2014/08/20

帆雨亭の眺めのよい窓


尾道3時間散歩の最後。

じっとりと暑い午後で、小一時間も歩き回ると汗だくに。


すてきなヤツデとノウゼンカズラの間の小径を昇ると、志賀直哉の旧居がありました。
文学館になっていていろいろ展示があるらしいけど、あまり時間がなかったので外観だけ拝見。

きれいな板塀です。


さらに小径の先にはこんな看板が!
志賀直哉旧居はパスしてもこれにはたぐり寄せられる。

そしたらこのお茶屋さんの中にも志賀直哉の初版本や原稿が飾ってあった。



帆雨亭という、静かなお茶やさん。

ふつうの民家を改造したと思われるお座敷にちゃぶ台が3つばかり並べてあって尾道の屋根が見晴らせる。



とりあえずお水を立て続けに2杯ばかり頂いてから、冷たい抹茶をいただきました。
お店の上品な婦人が旧式の扇風機をつけてくださった。

お客はわたし一人きり。なんて豪華な。

この家もやっぱり少し傾いていて窓からは蔦がひたひたと侵入してきていたりするのですが、ネットもなく音楽もなくこんなに静かな空間でお茶を頂いたのはどれだけ久しぶりか。




初版本がたくさん並んでいたというのに志賀直哉先生にまったく興味がなくて申し訳ない。中学1年生のときになぜか『清兵衛とひょうたん』 という短編を国語の授業で読んだきり、あまり読みたいと思う機会に恵まれなかったので暗夜行路とかもまったく読んでません。ごめんなさい。でもお茶はおいしかったです。

清兵衛とひょうたんも中学1年には全然ピンと来なかった。ひょうたん磨いてなにが面白いのかさっぱり共感できず。

文学に対するアナロジーなんだそうなんですけど、引き込まれるものがなかった。おなじころに授業で読んだ芥川龍之介の作品なんかはもうもう言葉の印象が強烈で、うわーと思ったけれど。そういえば林芙美子の作品も断片的に読まされた気がする。林芙美子も淡々とした中にすごみがあって、なんだか怖くて強烈だった。
今考えると、12〜13歳の子どもたちに渋いものを読ませる先生だった。

 

あとはどんどんと駅の方へ。

今回の日本滞在ではカメラをないがしろにしていたのですが、この尾道でだけは久しぶりにちゃんと写真を撮りたくなった。




尾道は海に面しているせいか、あちこち完璧に錆びている。赤錆がとてもきれい。




まとめると、傾いて錆びた坂と猫の町。

またいつか再訪したい。ちゃんと志賀直哉も読んでおこう。


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2014/08/18

傾いた風景


尾道は坂の町。

ロープウェイを降りて地図をみると、丘の上から駅まで「古寺めぐり」というルートになっているらしかったので、その通りに歩いてみる。



丘の中腹の人家やお寺の間をうねうねと通る、猫道のような石畳の道。



見たことがないはずなのに懐かしい風景ばかり。


坂の途中に建っている、綺麗な三重塔。


「1388年(室町時代)建立、重要文化財。火気厳禁。」

と書いてある立て札がありましたが、境内は無人。火気厳禁を執行するのは各自でお願いします、ということらしく、なんて無防備な。


あめ色になった木材がまことに重厚な建物です。末永くご無事を祈る。


この坂道の角度や建物の複雑なこと。


「古寺巡り」の道は、お寺だけではなくて(本当にどうしてこんなに狭い場所にこんなにたくさんのお寺がひしめき合ってるんだろうか)、民家の軒先やお墓も通っていきます。


おはか。墓石もかなり混み合っていました。賑やかなお墓ですね。
ちりとりにも存在感が。 


素敵な板塀とすだれのある、かなり手入れの良いおうちです。


でもなんとなく町全体が傾いている感じが、とてもする。



なんだかとても複雑な地形に建っている複雑な仕組みの家々。この上の写真の中央に小さく見えてるのは昔の共同井戸で、つるべと木の桶が保存されてます。



傾いているんだけど、とにかくどのパーツをとっても、電線も板塀も塀からはみだした草木も、坂道を昇って来るおばあさんも、なんともいえない存在感がある、やっぱり不思議な町です。

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2014/08/16

不思議な猫の町の犬の丘 



尾道は猫の町なのらしい。

3時間くらいの急ぎ足の散歩中に出会った路上ねこは、この人だけでしたが。
暑い午後だったからか。


住んでる人が猫好きそうな雰囲気があちこちに漂っている。


なぜか「猫がいます。」と宣言している家が数軒。
泥棒や押し売り防止のために「犬に注意!」て看板を出してる家はどこにでもよくありますが、この猫います宣言は一体なんのため?
猫がいると住民税が減税になるとか何かあるのか。魔除けか。




とりあえず商店街を抜けてロープウェイで丘の上のお寺へ。『トトロ』にでてきそうな、見事なクスノキの上を越していきます。このクスノキは「うしとら神社」という非常に古い神社の境内にあるもの。巨石が祀ってあるという神社です。
そんな神社をまたぎ越してしまって良いんでしょうか。
遠くから(上から)見ただけでしたが、小さいながらただならぬ雰囲気の古社でした。


狭い斜面地に、お寺と神社がみっしり並んでいる町。
のどかな魚の町に、なぜこんなにもお寺が集中しているのか。




のどかなわりには、謎が多い町。


頂上の公園でロープウェイを降りると、こんな歓迎団がお出迎えしてくださった。


食べものもしくは飲みものを手にしている人を非常に熱心に見守る、歓迎団。

オミヤゲ屋さんによると、この公園に最近住みついた家族らしい。


いちおう、野犬。でもこんなサイズなので全然迫力はない。
 

東京圏ならすぐに「駆除」されちゃうだろうなあ。のどかな町で、よかったね。


頂上からはお寺のわきを通ってずんずん下ります。下りの道は「文学のこみち」と名づけられて尾道にゆかりのある石碑がたくさん並んでました。子規の句碑もあった。

のどかさや 小山つづきに塔ふたつ

やっぱりどこから見てものどかな土地。


屋根に草が生えちゃってる家、メンテナンスがおいつかないであちこち傾いた家や、本当に崩れてる家もちらほらと。

風情はあるけど危なくないのだろうか、と、ひとごとながら心配になってしまう。
地震がある土地だったら間違いなく無理そうな家が、崖の上にちょこんと傾いて載っている。


のどかなんだけれど、どこか人を不安にさせるミステリアスな町です。

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2014/08/14

風琴と魚の町


バスで瀬戸内海をわたって、いつのまにか尾道の町なかについてました。
窓の外に見える町の風景にのっけからひとりで興奮。うわー。坂道が。うわー、瓦屋根が。うわー、おばあさんが。素敵すぐる。

駅について荷物をロッカーにいれて、新幹線の時間まで約4時間弱。よし、歩く準備万端。

「ここはええところじゃ、駅へ降りた時から、気持ちが、ほんまによかった。ここは何ちゅうてな?」
「尾の道よ、言うてみい」
「おのみち、か?」
「海も山も近い、ええところじゃ」 (『風琴と魚の町』、林芙美子)


なにも前知識を仕入れていなかったので、とりあえず駅前の「リトルマーメイド」でパンを買って食べながら、海沿いをてくてく商店街方面へ。 


商店街の入り口に、いきなり林芙美子記念館がありました。


入館無料。ここは林芙美子が高校に上がるまで1年ほど住んだ家だということです。
1階も2階も一間きりの、ごく狭い家。



この2階、はしごのような階段で上がれることは上がれるのだけど、土台が歪んでるっぽくて「壁に手をつかないでください」なんて注意書きがあって、はなはだ心もとない。

後で歩いた坂道の上にも、いまにも崩れそうな家々がたくさんありました。




商店街出口にある芙美子像。うしろにでかでかと「金券」だの派手に破けたままの看板だのがあるところが、いかにも似つかわしい。



商店街は七夕でした。

昭和のどこかで時が止まったかのような、うすら寂しくて活気のあまりない、懐かしい商店街ではあるのだけれど、ところどころに目をひくオシャレな店がある。


たとえば「パン屋航路」という新しそうなベーカリー。東京の真ん中にありそうな清潔でさっぱりした店。

しまった、リトルマーメイドでパンを買ってしまった、と思いながらもここでもソーセージパンを買う。




それから、30代くらいのキュートな奥さんがお店をきりもりしていた焙煎コーヒー豆の店。
アイスコーヒーをここで買いました。


このほかにも、カフェやベーカリーがいくつか。


そうして、看板の出ていた「あなごのねどこ」というゲストハウス。
わー面白そう、と思ったけどこの日は時間がなく、帰ってから調べてみると「尾道空き家再生プロジェクトの再生物件のひとつです」とのこと。ドミトリー式で宿泊料金3000円、だそうです。
次回ここ!

尾道もやっぱり高齢化が進んでいて、空き家が多くなっているらしい。
商店街も歯のぬけたようにシャッターがしまっているお店も。

尾道が好きな若い人が外からやってきて地域を活性化しようとしてる。


難しそうだけど、がんばれ尾道ー。

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2014/08/13

しまなみ海道とピュージェット湾



道後温泉で美女二人に別れて、瀬戸内海をわたって尾道へ行きました。


今治までは海沿いの電車。


今治駅には実物大(?)のバリィさんがいた。わたしはこの人の存在も松山に行くまで知らなくて、M嬢と土産物屋のおばさんに呆れられてしまいました。

いまや全国区で大活躍中のゆるキャラ☆キング。人気のゆるキャラってみんなシンプルな顔してますね。


瀬戸内海をわたる「しまなみ海道」をJRバスを乗り継いで尾道へ。

瀬戸内海をちゃんと見たのは今回がほぼ初めてなのですが、瀬戸内海ってきっとシアトルのあるピュージェット湾に絶対似てるはず、と前から思ってたのです。

だって内海で島がてんてんとある地形がそっくり。やっぱり風景は似てました。


みかんの木がたくさんあるのと、きれいな瓦葺き屋根の家々を別にすれば。

バスの乗客はみんな地元のおばちゃんばかりでした。



バス乗り場で買った、中国地方限定版ジョージア「ぶち」。「甘味しっかり、ぶちウマ!」砂糖の含有量が多いらしい。






ここでバス乗り換え。このあたりの島に伊東豊雄の美術館があるのですが、この日は月曜で休館。
直島にも一度行ってみたいし、瀬戸内、そのうちゆっくり再訪してみたいです。

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