2012/08/25
らっこ受難の話
『ソイソース』、本日8月25日発行の号には、「らっこ」についてのお話を書いています。
「お父さんかららっこの上着が来るよ」
と、『銀河鉄道の夜』のジョバン二は学校の友達にからかわれて心を痛めますが、賢治が執筆していた大正頃には、すでにらっこは禁猟の対象になってました。初稿では、ジョバンニのお父さんはオホーツク海でらっこの密猟をして捕まったという設定であったらしいのです。
らっことオットセイが禁猟の対象になったのは、なんと1915年。明治時代です。動物を保護の対象にしようというアイデア自体が、まだとても新しいものだったはず。それだけらっこ達は大変な目にあってたのですが。
大航海時代から怒濤の19世紀をへて、乱獲によってドードーやら旅行バトやら、いくつかの種が絶滅してしまったあとで、ようやく保護の必要性が説得力を持ったのでしょう。バッファローもらっこも、かろうじて絶滅をまぬがれて、よかった。
シアトルご在住の方、よろしかったらぜひご笑覧くださいませ。
そして、らっこの運命やらっこ貿易についてもっとお読みになりたい方は
表紙の、怒った顔のらっこがなんとも言えない。そりゃー怒りたくもなりますよね。わかります。
18世紀〜19世紀のノースウェスト沿岸の部族の生活や、捕鯨以前の太平洋航路、らっことクック船長、ハワイとノースウェストとらっこと白檀貿易の関係などについての話がいっぱいです。
アカデミックの人なのでまだるっこしいところも多々ありますが、巻末のデータはとても充実してて、見やすいです。
それから、1960年代に出て絶版になっている本ですが、クック船長の航海に参加したアメリカ人を主人公にした小説仕立ての本、Sea Otters and China Trade も、なかなか面白いですよ (まだ途中までしか読んでないんですが)。シアトルの図書館で借りられます。
3年間の航海をしている間に、アメリカが英国から独立しちゃっていて、航海中に新しい祖国が出来ていたっていうのも、すごい話ですよね。
ぜひ行ってみたいのは、オリンピック半島の沖合に浮かぶ Destruction Island 。
むかしは灯台があった島ですが、いまは無人。保護区域で、らっこ天国になっているそうです。
2012/08/24
夏の最後のバーベキュー
シアトルの夏があっけなく終わってしまいました。
今朝(8月23日、木曜日)の気温は摂氏15度以下。朝おきたら、サーモスタットが働いて暖房ががんがんに働いていました。早いよっ (;´・ω・)
夕方、仕事からの帰り道にはもう、ノースリーブにカーディガンでは寒かった。
先週末は夏の終わりのバーベキューディナーにお招きいただきました。
豪華ロブスターにゃ!
Nさんのシグニチャー「紅茶煮ぶた」。卵も美しくシナモン色に染まっておいしい~。今回はしっかりレシピを頂いてまいりました。
秋風の吹き抜けるベランダなり。先週は30度超えてたのになあ。パシフィックノースウェストの夏は打ち上げ花火のように、瞬く間に過ぎていくのです。
2012/08/22
ジャイアントケルプの森
シアトル水族館で好きな場所は、スカイライトが射し込む大水槽 Underwater Dome。
椅子もあって、ゆっくり座って眺められます。
午後になるとダイバーが魚に餌をやりに来ますが、それよりサメやエイや鮭たちがときどき通りすぎる昆布の森を見ているのが好きです。
以前Whidbey Island の海岸に行ったとき、引き潮だったのか一面に特大昆布が敷きつめられていてびっくりしました。
Neah Bay 近くの海岸でも、崖の上から海の中にケルプの森が見えてました。
ワシントン州の沿岸に水中の森を作っているのは、Giant Kelp (ジャイアントケルプ、Macrocystis integrifolia)とBull Kelp (ブルケルプ、Nereocystis luetkeana)という種類で、日本のだし昆布にする羅臼昆布や真昆布とは種類が違うようです、残念ながら。
だしはとれないのかなー。
ケルプの森はらっこの家。らっこになったつもりで、ゆらゆら揺れる昆布の森を眺めていると時のたつのを忘れます。
2012/08/20
Art Up Phinneywood の舞踏道中
もう先々週になってしまいましたが(汗)、10日の金曜日、Art Up Phinneywoodのイベントに行ってきました。
またまた、KaoruさんとJoan さんの怪しい舞踏一行の道中を撮影させて頂いた。
いやー楽しかった!
前回と同じPhinney Avenue (Fresh Flour やTOKARAやレッドミルバーガーもある通りです)ですが、今回はもっと大がかり。
この日、Phinney AvenueはGreenwoodに名前が変わるあたりまでずっと通行止めの歩行者天国になり、車道の上にピアノ屋さんがグランドピアノを持ち出していたり、チョークで好きなだけお絵描きできる広場になっていたり、いろいろなバンドが演奏していたり、屋台が出ていたり、と大賑わい。
その中をしずしずと練り歩く、白塗り二人組。
付き従うのは、なぜか今回『貧』と『能』の額を持った白塗りのお二人 。
何が面白かったって、子どもたちのリアクションが。
何か、夢の中から出て来たものを見るような。
なま温かい道路に白昼夢が降り立ったような。
生まれて初めて見たなんと名づけてよいかわからない種類のものたち。
この子たちはこの夏の夕方に突然現れた舞踏団を、いつかふと思い出したりするでしょうか。
2012/08/17
Murals Street Seattle
Salumi のあたり、パイオニア・スクエアのちょっと山側は、壁画地帯。
活用されている歴史的ビルディングもあるけれど、 残念なことに何年も閉鎖されたまま、ほうっておかれているビルも多い。
近年、壁画アーティストたちが自主的に資金を集めて、広告がベタベタ貼られていた殺風景で汚かった壁を、新しい景色に変えています。
たとえばこんなプロジェクトとか。
もちろん、街には活気のあるお店が並んでいるのが一番だけれど、寂しくなってしまった通りにこんなにポジティブなエネルギーが注がれているのは、見ているだけで嬉しくなります。
こういうプロジェクトが行政まかせじゃなくてアーティストからどんどん出て来て実現するのが頼もしいですね。
2012/08/13
44分並んだ。超絶極上ハム店 Salumi
ある快晴の金曜日、まぼろしのサンドイッチ店、Salumiに行ってきました。
パイオニア・スクエアとインターナショナル・ディストリクトの真ん中あたりのめだたなーい地区にひっそりとある、家族経営のサラミほか加工豚肉専門店です。
なぜまぼろしかというと、ハードルが高いのです。
お店自体は小さくて目だたなーい外観なのに、昼近くには、長蛇の列が目印。
うえー、これは…「1時間くらい並ぶのかな…」とひるんだら、列最後尾の男の子が「15分くらいだよ」と心強い答え。
ブードゥードーナッツもそのくらいだったし、まあ15分や20分ならやぶさかではないか、と思ったんだけど、これがとんでもない希望的観測にすぎないことがまもなく発覚したのでした。
10分たっても列はほとんど動かない。すでにこの時点で車を停めて来て10分という時間を投資している以上、このまま立ち去るのも悔しい。
列の後ろに並んだおばさんは、「ここのこと、ニューヨークのレストランのシェフから聞いたのよー」と言ってましたが、しばらくひとりで並んでいたと思ったら、あとからニューヨーク家族がわらわらと6人くらいやって来た。こうして列が増幅していくのか…。
結局店内に入れたのは40分経過後でした。自分的には食べ物のために並んだ最長記録かも。
日本に帰るたびに、デパ地下のケーキやラーメン屋さんの前に辛抱強く並んでいる人々をみかけて、ご苦労様だ〜と思っていたけど、シアトルで食べ物のためにここまで並ぶとは思いませんでした。
アメリカ人がこんなに食べ物にかけて真剣だとは。
このお店のオーナーさんも、ボーイング社のエンジニアを30年勤めて退職したあと、イタリアで2年間サラミの修行をして、イタリア移民だったおじいさんが20世紀初頭に食料品店を経営していたこの界隈にお店を出したという人。
退職後にサラミ職人になるのが夢だったという、超マニアックな方です。片手間ではないホンキな仕事は、今ではシアトル中だけじゃなくてそれこそ東海岸のシェフにまで知れ渡ってます。すごい。
狭い店のカウンターの中にはサンドイッチ職人が4人並んでいて、つぎつぎに恐ろしい勢いでテキパキと注文をこなしていくので、(この早さで作るのにどうして外にはあんなに並んでいるのか不思議になるほど)店内に入る前に何を注文するか考えておかねばなりません。
わたしはイチジクとゴートチーズとプロシュートの、息子は肩肉のハム「Coppa」とモッツァレラのサンドイッチを注文しました。
うまーーーー。天上界のハム。こりゃー並びますわ。30分並んでもイタリアに行くよりは早いしw
お店は火曜から金曜の午前11時から3時半まで。待ち時間を少なくするには開店前から並ぶか、品切れを承知で午後遅めに行くのが良いのかも。
金曜のお昼どきは、避けたほうが賢明のようです(苦)!!
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