようなパニックはあまり感じない気がします。

大半の人が家で仕事をしている、または在宅勤務に切り替えられるのも大きいだろうし。すれ違う近所の人たちもにこにこしていて、落ち着いて雪の生活に取り組んでる感じがします。



雪中行軍中。




なんだかかわいいものが俯いていました。



さくっと予定通り到着した、放射線治療室。

Stereotactic Body Radiation Therapy(SBRTまたはSRT、定位放射線治療)という単語を覚えました(正確には覚えていない)。

従来の放射線治療は健康な臓器にもダメージが大きいため、腫瘍の箇所を特定して高精度でその部位だけに集中して照射する技術がいろいろ開発されてきて、SBRTもそのひとつなのだそうです。

わたしの場合は転移した肝臓の腫瘍が大きくなってきているので、その腫瘍箇所だけに集中して放射線を当てます。一回20分くらいのセッションを5日間。

治療に先立ち、照射部位を正確に特定するために、小さいほくろ大のタトゥをウエストまわりに3か所入れました。銭湯にはいれなくなるようなタトゥーじゃないけど、初タトゥー。

そしてこの、スノーマンのディスプレイがされているマシンがぐいーんと下がってきて、プラスチックのテーブルのようなもの、ミラーがついた装置、プラネタリウムの投影装置的なものという3つの装置がぐるぐるとベッドの周りを回転して20分くらいなにかが行われ、うとうとしているといつの間にか終わっています。

その3つの装置のいずれから放射線が出てくるのかは聞きそびれました。

例のアメリカの病院のデフォルトである背中あきの半袖ガウン(ひととしての尊厳を奪い去るガウンだと思います)を着ているので、ちょっと寒い以外にはなにも感じないし、痛くも熱くもないので、なにが起きているのか患者にはさっぱりわかりません。

コントロール室ではCT画像をリアルタイムで見ながら照射位置を細かく特定する作業をしているそうですが。

尊厳のないガウンを着せられるけれど、技師さん/看護師さんたちはみんなスーパーフレンドリーで、明るく、我慢強く、親切でした。なんて素晴らしい人たちなんだろう。




病院1からは道をわたったところにライトレールの駅があり、10月に完成したばかりの(いまのところの)ライトレールの終点、North Gate駅を降りると目の前にバス停があって、そこに病院2の玄関まで行くバスが来るので、とってもらくちんでした。

バス内ではとっておきのN95マスクを着用しました。
さすがにこの日はバスも電車も普段より利用者が多かったもようです。

バスに乗るのは何年ぶりだろう。学校に通っていたとき以来かもしれません。





なかなか楽しい雪中行軍でした。

もっと生産的なことに時間を使いたかっただろうにつきあってくれた青年も、ずいぶんいい奴です。

病院2からの帰りは、ジェニファーちゃんが4WDのアキュラで送ってくれました。


そして翌日火曜日のクリニックでの化学療法の予約にも送迎してくれた。
とにかく与えることが大好きなジェニファーちゃんなのです。



 

パウダースノーの記録。



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2021/12/28

雪の日曜日のビスケット


日曜日、クリスマスの翌朝は、予報通り雪がつもっていました。

 


iPhoneの「天気」アプリは「大雪」と宣言。

さいきん、このアプリは「雪はあと51分で止みます」とか「あと21分で雨が降り出します」とか、自信たっぷりに分単位で言い切るのですが、あまり当たらないです。



朝9時ころの積もりぐあいです。これはシアトルでは、立派な豪雪。
 

気温が低いので、さらさらのパウダースノーです。



その後も、夕方まで降り続きました。

風がちょっとあったので、屋根の上や木の枝や地面から雪が吹き飛ばされて、すこしの間、視界が吹雪のように真っ白になります。

おぉ、これが地学の授業で知った「地吹雪」か!とちょっと感動しましたが、もちろん、視界が真っ白になるほどの吹雪がずっと続くような、本格的な地吹雪ではありません。

吹雪じゃないけど、風のせいでずいぶん寒いなかを、たくさん着込んで、近所のカフェBiscuit&Beanにビスケットを買いにいきました。




いつもはドライブスルーにクルマが並んでいますが、この雪の日曜日の朝のお客さんは、みんな徒歩で行った人ばかりでした。


コロナ禍以降、店内での飲食はなく、持ち帰りのみなので、戸口で注文して、外でじっと待ちます。そしてほかほかのビスケットをふところに入れて帰る。



ビスケットは皮がかりっと、中はしっとりふわっとしていておいしいです。

CTちゃんにいただいた柚子のジャムとチーズをのせて、コーヒーがすすむ。

静かな日曜日でした。

 

午後は雪の量はそれほどでもなかったけれど、温度はさらに冷えていきました。



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クリスマス晩餐と、ツリーはいつ片づけるのか問題

 

クリスマスの夜はCT夫妻邸でディナーにおよばれしました。


テーブルの上にかわいいオーナメントが。

ビーグルのチート君は、大騒ぎしてがーっと食べてくたっと寝てしまったので写真なし。



メインはローストビーフ。
たいへん美味しゅうございました。



うちからは、リクエストいただいたカラードグリーンと、薄切りポテトのグラタンを持参。


 CT家のうつくしいクリスマスツリー。

アメリカの家庭では、たいてい、お正月明けまでツリーを飾りっぱなしにしておく人が多い。
クリスマスからニューイヤーまで、ひとつながりの「ホリデーズ」と考えるからなんだろうと思います。

ホテルやショッピングモールなども、新年3日くらいまで飾ってあるところが多いようです。

しかし、20年前から断捨離マスターである生まれながらのミニマリストCTちゃんは、毎年、当然のごとく、26日の朝にきれいさっぱり取り片づけています。

日本人だから当然でしょ、という立場で、この信念は岩のごとくゆるぎません。

なにしろ、むかし一緒に仕事をしていた会社で、クリスマスの翌日に出社してクリスマスカードを……あっこれを言うと怒られるかもwww

日本では、日づけが変わるとさっと気分を入れ替え、しつらえをすっかり替えるのが当然、という「折り目正しさ」が尊ばれるし、そうでないと気持ちが悪いと感じたりもしますよね。

クリスマスよりお正月のほうがメインイベントだし、26日すぎてクリスマス飾りを見るとなにか見てはいけないものを見てしまったような気がしていました、たしかに、日本にいたときは。 

 


翌朝は、起きたら雪が積もっていました。

ホワイトクリスマスにはニアミスでした。

 

 

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