2018/07/15

だんご虫のハンカチーフ


30代のころに女性雑誌のコラムかなにかに感化されて、大人だからハンカチは白の麻にしなくちゃと思ったことがあった。しばらく白いハンカチを使ってみたのだけれど、やっぱりどうにも自分のキャラには合わなかった。

よく考えたらわたくしは、『家庭画報』に出てくるマダムでもなく、タイトスカートのスーツを着こなすキャリアウーマンでもなく、要するにきちんと糊のきいた麻のハンカチが似合う女ではなかったのである。

どちらかというと間の抜けた、しかしどこか麻のハンカチとはまったく違うところに気合いのはいったハンカチを持っていると気分が上がる宿命なのであった。

そんな夢見るお花畑のおばちゃんホイホイのような雑貨店が吉祥寺にはたくさんあり、そのひとつでみつけた「挿絵画家Morita MiW 」さんと「楠橋紋織」さんのコラボハンカチーフに、まんまとやられてしまった。

なんだろうこの人好きだなあ。

ダンゴムシとアルマジロ、雷ちゃん、そしてコモドドラゴン。

お花畑にいるコモドドラゴンのハンカチは和歌山県か三重県のどこかでなくしてしまい、諦めきれなくて買い直したのです。

ああそして白桃。夢のような白桃を3つも食べて、これからシアトルに帰ります。


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2018/07/14

ここは熱帯


連日、関東地方は35度越え。華氏95度!ときくと、さらに驚く。

中国地方や四国にも甚大な被害があった先週の水害、この猛暑の中でライフラインが復旧しないところもあると聞きます。一日も早く落ち着いた生活に戻りますように。


しかしこの時期にこの東京でオリンピックをやろうとしているこの国は正気なのか。

64年の東京オリンピックは10月だったのですよね。
その時よりもずっと暑くなっているのに。

エアコン室外機の熱気と、アスファルトとコンクリートが輻射する熱。

外に出るとサウナに飛び込んだみたいにもわっとする。もはやここは熱帯地方。



お願いだから7・8月はアロハシャツを官公庁のオフィシャルウェアにしてほしい。
この暑さのなかで見るスーツは暑苦しい。

スーツは熱帯で着るものではありません。


10分も歩けば1リットルくらい汗をかく感じなので、2日で1キロ半くらい痩せた。

真夏の東京はデトックスにはよいかもしれません。



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台形


国立にある不思議なダイニング「台形」。

とても意味ありげなこの名前ですが、 台形の土地にたっているから台形。なのだそうです。


ご主人が世界各地や日本各地であつめているという、不思議な骨董品にかこまれたお店。


 壁には、古い護符や異国の家族の古い写真。

ところで大黒天というのはシヴァ神の化身だったんですねー。
印度では憤怒の神が、日本へ来ると打ち出の小槌を持った微笑みの神になるふしぎ。


マダムMが以前からとても気になっていたお店だそうです。
飾ってあるものも、食事に使ううつわもすべて骨董品で、売りもの。
江戸時代のものが多いようです。


七品のコースをいただきました。このディナーは金曜と土曜のみの営業。


食事はすべて奥様が一人で作っていらっしゃる。

『舟を編む』にでてくる、宮崎あおいちゃん演じる美人板前の香具矢さんみたい。白いシャツの似合う、すきとおった感じのかわいいシェフさんでした。


本日は貸し切り。小さな店なので、予約は一度にひと組かふた組しか取らないそうです。

ドアの内側に、なにか生えている。


古い染め付けの、修理してあるお皿ででてくる、「美生柑」、りんご、ズッキーニ、生ハムのサラダ。

 銅のおなべで登場、海老のグラタン仕立て。


ヨーグルトと酒粕のデザート。ふんわりした優しい味でした。

紅茶のカップは、向付のための器だそうです!これも江戸のもの。
どこかの小さなお大名のお食事に使われたのかもしれませんね。


最初に目についてとても気になったステキな不動明王。これは江戸時代の版木だそうで、きっと護符を刷るためのもの。

ちょっと棟方志功ふうの、素朴で温かい明王さんです。

こんなに優しい顔のお不動さんは見たことないと思う。
マダムMは悩んでいました。買っちゃいなよ!


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セーラー服おじさんにお会いしました


セーラー服おじさんにお会いしてきましたー。 


待ち合わせ場所は中野駅。
平日のお仕事帰りなので「B面」(サラリーマン姿)で登場かと思ったら「A面」(ごらんの服装)で改札にご登場されたので、同行のマダムMともども大騒ぎ。

途中、カラオケボックスで着替えてくださったそうで、着替えのはいったスーツケースをゴロゴロ引いてきてくださいました。



マダムともども超ハッピー。ありがとうございましたー!!



まずは焼き鳥屋さんにて。もつ煮込み、つくね、焼き鳥その他。

本業の学会にもこの格好で参加するので、会社(一部上場の大企業です)の経費で落とせないのだそうで…!しかしその上、このコスチュームで質問などをするため、登壇者にも非常にインパクトが強く、よく覚えてもらえるから、ちょっと普通ではコネクションがつかないような講演者の方ともつながったりするんだそうな。


道を歩いている途中でも、お店でも、何度も「写真を撮らせてください」と呼び止められる。
カバンについたしっぽとかピンクの腕時計とか、ディテール!
ハイソックスが似合いすぎ。


中野北口の奥に、こんな迷路のような飲み屋街がくねくね続いているなんて知らなかった。


2軒めは「坊主バー」。
カウンターにはお線香が燃えてました。カウンターに入ってらっしゃったのは浄土真宗の僧侶の方。今回、セーラー服おじさんと懇談していたため直接お話はできなかったけど。

 そしてこのバーが入っているビル「ワールド会館」がまたすごくて。


 ポストモダンなデザイン……なのか、非常に斬新なビルである。
むかしはホテルもやっていたらしく「ホテル入口」の看板が残っている。
アニソンカラオケとか坊主バーとかが入居してて、「攻殻機動隊」か『ブレードランナー』に出てきそうなカオス感。

こちらをいただきました。

 抹茶の入ったカクテルです。
マドラーを置くのは金剛杵。


お店にあった、ちょっと変わった曼荼羅。たしかネパールのだそうです。

デジタルクリエイターズのコラムに書かれてるとおりの知的な方で、最近いちばん面白いと思う、「意識について」の話などもっと聞きたかった。

セーラー服おじさんに「悩みはない」そうです。

私もこのところ、いわゆる悩むことに時間を使うのは気づいたら瞬殺でなるべくやめるようにしています。

自分のしたいことを考えていると、悩んでいる時間がもったいなくなってくるのですよね。

しかしあいかわらず欲は深いので煩悩はなくなりません。
日本にいると物欲が毎日炸裂しっぱなし。

滞在はあと数日。昨日は買ってしまった書籍を船便で送りました。その重さ8キロ。
送料約5000円なり。

でもまだ日本からだと船便があるので助かる。(米国から日本への船便はもうずいぶん前になくなってしまった)
郵便局の人がすっごく親切に手伝ってくれて、送料が次のレベルにいかないよう、8キロちょっきりに荷物を作ってくれました。

前回は運び屋(息子)がいたのでラクだったなー。お魚ロースターも手荷物で持たせられたし。


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2018/07/12

象に乗ったイケメンがいるところ


にしんそばを食べたあとで東寺に行きました。どーん。迫力の大門。


お大師さん像に花がそなえられている。


すこーんと広い境内。伏見稲荷とちがって観光客は少ない。


こちらの「講堂」のなかに、空海さんが考案したといわれる「立体曼荼羅」があります。

建物は何度か火災にあい、現在のものは江戸時代の慶長年間に再興されたものだとか。


中は撮影禁止なので、いただいたパンフレットから。詳細は東寺のサイトをどうぞ。

立体曼荼羅とは。
以下、ウィキペディアより
須弥壇中央には大日如来を中心とする五体の如来像(五仏、五智如来)、向かって右(東方)には金剛波羅密多菩薩を中心とする五体の菩薩像(五大菩薩、五菩薩)、向かって左(西方)には不動明王を中心とした五体の明王像(五大明王)が安置されている。また、須弥壇の東西端にはそれぞれ梵天・帝釈天像、須弥壇の四隅には四天王像が安置されている。以上、全部で21体の彫像が整然と安置され、羯磨曼荼羅(立体曼荼羅)を構成している。
だそうです。

バロック期のカトリック教会で、文字が読めない人びとに聖書の教えをステンドグラスや彫像で説明する空間を作ったのと似たコンセプト、でしょうか。

明王像、四天王像、帝釈天、梵天、五菩薩像などは国宝。ガラスケースではなくて薄暗いお堂の中で眼の前に配置されている国宝像に向き合えるむちゃくちゃにぜいたくな場所です。

皆素晴らしいですが、とくにゾウに乗った帝釈天がめっちゃイケメンです。


毎月弘法大師の日21日に開催される東寺縁日さんのサイトより。

クールな表情、流れるような衣服の描写、人のよさそうなゾウもステキ。やっぱりこの方は仏像界でも有名なイケメンだそうです。


こちらは持国天。
踏みつけられている邪鬼たちのもりもりな筋肉の描写もすごい。「まじですか?」みたいな感じで見上げる邪鬼。
そしてコスチュームがめちゃめちゃかっこいい。

明王像や四天王の像は839年の建造だそうです。空海入定の4年後。

立体曼荼羅作るよーってことで、当時最高の仏師さんたちが技を競ったのか。

「官営工房系の仏師の手によって製作されていると思われる」そうですが、ルネサンスの工房みたいな雰囲気だったのか。
何人か実力のある仏師がいて火花をちらし…なんてドラマもあったかもしれないとか妄想ふくらむ。

見飽きない。立ち去り難くて、2度も戻ってしまった。
カタログを買ってしまいました。


素朴なテイストの不動明王もステキ。日本最古の不動明王像だそうです。

中心部の五如来像は焼失して、のちに再建されています。

とにかく見応えたっぷりでした。


こちらは金堂。きれいな屋根!なんて繊細。

東寺って、高野山とはまた別系統の真言宗なんですね。それもぜんぜん知らなかったし。

空海さんの入定後、「本末争い」とか分派とかいろいろあったらしい。
まったくよく知りませんが。

ウチのほうが正統!というグループ同士の意見の違いが出てくるのは、宗教界に限らず人の宿命のようですよね。


こちらも国宝、五重塔。年に数回のみ内部を公開。この日は内部は非公開でした。


こちらも四回焼失して、現在のは江戸時代、1644年の建造だそうです。

五重塔が燃える光景はすごかっただろうな。


屋根の隅がきゅっと上向いているところがチャームポイントですね。
この屋根の形の正式名称はなんというのかしら。


この木はなんだかわからないけど繊細で綺麗な葉っぱでした。


塔には池がつきもの。


塔頭のひとつ、観智院。
端正な建物です。

こちらには5体の虚空菩薩像があります。中国からきたものらしく、いろんな乗りものにのっていらっしゃる。
ターキー?いや孔雀。


 東寺のサイトより。

それから、宮本武蔵の筆というふすま絵もありました。

二羽の鷹がうさぎを狙って舞い降りる構図。たしかに剣豪の筆といわれて納得してしまう、一気呵成の迫力。



係のおじさんが熱をいれて説明してくれた。
武蔵は京都の剣客を怒らせてここにしばらく潜伏していたのだといわれているそうです。

吉川英治の本にも出てこないんだというので、でも『バガボンド』にそんな話があったような気がするといったら、なにそれ?というのでぜひ読んでみてくださいとおすすめしてきました。


非公開の宝蔵。

東寺に行けば両界曼荼羅図の実物が見られるのかと思っていたら、ぜんぜん非公開でした(涙)。
仕方がないので曼荼羅下敷きを買ってきた。



でも立体曼荼羅のイケメンさんたちが見られて大満足でした。

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