2021/12/11

野生のランタン


近所のウッドランドパーク動物園で開催中の「WILDLANTERNS」に行ってきました。

うちの青年、もと彼女キリコちゃん、ジェニファーちゃんと。




思ったよりも大がかりで、動物園の敷地いっぱいに「ランタン」(提灯)の動物、鳥、昆虫、恐竜、植物、それに中国のドラゴンや巨人が飾られています。






こちらが「石の巨人」。うずくまった姿勢から伸び上がってくる巨人に、こどもたちがくぎ付け。

このコーナーには煙を仕込んだシャボン玉や、煙の輪っかが飛んでくるしかけや、光るブランコもあって、小さな子どもたちが大騒ぎでした。




巨大カメレオンもインタラクティブで、手前の星を踏むと色がかわるしかけ。





赤の星と青の星をいっしょに踏むと、


…紫色に。なかなか楽しいです。





こちらはちょっとシリアスな顔つきの、キツネザル。

「ランタン」のデザインも、それぞれに不気味スレスレのリアリティがあって、ぜんぜん子どもだましではなく、ステキでした。



こちらは、なぜか兵馬俑……。始皇帝もこうやって「ランタン」になると、なんだかクリスマスっぽい。





めずらしく晴れた夜で、半月がきれいでした。ペンギンの上に月。


かなり寒かった(4度C)ので、ジーンズの下にタイツ、セーターの下にハイネックを重ねて、5レイヤーにボウシもかぶり、ブーツを履いていきましたが、正解でした。

園内に3か所くらい、飲みものと軽食を売る売店が開いているので、ホットチョコレートを買って、おしゃべりしながらのんびり2時間半くらいかけて一周したのですが、最後のほうではつま先がかなり冷たくなってきました。

途中、あまりにも冷えてきたのでギフトショップに避難して暖をとったり。


ミーアキャットに出てこられては、いっしょに写真を撮らないわけにはいきませんでした。
なぜか海賊顔の青年と、いろいろ着込んでちょっとモグラっぽい感じのわたくし。



キングコブラ。




アフリカの鳥やピューマ。




1月30日まで開催中。

人数制限をかなりしているらしく、かなり早く売り切れるので、平日でもほとんど当日券はないようです。そのぶん、園内はそれほど混雑してません。

12歳以上はワクチン接種の証明書または72時間以内のPCR検査の陰性証明が必要。





楽しい冬の遠足でした。

 

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2021/12/09

えのきが高い


さいきん、ご近所スーパー、バラード・マーケットで売りはじめた10ドルのミニ花束がかわいいので、食卓用に買ってきました。

ここにはスーパーといえどなかなかステキなお花屋さんがあって、以前は1本ずつ1ドル50セントだかでバラ売りしてくれていたのですが、最近は束単位での販売だけになっちゃって、20ドルとか30ドルとかの花束を自分用に買うのは節約中につきハードルが高く、ちょっと悲しかったのですが、このミニブーケはセンスも抜群だし、かなり充実の内容で嬉しい。

テーブルの上に明るい黄色やオレンジがほしいなあ、と思っていたわたしのために作ってくれたような配色です。

目の前にきれいなものがあるとすぐにとりあえず幸せになれるので、10ドルはコスパがいいです。

最近は仕事をあまり積極的に受けていなくて、以前はメイン3社プラス飛び込みで入ってくるいろいろなお仕事をありがたいことにほとんど途切れずにいただいていたのですが、かなりスローダウンしたためお断りする案件も多く、このところは1週間まったく仕事せず、ということもたびたびあります。

でもそのぶん青年が仕事をかけもちして働き、生活費を入れてくれているので、なんだか結局うまく回っている。ありがたいありがたい。

でも、物価がじわじわと上がってきましたね。



このあいだ、日系スーパーでえのきが1パック7ドル99セントで売られていて、かたまりました。

高級食材だわこりゃ、正味量換算で肉より高い。

白菜とか大根とかごぼうとか、ほかの和野菜も、全体に高くなってる。アメリカの国内産でも、やはり流通が影響しているのでしょうね。

日本の食料品はいま、どうなんでしょう。

 

 

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2021/12/08

ほんとうに面白い「What if...」シリーズ

 


近所の道に落ちていた、なんだかわからない赤い実。

このへんは果樹や木の実のなる樹が多いので、鳥たちやリスたちには安心安定の環境なのだと思う。
けっこうより好みもあるようで、まったく見向きもされていない果樹や実もたくさんあるかと思うと、思い出したようにある日とつぜん大群がやってきて食べ始めることも。不思議です。


AppleTV+で『For All Mankind』シーズン1と2を一気に観ました。

これが実は、『ファウンデーション』よりも、はるかに面白かったです。

いま盛んに宣伝してるトム・ハンクス主演の近未来SF映画『Finch(フィンチ)』よりも、ずっと面白かった。

脚本も演出も、けた違いに素晴らしいです。

キャラクターも陰影と説得力があっていいし、演技も素晴らしいし、ストーリーのテンポもいいし、会話のスクリプトもいいし、美術もいいし、非の打ち所がなくてほんとうに楽しめました。このシリーズを観ていたら、正直なところ『ファウンデーション』はかなり頑張って観ていたことに気づかされてしまいました……。

もしも米ソの宇宙開発競争が途中で止まらず、どちらの国も予算をじゃんじゃんつぎ込んで開発を続けていたら……という設定の、現実とは違う1960年代後半〜1970年代と1980年代を描く「歴史改変SF」です。

邦題は『ニクソンの女たち』。シーズン1のエピソード3のタイトルをそのまま使っているのですが、この邦題はよくないと思う。

ニクソン大統領の強い希望というか命令により、女性宇宙飛行士たちの訓練が始まり…というお話なのですが 、シーズン2の舞台は1982年〜で、大統領は(テッド・ケネディを破って、実際の歴史よりも4年早く1977年に就任したという設定の)2期目のロナルド・レーガンです。

いかにもレーガンが言いそうな「レーガン節」や、いかにもレーガンがしそうな行動がすごく巧みに織り込まれ、登場人物と世界の運命に影響していきます。

シーズン2の時代には、もはやニクソンのことなんか誰も覚えていないのです。

『ニクソンの女たち』はシリーズ内のひとつのエピソードのタイトルとしては気が利いていて、内容にも合っててとてもよいと思うけれど、このシリーズ全体をあらわすタイトルとしては意味が弱く、物語のほんの一部しか語っていないし、全体の構想の壮大さがまったく伝わっていません。

このシリーズは政治ドラマの部分はもちろんあるけれど、それは魅力の3分の1くらいでしかないのに、「ニクソン」と「女」というのを強調しすぎて、しかも「の女」と所有格がパワーゲームとジェンダー問題まで匂わせて、内容にそぐわないドロドロ感を醸し出してしまっていると思うのです。それに、女性宇宙飛行士は重要な要素だけれど、このドラマの主題はそれだけじゃないし。

 このタイトルだけみて観るのをやめちゃう人がいるとしたら、あまりにもったいないです。

シーズン1の後半以降、宇宙飛行士だけでなく、女性が長官とかオペレーションディレクターといったトップに進出していき、現在でさえまだ実現されていないほど、重要な地位を女性たちが次々と占めていくのも、シリーズの見どころです。

(ひとつだけ難をいえば、ドラマの中で女性が破竹の進撃をしているのに比べて、黒人、ラティーノ、アジア系が主要登場人物に占める割合が少ないことです。それぞれのマイノリティからまんべんなく一人か数名ずつ印象深いキャラクターが出てきて、さらには同性愛者の主要キャラもいて、それぞれのストーリーをちょっとずつ見せる。それぞれ真摯に扱われていて説得力があり、そつがないなあ、という印象を受けましたが、だからこそもう一押し!)

『宇宙兄弟』が好きな方にはぜひぜひみてほしいなあ。 「宇宙もの」全般が好きな人には全力でおすすめです。

 



あと、詳しく知っていなくても面白く観られますが、1960年代以降のアメリカ現代史をざっとおさらいしてから観れば、さらにさらに楽しめると思います。

わたしも20年以上アメリカに住んでいるとはいえ、そしてわりに最近(20年前とかではなく)大学でアメリカ現代史の授業を2コマ受けたにもかかわらず、なにしろ記憶力がアレなもので大統領の順番くらいしかろくに覚えておらず、観終わってからウィキペディアでいろいろ確認したりしてました。

歴史を知ってると「あら、これは…」と、現実とは違う設定がいろいろとチラチラ出てくるのが楽しめるし、そのときの状況を新鮮な方角からみてみることもできるのが面白いです。凶弾をあぶなくかわして生き延びたジョン・レノンが平和コンサートを開いているニュースが流れたり、電気自動車が80年代に実用化されていたりといった小ネタがちりばめられています。

うちの青年は、シリーズ1で宇宙飛行士たちが運転しているコルベットにくぎづけで、「この時代のコルベットは最高にかっこよかったんだよなー」と言ってました。
いまのコルベットやムスタングには馬力だけがあって思想がない、いかにも退屈なミッドライフクライシスの車、という位置づけだそうです、彼のなかでは。

ドラマに登場する女性宇宙飛行士のなかで、訓練生中トップの成績に輝くモーリー・コッブというめちゃくちゃかっこ良いキャラクターがいるのですが、この人には実際のモデルがいます。

ジェラルディン・コッブという人。
シーズン1のエピソード4は、この人に捧げられています。

わたしもぜんぜん知らなくて、さっそくウィキペディア先生におたずねしてみました。

そしてびっくり。本当にリアルにすごい女性だったのでした。

1950年代〜60年代、20代のときに飛行の世界記録を3つもうちたて、アメリカ初の友人宇宙飛行をめざしたマーキュリー計画で、男性と同様の試験に合格していた女性たちがいて、コッブさんはその中でも、男性を含むすべての候補者のなかで上位2%の成績を示したのだそうです。

この「マーキュリー13」と呼ばれる女性たちのことは、わたしはまったく知りませんでした。

 しかし「社会的秩序」を重んじる60年代のおっさんたち(ジョンソン大統領を筆頭に)やおばさんたちに阻まれ、女性宇宙飛行士の訓練は実現せず。

その後、コッブさんは30年にわたり、アマゾンで宣教活動と航空機による支援活動を行い、ノーベル平和賞の候補にもなっています。熱心なクリスチャンだったのですね。

『For All Mankind』のモーリー・コッブは、たぶん実際のコッブさんよりもずっと行儀のわるい、口もわるい人。でもねじまがったところのない、人間味のあるヒーローです。「竹を割ったような性格」の人という言い方が日本にはありますが、まさにそれそれ。

彼女の旦那さんは自分の感情を(フェミニンな面を)恐れずにさらすことのできる、素晴らしいキャラクター。2021年になってもなかなかお目にかかることのできないタイプの男性です。

わたしはこのカップルが大好きで、旦那さんが登場するたびに嬉しくなってました。

シーズン3はもう撮影が終わっていてポストプロダクションに入ってるそうなんだけど、公開は来年5月の予定だと!ポストプロダクションってそんなに時間がかかるのか!

シーズン2のエンディングにはNIRVANAの曲『Come As You Are』が流れ(いや〜本当にかっこいい曲だなあ)、チラ見せの場面に「1995年」というテロップが流れました。シーズン1が1970年代、シーズン2が1980年代なら、やっぱり次のシーズンはその10年後ですよねー。

あの登場人物はまだ生きているのか、あの人はほんとに政界入りしたのか、あの夫婦は結局別れたのか、あの人はあの学校に入ったのか、その後のキャリアはどうなったのか、まるで友人のその後のように、いやそれ以上に、気になるー!

そして、このパラレル世界の1990年代では、ソ連は崩壊ずみなのか、ベルリンの壁はどうなったのか、大統領はクリントンなのか、もしかして共和党政権なのか。技術がかなり前倒しになっていて、1980年代なかばの設定で携帯電話が登場しているので、90年代なかばでもうスマートフォンの第一世代が出てきているかも…。スティーブ・ジョブズはまちがいなく登場するに違いない!でもどんなふうに? 

早くリリースしてくれー!お願いApple!




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心の恋人が天国へ



わたしの心から愛するスイートハートのひとり、しんのすけ君が猫の天国に行ってしまいました。

しんちゃんとはかれこれ、10年ごしのおつきあいでした。
猫シッターをご拝命いただき、お父さんお母さんがお留守のあいだ何度も長い月日を一緒に暮らしたので、朝から晩まですぐ近くでタマシイの会話をさせていただきました。





たいていの場合、しんちゃんが発信しているのは
「早く毛をブラシせよ」
「ごはんはまだか」
という、たいへんストレートフォワードなメッセージでした。





これは、最後に会いに行ったときのしんちゃん。

むずかしい病気をもう何か月か患っているとのことでしたが、おもいのほかに元気で、謎の黒い毛玉に興味を示していました。



寝ている姿がこれほど幸せそうな生きものは、あんまりほかにはいないのではないかと思います。

Every Little Thing will be All Right、世になにもかも問題なし、すべてうまくいく、ということを、猫たちは知っているのです。




しんちゃんは生まれつき耳が聞こえないので、猫的常識を身につけていないため、ほかの猫たちとのコミュニケーションがとれず、猫とは仲良くなれない猫でした。

そのぶんヒトによくなついて、ヒトのそばにいるのが大好きでした。ヒトがいないと不安になるのか、置いてけぼりにされると幼い子どものように大声で鳴いて抗議していることが多かった。

「余をここに置き去りにして、なんのつもりじゃ」

といいたかったのでしょう。

とてもノーブルで、ピュアで、すきとおったタマシイをもった猫でした。

ヒトを見るときにはいつも

「くるしゅうない」

という顔をしていました。



 RIP、しんのすけくん。

 

 

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2021/12/04

おミクロン


 先日ナパ・ヴァレーに行ってきたCTちゃんにいただいた、巨大マカロン。おいしゅうございました。

金木犀のお茶もいっしょにいただいた。あまり、おおお、キンモクセイだ!という香りではないけれど、ほのかに甘い香りがする、明るいお茶でこちらもおいしいです。ごちそうさまでした。

しかしオミクロン。

神に誓って、マカロンにかけた親父ギャグではありません。本当に、たったいま、書いていて気づいたのです。

しかし、このように、知らないうちにベタなダジャレを飛ばしていたことに気づき青くなることがこれまでの人生で多々ありました。
なんらかのダジャレの神様がついているとしか思えない。この才能をどうしたらいいのだろう。

ついでに「おミクロン」て名前はかわいいよね、っていってもだれも相手にしてくれないのですが、それはさておき。

日本行き新規航空券発行受付を停止、という政府の要請はさすがに数日で撤回されて、よかったです。

しかしいざとなったら日本政府は在外邦人をすっぱり切り捨てることもあるんだな、ということがわかってしまって、やはりかなり衝撃でした。もちろんお役所と政治家のあいだでコンセンサスが取れての手段じゃなかったから数日で撤回になったのでしょうけど、それにしても乱暴な。

 


 


そしてオミクロンの市中感染が出た州からの日本入国者は、入国後3日間、またホテルで隔離になってますね。いまのところカリフォルニア州やニューヨーク州はじめ数州だけど、ワシントン州が仲間になるのも時間の問題。

州単位で指定するのもほんとーーーーーーに意味ないと思うんだけど…。

オミクロン、結局ぜんぜん心配するほど凶悪ではありませんでした、過剰反応でした、ってなるといいんですけどね。

年末年始は無理かもだけど、年明けくらいに行きたいなあ日本、と思っておりますが、行きも帰りもPCR検査必要で、2週間の隔離が必要で、と、ほんとにハードル高くて、腰が引けています。


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2021/12/02

華麗で凡庸な悪人の話



レディ・ガガとアダム・ドライバー主演の『House of Gucci』を観にいってきました。

今回は、ご近所のMajestic Bay Theatresへ。歴史ある独立系のローカル映画館で、コロナで閉館していたあいだ、一時は存続があやぶまれたこともありましたが、無事にサバイブしてくれました。

本編上映前に上映された映画館のPRムービーにはオーナーが登場して、支援のお礼とともに「ウチはウイルスを殺す仕掛けがあるから安全ですっ」と力説していました。紫外線かなにかで室内の空気を清浄にするマシンを導入してるそうです。ほんとか!!

この映画館では、入り口でちゃんとワクチン接種証明を提示して入りました。
紫外線の効果はともかく、そのへんがまったくいい加減で人が多いシネプレックスよりは安心度は高いです。

で『ハウス・オブ・グッチ』。日本では1月公開だそうです。

以下ちょっとだけネタバレあるかもしれません。

 



ぜんぜん前知識なく、これがリドリー・スコット監督だということすら知らず、グッチ家の物語も知らず、予告編を観ておもしろそうだと思っただけで観に行ったんですが、…面白かった。

すくなくとも、画面はとっても見ごたえがありました。俳優陣がなにしろすごい。

ぐぐったらすぐにわかる有名な事件でおわる結末も、まったく知らなかったので、いったいこの話がどこへいくのか、フィールグッド映画なのかそうではないのかすらも最後のほうまで見当がつかなかったのですが、うーん、この映画に関しては、むしろ二人がどうなるかのリアルストーリーを先に知っていたら、そのほうがもっと楽しめたかもしれない、と思います。

というのは、レディ・ガガ演じるパトリツィアにも、アダム・ドライバー演じるマウリツィオにもまったく感情移入ができないことに、途中からイライラしはじめたからです。

そのへんでフィールグッド映画でないことにはうすうす気づいてくるんですが…。

 主要登場人物には一人も共感できない映画でした。

パトリツィアはチャーミングだけれど強烈な上昇志向とプライドのほかには内面がなにも描かれず、マウリツィオも一見洗練されていて魅力的だけれど、凡庸で流されやすく、冷たくて自己中心的で上すべりで面白みのない人間として描かれている。

華麗な世界の欲とエゴにまみれた人々、ではありながら、とっても凡庸で退屈な人たちのストーリーになっています。(映画が退屈という意味ではありません)

出てくる人にまったく共感できない、けれどすごく面白いお気に入り映画っていくつかあって、たとえばエマ・ストーンの『女王陛下のお気に入り(The Favourite)』とかアダム・サンドラーの『アンカット・ダイヤモンド(Uncut Gems)』は、その嫌なやつぶりがあまりにも突出していて、とてもエンターテインメントでした。

そして、同じリドリー・スコット監督の『悪の法則』は、無表情な悪が淡々と描かれていて、とても怖い映画でした。

でもこの映画のグッチ家の人々は、華麗なるお金持ちではありながら、とっても凡庸。

まったく怖くはないし、共感もできない。

外見は魅力的で見ごたえがあるのだけど、なかみは平凡で退屈なキャラクター。そのなかみのからっぽぶりを、ガガもアダム・ドライバーもとてもよく演じていると思います。

むしろこれはコメディとして見たほうがいいのかもしれません。でもそれだったら最初からそう言ってよ、という気もする。なんだかちょっとどうしたらいいのか困ってしまう感がある映画でした。

濃いドラマだと思って観たらコメディだったという……これはまんまとリドリー・スコット監督の思うつぼなのかな。

トム・フォードも、「観ながら何度も爆笑したけど、笑うべきだったのかどうかわかんない」と言ってました。



ガガ様とアダム・ドライバーその他の出演者たちのイタリアンアクセントは賛否両論あるようですが、わたしは観ていてちょっと疲れた。

それがどのくらい「正確な」アクセントかまではわたしには判断できませんが、イタリア人の話をわざとらしいイタリアンアクセントの英語でアメリカ人が演じるということ自体が、なんだかなー、と思い、イタリア語でやらないのならふつうのアメリカ英語でいいじゃないのと思ったのだけど、でも!!これはブラックなコメディ映画だというのなら、納得できます。


 
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2021/11/29

インスピレーションの人、ホリデーの大学いも



日曜の朝はデザイナーのヴァージル・アブローさん死去のニュースにびっくりでした。

41歳、若い。

あちこちの記事を読んで今日知ったけど、ヴァージルさん、建築科出身だったんですね。

ファッションのことなどわたしはほとんどなにも知らないけれど、半世紀前の60年代〜70年代に起きたさまざまな「革命」を思い、ヴァージルさんがルイ・ヴィトンのアーティステイックディレクターに就任してアイコンとなったことも含め2010年代以降に起きてきた実質的な変化を思うと、その「ほんとに変わってきた」ということの厚みに圧倒されます。

60年代の若者たちをいっとき熱狂させたアイデアが着地して実体を持つまでには紆余曲折と挫折と揺り戻しとが何度もあって、もちろん理想の社会正義が実現したわけではぜんぜんないし、貧富の差はますます拡がっているけれど、レプレゼンテーションという面では、ここ10年ほどの変化には、目をみはるものがありますよね。

時代が常識を変えていく速度、実際にプラットフォームも変わっていく速度が加速しているんですね、よくも悪くも。

そして、変化を恐れたり憎む人たちの抵抗もそれだけ激しくなってきている。

ヴァージルさんの才能はなんといっても、時代の事象をつかまえてプロジェクトに落とし込んでいく才能だったのだろうなあと思います。そのエネルギーの量たるや。

多くの若者たちに、とてつもない量のインスピレーションを与えながら、日々、なにか新しいことをしていた人。うちの青年ももちろんその一人。


「いつも17歳のバージョンの自分のために仕事をしていた」というヴァージルさんの言葉が紹介されていました。RIP。



きょうは久しぶりに晴れて(サンクスギビングの長い4連休はずっと雨降りだったのに)、きれいな夕焼け。

しかし日没が早くなりましたね〜。まだ冬至までに20日以上あるのに。

 


 なんだか19世紀ロマン主義の大作絵画みたいなかんじのドラマチックな空。
荒れ狂う海、龍、海の怪物、難破する帆船、火を吹く大砲、て感じがしませんか。

 



サンクスギビングは、アーティストのSさん宅におまねきいただきました。
ベジタリアンディナーだというので、肉食人のうちの青年は一瞬かたまった。



でも、豆のローフのほかにミートローフも用意してくださっていました。

美しいリビングルームにていろいろな世界のお話が聞けて、楽しかったです。


 わたくしは簡単大学いもで参加。コウケンテツさんの揚げないレシピ。ちょっと焦がした。

 


 Mさんのパイ2種もたいへんおいしくいただきました。




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