2021/03/06

ちょうど1年前に本物のプーに会ったこと



だんだんとあたたかくなってきたシアトルです。今日はほぼ雨がちだったけど、気温は12度。

iPhoneが最近、アルバムに何千枚も撮りっぱなしでほとんど忘れている写真を使って勝手にムービーを作ったり、「この日」とポイントを絞って思い出を押しつけてきます。

それがなぜか気味の悪いほどピンポイントに良いツボを突いて来て、思わず号泣してしまったりするのがくやしいのですが、今朝は朝からいきなり「この日」と、1年前の3月4日の写真を勝手に選んで出してきました。

そうだった、1年前の3月4日は、ニューヨークにいたのでした。コロナですべてがシャットダウンする、ぎりぎり直前。

まだニューヨークの街でマスクをしていたのは東洋人の女性が2人くらいだけだった。
なんとなく重苦しい予感が街にあふれていて、消毒液や除菌ワイプはもう売り切れになっていたけれど、ふつうの生活が続いていた。


たった1年前なのに、隔世の感。

最後にきれいな青空の下のニューヨークを見られたのは幸いでした。


このあとに行ったイサム・ノグチ美術館のことは書いたのだけど、図書館を見に行った話は書いてませんでした。

 


 観光名所でもあるニューヨーク公共図書館の「本館」。

ものすごく立派で巨大な建物です。完成は1910年だけれど、設計は19世紀末。

いかにも19世紀の「GRAND(壮大)」さが鳴り響いているような建物です。


 

この過剰なまでの重厚な装飾、壁画。図書館というのは、都市のなかの聖域のひとつだし、都市の誇り、集合的自意識の反映。

建設や運営の資金は、19世紀から20世紀のはじめにかけて、カーネギーさんはじめ多くの富豪がお金を出したそうです。



 

建材も大理石がふんだんに使われていて豪華だしとにかく広いし天井高いし。まるでお城。なんでこんなに巨大でなければならないんだろうか、と困惑するほど。

当時のアメリカの、ヨーロッパに追いつけ追い越せという気概が感じられる気がします。
イギリスやフランスからは、まだ文化度が低く洗練を知らない田舎者扱いされていたアメリカ人たちの、鼻息荒く「今に見ていろ」っていう感じ。

「アメリカの青春」というのは1950年代ではなくて1900年代だったのじゃないかな。



 

でも、中の壁画や天井画は、圧倒的にボストンの中央図書館のほうが素晴らしかった。
ボストンのは、なにしろサージェントさんたちの筆だしね。
ボストンの図書館のことも書こうと思って後回しになっていました。

しかしこの図書館の宝は、壁画ではなく、目立たない1階のすみの児童書コーナーにあるのです!

 


例によって何も調べずに出かけたので、行くまで知らなかったのだけど、ここには「本物の」くまのプーと仲間たちが保管されているのです!!



ほんもののクリストファー・ロビンが持っていた、プーと、イーヨーと、ティガー(トラー)と、カンガと、もちろんピグレット(コブタ)も。




よこから見たところ。


コブタちゃんはかなり使い込まれた感があり、小さいけど存在感が強い。




なんで英国じゃなくてニューヨークに?と思ったけど、図書館のサイトの説明によれば、プーと仲間たちは1947年に米国にわたってきたらしい。どうやら出版社がブックツアーのために米国に持ち込み、そのまま出版社に飾っていたようで、1987年からこの図書館に展示されるようになったそうです。

1998年には英国議会が返還を求めたものの、その後「プーと仲間たちはアメリカの地で幸せですこやかに暮らしていることがわかり、英国の人もアメリカの人も、プーと仲間たちがニューヨーク公共図書館にとどまることに意見が一致しました」とありました。



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