2013/03/26

バーボン・ストリート



有名なバーボン・ストリートは、くさかった。


とにかく盛り場ですから、まっ昼間でも発酵したニオイがそこここに漂う。

昼間から出来上がっている人多数。

頭がパーティに行ってる人多数。



狭い道を馬が横切り、トラックが通る。


未成年同伴だと夜の部はありませんから、ちょと残念。


 ミント・ジュレップはバーボンに砂糖とミントを混ぜた南部の飲みもの。
フロリダの話に出てきて、おいしそうだったから一度バーで注文してみて、うぇっとなったことが。
死にそうに蒸し暑いときに飲むと、おいしいのかも。

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2013/03/25

アメリカに都市は3つしかない



" America has only three cities: New York, San Francisco, and New Orleans. Everywhere else is Cleveland."

「アメリカに都市は3つしかない。ニューヨーク、サンフランシスコ、ニューオーリンズだ。そのほかの場所は皆クリーブランドだ


テネシー・ウィリアムズの言ったというこの言葉(出典は不明)、ニューオーリンズの土産物店で何度も見た。
半世紀以上昔の出典不明な言葉であっても、「NOLA」と自称するニューオーリンズ人たちのプライドを今もくすぐっていることは間違いなし。



この言葉のいわんとすることは、わかる気がする。

都市を都市にしているのがカオスのような国際性と息のつけないせわしなさ、容赦のなさだとすれば。(その当時ロサンジェルスはまだ都市ではなかったのだろうし)


数日前に滞在したアトランタと比べて、同じ南部の都市でもニューオーリンズは全く毛色が違いました。

カタリナ災害の影響がまだ濃いのもあるのだろうけれど、全体に景気の悪い感がじっとりと漂っている。

フレンチクォーターは観光地だから、のほほんとした観光客から少しでも小銭をむしり取ろうとタップダンスの子どもたちや観光馬車が待ち構えている。


そして人がせわしなく、抜け目ない。南部のほかの場所ではどこでもみられるゆったりした「サザンホスピタリティ」(南部人の誇りとする、南部式おもてなしの精神)は、この町ではほとんど感じられない。
もちろんサービス業はそれなりに愛想は良いけれど、人が皆疲れているようにみえた。

泊まったのはフレンチクォーターではなくガーデン・ディストリクトのB&B。
フロントの綺麗な女の子も、カフェの太ったバリスタも、ドラッグストアのおばちゃんも、なんだかデフォルトで憂鬱そうで、機嫌が悪かった。

車の運転もシアトルやアトランタみたいにのんびりしてません。
道も狭くて建て込んでいるし、ああなんだか東京のようだと少し思った。


一見、優雅そうだけれど、中身はめちゃタフそうな町という印象でした。

住むには相当のエネルギーが要りそう。


いろんなものが爆発寸前なまでにぎゅうぎゅうと詰まっている町。
だけどきっと、近づいてみたらめっちゃ面白いに違いない。

うちの未成年はフレンチクォーターを歩いて、僕はここに住んでみたいと言った。

母は、私にはもはや無理、と思った。

都会の定義はいろいろあるけど、住む人にタフネスを要求するっていうのも都会の特性のひとつだよね。




 町を包むように蛇行しているミシシッピ川。このへんでは意外なほどに川幅が狭い。
川までも、ぎゅうぎゅうに詰め込まれている感がある。


 Voodoo 博物館というのに行ってみた。

小さな家にぎゅうぎゅうと歴史的なブードゥのいろいろを詰め込んだ、息苦しくなりそうな狭いミュージアム。


ブードゥーは、 アフリカの信仰とカソリックの教えと伝統がぎっしり詰まった、ニューオーリンズ生まれのフュージョン宗教。

これもまた、ジャズや料理と同じく、この土地でしか育まれ得なかったもの。


ブードゥ博物館に展示されていた、手描きのブードゥ流入経路。

ニューオーリンズは奴隷貿易の港でもあった。

この狭くるしく、ドクロだらけの怪しい雰囲気いっぱいの博物館の廊下で素朴な手作りの地図を見ていると、この3つの大陸の近さがとても生々しく感じられたのでした。



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2013/03/24

フレンチクォーター


桜咲く季節になりましたが、それとは関係なく1月初めに行ったニューオーリンズの日記。


年末年始にかけて、ルイジアナ州シュリーヴポート~ミシシッピ州ジャクソン~ジョージア州アトランタ~アラバマ州モービル~ニューオーリンズ~シュリーヴポート、というコースでドライブ旅行をしました。 なんだかバタバタとしている間にニューオーリンズの写真をアップしそびれて、はや3ヶ月。



ニューオーリンズでは正味2日しかなかったので、沼地とフレンチクォーターに絞って散歩しました。


フレンチクォーターの建物は、カラフル。冬のニューオーリンズは決してトロピカルな気候ではないのだけど、ペパーミントグリーンの窓枠、サーモンピンクやレモンイエローの壁の色は、カリブ海のおすそわけのような南国カラー。 



フォークナーはこのニューオーリンズも含むミシシッピ川沿いの土地は
「手品師が一方の手からもう片方の手へ閃かせるトランプの一束のように」 
 スペイン人からフランス人へ、そしてまたスペイン人へ、またフランス人の手へ、と何度もあるじを変えて、そして最後にアングロサクソン人がやって来た、と書いている。(『Mississippi』)



ニューオーリンズはフランス人が開拓し、スペイン統治の時代を経てフランス領に戻って、ナポレオンによってアメリカに売り渡されて、といろんな主人を持った町。


フランス、スペイン、アングロサクソン、アフリカから連れて来られた奴隷、そしてハイチから移住した自由黒人、といういろんなカルチャーが流れ込んだ町は、建物にも、食にも音楽にも、お祭りにも、沸騰するような独特の文化を作り上げた。



古い建物が保存されているだけではなくて、21世紀にも隅々まで利用しつくされているところがすごい。歩いているだけで、町の生命力に少し圧倒される。


ヨーロッパの伝統をメキシコ湾の大釜でぐらぐらと煮て、ハイチの魔術とアフリカの音楽を投げ込んだら、それは思いがけないものが飛び出してくるのは当然。

そうして生まれたのがジャズであり、クレオール料理であり。

ニューオーリンズて、アメリカが現在のアメリカになっていく過程でなにげにとても重要な役割を果たした都市だったんだ、と、今回訪ねてみて、改めて実感しました。


風格ある猥雑な町でした。

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2013/03/21

Killing States

 
アメリカの法律が州によってまったく違うのは周知のことですが、つくづくその違いを実感するのが、最近ワシントン州で合法となったマリファナの使用や同性婚についての法律。それから、死刑制度もです。

現在、死刑制度を実施している州は33州。死刑制度を廃止した州は17州。

先学期とったクラスで死刑制度について読んでいて、Killing State という呼称を見ました。これは Austin Sarat氏をはじめとする死刑制度廃止論者の学者さんたちが使っていて、一般的に普及している用語じゃないかもしれないけれど「死刑実施中の州」という意味はよくわかる。


ワシントン州もKilling State で、現在死刑囚が9 名います。

死刑囚が一番多いのはカリフォルニア州で、724名という桁外れの数。

全米では3000人を超える死刑囚が刑務所に収容されています。

各州によって、死刑になる可能性がある犯罪要素も、減刑になる可能性のある要素も違う。

州の中でなら同じかというと、それもまた違う。起訴された場所によって、裁判の成り行きによって、同じ犯罪でも死刑になったりならなかったりする。陪審員の存在も大きい。


わたしはずっとぼんやりと、死刑制度反対というのは人道的に死刑そのものが良くないことだという主張だと思っていたのだけど、それだけではないのでした。

これは納得できると思った理由は二つ。

まず一つに、各州、各司法区域の制度がarbitrary (気ままに決めること)を許しているという議論。

はっきりとしたガイドラインなしに、弁護士や検察官の技量、裁判官や陪審員の気分や裁量、で死刑になったりならなかったりするのはあまりに不公平ではないかという話です。

被告人の人種により結果があまりにも違うことも、もう何十年も前から指摘されています。


死刑囚になるのは、ほとんどが自分で弁護士を雇うことができなかった貧しい被告で、マイノリティの率が非常に多い。

1972年の連邦最高裁判決で、すでに「不規則かつ選択的にマイノリティに対して適用されている」として、当時の各州の死刑制度の運用が違憲とされています。

しかし今でも死刑囚の4割は黒人です。

 二つ目は、本当は無実でしたというケースが1件や2件の例外ではなく存在すること。


2003年にはイリノイ州のライアン知事が、「イリノイ州では年間1000件の殺人があったが、その被告のうち死刑を宣告されたのは2パーセントにすぎない…。死刑制度は確実な基準なしに102名いる検事によって求刑されていて、公正に統一された方法で行なわれているとは言えない」とし、また、州内で死刑を宣告されてから無実を勝ち取って釈放された死刑囚が70年代以降17名もいることを指摘し「このシステムは壊れている」として、167名の死刑囚を全員終身刑に減刑しました。( イリノイ州はその後2011年に死刑制度を廃止)

死刑そのものが人道的にどうかというのはまた別の議論。

懲罰としてはLife Without Possibility of Parole  (「LWOP」=仮釈放の可能性のない終身刑)のほうがむしろ死刑よりも苛酷な刑という見方もある。

死刑の方法が人道的な方法を目指して来たのと同様に、LWOPの処遇についても議論が分かれるでしょう。


死刑廃止論の理由に「死刑囚はコストがかかる」というのがあります。死刑を求刑する裁判はものすごくおカネがかかるし、死刑囚には控訴が認められていて、何年もかかる裁判の費用は州や国が負担しなくてはならないので。しかし全部がLWOPになってしまったら、控訴のチャンスがずっと低い*安上がりな*終身刑の囚人が増えるのではないだろうか? それはそれで冤罪の場合や裁判手続きに問題がある場合に守られにくくなるのでは?という疑問もわきます。

社会にとって、罰とはなんなのか。犯罪防止のためか、被害者や家族の心情を軽くするためのものか、犯罪者の更生のためなのか。 まずそこの議論が分かれているのに加えて、法律があまりにも多彩すぎる国アメリカの刑事罰の複雑さは、シュールリアリスティックにさえ感じられます。


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2013/03/14

悪魔と珈琲を



期末試験期間中につき、ブログ自粛中。来週までお休みいたします。

写真はクイーン・アンのキューバ珈琲屋さん。


壁一面だけでなく、テーブルにもファンキーな絵が描いてありました。





悪魔ちゃんでいっぱいの店内でした。



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2013/03/11

ノルウェイ町 Poulsbo

 少し前の小遠足。
シアトルのダウンタウンからフェリーでベインブリッジ島へ。



フェリーに乗ってる時間は30分くらい。

対岸のWinslow からまた車で20分くらいのPoulsbo(ポールズボー)という、変わった名前の町へ行ってきました。


島なんだか陸続きなんだか良くわからない複雑な形をしたキトサップ半島の北の方にある、深い入り江に面した小さな町。

19世紀にノルウェイ人が入植して作った町で、いまでもノルウェイな意匠がいっぱいの町です。


金のねじねじパンの看板が目印のベーカリー、Sluy's Poulsbo Bakery はけっこう有名らしい。



オーセンティックな北欧の焼き菓子に混じって、


こってり系の人形ドーナツも。アメリカに根づいて1世紀の歴史を感じるラインナップ。


 ご近所のおばちゃまが次から次へと来店して賑わってました。
チーズ入りのかりかりパンもおいしかったです。


ベーカリーがある通りに出ている看板は、読めない。これは本屋さんですね。



入り江に面した公園には、やっぱりヴァイキングさんが。

これは「ヴァイキング王オーラヴ」の像で、きわめて歴史に忠実な像だそうで、とてもシンプルな装いです。長靴もヘルメットも、無印良品のようなシンプルさ。
でも強そう。
 
本物のヴァイキングはヘルメットに角なんかつけていなかったらしいです。





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2013/03/09

凍りついた心も熱くなるショコラ



シアトルにはおそくまで開いているカフェが意外に少ない。賑やかなCapitol Hill のあたりはまだしも、バラードのあたりのカフェは早くて午後5時、遅くてもせいぜい9時くらいで閉まってしまう。


その中で午後11時まで開いてる夜更かしの味方のひとつが、Chocolati のGreenwood店 とWallingford店。

グリーンウッドの店は古い住宅を改造した店舗で、奥のほうに入口からはわからない広々した空間があって驚かされます。

照明も落とした、アダルトな雰囲気です。

ほかにもグリーンレイクの公園の北側にちっちゃい店(ここは5時まで)と、ダウンタウンの中央図書館にもキオスクが(ここも5時まで)出てます。

まだ夜は寒い春先、どろりと濃厚な熱いチョコレートが飲みたいときに。


わたしはここのカイエンペッパー入りのホットチョコレートが好きです。

ペッパー入り板チョコは、最近よく見るようになりましたね。

映画『 ショコラ』でも、ジュリエット・ビノシュが、南米の唐辛子入り熱いチョコレートを作ってました。

凍りついた心も熱くなるホットチョコレート。

個人的殿堂入り映画のひとつです。




「なにこれは…子どもの時に、なにかこんなものがあった気がするわね…」 ジュディ・デンチ、大好き~。


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