というわけでスミス・タワーの35階。
以前は重厚な中国風家具が置かれた「チャイニーズ・ルーム」と呼ばれてました。
以前は絨毯が敷かれていた床も木のフローリングにして、モダンな家具の間に以前のチャイニーズな重そうな椅子とテーブルがいくつか残されてます。
1920年代、スミス・タワーができたころは禁酒法の時代。
「スピーク・イージー」と呼ばれたその頃の秘密酒場をイメージして、バーが新設されました。
その名も「
Temperance」。「
禁酒」という意味らしいですけど、お酒売ってます。
ここ観に行ったの平日の午後だったんだけど、熟年カップルやプロフェッショナルな感じの落ち着いたグループでそこそこ、こんな感じににぎわっていて、港を眺めながらワインやウイスキーを飲んでる方が多かった。
熟年カップルのデートスポットって感じだな。
若いカップルと観光客も何組かいたけど、居心地よさそうにしてたのは40代くらいのカップルだった。
バーは、午後11時まで、木曜〜土曜は深夜12時まで営業。
「お客さん入ってるの?」ときいたら、「うん、結構来てるよ。とくに週末は」とバーテンダーのお兄さんは言ってました。
キュートなお兄さん。禁酒法時代のかどうか知らないけど立派なレジスター。
いろいろカクテルもあるらしい。
ここのバーにくるにもチケット($10)を買ってエレベーターに乗らなきゃいけないんだけど、まあクラブのカバーチャージと思えば普通の値段か。
このへんに最近入居したオフィスの可処分所得の高いニューカマーたちにとっては別にどうってことないプライスなんでしょう。
ファニチャーはなんだか、バッラバラ。
ミッドセンチュリーモダン風と80年代のディスコ風と中華風と1920年代風が混沌ととなりあっている。
でも床と天井がびしっとしてるし、眺めはこのとおり。全体に落ち着いた大人のラウンジって雰囲気ではありますよ。
お茶を頼んだら、こんな鉄瓶がでてきた。
むやみに重いんですけどーwww。
そして小腹がすいたので「点心」というメニューをみつけ、それをたのんでみた。10ドルでちっちぇえギョウザとシュウマイが4つばかりに、妙な自家製キムチがついてきた。
この点心はおすすめしないなー。
天井の立派な彫刻と、その中にはめ込まれた手描きの絵皿は以前のまま。
あのですね、この旧チャイニーズ・ルームの調度、以前は清國最後の王朝の「西太后に贈られた」って、堂々と書いてあったからつい信じちゃったんだけど、これは
都市伝説だったようです。
エレベーター下りたところに、スミス・タワーについてのトリビアコーナーが作ってあって、そこに「ウソでした」って書いてあった…。2012年にはコラムにも書いちゃったなあ。ソイソースの編集長、申し訳ございませんでした。
そして、このビルは、1970年代には、クラムチャウダーで有名なIvar's のIvarさんが所有していた、というのも今回初めて知った。
この人は水中に広告のビルボードを作ったと主張したり、なにかとマーケティングの上手なカラフルな人物だったみたいで、どうもチャイニーズルームを拡充して都市伝説をひろめたのはこの人だったのではないかという気がしないでもない。
天井の絵皿は、清國ではなくて、スミス・タワーを作った親子の出身地、ニューヨークのシラキュースで造られたものだそうです。
「西太后の椅子」として有名だったこの椅子「Wishing Chair」は、健在。
未婚で結婚したい女性が座ると1年以内にお相手が登場するという伝説つきの椅子。この伝説ももしかしたらIvarさんが作ったんじゃないかという気がしてきたよ。
鳳凰と龍で飾られた立派な椅子です。威力を試したい方はどうぞ。
35階というのは(42階建てではあるけど、この上は機械室と屋根裏を改造したペントハウスがあるだけで、ここが一応の最上階)今では特に高層ではないのだけど、スミス・タワーはダウンタウンのいちばん端にあり、周りに高いたてものがないので、わりあいに景色が開けている。
港の方面。
コロンビア・センターの隣に建設中のビル。
手前は
せいうちビルディング。
このすぐとなりの空き地はシアトル市の持ち物で、もうかれこれ10年以上ずーっと空き地らしい。開発計画が何度も立ち消えになったらしく、
こんなに建築ブームのシアトルの真ん中にあって、まだ売れないしデベロッパーも手をあげないらしいです。
こっち側は、この2年でめざましく変身中のパイオニア・スクエア方面。
スタジアムのすぐ前に新しいコンドミニアムが建設中。
スミス・タワーが落成したのは1914年。
そのときはミシシッピ川の西でいちばん高いビルで、その後も60年代までは西海岸でいちばん高いビルの座を守っていたとのこと。
LAには高層ビルはなかったし。
なかなか楽しい新生スミス・タワーでした。ご夫婦でのデートにおすすめ!