2012/07/03

カスケードループ、ウィンスロップの町


カスケードループの旅、続きです。


Diablo ダムを出たのは午後5時すぎでしたが、夏の日は長い。まだまだ昼間。

カスケード山脈を越えてうねうね続く州道20号は、Scenic Byway と呼ばれてます。
冬期、11月頃から4月頃までは雪崩の危険があるため、このあたりが一部通行止めで「ループ」の周回はできません。


わたしたちが行ったのは6月の最後の週末でしたが、まだ道路の両脇に雪が残ってました!



1時間くらいで山を越えて、Winthrop(ウィンスロップ)に到着。


なんにも調べていなかったので、まったく予想していなかった西部劇風の町が突然出現したのに面食らいました。


とはいえ全体に 遊園地っぽい、Leavenworth に良く似た「なんちゃって」感が漂ってます。
だって壁にペンキで時計の絵とか描いてあるしw 

帰ってから町のサイトを見てみると、山越えハイウェイが完成した70年代、観光客向けに、「できる限りオーセンティックに」西部劇風の町並みや看板を再現したとのこと。
なるほどー。



土曜日の午後6時すぎ、レストランとバー以外のほとんどのショップはもう閉まってました。


 一番オーセンティックに見えたのが、このFarmers State Bankのビル。


ドアに金文字で1915年創業とあったし、このビルは「なんちゃって」ではなくオリジナルの建築だと思われます。かわいらしいペパーミントグリーンと白の意匠。
柱の上のアーチと水玉のような丸いデザイン、ポーチに下がっている電灯や、ちらっと見える室内のインテリアも20世紀初頭の浪漫派的なおもむきです。オリジナルだったらDiablo ダムと同じ頃の建築ですね。



 山の中の町の小さな銀行ですが、かつては近くにあった金鉱から掘り出された金を保管してあったとか。いまも現役で地元の投資物件など取り扱っている銀行です。


開いていたレストランでピザを食べて、宿泊予定のOkanogan までまだ1時間近く、20号をひたすら先へ。


夜9時すぎまで明るいので、夏のロードトリップは気持ちに余裕があります。

山越えの途中、道路の脇にシカを3回、そしてTwisp と Okanogan の間の山道では、車の50メートルくらい先をよたよたと子グマが横切っていきました!! 停まって待ってたら母クマも出て来たかも!



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2012/07/02

米松と米杉 ダグラスファーとレッドシダー


Diablo Lake のトレイルは、Douglas Fir (ダグラスファー)の森の中の道なので、甘く清々しい緑の葉の匂いでいっぱいです。

Douglas Fir はクリスマスツリーに使われる木です。

ハワイでも12月になるとオレゴンやワシントンから冷蔵コンテナで運ばれて来たクリスマスツリーが特設販売会場に並びます。うちでもホノルルに住んでいたころ、5フィート(約150cm )くらいのダグラスファーを買ってアパートのリビングに飾ったものでした。

クリスマスツリーを飾ると家中が北国の森の清々しい匂いになって、南国でもそれなりに「Chrismassy」な気分が盛り上がるのでした。

南向きのがんがん日の当たるリビングルームだったので2週間くらいで葉っぱがどんどん落ちていき、クリスマスが来る前にスカスカになってしまいましたが。

クリスマスツリーの森。
「ダグラスファー」といえばクリスマスツリー用のせいぜい9フィート(270cm)の木だと思っていたので、100フィート(30m)もあるような大木が同じ種類だとはなんだかピンと来ませんでしたが、たしかにこの香りはクリスマスツリー。



そういえば、テレビの『ツインピークス』でも、ツインピークスに来たばかりのクーパー捜査官が「なんて良い香りなんだ!この樹の名前は一体何ていうんだ?」と聞いて、「ダグラスファー」だと教えてもらう場面がありました。

タイガーリリー

木材図鑑」によると、ダグラスファーの日本名は「米松」。

よねまつ」ではなくて「べいまつ」です。

米松くん(左)と米杉くん(右)

このトレイルでは、ダグラスファーの間に Western Red Cedar (ウェスタン・レッドシダー、ふつうは単にRed Cedarと呼ばれることが多い )もちらほら見られます。

こちらの日本名は、「米杉」(べいすぎ)。

前から疑問に思っていたんだけど、工藤夕貴出演の映画『ヒマラヤ杉に降る雪』(原題『Snow Falling on Cedars』の cedars って、絶対に「ヒマラヤ杉」じゃなくてこっちの「レッドシダー、米杉」だと思う。

この物語の舞台になっているベインブリッジ島のあたりに、ヒマラヤ杉は生えていないとおもう。

米杉に降る雪』じゃタイトルにならないと思って宣伝部の人が変えてしまったのか、単に勘違いの誤訳だったのか。

メープルのたねプロペラ

レッドシダーはぴーんと定規を当てたように真っすぐに天を目指して伸びる、美しい樹です。

ノースウェストのネイティブ住民たちにとっては、耐久性が良く、細工がしやすいこの樹はカヌーや家やトーテムポールを作るための重要な木材だったそうです。

パイオニア・スクエアにあるトーテムポールもこのレッドシダーで作られています。

樹皮もバスケットや衣服など、ありとあらゆる生活材として使われた、日本人にとっての竹のような存在だったようです。

19世紀に白人が来てからは、このぴーんと伸びた木材がサンフランシスコの町を建設するためにじゃんじゃん伐り出され、製材されて船で運ばれていき、それがシアトルの町の経済基盤になりました。

太平洋北西部には、とてもゆかりの深い樹です。




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2012/07/01

Diablo Lake のトレイル


Diablo Lake のトレイルを歩いてきました。

往復約7マイル(11キロ)、標高差は1400フィート(427メートル)。
所要時間は3時間15分くらいでした。



ダム湖の橋をわたってずんずん車を進めると、湖畔にわりあい広い駐車場があるので車をそこに停めます。
Ross湖のほうに行くボートもここから出発。

Trail head (トレイル入口)に看板が立ちふさがっていました。
読んでみると、「吊り橋とトンネルの間が土砂崩れで通行止め」とあります。今回は吊り橋まで行く予定だったんだけどトンネルって何だかわからないので、すぐ近くの North Cascades Environmental Learning Center で聞いてみると、吊り橋の手前までは問題ないとのことなので、ひと安心。


この North Cascades Environmental Learning Center、2005年にオープンした新しい施設で、宿泊&食事つきの自然観察ハイキングなどのプログラムが、とってもリーズナブルなお値段で提供されてます。部屋数は少ないけれど、空きがあれば宿泊施設としても利用可能。


プログラムは国立公園のレンジャーや専門家のレクチャーつきのハイキングやカヌー、フライフィッシングやアートのクラスなど。ファミリー向けからワインつきの大人向けプログラムまで色々あります。

ごはんもオーガニック素材を使ってるとサイトで自慢してます。
施設も新しくてとても快適そうだし、一度ぜひ利用してみたい。



さてトレイルです。シダや苔に厚く覆われた「温帯雨林」の中を1マイルくらいゆるゆると登ります。

それほどきつくない坂のはずなのに、普段の運動不足がたたって、かなり死にそうになりました。

 針葉樹の間にメープルが繁っているので、秋は紅葉が綺麗でしょうね。


30分か40分登ってもう本格的に死ぬと思ったあたりで、まわりが開けてきました。
翡翠色のDiablo 湖と「アメリカのアルプス」の眺望。


この先は多少アップダウンがあるだけの、山腹のらくらく散歩道。
このコースは国立公園内ではないから犬連れもオッケー(要リーシュ)だし、小学生低学年くらいのお子さんでもさくさく歩けると思います。

でも、片側が崖で、岩がごろごろしていたり小さな渓流を渡るところもあるので、足もとは要注意です!!


こんな小さな小川を何度か渡ります。苔むした岩で滑りやすいので慎重に。


Diablo の奥のRoss湖のダムと橋が見える地点まで行って引き返しました。
発電所からぶーんという音が聞こえています。


ほんとはこの吊り橋のところまで下りてみる予定でしたが、橋も通行止めだというのでやめ。
下りて登ってきたらプラス40分以上はかかって、全部で4時間くらいの行程になったと思います。


帰り道は(同じ道を引き返します)すこし雨に降られました。


昔土砂崩れがあったらしい斜面の岩に、厚くふかふかの苔が生えています。

手軽な距離で、いろいろ楽しめるトレイルでした。





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2012/06/30

シアトル市営の水力発電所 Diablo湖


先週末、念願の North Cascade National Park (ノースカスケード国立公園)に行ってきました。

シアトルから北に向かって時計回りにCascade Loop (カスケードループ)を一周して、約450マイル(約720km)の旅。途中で一泊して翌日帰ってきました。

ノースカスケード国立公園は真ん中を道路が通っているので、ほかの国立公園と違って入場無料です。州道のハイウェイ20号を走っているといつのまにか公園の中に入っています。

ハイウェイ20号はSkagit (スカジット)川の流れに沿ってうねうねと山間部を上っていきます。

スカジット川の水は、上流のダム湖と同じ、深いやわらかな翡翠色。どうしてこんな色なんでしょうか。ミネラル?
(追記:氷河からの水が流れ込むので、氷河に削られた岩の成分が溶け込んでいるそうです)


途中でビジターセンターにも寄って、シアトルから2時間半くらいでDiablo Lake に到着。

Diablo Lake 、ディアブロ湖なのか、ダイアブロ湖なのか。「ダイアブロ」と言っている人が多いのですが、日本語の表記はほとんどが「ディアブロ」。

人工のダム湖です。この手前にGorge Lake、奥にもうひとつもっと大きいRoss Lakeがあって、それぞれにダムと水力発電所があります。
全部 Seattle City Light (シアトル・シティライト、市営の電力会社)の所有です。


シアトル・シティライトのサイトによると、シアトル市の電力は87.9%が水力発電で供給されています。(2010年現在)

全然知らなかった。ほぼ9割が水力発電なんですねー!

このスカジットヴァレーの4つの発電所が結構大きなパートです。
Diablo 湖の発電キャパシティは159.3メガワット。水力発電中の8.8.%。
Seattle City Lights の資料より)

ちなみに原子力発電所は州の南のほうに1カ所あって、シアトルで使う電力の6.4%はそこから来てます。



ダムの上を気軽に車で渡れます。ここのダムは1930年完成。ニューディールより前の時代。
そういわれてみれば、このライトは大正ロマン風なデザイン。20年代だったんですね。



 80年選手、現役で電力を作ってくれています。
 後ろに見えるのはマッターホルン風の「Pyramid Peak」。「ピラミッド山」って、ストレートな命名です。


すごい水しぶき。
カスケード山脈の雪解け水が、シアトルを照らす電気を作っていたんですねぇーーー。

これも帰って来てから初めて知ったのですが、シアトル・シティライトと国立公園の共催で、発電所見学ツアーや湖のボートツアーが行なわれています。要予約で夏季限定。発電所ツアーは年に数回しか開催されず、残念ながら今年の分はもうSold Out 。


Newhalemのシティライト施設ツアーや湖上ボートツアーはまだ予約できます。サイトはこちら。

参加費はランチつきお一人さま30ドル以下。お得だと思います。面白そう。




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2012/06/29

ダウンタウンにもうすぐ開店。


シアトルダウンタウンに、もうすぐ開店。          ↑↑↑

7月26日オープン予定だそうです。

看板に「TARGET」と掲げず、トレードマークの「二重丸」に「city」とだけ小文字でかいてある。ブランディングが上手です。





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2012/06/28

なつかしい丸太商店




George Town の外れ、高速入口近くにひっそりとある丸太商店。お弁当がおいしいという噂を聞いておりました。

うちのCTちゃんがこの近所の Seattle Design Center に卒業制作作品を出品したので、お昼を買いに寄ってみました。



一歩中に入ったCTちゃん、「うわここホリマートそっくりっ!!」と叫んだ。

ふるさと富山の実家の近所にある、おばちゃんが1人でやっているお店に良く似ているのだそうです。

ただ残念ながらホリマート名物だというモツ煮込みはありません。

細長い店内に、お米、日本のスナック菓子、野菜、お惣菜などが並び、お弁当のコーナーもあって、奥のキッチンで丼ものも作ってくれます。


親子丼もあるしー、カツ丼もあるしー、牛丼もある。キッチンは午後3時まで。


お弁当コーナーには「冷やし中華」「塩焼き」などの魅惑的ラインナップが。



カツ丼買って帰りました。6ドル弱。 良心的なお値段かも。
すごーくおいしいのではないけど、 懐かしい味というか。お米がちょっと残念でしたが、肉厚のカツは食べごたえあります! 

丸太商店、なんだかハワイにありそうな感じのお店です。少し前のハワイっぽい日本食。
日系テイストな日本食スーパーです。



 
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2012/06/27

学校の地下に、謎のFallout Shelter


息子の通っている高校には、「Fallout Shelter」があるそうです。

「すごく広いんだよ」と興奮して言うので、「フォールアウト・シェルターって、なに?」とまず基本的なことを聞いてみる。

そしておどろいた。
Fallout というのは、核ミサイル攻撃があったあとに降って来る「死の灰」などの放射性降下物のことなのだった。

爆撃のインパクトを避けるための blast shelter というのもありますが、fallout shelter は核攻撃の後、地上の放射能が低レベルになるまで閉じこもるために作られたシェルターなのだそうだ。

そしたら、先日、今取っているアメリカ現代史の授業でこのシェルターが話題になった。

1960年代始めには、ソ連の核ミサイルがアメリカ本土に飛んでくるという可能性が、ほんとうにリアルに感じられていて、全米で学校や家庭に核シェルターが作られていた、という話。

ウィキペディアの記事にも学校のシェルターの写真が掲載されてます。60年代に建設された学校では、地下に核シェルターを作るのがけっこうふつうだったのらしい。

友人も、シアトル市内の家の地下にあった(今はゲストルームに改造済みの)核シェルターの話をしてくれました。


息子の学校のシェルターは、講堂に秘密の入口があって、本当は立ち入り禁止なのだろうけれど特に封印もされておらず、息子は上級生にこの入口を教えてもらって、友達と忍び込んで探検して来たようです。

毎年、このヒミツの入り口は、上級生から次の学年にこっそりと伝えられているらしい。

以前は飲料水などが備えられていたのかもしれないけれど、いまはだだっ広いだけのスペースで、いくつかの部屋に分かれていて、巨大な換気装置のようなものもあるそうです。

ジムのロッカールームの入口に「Fallout Shelter」のサインが掲げられているので、おそらく「正面入口」はロッカールームのどこかにあるもよう。ロッカールームからの入口はもういつのころからか塞がれているようで、少なくとも生徒は誰も知らないそうです(当然、校長先生たちはご存知だと思いますが)。

ロッカールームには入れないので息子に写真を撮ってきてもらいました。

でもこのシェルター、たとえ講堂の2倍の広さがあったとしても、数百人が数週間閉じこもるのはどう考えても無理な設備です。

ちなみにこの高校の生徒数は約1200名。生徒全員が避難したら、すぐに窒息しちゃいますね。

シェルターの建設費用は連邦政府の機関から出たのかもしれませんが、誰のためにどのくらいの規模で運営されるはずだったのかは謎です。

FoxNewsの記事によると、グリーンレイクの近くにも同様のシェルターがあるそうです。

こっちのシェルターは「プロトタイプ」として連邦政府のお金で建設され、「先着200名」が誰でも利用できるようになっていた、という話。

この記事でも歴史家が指摘しているとおり、お金を出してシェルターを作ったものの、実際に先着順にシェルターに入った200名が核戦争を生き延びたとして、その後どうするの、みたいな具体的な計画は何一つなかった、というたいへんずさんな施設ではありました。

この学校のシェルター施設を作った人は、いったい何を想定していたんだろう? 

実用というより、むしろ政治的なエクスキューズ、または気休めのために作られたのではないかな。


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