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2021/02/20

世界の終わりとサンドイッチ



村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を何十年ぶりかに読み返しています。
 
重要なプロットをいろいろすっかり忘れてる。ものすごくおいしいサンドイッチでてきたので、サンドイッチが食べたいなと思っていたら、青年がこんなのをつくってくれた。


 「そのサンドウィッチは私の定めた基準線を軽くクリアしていた。パンは新鮮ではりがあり、よく切れる清潔な包丁でカットされていた。とかく見過ごされがちなことだけれど、良いサンドウィッチを作るためには良い包丁を用意することが絶対に不可欠なのだ」
(『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』67p)  
 
 
包丁は研いだばかりだけど、この切り口はどうなんだろう。基準線をクリアしているのか。
なんか切りそこなった跡があるけど。
 
 1985年に出版されたこの小説。
村上春樹作品のなかで一番印象に強く残った小説だったけど、いま読み返してみると、ああこの過剰さは80年代だなあ、と感じる。

80年代の東京のあの狂ったように調子にのった過剰なカルチャーって、いまの中国に似てるものがあると思う。
 
村上春樹の書く世界は、そのカルチャーとは外れたところにあって(対極とはいわないけれど)、当時の作品は、最近の作品よりも、もっとずっと暗かった。

表面的にさっと見るぶんには文体もポップで軽いのだけど、奥のほうにものすごく重い絶望感がしまわれてあって、読後にときどき全身の力が抜けるほど絶望に共振させられてしまっていました。

真面目な話、80年代に村上春樹のある短編集を読んだあとでひどい鬱になってしまったくらいです。春樹さんのせいだけではないけれど。まことに感じやすく影響されやすかった10代のわたくし。

今回読み返してみて、必ずしもその時代の主流の文化と同じ方向をむいていなくても、その時代のもつオーラみたいなものはいやおうなく反映されるものなんだな、と思いました。
そういうのって、そのさなかにいるときにはわからないものですね。

 



うちの青年も村上春樹は好きだけど、残念ながら原文で読むほどの日本語力はないため、英語の翻訳版で読んでいます。 このあいだクリスマスプレゼントの一部としてこの『世界の終わり…』英語版をあげたので、わたしも読み返してみようと思い、本棚から引っ張りだしてきました。
 

文学の細やかな日本語表現を子どもと共有できないのは残念だけれど、読むのが好きになってくれてよかった。高校までは学校で必要に迫られないかぎり、全然本を読まなかったんですよ。
高校のシニアのときから6年間つきあっていたガールフレンドのキリコちゃんが読書家だったのが、大きく影響したようです。

青年はなぜか朝からヴァージニア・ウルフを読んでました。 
 
 
 

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2018/07/15

だんご虫のハンカチーフ


30代のころに女性雑誌のコラムかなにかに感化されて、大人だからハンカチは白の麻にしなくちゃと思ったことがあった。しばらく白いハンカチを使ってみたのだけれど、やっぱりどうにも自分のキャラには合わなかった。

よく考えたらわたくしは、『家庭画報』に出てくるマダムでもなく、タイトスカートのスーツを着こなすキャリアウーマンでもなく、要するにきちんと糊のきいた麻のハンカチが似合う女ではなかったのである。

どちらかというと間の抜けた、しかしどこか麻のハンカチとはまったく違うところに気合いのはいったハンカチを持っていると気分が上がる宿命なのであった。

そんな夢見るお花畑のおばちゃんホイホイのような雑貨店が吉祥寺にはたくさんあり、そのひとつでみつけた「挿絵画家Morita MiW 」さんと「楠橋紋織」さんのコラボハンカチーフに、まんまとやられてしまった。

なんだろうこの人好きだなあ。

ダンゴムシとアルマジロ、雷ちゃん、そしてコモドドラゴン。

お花畑にいるコモドドラゴンのハンカチは和歌山県か三重県のどこかでなくしてしまい、諦めきれなくて買い直したのです。

ああそして白桃。夢のような白桃を3つも食べて、これからシアトルに帰ります。


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2016/07/28

水玉の原点と竹橋のビルディング


竹橋にある国立近代美術館の、草間彌生さん1950年の作品。ライトでてかってる。

今まで見た草間彌生作品の中で、一番好きだ。
あの水玉の原点はここにあったのか!と、勝手に納得。

いや全然違うのかもですけど、これを見たら、なんだかほかの水玉作品も身近に感じるようになった。

近代美術館の常設展は、大人430円、学生130円!で、近代から現代までの素敵な作品がいっぱい見られるので、かなりコスパが良いです。

皇居もすぐ目の前で広々しているし、東京駅もブラブラお濠沿いに歩いて30分足らずだし、東京見物のマストゴー。となぜか売り込む。


 橋をわたってすぐとなり、竹橋駅の上にある毎日新聞社の入ってるパレスサイドビルディングビルも、昔から好きなビル。

すっきりしていながら、細部がかわいい。愛想のいいビル。とっても60年代。
1964年完成ですって。

昔はこの中に「輪転機」があって、新聞を刷っていたんですよ。


正面玄関のこの妖怪っぽいヒサシと階段も素敵だし、エレベーターホールがすごくカッコいいんですよー。

スタートレックに出てきそうでしょ。
ちゃんとした写真撮れなかったので、パレスサイドビルのサイトからお借りいたしました。


この階段も素敵。

地下は昭和な感じのレストラン街になっていて、それもまた味わい深い。
おいしい定食が食べられそうな感じです

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2016/07/25

代官山の恐怖スポット

お堀端の観光客。
東京はなんといっても皇居とその関連施設があるから緑が多いよね。


 2年前も何度か行った丸の内JPタワーのKitte。
なんだかここは好きなビル。東京にしては珍しく外観が保存されているのも好きだし。
ファサードだけかと思ったらそうじゃなくて、構造ごと保存されているんだそうです。


吹き抜け空間もいいし、中に入ってる店も魅惑的すぎる。とくに4階が危険。
今回も中川政七商店その他で散財。

Mちゃんファミリーに連れていっていただいた、代官山ツタヤのむかいにあるオサレレストランにて。ケヤキの木が素敵。

うちの息子とよくハワイで遊んでくれたSくんとSくんパパにも再会。嬉しかった!頑張れ受験生ー。また近々ね!!


そしてMちゃんは、そのすぐ近くの恐怖スポットへも連れてってくれた。
エジプト大使館ww 
「すぅっごく恐いのよ〜〜」って、怖がられてもw


たしかにいろんな像に三方を取り巻かれているのが、超意味ありげ。

この近くには小さな古墳の上にある不思議な神社もあったりして、意外なことに奇妙なスピリチュアルスポットなんですね。東京面白い。

日本日記はまだ高野山遠足日記が残っているのだけど、いろいろ立て込んできたので、もう少し後でアップします。


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2016/07/24

N駅と黒い花


東京国立近代美術館の日本画コーナーいりぐち。福田平八郎「雨」。

この美術館は毎年常設展の内容を変えるけど、これは有名な絵なので、きっと永遠に展示されているのでしょう。雨が降り始めて水玉もようになっている瓦屋根を描いたもの。



このキノコ的な椅子たちが好きだ。ここに座って植物や雨や美人の画を眺めていると、ありがたーい気分になってきます。


わたしは美術に教養が深いわけではないので、この美術館に行くたびに自分にとって新しい画家を「発見」できるのも幸せ。

今回は松本竣介という画家にフォーリンラブ。

これは「N駅近く」という画の一部。「

N駅」は西武新宿線の中井駅だと説明に書いてあった。わたしは子どものころ西武新宿線の下井草に住んでたので、中井ってすごく身近。
降りたことないけど何百回も通過した。こんなところで親近感。

これは昭和15年、太平洋戦争の始まる前年の作。

当時の「前衛」画家だったそうなのだけど、このドライで繊細で都会的な画面がむちゃくちゃ好きです。


これも同年、昭和15年の作「黒い花」。の下半分。半分ですみません。
魚とハイヒールが気になって。この色といいモチーフといい線といい、素敵すぎる。
 
戦争直前の東京に、こんなに都会的な世界があったんですね。これから国が滅ぶような戦いになだれこんでいく前の年の作品だと思うといたいたしい。


松本竣介さん、昭和17年の自画像。アラ素敵。
やっぱり都会的だ。都会的ってなんなんだろう。さっぱり淡々としていること。力んでコブシを回したりしていないこと。洒脱さ。感情を強調しすぎないすっきり理知的な線。


もう一人、立体作品で好きな人を発見。 若林奮(いさむ)の「2.5mの犬」。なんだか馬鹿馬鹿しいところがみごとにツボ。


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2016/07/23

藤田のノモンハン


竹橋の近代美術館。明治から現代までの、主に日本の画家たちの作品ががっつり見られる常設展が好きなので、必ず行きます。

お濠を望む「眺めの良い部屋」。



収蔵品がいっぱいあるので、毎年展示の内容が変わる。

前回行ったときにサイパン玉砕を描いた藤田嗣治の戦争画に衝撃を受けたので、ぜひ今回も見たいと思っていたら、今年展示されていたのは違う絵でした。

『哈爾哈(ハルハ)河畔之戦闘』。ノモンハンの絵。

ノモンハンで戦闘にたずさわった将校から、部下の鎮魂のために描いてほしいと頼まれたそうで、実はもう1枚、日本兵の遺体が累々と積み重なる悲惨な絵もあったのだけれどそれはどこかになくなってしまったと説明があった。


この絵は、南洋の玉砕を描いた絵とは違って、ぱっと見戦争画とは思えないようなのどかな色彩。日本兵がロシア軍の戦車に向かって攻撃をかけている場面なのだけど、画面はとても静か。

薄いブルーの空に綺麗な雲、地平線まで続く柔らかな草原。そこに走り回る、地面の色の兵隊たちと、同じ色の戦車。

音が消された映画の画面を見ているような感じ。遠くで多くの戦車が煙を上げているけれど、全体に明るいこの野原そのものが、もうこの世のものではないようだ。


そして画面の真ん中に描かれているのは、草原に咲く花。

これが鎮魂のための絵だという説明には納得。

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とらのもんと妖怪たち


東京の最先端ビル、虎ノ門ヒルズというところに行きました。広告代理店や、あのアンダーズ東京がはいってるお洒落ビルです。

そしたら入り口にこのビルのキャラクターが。その名も「とらのもん」……。
ちゃんと藤子プロ(c)の公式キャラだそうです。

どうして日本の人はこうまでキャラクターが大好きなのであろうか。


別の日、愉快な広尾マダムMちゃんと『大妖怪展』へ。(@両国:江戸東京博物館)
百鬼夜行図から円山応挙の幽霊絵、浮世絵、そして妖怪ウォッチまでありとあらゆる物の怪の図が展示されてましたが、水木しげる先生の妖怪がフィーチャーされていなかったのはなんといっても片手落ち〜〜!

自然現象はもちろん、音(こだまとか)やモノまでが妖怪化していたことと、日本人のキャラクター好きはきっとつながっていると思う。


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2016/07/21

パワースポットで桃を買う



吉祥寺ハモニカ横丁。吉祥寺は癒されるパワースポット。(個人的に)
吉祥寺は10代のほとんどを過ごした町なので、故郷のようなもの。
用がなくても気づくとふらふらと行ってしまう。

今の拠点(弟Sんち)からは決して出やすくはないんだけど、買い物があると吉祥寺へ。
そしてやっぱり、買い物しやすい。完全に条件づけされている。

反対に、渋谷に行くとなんだか無駄にぐったり疲れる。


ハチ公前交差点は写真を撮る外国人観光客だらけでした。


とにかく白桃が食べられて嬉しかったです。これだけで今回の旅の目的は果たしたようなもの。
中央線沿線の方、桃を買うなら吉祥寺ですよw。
ハモニカ横丁わきの果物やさんが山梨の桃園から産直のを売ってます。ここのはほんとに安くて美味しかった!大きいのが4個で1000円とか。


東京滞在中のある日の夕飯。スーパー買い出しに行って弟ハウスで作った日。
しじみ味噌汁、鯵たたき、鮭、厚揚げ、ほくほくの山芋に青じそと梅。野菜売り場で野菜たちの美しさと安さに興奮して買いすぎる。
ミョウガもオクラもなすもピカピカだ!
山芋もシアトルで買うのより、水分が多くて食感がふんわり。そして安い。
京王ストアに毎週買い物に行きたい。


新宿ビックロにも観光客むけに「TAX FREE」の看板でてた。

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四万六千日とホウズキ猫


東京滞在の最後、めたくそ暑い日曜日に浅草寺に行きました。

浅草駅を降りると、異常な人混み。

そして激混みの雷門には、さらになにやら人だかりが。


ををを!?
仁王門でみんなの注目を浴びているのは!


ほうずき猫…!!


ぴくりともにせずに仁王門に座りつづけてました。
周囲に飼い主らしき人もなし。なんなんだ君は。


とにかく混んでました。
コスプレっぽい不思議なコーディネートで浴衣を着ている若者が多かった。



まるで初詣のような人出!


なんとこの日はたまたま、「四万六千日」のほうずき市の日だったのでした。

この日に参拝すると四万六千日参拝したのと同じ功徳があるというのです。
一体誰がそんなことを言い出したんだ?


(ブリタニカ百科事典:引用)
もとは「千日詣り」といい,本来はこの日に参詣すると 1000日参詣したのと同じ功徳が得られるとされていたが,享保年間(1716~36)頃から 4万6000日参詣したのと同じ功徳があるとされ,「四万六千日」(しまんろくせんにち)と呼ぶようになった。
(ここまで)

だそうです。享保年間に1000日から46倍のインフレが起きたらしい。


年になおすと126年分です! 江戸時代の平均寿命からしたら人生2回分か!!


そしてなぜホウズキなのか。
巨大なホウズキも売ってました。でかい。これは一枝500円。


鉢植えは、たしか2500円均一でガラスの風鈴つき。
都内に家があったらうっかり買って帰るとこでしたが、さすがにホウズキは持って帰れない。



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