バラード・ロックスというのは運河につながる水門で、バラードいちの観光名所です。
ここは家から車で10分とかそのくらいの近所ですが、行くのは3回め。
入り口に「自転車禁止」「スケボー禁止」に並んで、 「
ここは連邦政府管理施設なので薬物禁止ゾーンです」のでっかい断り書きが出てました。
麻薬はどこだって禁止だろうとつっこみたくなりますが、今年からワシントン州ではマリファナが解禁になったので、わざわざこんな看板を立てたのではないかと推測。
州の条例でだって、公共の場でマリファナ吸ったら罰金のはずなんですが。
連邦では完全に「麻薬」扱いだけど州では合法のマリファナを巡っての州と連邦の微妙な関係は、今後もいろんなところで目にしそうです。
さてバラード・ロックス。
左側がピュージェット湾。真ん中の微妙な形の湖がユニオン湖。右側がワシントン湖です。
シアトルはピュージェット湾に面した左側の下のほう、湾の奥のフェリー路線が集まってる喉の奥みたいな形のところ。
18世紀、白人が町を作り始めた時にはまだこのユニオン湖はどこにもつながってなくて、ワシントン湖から船で海に出ることはできませんでした。
この地形を見たら、そりゃ運河を作りたくなるのはわかりますよね。
「Historylink」などによると、最初の入植者のひとり、トーマス・マーサーさんが1854年の入植村のピクニックで湖に、いずれワシントン湖とピュージェット湾をつなげることになるからという希望をこめて、「ユニオン湖」の名前をつけたんだそうです。
でも実際にそのビジョンが実現して、運河と水門が完成したのは80年後。
19世紀末には当時の知事が、ダウンタウンより南側に運河を掘る計画に着手したこともあったそうです。政治的かけひきによって、ちょっと掘り進めたくらいのところで中断したらしい。
バラード・ロックスの正式名称はHiram M. Chittenden Locks。 チッテンデンさんというのは陸軍工兵隊の偉い人で、退職後に連邦議会にはたらきかけて予算を取ってきた功績を讃えられて、水門に名前が残ったそう。イエローストーン国立公園の道路や門の建設も担当、あの北門のアイデアを出したのもこの人だったそうです。
完成は1917年でした。
大正6年。当時のロマンチックな意匠がところどころに見られます。
建物も趣きがあります。
よく手入れされた広い芝生広場や庭園も。小さい子ども連れの家族には、たくさん見るものがあるし、走り回る空間もごろごろできる芝生もあって、なかなか素敵なアトラクションだと思います。
現在でも、合衆国陸軍工兵隊 (U.S. Army Corps of Engineers)の管轄です。だから麻薬フリーゾーン。
工兵隊のロゴはお城マークで可愛いです。
この日はまずまずの天気の週末だったのでこんな大小のボートたちが水門の開くのを待ってました。まだ数は少ないです。
上りと下りの水門が1つずつあります。
こちらはピュージェット湾(海水側)からワシントン湖方面へ行く船たち。
こちらは海の方へ出て行く船たち。こっちの水門は湖行きより狭い。
ヴィンテージの素敵なボートにワカモノたちがたくさん乗ってました。ベインブリッジって書いてあるので、湖で遊んでピュージェット湾の反対側のベインブリッジ島に帰るんでしょうか。
湖は海より20フィートから22フィート(6メートルから6.7メートル)水位が高い。この水位を保つのもこの水門の役割。
建設当時の写真はこちら。
水門の中でだんだん水位が下がっていくのを辛抱強く待つ人びと。
週末だからプレジャーボートばっかりでしたが、運河の奥には漁船の大きな港もあるので、ここはけっこう往来が激しいのです。
この木造の水門も大正時代のかな。
船を眺めながら運河をわたって反対側へ。
海側から湖に水を戻すスピルウェイダム。
鉄橋は鉄道用です。貨物列車が通ってました。
大きな船を通すために、バラードやフレモントの橋同様、跳ね橋になってます。
対岸のマグノリアから見た水門。
運河にむかって段々になってるこの草地は、ごろごろ転がって下りるために作られたかのような構造。まんなか辺に写っている赤い物体は、通りかかった高校生のグループの中から突然ごろごろし始めた男子1名。コンクリの歩道に頭をごっつんするかと思って見守っていましたが、それほどのスピードは出ず、途中で止まってました。
このすぐ左手に
アオサギ団地があります。
右手には鮭が必死に上ってくる姿が見られるフィッシュラダーの観覧エリアがあるんですが、まだサーモンたちの季節は始まったばかり。鮭の往来はまだちらほら程度だったので、また今度。
Sockeye (紅鮭)の上りはピークが6月半ばから7月末くらいまで。その期間は州のFish and Wildlife 局の人が
毎日数を数えてアップデートしてます。
アザラシくん?がいた。
数年前から、カリフォルニアあしかのオスがここでせっかく上ってきた(数が少なく、絶滅が危惧されている)サーモンを食い荒らして しまうので駆除されたり脅して追い払われたりされているそうです。
あしか用爆弾(脅かすためのもの)についての記事はこちら。
ううむ。あしかもあざらしも、お食事に来ただけなのに。もともと鮭が減ってしまったのは人間に責任があるのに、あしかにとっては苛立たしいことでしょう。
また今度、鮭たちを見に行きたいと思います。
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