2012/06/03

カヌーでビーバーハウスに行って来たの巻(その2)


ビーバー家訪問記のつづきです。

この間岸からみた植物園の「鴨湾」("Duck Bay" 笑)、を横切ります。
ごはんをあげる人がいるようで、カヌーをみると寄って来る鴨たち。何もあげないよー。


先日渡ったトレイルの橋の下をくぐって狭い水路へ。


左側が植物園のFoster Islandトレイル。右側はビーバーの森です。

ここはビーバー地帯です。
両岸に生えている木のほとんどは、幹の下のほうが齧られて皮がなくなってます。
倒れている木はみんな、ビーバーの仕業と思われます。


ノミで削ったような歯形も新しくくっきり。齧られて幹がむき出しになった樹には立ち枯れているのもありました。

たいして広くもない地帯に、いったい何匹ビーバーがいるんでしょうか。 すぐに木が全部なくなっちゃうんじゃないかと少し心配にもなります。

グーグルマップで見ると「森」はホントにちっちゃくて、すぐ後ろにゴルフ場と住宅街が広がってるんですよねー。

うちの船頭さん。

ビーバーは草食。 ハンノキやCottonwood (ハヒロハコヤナギ/ポプラの仲間)を好むそうで、齧られて倒れているのはハコヤナギが多かったようです。

ハコヤナギの綿毛が雪のようにふわふわ舞って、水の上にもたくさん落ちていました。


後ろでオールを操っていた息子が、この木の横あたり ↑ でビーバーを目撃!
すぐに水にもぐってしまって、私は見逃してしまいました。

しばらく静かに待ってみましたが、もう出てきませんでした。


ビーバー水路を抜け、湖上に戻って、フォスターアイランドを回って帰ります。

このあたりのマーシュは、鳥の世界。

cat's tail (がま)や灌木の生えている中に静かにカヌーをいれてみると、がまの間に大きなアオサギがじっとしていたり、珍しい種類の鴨が横切ったり。

ツバメもたくさん飛び交ってました。

赤い肩章のあるブラックバードRed-winged Blackbird が枝の上で特徴のある変な歌を歌っています。喉の奥でトリルをきかせながら叫ぶような、一度聞いたら忘れない歌です。


 アオサギを驚かしてしまいました。

上の写真の、アオサギが飛んでいくずっと先に街灯があるのが見えるでしょうか。州道520号の橋の街灯ですが、ここにハクトウワシがずっととまっていました。この間植物園で見た若いワシとは別の、もう頭が白い立派な成鳥でした。


島を左に見て、暗くなりはじめた湖を横切って戻ります。正面にあるのがユニオン湖への運河入口。  

のんびり約1時間半で一回りしました。
曇っていたし夕方だったので、ほかには小さな男の子を二人乗せたお父さんのカヌーが出ていただけで、とても静かでした。お天気の良い真昼間よりも、生きものを見るならこのくらいの時間のほうが良いのかも。

このあたりをいつもカヌーでお散歩しているScott Schuldtさんのブログ『The View From the Canoe』はお勧め。 生きもののすぐ近くにすーっと寄っていけるのがカヌーの良いところですね。

また近いうちに行きたいです。この次こそビーバーに面会をお願いしたい。


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2012/06/01

カヌーでビーバーハウスに行って来たの巻(その1)


というわけでこの間の連休に、ようやく野良ビーバーの家を見に行くことができました。

この間行った植物園の水上トレイル近辺を、今度はカヌーで訪問しました。

ワシントン大学のWaterfront Activities Center(ウォーターアクティビティーズ・センター)でカヌーを借ります。

ウォーターアクティビティーズ・センターは、ハスキースタジアムの脇の今工事中のところを入っていった先にあって、18歳以上で身分証明書があれば誰でも借りられます。

お値段はこちら。一般だと平日1時間8ドル50セント、週末は10ドルです。
カヌーもロウボートも同じ値段。

シーズンは2月1日から10月末日までで、だいたい日没まで営業です。今時分だと午後8時半まで。9時頃まで明るいですもんね。日が長くなりました。

わたしたちが行ったのは午後5時半頃。曇り空で、写真はかなり暗めに写ってますが、まだまだぜんぜん明るかったです。


ボート置き場の近くにある窓口で身分証と引き換えにオールとライフベストを貸してくれるのですが、カヌーは並べてあるだけ。係の人がいるわけでもなくて、勝手に選んで乗ってってねという、さすがアメリカ!なアバウトさ。

最初は運河への水路(ワシントン湖からユニオン湖への水路で、モーターボートやヨットがたくさん通行しています)を横切るのでちょっと怖い。

ドキドキしながら必死で対岸の植物園を目指します。


 小さな橋をくぐって植物園側へ。とても静かな水の旅。いろんな鳥の声が聞こえます。


ハイウェイ520号やその出入り口の支線の橋下を何度かくぐります。かなり低いので頭をぶつけないように、かがまないといけません。


水際の草むらのなかに、雛を連れた小さな水鳥がちょろちょろ出入りしていました。
水玉模様の鴨やカイツブリ。ふだんあまり見かけない種類の水鳥も、カヌーからだとたくさん見ることができます。

双眼鏡と300ミリレンズがほしい。

鳥をあまりおどかさないように、リリパッド(睡蓮)の間にひらけているカヌー用の道を通ります。


あったあった、ありましたよ。ビーバーハウス。 520号を通るたびに車の窓から目撃していたのだけど、近くで見てみたかった。 ほんとに高速道路のすぐそばにあるんです。


近づいてみた。ワイルドな外観です。
さしわたし10メートルは優にある巨大ビル。 (Beaver Lodge というそうです)。
中に住んでるのかな?空き家?

でも葉のついた新しい枝が足されているようなので、きっとまだ建築中なのでしょう。
 住人は出てきませんでした。

つづく!!


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2012/05/31

Lockdown

 

今日はわりに近くで銃撃事件があって、 カフェで5人、ダウンタウンの路上で1人が撃たれて4人が死亡、犯人も逃走したあと銃で自殺したという衝撃的な事件がありました。

ここは本当にシアトルですか?と思うような一日。
どちらの現場も良く通る場所で、ぞっとしました。

ダウンタウンも大混乱だったようだし、ノースシアトルの現場に近いルーズベルト高校などいくつかの学校は即座にlockdown されたと報道されました。

コロンバイン高校の銃乱射事件以降、どこの州の学校でも、近くで銃がからんだ事件があって犯人が捕まっていない場合には、すぐさま学校のすべての入口を封鎖して誰も入れないようにする「lockdown」を実行しているようなのです。

ハワイにいた時にも一度、何だったか忘れたけど武装犯人が逃走した事件が起きて子どもの通っていた小学校がlockdown されたことがあり、その時初めてそんな制度があることを知りました。

lockdownが解除されるまでは親も学校に近づけないし、誰も出入りすることができません。
ウェブ辞書だと「避難」になっているけど、「封鎖」のほうが合ってます。
ぴったりの熟語はありませんね。ていうかそんな日本語が出来ないことを祈ります。

息子によると、年に一回くらい、fire drill(火災訓練)のような「lockdown drill」があるんだそうです。

訓練の時には窓のそばから離れ(外から撃たれないように)、机の下に隠れたりして、教室には鍵をかけるのだそうです。廊下にいた場合は、閉め出されないようにすぐに一番近い教室に飛び込むこと、と指導されているようです。

いまだかつて外で事件をおこした凶悪犯人が学校に乱入して立てこもったという事例は聞いたことがありませんが、親的には、近所で銃撃があった時には学校を封鎖してくれるとやっぱり安心…。






この間サッカーの試合で行った高校のグラウンドの金網にも、↑こんなサインがかかってました……。この刃物も怖いし(泣)グラウンドじゃなければいいのかー! (´;ω;`)


人ごみの中でも渋滞の中でも、誰が銃を持っているかわからないのがアメリカですね。
お願いだから規制はもっと厳しくしてほしいです。簡単に買えすぎだよー!


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2012/05/28

リトルサイゴンのタマリンド・ツリー


夜ちょっと遅めにごはんを求めてさまよっていた時にUrban Spoon で見つけたお店、インターナショナル・ディストリクトの Tamarind Treeです。

インターナショナルディストリクトでも、坂道を上がって来てI-5をくぐった先のこのあたりは、「リトル・サイゴン」と呼ぶ人もいるベトナムタウン。

Tamarind Treeは、ベトナムな食料品店や小さなお店が並ぶ長屋モールの一番奥に(上写真の一番左側)ひっそりとあります。最初に行ったとき、iPhone のグーグルマップを頼りに暗い駐車場に乗り入れたものの、なんだか怪しい雰囲気満点で、絶対間違ったよここじゃないよね、と言っていたら、目の前にあった。しかもパープルの光に照らされて。周りのお店とまったくそぐわないモダンな外装&内装で感動しました。


だって隣の隣はドリアン売ってる市場なんですよー。この市場も魅力的だけど未訪です。


最近、個人的に生春巻きのブームです。
生春巻きはホノルルで数回食べたあと、おいしいと思ったことがなくて敬遠していたのだけど(これでもかー!というくらいヌードルがもっちり入っていた気がする)、シアトルに来てからいくつかのお店で食べてみた生春巻きがとても新鮮なおいしさでした。

レタスの量がヌードルよりも圧倒的に多くて、サラダのようにしゃりしゃり食べられるのが好きです。ヌードルとお肉や海老はちょろっと添え物程度に入っているくらいがよろしいです。
メニューは「Salad Roll」 になってるところが多いですね。ホノルルではSummer Rollと呼んでるお店が多かったと思います。

ここのも皮が紙のように薄くてもちもちしていて、ヌードルとレタスのほかにぱりぱりのおせんべいのようなものが真ん中に入っていて、しゃりしゃり感を複雑にしており、大変いけてます。
 生春巻きはもしかして、お寿司並みにシンプルかつ実力のあらわれるお料理なのかもしれませんね。


最初に行ったとき、息子の高校のサッカーチームのコーチと入り口で鉢合わせしました。
大学出たてのイケメンコーチです。ガールフレンドのリクエストでテイクアウトをしに来たのだそうで、息子に「これ絶対おいしいから」と薦めてくれたのが上の「Baby clams rice cracker」。

まさかこんな満月のようなおせんべいが載ってくるとは思わなかったので驚きました。
シジミ風の小さな貝の炒め煮のようなものが、どんぶり一杯入ってます。佃煮なみに味が濃かったです。お酒の肴に良いかも。

Tamarind Tree
1036 S Jackson St Seattle, WA 98104
(206) 860-1404
月〜木&日曜日 10 am - 10 pm
金曜&土曜 10 am - 12 am

遅くまでやってるので、ごはんを食べ損なったときの味方です。

シアトルのベトナム人口は、サイゴン陥落の1975年までは皆無だったのが翌年には町が出来るほど急増したそうです。

この辺のお店はいろいろ探索してみたいところがいっぱいです。



いつもありがとう。
よかったらまた来てくださいね〜!

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2012/05/26

植物園の水辺のトレイル


Washington Park Arboretum(ワシントンパーク植物園)の湖岸のトレイルに行ってきました。

地図はこちら。

植物園のビジターセンターの方に行く入口の当たりのパーキングに適当に車を停めて水辺に下りていくと、水際にトレイルがあります。


この辺は「Duck Bay」。ほんとにいっつも鴨が群れているところ。



ボートやカヌーの人々も行き来してます。

小さな橋を渡って草地の中をしばらく歩きます。

歩く時はポケットから手を出しなさいね。

ハイウェイ520号の下をくぐってしばらく行くと、ユニオン湖に面した、広々した草地に出ます。


ここはピクニックにぴったり。湖に面したピクニックテーブルもいくつかあります。
向こう岸はワシントン大学のあたり。



巨大レンズを持ったお兄さんが芝生に寝転がってじっとしているので視線を辿ると、大きな樹の梢に若いハクトウワシがとまっていました。一応狙ってみたけど50ミリレンズじゃ無理でした(笑)。



拡大図。

これでもなんだかわかりませんね(笑)。まだ若いので頭が茶色いワシでした。巣立ったばかりなのかも。

草地の先がMarsh Island へのトレイル。ここからはどろどろ道です。



Marsh (湿地)のあちこちに黄色いアイリスが咲いていました。


Marsh Island の道、水位が上がったのかなんなのか、橋の一部は冠水しているし、ベンチは沈みかかっているし、道のかなりの部分はドロドロのぐちゃぐちゃです。

沈みゆくベンチ

半分沈んだ橋を渡る人々。右手がMarsh Island。


上の写真の橋です。

 濡れても良い靴にしなさいって言ったのに、お出かけシューズで来た少年。


橋をなんとかわたると、このような道が待っています。
かなりなアスレチックコースです。

ハイウェイ520からも見える、野良ビーバーのダムを近くで見てみたかったのですが、このトレイルからは見えなくて、残念でした。


代わりにこんな生き物が〜。(本当はこのトレイルは犬、自転車、ジョギングはNGなのですが、ジョガーもわんこも結構いました)。 この子はおなかが盛大にドロドロで、チョコレートディップ犬状態。本人は超張り切ってました。車に乗せて帰るの大変そうww


Marsh Island の端っこあたり。カナダガンの親子が護送船団方式で移動中でした。


首を曲げたり伸ばしたりの変な首ダンスをしながらボートの間を驀進するカナダガンたち。周りを威嚇しているつもりなのかもしれませんね。

Marsh Island の橋を渡ると、Museum of History & Industry の前に出ます。(この博物館はもうすぐ引っ越すようです)。こっち側にもパーキングがあります。

帰りは520の橋を渡って、乾いた道を通ってDuck Bay の方に戻りました。

ゆっくり歩いても片道30分もかからないお散歩コースで、水辺の景色が楽しめますが、足もとが大変チャレンジングです。
次回は水上から訪ねることにします! 


いつもありがとうー。
良かったらまた来てくださいね!
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2012/05/25

フリーモントのイスタンブール市場


先日時間が少しあったので、隣町Fremont へ行ってきました。

今回はレーニンにもトロルにも会わず。

代わりにバスを待つ人々の前を通ったら、超いい加減なハワイアン仕様になっていました。というよりサラリーマンが仮装パーティでフラガールの格好をしてへべれけに酔っぱらったというような仕様。この人たちはいつもこんな感じでいろんな格好をさせられています。

急に生春巻きが食べたくなったので橋の近くにあるタイ料理屋さんに行ってみたのですが、全体にいまいちでした。
角のギリシャ料理屋さんCostas Opa は、何度か行ったけどおいしいかったですー。(バスを待つ人たちの前)

ギリシャ料理屋さんの前に置かれていた「Store Closing Sale!」という看板にひかれて、ちょっと先のIstanbul Imports というお店に行ってみました。


スカーフ、アクセサリー、スカート、絨毯、鍋、虫眼鏡、その他いろいろながらくたガジェットがぎっしり置かれている店で、小太りの商売上手なおばちゃんがひっきりなしに喋りながらお客さんの相手をしてます。カウンターでトルココーヒーを作ってくれるというのでさっそく注文(3ドル)。どろっとして粉っぽいコーヒーを飲みながら、まとまりのない店内を見物しました。

「お店はいつまでやってるの?」と聞くと、「多分6月の末までね。まだ決めてないけど」って、 まだ閉店しないんじゃん!!(笑) 

インポートのお店は廃業してカフェを開くことにしたのだと言うのですが、なんだか年末までやってそうな雰囲気もするイスタンブール・インポートでしたw

なんだか乗せられた感いっぱいで、値段もめちゃくちゃ安くもないけど(シルバーのイヤリングを購入、18ドルなり)、おばちゃんが面白くて市場に行った感が楽しめたから、ゆるす。




スーパーのPCCの近くには、満開の見事な藤の花がいっぱいに咲いている素敵ブティックがありました。
オーナーさんが自分の家から持って来て植えたものだそうです。 

トルコの市場もあればこんな落ち着いた雰囲気のお店もある、バラエティ豊かなフリーモントです。




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2012/05/24

School Lottery



Great Schoolsの記事にこんなくだりがありました。


As parents in a big city with a competitive school lottery, we know the importance of choosing the right school for our children.

 (人気公立校の抽選枠争率が激しい大都市で子どもを育てる親として、子どもにとって最適な学校選びがどれほど大切か、私たちは皆よく知っています。)

この「a competitive school lottery」って、アメリカの公立校に子どもを通わせたことのある方なら多少なりとも悲喜こもごもの思い出がある言葉ではないかと思います。

が、日本やほかの国の方には、たぶんピンと来ないのではないでしょうか。

「school lottery(学校のくじ)」=入学のための抽選枠、ということですが、どうして公立校に抽選枠があるのかというと、アメリカの公立校は学校間でものすごい格差があるからです。

私が子どもの時通っていたのは東京都内の区立小学校でしたが、どこどこの小学校は良いとか全然ダメとか、中野区は良くて杉並区はいけないとか、そんな話は聞いたことがありませんでした。
現在はどうなのでしょう?多少はあるのかな?

地域によっても違うのかもしれませんが、少なくとも昭和後半(後半ですよ、一応ね!)の東京郊外では学校間の格差、学区間の格差というのはほとんどありませんでした。

今思えば、どこの小学校にも図工と音楽の専用室と専任教師があり、音楽室にはちゃんとしたグランドピアノがあり、広い校庭とプールと体育館があった。…って、アメリカの公立校に比べたら、考えられないほど素晴らしい環境です。

ハワイ州でもワシントン州でも、公立はもちろん、私立校だってそこまでの設備がある小学校はほとんどありません。音楽室や美術室どころか、音楽や美術の時間も、予算の都合で存在していない学校のほうが多いです。

アメリカの学校には連邦政府からあんまりお金が出ていないので、ほとんど地方税でまかなわれています。ハワイのように州が一括して管理しているとこもあれば、もっと小さな単位の自治体で学校を運営しているところもあります。

シアトル市の学校はシアトル市の運営で、予算の半分は州から、約4分の1が市の目的税(School Levy)からで、国からの補助金は13%に過ぎません。(参考*Seattle Public Schools


ハワイ州は(シアトル市も)予算を学校に均等に(生徒数に応じて)分配しているはずなのに、それでも学校間に差が生じるのはどうしてなんだろう、と最初疑問に思っていました。

学校間でパフォーマンスに差が出る理由は色々ありますが、裕福な地域に優秀な学校が集中するのはまぎれもない事実です。

Great School などのサイトは、生徒の全国平均テストの点数や先生と生徒の割合などで各学校に「点数」をつけていますが、この点数が1から10の評価で8~10の高得点 の学校は、かなりの割合で地価の高い地域にあります。

学校の評価が良いと学区にある住宅の値段も高くなるので、不動産価格と学校のスコアはほぼ比例関係にあるといってもいいくらいです。

各自治体でシステムは違いますが、シアトル市やハワイ州では各学校に学区外からの「越境入学」枠がそれぞれあって、人気学校には希望が殺到します。これがschool lottery枠です。 

子どもを12年間公立の幼稚園~高校に通わせてみた実感として、ハワイでもシアトルでも、優秀な学校は

1)落ち着いた住宅街の恵まれた環境にあり、コミュニティからも強くサポートされている。
2)その学区に子どもを通わせるため、子どもが学齢期になる前から引っ越して来る親も多い。>コミュニティからのサポートがさらに強くなるし、学校への金銭的・時間的サポートも強い。
3)学区外からの越境入学を希望する親は概して教育熱心で、学校にも積極的に関わるし、子どもにもお尻を叩いて勉強させる
 4)教育熱心な親が多いので学校全体の成績が上がる

…という良循環によってどんどん明るくなって行くのに対して、問題のある学校は、真逆の悪循環にはまっているようなのです。

1)比較的平均世帯収入の少ない地域にあり、治安も良くない場合が多い。コミュニティからのサポートが薄いことが多い。
2)教育熱心な親は遠くてもほかの学校に通わせたがる。時間やお金を使って学校をサポートする親の数が少ない。
3)移民が多い地域では子どもの教育にまで手が回らない親も少なくなく、勉強時間も確保されないので、子どもの成績も上がらない。それどころか学校に来ない子どもも多かったりする。
 
親たちからの時間的/金銭的サポートというのは、慢性的に予算の少ない公立校ではかなり大きなファクターです。

ハワイで人気公立校に子どもを二人越境で通わせていた知人は、学校に「感謝の気持ちとして」数千ドルはすると思われるポータブル倉庫をぽんと寄付してましたし、校舎のペンキを塗ったり草を刈ったりといったボランティア活動やPTAの寄付集めにも、越境で通わせている熱心な親は積極的に参加する確率が高いのです。





で、冒頭のこの記事は、そうやって希望の学校に入ったは良いけれど、今度は「良い先生」が自分の子どもの担任になるように働きかけるべきかどうか…と悩む親の話でした。


希望の学校に子どもを入れ、最善の環境を提供するためにあらゆる手段を駆使する親の中には、いろいろな手段で先生のチョイスに働きかけようとする人も多いようです。

これは日本で問題になった、要求だけをゴリ押しする「モンスターペアレント」とは全く違って、学校に多大な貢献をしている親たちです。PTA活動にも熱心で、時間もお金も出している親は自然と学校とのパイプが太くなり、公式にではなくとも影響力が強くなるというのはうなずける話です。

実際、12年間の間にははっきり言ってやる気がないとしか思えない先生、子どもが嫌いとしか思えない先生、自分のやり方を押し付けることしか出来ない先生にもお目にかかりました。
反面、感動するほどエネルギッシュで、生徒をインスパイアしてくれる先生にも何人か会いました。

アメリカでは教え方やカリキュラムもかなり先生の裁量にまかされているので、同じ学校でも先生によって大変な差が出て来るのは事実です。

でも先生のチョイスに親が口を出すべきか。出せるのか。

記事の著者は、何も言わなかったことで「とても評判の良い先生」のクラスに娘が入れなかったのにはやはり悔いも残る、下の娘の時には、子どもにどんなスタイルの学びが必要なのか、きちんと主張しようと思う、というような結論を述べていました。

親の努力やリソース次第で子どもの学ぶ環境にも結果にも大きな違いが出るのが当然、ということが前提になっているアメリカの公教育。飛び交う情報を集めて、ベストと思う学校を選び、子どもが入学できるように最大の努力を払い、さらには学校内でも先生について情報を収集して、子どもがどの先生に当たるかにもいろいろ運動する、当然学校の活動には貢献するし、子どもの宿題もばっちり見てやる。…というのが「できる親」、みたいなことになっているので、親にとっても相当ストレスです。わたしはとてもそんなパーフェクトなことはできないので、焦ったり、罪悪感を感じたりもしました。

同じ学校内でも格差があるから、親が受身ではいけないということと、親が子どもに常に期待値を示していかなくてはいけない、というのは何度も痛感させられました。(もちろん、期待通りには育ってくれないものですが、それはそれとして…) 

学校にも個性があって、画一的でなく、いろいろなチョイスがあるのは大変良いことだと思いますが、とにかく積極的に情報を集めて動ける余裕のある人勝ちのシステムだから、結局格差はそのまま受け継がれることになるなあ、というのも実感です。


いつもありがとう!
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