シアトルの隔週情報紙『ソイソース』で、また連載をさせていただくことになりました。
以前はシアトル周辺の歴史について、なんの前知識もなくいろいろ調べつつ、面白いと思ったことを書かせていただいたのですが、今回はシアトルの「たてもの」の話です。
一回目はこのレーニア・タワー。コラムはこちらです。
このビルは、シアトルに来て間もない頃から、そのキノコ的な形状がものすごく気になっていた建物。
シアトル出身の日系建築家、ミノル・ヤマサキの作品です。
コラムでも書いたとおり、20世紀を代表する不運な建築家といわれる人ですが、相当なシャレ男でプレイボーイでもあったらしい。この人を主人公にした映画を作ったら面白いと思う。
彼の代表作といわれる2つのプロジェクトは、どちらももうこの世にありません。
一つ目は、世界貿易センター。(Wikiより拝借)。
二つ目は、スラム街を解消するためモダンな団地を建てたら、その団地がスラム化し、わずか15年ほどで1972年に取り壊された住宅プロジェクト、「プルーイット・アイゴー」。
これは映画『コヤニスカッツィ』に使われた、プルーイット・アイゴーの姿。
こっちのドキュメンタリーも気になる。建築と計画の失敗だと言われているけれども、それは「伝説」であり建設はスケープゴートにすぎず、本当は政策と社会全体の失敗であって、未だに問題は続いているのではないか、という視点のドキュメンタリー。 YouTubeで全編が公開されてます。
ヤマサキのもうひとつの作品がレーニア・タワーのはす向かい側にあります。
IBMビルディング。こちらは1964年に完成。
その10年後に作られたレーニア・タワーのデザインは、このIBMビルディングの大きなアーチとその上からまっすぐ伸びる印象的な直線というデザインに呼応してる、というか、それをさらに引き伸ばしたものなんですね。
レーニア・タワーのある一画は、ワシントン大学が所有してます。
シアトル黎明期にはダウンタウンにキャンパスがあったので、けっこうな地主なのらしい。
(通りの名前も「ユニバーシティ・ストリート」です。)
このブロックはレーニア・タワー以外は低層建築なんですが、ここに58階建てのビルを建てる計画があります。
Rainier Square 建設プロジェクトのサイトから。
レーニア・タワーの曲線に呼応して、タワーが尻すぼみになっているのと反対に末広がりのデザイン。
シアトルのアイコンのひとつであるレーニア・タワーに敬意を表しています。
ホテルとリテールと200室の高層コンドミニアムになる予定だそうです。
市からは去年末に許可が下りて、着工は2017年、完成は2019年の予定。
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