2020/11/04

土曜日のミニ航海


 

選挙の開票を気にしていると胃や心臓その他身体中が痛くなりそうなので、今日は横目で結果を流し見つつ、コメディ番組を見ています。

雨だし、日曜から冬時間が始まったのでなおさら暗い、どんよりシアトル。

週末は穏やかな快晴で、CT家がセーリングボートを購入したので、その試験航海につれてっていただきました。




バイキングの像があるバラードのマリーナ。

バラードのあたりは、19世紀末〜20世紀はじめの黎明期から北欧移民の町で、ほとんどが漁業にたずさわっていた、漁民の町だったそうです。




小さなボートから、太平洋もらくらくクルーズできそうな100フィート以上のラグジュアリー大型挺までいろいろありますが、40フィートくらいのセーリングボートが多い。

ここのマリーナでは、船に住んでいる人もけっこういるそうです。



「I have a bad feeling about this」とハン・ソロのせりふを言いたげな、CT3号。

しっぽが思い切り、さがっている。


「お母さん、はやくおうちにかえりましょうよ」

クラシックでとても綺麗な船でした。



 

おだやかなピュージェット湾を、ダウンタウンの近くまで。

右にレーニア山、左にはビルが増えたダウンタウン。帆をあげずにのんびりと航行してもどってきました。



 

わたくしはいろいろと惨事を引き起こしやすい性格なので、余計なひもやロープをひっぱたり、なにか壊したり、海に落ちたりしないように精一杯気をつけつつ、よく日のあたる場所に陣取ってまったりさせていただきました。




 
「…もうそろそろおうちに帰りましょうよ?」

日没のすこし前にマリーナに戻りました。ヨットの車庫じゃないや、なんていうんだ、艇庫?への出入りは縦列駐車よりも難易度高そう、長いぶん。

子どもの頃、アーサー・ランサムの『ツバメ号とアマゾン号』シリーズを読んでヨットにあこがれたこともあったけれど、そもそも紐を結ぶのが苦手なのでさくっとあきらめました。ヨットは大事そうなロープがいっぱいあって、なぜか何かしでかしてしまうのではないかとドキドキする。紐やロープには昔から謎の苦手感があるのです。リボンむすびがすぐ縦むすびになってしまうので、猫村さんに親近感があります。

 

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2020/11/03

いよいよです。

 

いよりよ選挙の日ですねー。

今、どれだけこの国に住む人が不安を感じているか、日本に住んでいる人にはちょっと実感として理解しづらいかもしれません。

とにかくここまで政治がめちゃくちゃになったのは前代未聞なので、みんな、すこし頭が麻痺していると思うけど、それにしても、今後4年間だけでなく、たぶん今世紀前半の世界がどうなっていくかの大きなパーツが、今日の選挙の結果にかかっているといっても過言ではないと思います。


やばいのにゃ〜!

ちっともお近づきになれないご近所さん。

危機感があるのはもちろんなのだけど、何か現実と一致していないような奇妙な麻痺感もあるのですよね。

CTちゃん旦那さんの出身はミシガン州。わりと争点になっている州ですが、選挙当日、いきり立った人たちが何かするかもしれないから気をつけて、と、家族に連絡を取ったそうです。実際に選挙妨害もありそうだし。


ほんとにどうなのこの国(涙)。

今日、すごくひっさしぶりにフェイスブックをあけてみたら、タイムラインにこんな通知があった。




これ日本語で表示するって…。翻訳者入れてるのか、機械翻訳なのかな、社内担当者の訳かな、ってそこがまず気になったりするんですが、それは置いといて、「結果の発表に数日から数週間かかるのは予期されていること」と、ファクトとしてちゃんと目立つところに置いておいてくれているのは嬉しい。

トランプが開票速報だけで勝利宣言して、その後の開票を妨害するのではないか、または支持者の世論を掻き立てて、もうこれで決まったのだからこれ以降の結果はみんなフェイクだとか事故だとか言い出さないかと懸念している人がたいへん多いのです。

そんなことがないように、みんなで牽制してる感じですね。 

結果が出るまで数週間…なんてことにはならないことを祈るけど。

 

今朝、NPRの番組「Fresh Air」のポッドキャストで、『アトランティック』誌の記者Mike Giglioさんのインタビューを聞きました。

 Oath Keepersという民兵組織についてのアトランティック誌の新しい記事にもとづくインタビュー。この民兵組織は、現役の警察官や軍人を含む25,000名が加入しているそうです。

この人たちはトランプを熱く支持し、トランプの言うことをほぼ100%真に受けて、「極左の過激派のおかげでアメリカは危機にみまわれている」と本気で信じてそのために戦おうとしているのだと、Giglioさんは言ってました。

妙な具合に固まった善意。でもその動機はやっぱり、恐怖にあるのですね。

シリアの内戦を現地で取材して、その惨状を目の当たりにした(過激派に拉致されたこともある)ジャーナリストとして、内戦というのはカオスそのもので、誰もが傷つき国土が荒廃するだけだ、とGiglioさんは警告していました。

自分たちと対立する「あいつら」への恐怖と嫌悪を煽る政治家の罪は深いです。

もちろん、聞きたいことだけを聞く耳のほうにも責任があるのだけど。

アメリカの「内戦」が現実味をもって語られている、信じられない状況の11月。

まさか南北戦争みたいに国を真っ二つに分ける本格的内戦は現状では考えられないにしても、自分たちは絶対に正義を行っていると信じる勢力がいくつかの都市で小競り合いを起こすくらいのことは、充分にありえます。

銃と「あいつら」に対する恐怖は、なくても良いはずの悲劇の材料でしかないと思います。

それをみんなが一斉に手放すことができたら、世の中一瞬で変わるのにね。



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ザ・ナロウズへ [DAY4]



ロードトリップ4日目、ザイオン国立公園の3日目つづきです。

ゆっくりめのお昼を食べて昼寝もして、カフェテリアでエスプレッソも飲んで、おもむろにシャトルの終点、「The Narrows」へ。



ザイオン・ロッジから先はほそい峡谷で、両側に高い岩がそびえています。
峡谷の先へ行くほどに、どんどん近づいてくる。





シャトルの窓から、このような岩壁にロッククライマーが取り付いているのが見え、うわあああ!と大声で騒いでしまいました。

岩にのぼる人がいるのは知ってるし映画でもテレビでも見たことがあるけれど、実際に目の前にそびえる東京タワーくらいの高さがありそうな岩壁に生きた人間が登っているのを見ると、なぜだかすごく動揺します。



シャトルの終点からはじまっているRiverside Walk。峡谷の真ん中を流れる川に沿って1マイル(1.6キロ)ほどつづく、ほぼ平坦な遊歩道。



 ザイオン国立公園の中でも一二を争う人気コースなので、けっこう混雑してました。

とはいっても、コロナ禍以前のハイシーズンの混雑ぶりはこんなものではなかったそうですが。

 



川沿いの遊歩道が終わった先が、「ザ・ナロウズ」。
直訳すると「狭いとこ」ですが、ほんとに両側を切り立った岩壁にはさまれた狭い渓谷です。

整備された道はここで終わってますが、装備があれば、川の中を最大4.5マイルさかのぼって行くことができます。




必須の装備というのは、防水シューズと、ウォーキングスティック。

水のすくない季節の浅瀬とはいえ、くるぶしから膝の少し下まで浸かるので、しっかりしたゴム底で滑りにくい防水シューズがないと川歩きはむずかしい。すべりやすいので杖もあったほうが無難。

この遊歩道トレイルを歩き始めたあとで、レンタルらしい靴を履いている人がたくさんいるのを見て、はじめて、あっ、そうか、レンタルという手があったのか!と気づいたわたしたち。

宿の近くにも装備のレンタル屋さんがあったのにー!なんともうかつであった。

この先、10分くらいでもいいから、両側を渓谷にはさまれた川を歩いてみたかったんですが。


 

ちょっとくらい靴が濡れてもいいじゃん、と母はごねてみたけれど、杖も持ってないし危ないからダメです、と息子に諭された。

「ザ・ナロウズ」のハイキングガイドはこちら

ザイオンにこれから行く方は、前もってレンタル靴と杖(レンタルじゃなくてもいいけど)をご用意のうえ、シャトルのチケットも前日までにしっかり取って、ぜひ、朝はやめにザ・ナロウズを攻略してみてください。上述のガイドによると、「午後になるとまるでフラッシュモブみたいに人が湧いてくる」そうです。コロナ禍中のいまはフラッシュモブとまではいかないけれど、午後遅めのトレイル、たしかに人は多かったです。

春の雪解け後や雨のあとは鉄砲水が出るので、夏から秋にかけての晴れた日でないと歩けないそうですよ。




川の中にはは入れなかったけれど、峡谷の奥の岩たちもまた、ほかにはない、苦しいほどの迫力があって、すごかった。(実際にこの片道1マイルの道を歩くのもわたしには結構苦しかったのですけどw)



 

帰りのシャトルの待ち時間は約30分ほどでした。次々に来るのだけれど、定員が少ないので、すぐにいっぱいに。

 シャトルの中では距離が保てていても、待つ間はかなり密でした。みんなマスクはしてたけど。

公園の人たちもできる限りの措置は取ってるのがわかるけど、徹底するのは難しいですね。

 


帰りのシャトルですぐ寝る青年。

そういえば、公共交通機関を使ったのは3月にボストンからシアトルに戻って以来、この公園のシャトルバスが初めてでした。

 

 

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2020/11/01

選挙まであと2日。これが投票用紙


11月になってしまいましたね。

きのう、サンセットヒルのあたりを散歩していて見かけた素敵なおうち。何様式というのかわかりませんが、木造のポーチの控えめで素朴な装飾と、風見鶏のついた別棟の曲線をえがく小さな屋根がかわいい。





非接触トリック・オア・トリートのための「キャンディシューター」を設置しているおうちがちらほら。

皆さん、シューター使ったのかな。うちには誰も来ませんでしたが、CTちゃんちは、キャンディを外に出しておいたら全部なくなってたといってました。その方式のおうちが多かったのではないかな。 

 



選挙まで、あと2日……。月と星を見上げて祈りつつ、選挙権もないのに考えると胃が痛くなりそうなので、「た、たとえトランプが再選されてしまっても……きっと壮大な視点から見て人類にとって良い結果になる」と、わけのわからないほど気の長い観点を持ち出して気を静めようとしています。

バイデンが当選しても、コロナ禍と対立と不況が立ちはだかってるのは同じですが。

とにかく、人の悪口を好んで言う人が国のトップに立つのはよくありません。
それだけで国そのものと国民の品格がだだ下がりになったこの4年間。

さらに4年続いたら、ほんとうにディストピアSFの国になってしまうよ。



鮮やかな赤とオレンジのカラフルな実がなる木。「イチゴノキ」または「ストロベリーツリー」というそうです。食用になるというので一度もらった実を食べてみたけど、おいしくなかった。

 


うちの青年のところに来た投票用紙(バロット)。

ごぞんじのようにアメリカでは日本の「不在者投票」のように、郵送で投票用紙を送ったり、まちなかに設置された投票用の箱に投票日前に投函することができます。

ワシントン州はハワイやコロラドと同じく、完全郵送投票を取っている州なので、不在者投票の申し込みをしなくても、投票用紙が勝手に送られてきます。

投票日以前ならいつでも投函できるので、うちの青年は投票所に行ったことは一度もないそうです。

うちの近くには、図書館の前に恒久的に設置された投票用の箱があります。

(この事前投票がこの数ヶ月というものえんえんと政治の争点になっていて、トランプと共和党はできる限り郵送などによる事前投票を少なくさせたいために、事前投票には不正があり得るという根拠のない議論をしたり、事前投票の期間を短くしたり、州によっては禁止したり、テキサス州では事前投票を受け付ける箱を各郡に1個ずつという制限をして、大都市のヒューストンでさえそれまでにあった箱をひとつだけ残して全部撤去するという荒業に出ています。)

投票用紙には、連邦政府の大統領と副大統領候補、州選出の連邦議会議員だけでなく、州知事、州副知事や州務長官などの州政府のトップ、州の判事、キング郡の住民投票など、数えてみたらぜんぶで36項目ありました。

この写真は裏面ですが、項目が裏表にびっしり。

うちの青年もふだんから政治に関心がないわけではないけれど、この項目すべてにわたってよく知りつくして判断するのは相当大変で、頭をかかえていました。勉強にはなるけど、いったい何割の人が自分の選択に自信を持てるだけの充分な情報を消化しているんでしょう。



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エメラルドの池 [DAY 4]


ロードトリップ、第4日目。ザイオン国立公園の滞在3日目です。





公園内の中央部を走る、問題のシャトルバス。
コロナ禍で乗車定員を制限しているために、チケットは事前予約制。

前日の9時きっかりにオンラインで予約して、10時出発のシャトルバスのチケットを確保しました。ビジターセンターから乘るのですが駐車場が混むので、結局朝9時に到着して、車の中でまったり。

ホテルからもバスがあるのだけれど、やはり帰りは車のほうが楽です。



シャトルを途中下車して、Emerald Pools という、ファミリー向けトレイルへ。

ここも、ぜいぜいヒーヒーいいながら、ゆっくり歩きました。



春の雪解けのときには水量の多い豪快な滝になるそうですが、秋の終わりのいまごろは、これだけの滝。↓


でも爽やかな滝でした。小さな虹も見えた。




 濃い色の藻が繁殖していてエメラルドグリーンなので「エメラルド池」。

公園の中心部の人気トレイルなので、人が多くて、ひっきりなしにすれ違いました。




そういえば、10月の平日なのに、どうしてこんなに子どもがいるのだろうと思うくらい、家族連れがたくさんいました。

リモート学習だから、ホームスクーリングしながら旅行中?




メープルの紅葉がサーモンピンクの岩と青空に映えて綺麗でした。




エメラルド池のトレイルから眺める、峡谷の底の小さな草原。川が流れているので緑が濃い。

19世紀末、1909年にここがナショナル・モニュメントに指定されるまで、この川床には入植者の牧場があったそうです。

地形が面白い。

どうしてこんなに色も性質も違う種類の岩が隣り合ったり重なったりしているんだろう、と素朴に不思議に思わずにいられない。

大きくわけて7層になっているそうです。一番下の地層は海底だったときのもの。

 



ザイオン国立公園内の唯一のホテル、「ザイオン・ロッジ」。


ギフトショップ、レストラン、テイクアウトのカフェテリアもあり。



お昼にカフェテリアでチキンサラダを買って、芝生で食べました。

敷物がないので地図で代用。

青年は芝生で昼寝。わたしも睡眠時間が長いけれど、この人も驚くほど良く寝る人です。

 

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2020/10/31

ブルームーンのハロウィーン


ハロウィーンです。

シアトルは快晴の週末。


いろいろなメープルも色づき。



散歩道も豪華です。



みんな自分の家の前にガイコツを飾るのが大好き。




公園のベンチに、パンプキンさんが座っていた。



 しかもツーショットで。なんだこれ、かわいい。

 


きょうは満月です。この写真は金曜日の夕方の月ですが。

昨夜も夜半から空がきれいに晴れて、深夜には見事な満月が天頂にありました。火星も最接近は過ぎたけど、まだまだ明るく、存在感があります。

きょうの月は「ブルームーン」。

おなじ月にある2度めの満月をブルームーンというんだそうです。知らんかった。

英語で「Once in a blue moon(ブルームーンのときに)」ていうと、「めったにないこと」という意味だけど、この記事によると前回のブルームーンは2018年3月31日。それほどものすごく珍しいことでもないですね。

ブルームーンには「ひとつの季節の3番目の満月」という定義もあるんだそうです。ややこしい。

ブルームーンと明るい火星が輝くハロウィーン。
このとてつもなくいろいろあった、前代未聞の年にふさわしいというか。

3日後に近づいてきた選挙の話題になると、首を振って(そのことはもう考えたくない)という顔になる人が多いいま(わたしもそのひとり)。

11月が、そしてそのあとも!できる限り、平和で、多くの人が心穏やかに過ごせる日々が来るように、来年がもっと穏やかな対話と理解が始まる年になるように、満月を見て祈ることにします。



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