YouTubeでバッハをきいていたら、AIにおすすめされたマタイ受難曲。
なんと、ミュンヘンのテルツ少年合唱団と、バロック楽団ミュンヘン・ホーフカペレの、聖堂らしき会場でのライブ・コンサートという、お宝映像でした!
2017年のコンサートです。素晴らしいーーー。
テルツ少年合唱団は日本でもファンが多く、何度か来日公演もしてますね。
わたしは80年代にたらさわみちのマンガ『バイエルンの天使』で知ったのでした。「プチフラワー」と新書館の「グレープフルーツ」で連載読んでました。内容はうっすらとしか覚えていないけど。
(いまWIKIを読んで、「グレープフルーツ」の存在を思い出した。萩尾望都、大島弓子、佐藤史生、坂田靖子。少女マンガからスピンオフしたちょっとマニアックなマンガの黄金期でしたねー。雑誌もいっぱいあったし!!SF系が多かったな)
その後とくにフォローしてたわけではないんですが、この映像を見て、何十年かぶりに『バイエルンの天使』を思い出しました。
ソプラノとアルトのアリアは、交代で少年たちが歌ってる。もちろん、大人のプロ歌手にくらべると繊細な表現や技術には欠けるけれど、天使だよ天使。
第一部のアリア「 Blute nur, du liebes Herz!(血を流すがよい、汝、愛する心よ)」(15.44)は、4年生くらいの、ハリー・ポッターみたいなメガネ少年が歌っててカワイイ。髪の毛が寝癖みたいに立ってるとこもwww
ソプラノとアルトの二重唱「So ist mein Jesus nun
gen」(こうしてイエスは捕らえられてしまった)(52:50)
は、透明感半端ない。天使の声だ。
そしてね、一番出番の多い「福音史家」、これは金髪のテノール歌手の青年が歌っているのだけどね、この青年がなかなかのイケメンですよ。
Benjamin Glaubitzさんという、クリーンな正統派ドイツ青年。
ヘアスタイルも分け目正しい。
歌声も素晴らしいし、凛々しくも繊細な表現が福音史家にぴったりで素敵です。
イエス・キリストはバリトンのSamuel Hasselhornさんという方。
こちらは外見がGEICOのちょっと昔のCMに出てた知的な穴居人を思わせる(いやあれは今ではNGだよね)ワイルドな髪型で、これもキリストの役柄にぴったりの、権威ある声が素晴らしい。
この二人の強烈なコントラストが、少年たちの合唱を背景に際立つことこの上なし。
「 Geduld! Wenn mich falsche Zungen stechen (耐え忍べ、私を偽りの舌が刺すときも)」(1:12)のテノールのアリアも繊細で素敵なのですが、伴奏のヴィオラ・ダ・ガンバが雰囲気のある素敵なイケメンで、そちらに目がくぎ付け。
この受難曲中でたぶんいちばん有名なアリア「 Aus Liebe will mein Heiland sterben (憐れみ給え、我が神よ)」(01:40)は、わたしも超超大好きな曲なのですが、これだけはちょっと違和感あった。ソロのヴァイオリンが華麗にでしゃばりすぎなで、テンポが先走ってる感じ。このアリアは、特にこのヴァイオリンの部分など、イタリア的な要素が多いのかな、もしかして。初めてそんな印象を受けたのですが。とにかくヴァイオリンのおっちゃんはイタリアっぽかった。所作が。
「Aus Liebe will mein Heiland sterben (愛ゆえに、私の救い主は死のうとしておられます)」( 1:40)。このアリアを歌ったソプラノの美少年は、ほんとうに綺麗な声です。
もちろんドイツ語なんてぜんぜんわからないので、このサイトの対訳にお世話になっています。
そしてこの指揮者も大好きー。顔と手の表情がとても雄弁で、ほんわかします。結婚するならこういう人がいいよ。
古楽器だけの小さな楽団と少年たちの合唱。狭い舞台の上での演奏がとても親密で、今まで聴いたなかで(そんなにすごくたくさん聴いてませんが)かなり好きなマタイ受難曲でした。
テンポもかなりゆっくりで、丁寧な、心のこもった演奏だなあと思いました。
子どもたちの個性も豊かで、ぽっちゃり君もいれば優等生っぽい子も、ずっとキョロキョロしてる内気そうな子もいて、『バイエルンの天使』思い出した流れもあって微笑ましくてならぬ。
この少年たちは今、どうしているのでしょうね。
こんなにぎゅうぎゅうに人が集まって合唱を聴くことが、また可能になるのはいったいいつのことか。と思うと、かなり切ない。
世界にはなんだかたくさんの災厄がふりかかっていますが、人類にはトゲトゲした嘘つきもたくさんいれば、優しい人もたくさんいる。
人類はこんなに美しい物語を長年たいせつにしてきたのだから、もうそろそろ、くだらぬ争いと怖れを卒業してはどうか。と、神様が言っているように思います。