メキシコ・シティに来ています。
友人たちに「メキシコに来ている」というと、なぜか誰もが「新婚旅行?」と聞くんですけど、違います。仕事です。
安全業界関連の展示会があって、日本企業のお手伝いのためにやってきたので、いまのところホテルと会場をタクシーで往復するだけですが、それだけでかなりスリルが味わえています。
メキシコシティの道路は地図を見るとまったく「バイパス」という概念がないっぽい造りで、アメリカの都市の定規でひいたような道路とは正反対。「なんとなくこんなになっちゃいました」というように、あっちにごちゃごちゃこっちにごちゃごちゃと繁華街があって、まとまりなく成長したまんまになってるっぽい感じ。メキシコシティの都市計画について何も読んだわけじゃないので勝手な感想ですけど。
ラッシュアワーは午後3時から10時くらいまで!だそうで、クルマがみんなごちゃごちゃの繁華街を通り抜けてほかのごちゃごちゃの繁華街に流れて行くので、完全なカオスです。
車線があるんだかないんだかよくわからないほど道路はクルマで埋まっていて、赤信号でも交差点にはみ出したクルマが交差する道路の通行を堂々とふさぎ、そのクルマの間をこじあけるようにして他のクルマが割り込んでいきます。
ここではドライバーの強固な意思だけが道路を制するようです。
渋滞の列に有無をいわさず斜めに割り込み、合図もなにもせずに車線変更し、するするとすり抜けていくタクシー運転手さんの超絶的な技巧には、思わずひぃぃ!と冷や汗の出そうな瞬間もあるものの、感動を覚えてしまいます。
今日乗ったタクシーの運転手さんも、笠智衆みたいなおっとりしたしゃべり方のおじいちゃんだったのですが、ニコニコ話をしながら強烈に割り込みをかけ、路地をすり抜け、的確なハンドルさばきで隣のクルマとの間に3センチくらいのスキマを保ちながら車線を変えていくウルトラ級ドライバーでした。
しかも信号待ちのクルマの間には、↑このように、キャンディやなにかを売りにくる人がやってくるし。
でもこれだけカオスな渋滞の中でも、それほどイライラしている人はあまりいないような気がする。
運命を受け入れるように渋滞を受け入れているような。なんとなくそう感じるだけだけど。
タクシーの窓から眺めるだけですが、メキシコシティの建物って、とてもお洒落。
新しいのも古いのも。
この飴売りおじさんの後ろにある市松模様の建築中のビルも、かなりツボです。
古い都市だけに建物のデザインがどことなくヨーロッパ風で、ちょっとした細部がさりげなくかわいい。
気合いを入れるところがアメリカの標準とは少し違うようです。