ルイジアナではぜひとも沼地を見たかった。
ので、「Swamp Tour(沼ツアー)」 に参加しました。
ニューオーリンズから車で40分くらいのところで開催されている、沼地帯をめぐるボートのツアー。
参加料金は1名25ドル。
平底の乗り合いボートでミルクチョコレート色の静かな川を上っていきながら、どこかのゲリラ兵みたいな格好のボートのキャプテンが植物や動物のことなど説明してくれます。
ちょっと『地獄の黙示録』に出て来たベトナムの川を思い出した。川の色も、そしてボートも、あれによく似てる。
メキシコ湾に面したこの一帯にある湿地の川は「Bayou(バイユー)」と呼ばれる。
水路が、もつれたレース編みのような、複雑な形にひろがっている湿地帯。
沼地に生えているこの木は「Cypress(サイプラス)」 だとボートのキャプテンは言っていた。
同じ「サイプラス」でもゴッホが絵に描いた糸杉/cypressとは違う種類。
「Bald Cypress」という落葉樹で、米国南部の沼地にだけ自生する大木なのだそうです。
ルイジアナ州の州の樹木でもある。
検索してみたら、日本語名もあった。沼杉(ヌマスギ)または落羽松(ラクウショウ)という、風雅な名前。
新宿御苑にもあるんだって!
腐りにくいのでボートや橋などの建材として使われるそうです。なるほど。沼のネイティブだもんね。
水の上ににょきにょきと突き出しているのは、「サイプラス・ニー(cypress knee)」たち。
根から垂直に伸びてくる、根のオマケ的部分です。
日本語では「気根」とされてますが、実際は酸素を取り込む役には立っていないらしく、何の役に立っているのか不明なのらしい。
サイプラスの枝に、アオサギがいた。
「落羽松」という名前は、秋に色づいた葉が鳥の羽根のようにはらはらと落ちてくるところからついたそうです。紅葉を見てみたい!!
1月初めのこの頃、落羽松はみんな丸裸で、スパニッシュ・モスだけが山姥の髪のように枝から垂れ下がる、不気味な光景でした。
来る季節を間違ったことに気づいたのは、ツアーが始まって5分後くらい。
岸べにも水の中にも、生きているものの気配がまるでない。どこもかしこも、丸裸。
キャプテンがおもむろに顔のマスクを引き上げてボートのスピードをあげると、川の上をびゅんびゅん来る風が、寒いのなんの。
一体どうして私はわざわざおカネを払ってこんな目に遭いに来たんだろう。
と、ボートに乗り合わせたのんきな観光客の全員がそうおもったに違いない。
ワニがいつもたむろしている場所をあちこち試してみてくれたのだけれど、ワニのかけらも発見できませんでした。
そうだ、ワニって、温度が低いと動かなくなるんだったね…………。
水路の上に家を建てて住んでいる人々がいる。
この家々へのアクセスは、船のみ。
海老漁のボートを持っている人もいて、サテライトテレビがあったり、案外に暮らし向きは悪くないんだよとキャプテンは言っていた。しかし相当に偏屈な人が揃ってそうなのは、家の外見からもありありとわかる。
ハリケーン・カタリナの時にメキシコ湾から川上へ流されてきた船が、まだそのままになっている。
このほかにもいくつも流された船の残骸があった。
自治体もこんな奥まったところに流されて来たボートを引き上げる余裕はなく、メモリアル的な存在になっているとのこと。
いきもの発見!
ひっくり返った船のわきに、大きなヌートリアがいました。大きさは猫くらい。
これとアオサギと沼地猫だけが、今回目撃できたワイルドライフのすべて。
逞しそうな沼地猫。
船のキャプテンは、「5月くらいになったらまた来なよ。ワニが出て来るからね」と言っていた。
…最初に言ってよ……。言われてたらこなかったけどな。
ツアーの後で、船長さんたちが飼っているちっちゃいワニ君たちを触らせてくれた。
沼地猫たちよりもフレンドリーなわに君だった。
沼地ツアーに参加するなら、5月から10月くらいの間が良いようです。
リベンジ必ず!