怒濤の選挙からあっという間にまた一週間。シアトルは冷たい雨が降っています。
もう冬ですねー。
選挙の日、オハイオ州をオバマがとったのが確実と報道されると、うちの近所では花火が上がってましたw 独立記念日か!
フロリダはやっと土曜に開票が終わって、結局「選挙人」の数でいくと332対206で、オバマの地滑り的勝利ということになりました。
「popular vote」=総得票数、の最終カウントは、
オバマ 62,610,717 対ロムニー59,136,717
で、3%の差だからまあ僅差になるのでしょうか。
でも2000年のゴア対ブッシュの時のような本当のデッドヒートで、選挙人の数1票でその後の国の運命が変わってしまうというような接戦にならなくて、本当によかった。
12月になっても決まらないんじゃ、なんてことを言ってたのはどこのどいつだ!
接戦だと騒いでいたのはメディアが視聴率をとるための作戦だったんではなんていう意見も聞くくらい、あっさり決まってしまいましたね。
2000年の大統領選挙では、総得票数でゴアが50万票近くの差をつけて勝ったはずなのに、ブッシュが選挙人たった1票の差で大統領になってしまった、しかもそれはフロリダのたった537票差で決まってしまった、というのは当時本当にびっくりしたし、そんな変な制度でこの大国の大統領が決まるのか、とひどくショックでした。
Electoral college =選挙人 というのは、ほんとになんだか良くわからない制度ですが、ようするに、州ごとに割り当てられた「選挙人」の人数が「Winner-take-all (勝ったほうが全部取り)」制でそっくり決まってしまうってこと。(メイン州とネブラスカ州だけは小選挙区ごとに選挙人選出)。
たとえば選挙人10人の州で青党が60%、赤党が40%の得票率だとしたら、ふつう考えたら 6人と4人ずつの選挙人になりそうなものを、全部取りだから10人まるごと、青党がとっちゃうのです。
フロリダなら29人、カリフォルニアなら55人の選挙人がそっくり、その州で勝ったほうに行くという、これは何かに似ていませんか?
そう、「
オセロ」。
2000年のときはフロリダ州、48%対48%のほんのコンマ数パーセントの537票が、26人という選挙人全員をパタパタとひっくり返して、共和党のブッシュを大統領にしちゃった。
今回もオバマのキャンペーンが、この「537票」を全面に押し出した「あなたの一票が大切です。だから選挙に行こう」CMを選挙日直前に打ってましたが、本当に一票が貴重な州は、実はそんなにたくさんありません。
だいたい民主党と共和党が強い州はこの数十年というもの、ほぼがっちり決まっていて、たとえばテキサス州やサウスダコタ州で民主党が選挙人をとることは考えにくいし、カリフォルニア州やワシントン州やニューヨーク州で共和党が選挙人をとることも、ほぼ考えられません。
大統領選で問題になるのは、どちらに転ぶか最後までわからない「SWING STATES」(「ぐらぐら州」?wまたは「Battle Ground States(激戦州)」とも)のオハイオ、フロリダ、ヴァージニアなど。この激戦州のオセロがどちらの色になるかで、大統領選挙はきまります。だからこれらの州へのおカネの使われ方は半端ではない。
それが2分でよくわかる
ビデオがこちら。(NPR作成)
選挙人の数でアメリカを表現すると、こうなる↑のです。
一票が重い州=一票にかけられるおカネ(選挙の両陣営がつぎ込む広告費)の額が多い州はこちら↑。
やっと選挙が終わって、とにかくほっとしたけれど、これからの国政を考えると、少しも楽観できる要素はありません。だいたい、アメリカの政治は選挙におカネとアテンションを使い過ぎなんだよ!と本当に思うこのごろ。
大統領選挙って、貴重な時間と巨額の宣伝費を使ったメディアのお祭りで、さあじゃあこれから何が決まるの?ということにはほとんどアテンションもおカネも(表だっては)使われません。
だって議会と大統領の攻防なんて、ニュースとしては退屈で鬱々とするばかりですもんね。
だいたい2大政党制って本当に機能してるの?という疑問もわいてきますが、それはまた今度〜。