というわけで、帰りはバンクーバーからシアトルまで、アムトラックの列車で帰ってきました。
飛行機がバンクーバーに午後2時50分到着、列車は5時45分発。
荷物をピックアップしてイミグレと税関審査を通ってタクシーに乗って駅に向かいますが、空港から駅まで車で30分〜40分かかるので、 飛行機が少し遅れたり、入国審査で行列が長かったらちょっときついなあ、と思ってちょっとドキドキでした。
でもこの日は幸いまったく問題なく、入国手続きもさくさくと進んで、着陸後30分もかからずにタクシーに乗ることができました。
よかったー!
なにしろ本数が少なく、これが最終列車。これを逃すと翌日まで待たねばならないのです。
駅についたのは4時ちょうど。 まだずいぶん時間があるな、と思ったのですが、すぐに(4時20分から)改札が開いて乗車手続きがはじまりました。
駅(パシフィック・セントラル・ステーション)の建物は1919年建造。
外観はこちら(ウィキコモンズより)↓。
外観も内装も美しく修復保存されてますが、残念ながら駅弁も駅ナカスイーツもありません。
バンクーバー市内には素敵なカフェがたくさんあり、タクシーの窓から指をくわえて見ていたのですが(途中で停まってもらおうかな、とちょっと思ってみたけども言い出せず)、駅構内のカフェはすでに閉まってました。
駅構内にはたいへん微妙な感じの「SUSHI」屋さんとコンビニ的な売店がありますが、そのほかには飲食設備はなし。
たべもの屋の出店だらけの都内の駅が恋しくなる一瞬でした。
だいたい、5時45分発の列車の乗車開始が1時間半も前の4時20分からって、のんびりしてますよね。
バンクーバーとシアトルを結ぶ列車っていうと、日本の感覚だと新幹線を連想しちゃうとこですが、アムトラックは主要都市を結ぶ幹線列車というよりむしろ「鄙びたローカル線の旅」って印象です。
インフラも運行システムも、この駅が建造された20世紀初頭から基本的にほとんど変わってないと思われます。それでもこの「カスケード」路線は全米で8番目とかに乗客数が多い路線なんだそうですよ。20世紀のアメリカで列車がいかに不遇をかこってきたかがわかるというものですね。
旅客列車は90年代以降少しずつ増えてはいますが、まだまだまだまだ、日本と比べたら笑っちゃうレベルの少なさです。オバマが公約した高速鉄道もほとんどすべて、予算がついていたのにもかかわらず反対派に潰されちゃったしー!
改札口は一番上の写真の右側のところにある小さなデスク。ここに先着順に並んで、座席の割当を受けます。
厚めの紙に印字されたすごくシンプルな座席札をもらって改札のデスクを通ると、すぐ内側に小さな出国審査場があります。審査官は2人。
わたしがあたった審査官は日本語が少し話せる若い男性で、「ミギノユビヲ、ヨンホンイッショニツケテクダサイ」とかとても上手に指示してくれましたが、審査よりも日本語習得に熱心な感じでした。全体に空港よりずっとくつろいだ雰囲気です。
その先は狭いプラットフォーム。 この機関車は数年前に導入された最新型だそうです。
(客車のほうはけっこう年季がはいってる感じで、ぜんぜん最新型にはみえませんでしたが)
WSDOT(ワシントン州交通局)のロゴがついている。アムトラックはいちおう営利企業だけど、実際は州政府機関や連邦の機関が運営にかかわっているらしいです。
このカスケード路線にWSDOTがどのようにどのくらいかかわってるのかは知りませんが、こんなに大きなロゴがついてるってことは、機関車はWSDOTの所有なんでしょうね。
このプラットフォームで、荷物を貨物室に預けます。
預け荷物は2個まで。持ち込み手荷物も飛行機のキャリーオンと同じサイズまで。
(これも、飛行機よりもかなり制限はゆるやかな印象を受けました。少なくともこの日のバンクーバー駅の担当者は誰も手荷物の大きさなんかチェックしてなかった。)
飛行機と違うのは、自転車持ち込みOKなこと。
マイ自転車と列車を使って近郊都市へエコな旅を!というのをWSDOTもカナダとオレゴンの交通局も推奨してるみたいです。
バンクーバーを出るとしばらく干潟が広がってる場所を通ります。
有明湾みたいですね。海苔は作ってないけど。九州行きたいなー。
バンクーバーを出て1時間くらいで国境を越えます。バスと違って荷物を持って降りる必要はなく!パスポートコントロールの担当官が車内に乗り込んできて、パスポートをチェックするだけ。らくちんです。
パスポートコントロールの間だけは、全員が指定された座席に着席しているように指示され、トイレも食堂車も閉鎖されます。
わたしの割り当てられた車両は満席でした。
隣の席にも人が座って手狭になったので、国境を越えてから食堂車へ。
食堂車はこんなところ。テーブルが広い。椅子もアメリカンサイズです。
大昔のオリエンタル急行みたいにボーイさんが注文を取りに来るわけではなく、隣りの「ビストロ」車のカウンターで買った食べものや飲みものを各自持ち込んで食べるカフェテリア式です。わたしは国境からシアトルまでずっとここで過ごしましたが、テーブル数は10卓もないのに満席にはなっていませんでした。
車掌さんも奥のテーブルにずっと座ってました。
売ってるのはピザやホットドッグ、カップ麺など。しつこいようですが駅弁はなし。
特においしいものもなし。
かろうじてご当地感のあるIvar'sのクラムチャウダーを買いました。5ドル(米ドル)。
紅茶・コーヒーは2ドル50セント。お高めの値段設定です。
アムトラック、もうちょっと飲食部門に力を入れたらどうかと思う。
世界の車窓から〜♪な景色。
カスケード路線は水辺を通っていくので、景色がドラマチックで全然飽きません。
干潟や砂浜、小さな入江、牛や羊が走り回っている緑の牧場などがすぐ目の前に。
なにしろ単線の箇所も多いので、自動車から見るよりも沿線の景色がずっと間近に見えます。
仕事しようと思ってパソコン立ち上げたけど、窓の外に目を奪われてしまって、あんまりはかどりませんでした。
砂浜で家族連れが凧揚げをしていたり、入り江でティーンエイジャーたちが焚き火をしていたり。水辺にハクトウワシもいました。
午後5時45分発、10時10分着。たっぷり4時間半ですね。夏場は日が長いので、この最終列車はちょうどサンセットの時刻にかぶります。
日没は9時すぎ。ちょうど到着の1時間前くらい。
これはエヴェレットのあたり。
乗っている時間は長いけど、バスよりもはるかに快適でした。
国境で長々並ぶ必要もないし、ゆっくり本を読んだり昼寝したりできるので、運転するよりもラク。なのでわたしは列車推しです。もうちょっと本数があればいいんですけどね。
(そして、脱線しなければね…)
料金は片道44ドルでした。混み具合や曜日、買う時期によって変動します。
そしてこの美しいキング・ストリート駅に到着。
キング・ストリート駅も駅ナカはなんにもありません。もったいない気がするけど、こんなに本数が少ないんじゃ商売にならないし。仕方ないですねー。
駅を出るとすぐにタクシー乗り場があるし、Uberを呼んだら30秒で、珍しいピックアップトラックのUber君がやってきました。
お急ぎでない方には列車の旅、おすすめです。