2020/11/03

ザ・ナロウズへ [DAY4]



ロードトリップ4日目、ザイオン国立公園の3日目つづきです。

ゆっくりめのお昼を食べて昼寝もして、カフェテリアでエスプレッソも飲んで、おもむろにシャトルの終点、「The Narrows」へ。



ザイオン・ロッジから先はほそい峡谷で、両側に高い岩がそびえています。
峡谷の先へ行くほどに、どんどん近づいてくる。





シャトルの窓から、このような岩壁にロッククライマーが取り付いているのが見え、うわあああ!と大声で騒いでしまいました。

岩にのぼる人がいるのは知ってるし映画でもテレビでも見たことがあるけれど、実際に目の前にそびえる東京タワーくらいの高さがありそうな岩壁に生きた人間が登っているのを見ると、なぜだかすごく動揺します。



シャトルの終点からはじまっているRiverside Walk。峡谷の真ん中を流れる川に沿って1マイル(1.6キロ)ほどつづく、ほぼ平坦な遊歩道。



 ザイオン国立公園の中でも一二を争う人気コースなので、けっこう混雑してました。

とはいっても、コロナ禍以前のハイシーズンの混雑ぶりはこんなものではなかったそうですが。

 



川沿いの遊歩道が終わった先が、「ザ・ナロウズ」。
直訳すると「狭いとこ」ですが、ほんとに両側を切り立った岩壁にはさまれた狭い渓谷です。

整備された道はここで終わってますが、装備があれば、川の中を最大4.5マイルさかのぼって行くことができます。




必須の装備というのは、防水シューズと、ウォーキングスティック。

水のすくない季節の浅瀬とはいえ、くるぶしから膝の少し下まで浸かるので、しっかりしたゴム底で滑りにくい防水シューズがないと川歩きはむずかしい。すべりやすいので杖もあったほうが無難。

この遊歩道トレイルを歩き始めたあとで、レンタルらしい靴を履いている人がたくさんいるのを見て、はじめて、あっ、そうか、レンタルという手があったのか!と気づいたわたしたち。

宿の近くにも装備のレンタル屋さんがあったのにー!なんともうかつであった。

この先、10分くらいでもいいから、両側を渓谷にはさまれた川を歩いてみたかったんですが。


 

ちょっとくらい靴が濡れてもいいじゃん、と母はごねてみたけれど、杖も持ってないし危ないからダメです、と息子に諭された。

「ザ・ナロウズ」のハイキングガイドはこちら

ザイオンにこれから行く方は、前もってレンタル靴と杖(レンタルじゃなくてもいいけど)をご用意のうえ、シャトルのチケットも前日までにしっかり取って、ぜひ、朝はやめにザ・ナロウズを攻略してみてください。上述のガイドによると、「午後になるとまるでフラッシュモブみたいに人が湧いてくる」そうです。コロナ禍中のいまはフラッシュモブとまではいかないけれど、午後遅めのトレイル、たしかに人は多かったです。

春の雪解け後や雨のあとは鉄砲水が出るので、夏から秋にかけての晴れた日でないと歩けないそうですよ。




川の中にはは入れなかったけれど、峡谷の奥の岩たちもまた、ほかにはない、苦しいほどの迫力があって、すごかった。(実際にこの片道1マイルの道を歩くのもわたしには結構苦しかったのですけどw)



 

帰りのシャトルの待ち時間は約30分ほどでした。次々に来るのだけれど、定員が少ないので、すぐにいっぱいに。

 シャトルの中では距離が保てていても、待つ間はかなり密でした。みんなマスクはしてたけど。

公園の人たちもできる限りの措置は取ってるのがわかるけど、徹底するのは難しいですね。

 


帰りのシャトルですぐ寝る青年。

そういえば、公共交通機関を使ったのは3月にボストンからシアトルに戻って以来、この公園のシャトルバスが初めてでした。

 

 

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2020/11/01

選挙まであと2日。これが投票用紙


11月になってしまいましたね。

きのう、サンセットヒルのあたりを散歩していて見かけた素敵なおうち。何様式というのかわかりませんが、木造のポーチの控えめで素朴な装飾と、風見鶏のついた別棟の曲線をえがく小さな屋根がかわいい。





非接触トリック・オア・トリートのための「キャンディシューター」を設置しているおうちがちらほら。

皆さん、シューター使ったのかな。うちには誰も来ませんでしたが、CTちゃんちは、キャンディを外に出しておいたら全部なくなってたといってました。その方式のおうちが多かったのではないかな。 

 



選挙まで、あと2日……。月と星を見上げて祈りつつ、選挙権もないのに考えると胃が痛くなりそうなので、「た、たとえトランプが再選されてしまっても……きっと壮大な視点から見て人類にとって良い結果になる」と、わけのわからないほど気の長い観点を持ち出して気を静めようとしています。

バイデンが当選しても、コロナ禍と対立と不況が立ちはだかってるのは同じですが。

とにかく、人の悪口を好んで言う人が国のトップに立つのはよくありません。
それだけで国そのものと国民の品格がだだ下がりになったこの4年間。

さらに4年続いたら、ほんとうにディストピアSFの国になってしまうよ。



鮮やかな赤とオレンジのカラフルな実がなる木。「イチゴノキ」または「ストロベリーツリー」というそうです。食用になるというので一度もらった実を食べてみたけど、おいしくなかった。

 


うちの青年のところに来た投票用紙(バロット)。

ごぞんじのようにアメリカでは日本の「不在者投票」のように、郵送で投票用紙を送ったり、まちなかに設置された投票用の箱に投票日前に投函することができます。

ワシントン州はハワイやコロラドと同じく、完全郵送投票を取っている州なので、不在者投票の申し込みをしなくても、投票用紙が勝手に送られてきます。

投票日以前ならいつでも投函できるので、うちの青年は投票所に行ったことは一度もないそうです。

うちの近くには、図書館の前に恒久的に設置された投票用の箱があります。

(この事前投票がこの数ヶ月というものえんえんと政治の争点になっていて、トランプと共和党はできる限り郵送などによる事前投票を少なくさせたいために、事前投票には不正があり得るという根拠のない議論をしたり、事前投票の期間を短くしたり、州によっては禁止したり、テキサス州では事前投票を受け付ける箱を各郡に1個ずつという制限をして、大都市のヒューストンでさえそれまでにあった箱をひとつだけ残して全部撤去するという荒業に出ています。)

投票用紙には、連邦政府の大統領と副大統領候補、州選出の連邦議会議員だけでなく、州知事、州副知事や州務長官などの州政府のトップ、州の判事、キング郡の住民投票など、数えてみたらぜんぶで36項目ありました。

この写真は裏面ですが、項目が裏表にびっしり。

うちの青年もふだんから政治に関心がないわけではないけれど、この項目すべてにわたってよく知りつくして判断するのは相当大変で、頭をかかえていました。勉強にはなるけど、いったい何割の人が自分の選択に自信を持てるだけの充分な情報を消化しているんでしょう。



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エメラルドの池 [DAY 4]


ロードトリップ、第4日目。ザイオン国立公園の滞在3日目です。





公園内の中央部を走る、問題のシャトルバス。
コロナ禍で乗車定員を制限しているために、チケットは事前予約制。

前日の9時きっかりにオンラインで予約して、10時出発のシャトルバスのチケットを確保しました。ビジターセンターから乘るのですが駐車場が混むので、結局朝9時に到着して、車の中でまったり。

ホテルからもバスがあるのだけれど、やはり帰りは車のほうが楽です。



シャトルを途中下車して、Emerald Pools という、ファミリー向けトレイルへ。

ここも、ぜいぜいヒーヒーいいながら、ゆっくり歩きました。



春の雪解けのときには水量の多い豪快な滝になるそうですが、秋の終わりのいまごろは、これだけの滝。↓


でも爽やかな滝でした。小さな虹も見えた。




 濃い色の藻が繁殖していてエメラルドグリーンなので「エメラルド池」。

公園の中心部の人気トレイルなので、人が多くて、ひっきりなしにすれ違いました。




そういえば、10月の平日なのに、どうしてこんなに子どもがいるのだろうと思うくらい、家族連れがたくさんいました。

リモート学習だから、ホームスクーリングしながら旅行中?




メープルの紅葉がサーモンピンクの岩と青空に映えて綺麗でした。




エメラルド池のトレイルから眺める、峡谷の底の小さな草原。川が流れているので緑が濃い。

19世紀末、1909年にここがナショナル・モニュメントに指定されるまで、この川床には入植者の牧場があったそうです。

地形が面白い。

どうしてこんなに色も性質も違う種類の岩が隣り合ったり重なったりしているんだろう、と素朴に不思議に思わずにいられない。

大きくわけて7層になっているそうです。一番下の地層は海底だったときのもの。

 



ザイオン国立公園内の唯一のホテル、「ザイオン・ロッジ」。


ギフトショップ、レストラン、テイクアウトのカフェテリアもあり。



お昼にカフェテリアでチキンサラダを買って、芝生で食べました。

敷物がないので地図で代用。

青年は芝生で昼寝。わたしも睡眠時間が長いけれど、この人も驚くほど良く寝る人です。

 

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2020/10/31

ブルームーンのハロウィーン


ハロウィーンです。

シアトルは快晴の週末。


いろいろなメープルも色づき。



散歩道も豪華です。



みんな自分の家の前にガイコツを飾るのが大好き。




公園のベンチに、パンプキンさんが座っていた。



 しかもツーショットで。なんだこれ、かわいい。

 


きょうは満月です。この写真は金曜日の夕方の月ですが。

昨夜も夜半から空がきれいに晴れて、深夜には見事な満月が天頂にありました。火星も最接近は過ぎたけど、まだまだ明るく、存在感があります。

きょうの月は「ブルームーン」。

おなじ月にある2度めの満月をブルームーンというんだそうです。知らんかった。

英語で「Once in a blue moon(ブルームーンのときに)」ていうと、「めったにないこと」という意味だけど、この記事によると前回のブルームーンは2018年3月31日。それほどものすごく珍しいことでもないですね。

ブルームーンには「ひとつの季節の3番目の満月」という定義もあるんだそうです。ややこしい。

ブルームーンと明るい火星が輝くハロウィーン。
このとてつもなくいろいろあった、前代未聞の年にふさわしいというか。

3日後に近づいてきた選挙の話題になると、首を振って(そのことはもう考えたくない)という顔になる人が多いいま(わたしもそのひとり)。

11月が、そしてそのあとも!できる限り、平和で、多くの人が心穏やかに過ごせる日々が来るように、来年がもっと穏やかな対話と理解が始まる年になるように、満月を見て祈ることにします。



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2020/10/30

コロブ峡谷のねずの森 [DAY 3]

 

ロードトリップ、第3日目。ZION(ザイオン)国立公園の入り口のすぐ近くに滞在。

ザイオン国立公園の中心部には一般車は乗り入れできず、シャトルバスが運行されています。
コロナ禍で3月以来停止していたシャトルバスは7月から再開されましたが、以前のように公園内でいつでも無料で自由に乗り降りできるのではなく、前日までにチケットをオンラインで獲得しないと乗車できないシステムに変更されました。

チケットは(無料だけれどオンライン手数料が1枚につき1ドル)、1か月前と前日の朝9時からオンラインで予約開始。割とあっという間になくなります。

シャトルは、きっと以前はぎゅうぎゅうに人が乗っていたのだろうけれど、現在は座席数よりも少ない定員で運行しているためです。

でも午後3時以降は予約なしでも現地でチケットが入手できます(数に限りあり)。

前日にシャトルバスのチケットを買うのをすっかり忘れていたので、ザイオン滞在2日目は中心部ではなくて、 公園の中心部から車で40分くらいのKOLOB Canyons(コロブ峡谷)に行きました。



途中の道も、『ウエストワールド』か『スター・ウォーズ』にでてきたどこかの惑星みたいな景色。


 

 そして近づいてくる赤い岩群。

わたしとおなじくらい頭がメルヘンなうちの青年は、運転しながら「……岩を感じる……」とつぶやいていました。 

 

 


 

岩を感じる青年。

 


ここでも、わたしの体力が120歳なみなので、「EASY STROLL」(かんたんなお散歩コース)だと紹介されていた「TIMBER CREEK OVERLOOK TRAIL」という半マイルのコースだけを歩きました。






超快晴で、暑くもなく寒くもなく、人も少なくはないけれど公園の中心部ほどは多くなく、ジュニパー(西洋杜松)の木がたくさん生えていて、川が流れる峡谷が見下ろせる素敵なトレイルだったのですが、もうなにしろ息が切れて、このお散歩コースも歩きとおすのが大変でした。




元気なときにはまったく当たり前に思っていた「ふつう」の体力が、どれほど恵まれたことだったか、しみじみ実感。わたしはまったくもってアスリートではないけれど、ちょっとした山道くらいはさくさく登れるのが当然だと思ってた。

体育会系のうちの青年が根気よくつきあってくれるのがありがたいです。


「わたしはここで寝てるからちょっと下まで往復してきたら?」と言ってみましたが、相手にされませんでした。




ジンの原材料になる、ジュニパーの木。実がたくさんついていた。
熟すとブルーベリーのような色になるようです。抗酸化作用や抗菌作用もある、ツンとするすがすがしい香りの実。葉も摘むと同じ香りがします。

布マスクのなかに実をひとつ、ちょっと潰して入れてみると、ずっと良い匂いがしてました。

人気のトレイルなので絶えず人とすれ違ったり追い越されたりするから、マスクは着用したまま。ほかのハイカーも子どもたちも、ほとんどがマスクをつけてました。

終点の、峡谷と向かいの岩山を眺められるジュニパーの木陰を占拠して、すこし昼寝。このうえなく気持ちのよい、幸せな昼寝でありました。




語りかける岩。


 

午後3時頃、ザイオン国立公園のビジターセンター付近に行ってみたら、シャトルのチケットがあるというので、ザイオン・ロッジというロッジのあるあたりまで乗って行って、少しだけ歩いてみました。


 

もらったチケット。シャトルはもともと、公園内の渋滞を軽減するために20年くらいまえに導入された措置なので、乗車料金は国立公園の入園料に含まれています。

 

 


夕刻、刻々と色が変わる岩。

ザイオンには4泊したのでのんびり見て回れたけれど、景色の壮大さはとても消化しきれず。

疲れているはずなのに、興奮しすぎていたのか、連日あまり眠れませんでした。

夜は夜で星空がものすごく、ちょうどオリオン座流星群の最盛期でもあって、流れ星やら三日月やら火星やら天の川やら星雲やら、もうそれはそれは豪華な空でした。

 

 

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2020/10/29

ザイオンの入り口へ [DAY2]


ロードトリップの第2日目。

アスペンの森から、ザイオン国立公園へ。

ちょうど、日没の時間に到着しました。



東側のエントランスから入っていくと、いきなり道の両側にこんな岩たちがあらわれて、もうひたすら呆然。なんなんだこの世界。




自分の目が見ているものが信じられないような、壮大すぎる景色が続いて頭がパンク状態でした。

東側から中心部に抜ける長いトンネルがあって、その手前にある見晴台へのCanyon Overlookという半マイルくらいのトレイルを歩いてみました。


しかし、この半マイル(約800メートル)くらいのちょっとした登り坂のトレイルが、ものすごく辛かった。標高が高いせいもあったのかもしれないけれど、自分の体力がめちゃめちゃ落ちてるのにあらためてびっくり。10歩くらい歩くごとに死ぬほど息が切れました。

健康なときならさくさく10分か15分くらいで歩いたはずのトレイルに30分以上はかかったと思います。

Overlook(見晴台)についたときにはもう日がとっぷり暮れるところでした。




トンネルのさきのくねくね道をおりていく車たち。


 

夕日には間に合わなかったけれど、おかげで、シルエットになった稜線の上に三日月がのぼってくるのが見られました。

帰りは真っ暗で、懐中時計のかわりにスマートフォンを2台持って足元を照らしながらの下り。


こんな道です。

たくさん人のいる、幹線道路のすぐ脇のトレイルだったので危険はなかったのですが。
スマートフォンは山の中でもいろいろ必須です。


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