夏至でしたね。あっという間に夏が到来していた。
化学療法、今回は1週間長めにあいだをあけたのだけど、なぜかものすごく目が回って、週末はほとんど寝てました。
そして、父の日でしたね。世界中のお父さんたち、おつかれさまです。
お父さんのお役目をどうぞ楽しんでくださいね。
先週は大きな案件を納品したあと、予定通り圧倒的に暇になったので、もう何年も前から積ん読になっていた山のなかからほぼ無作為にひっぱりだした『アンジェラの灰』を読みました。
1930年代から第二次大戦をはさんで戦後まもないころまでの、アイルランドの超超貧乏な家族の話。
これに出てくるお父さんがもう、ほんとうにひどい。
作者は19歳で単身アイルランドからアメリカにわたり、苦労のすえ高校教師になって荒れた高校の生徒たちにシェイクスピアや詩を教え、自分のことを書くようにすすめた人。
そして、生徒たちにすすめていたように、自分でも子ども時代を描いたこの本を退職後に書き上げて、ピューリッツァー賞を受賞した作品です。
次々に子どもを失いながらも生み続ける母、アンジェラも、飲んだくれの父、マラキも、底意地の悪い学校の先生たちも、地獄と永遠の罰を持ち出して脅すことしかしない司祭たちも、そのほか意地悪でシンプルな欲にまみれている哀しい大人たちも、この作者はとても落ち着いた、ジャーナリスティックな目で描いている。だれも美化せず、断罪もしない。
ひどい大人ばかりのなかでも、ほんとうにひどいのがお父さん、マラキ。不況の町でほとんど仕事につけず、たまに仕事があると、おなかを空かせて妻と子が待っているにもかかわらず、給料をすべて飲んでしまう。
なるほど、こういうお父さんが何千人も何万人もいたら、それは、お酒さえなければ…と、禁酒法がグッドアイデアだと思えてくるかもしれませんね。
圧倒されるばかりの不憫で重い話だけど、語り手が子どもで、素直な子どもの視点で描かれているので、あまり暗い感じはしない。
ちょうど近所の無料文庫で原書を見かけたので、もらってきました。
青年が読み始めたのだけど「夏の爽やかな日に読む話じゃない気がする」と言ってました。
バゲットがかちかちになってしまったのでブレッドプディングを作りました。
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