先日、ダンジネス砂嘴にまた行ってきました。
2年半前には途中で引き返したけど、今回はフル行程を踏破!どや!
……といばるほどのものじゃありませんが。
潮汐表を見ると正午頃が引き潮だったので、午前11時ころに出発しました。
上から見た砂嘴(おととし乗ったデルタ便の窓から)。
ファンデフカ海峡をへだてて対岸にちらっと見えているのは、カナダのビクトリア島。
有名なカニ、ダンジネスクラブの名前は、この地域のダンジネス港に由来してるそうです。
目的地は砂嘴の突端にある灯台。片道5.5マイル、約9キロ。
…遠かった。
このダンジネス砂嘴のあるあたりは、ピュージェット湾やオリンピック半島のほかの部分が雨でもここだけは晴天ということが多い、晴れ多発地帯。出発してまもなく雨がザーッとやってきたので、うぅっと思ったのですが、その後はほぼ快晴でした。
天気晴朗なれども、風がびゅうびゅう。
行きは追い風。さくさくと先を急ぎ、1時間半ほどで灯台に到着。
行けども行けども、砂と流木と石ごろごろの浜。
右側は鳥獣保護で立ち入り禁止の浜です。ハクトウワシがいました。
ついた!
正式名称
New Dungeness Lighthouse(ニュー・ダンジネス灯台)。
1857年からここにあります。
日本ではペリー来航の直後、開国で大騒ぎだったころですね。
西海岸まで国土を広げたばかりの若い国アメリカが、さー次は太平洋だ!と、イケイケどんどんと海軍を送り出していた時代。ここは辺境ながらも国境の要所として設置したのでしょうね。
シアトルだってその頃はまだ、最初の入植者が来てから数年しかたってない、辺境の村でした。
灯台の隣には灯台守の住居だった可愛らしい家が。とても良く手入れが行き届いています。
灯台は毎日9時から5時まで開放されています。見学は無料。
灯台の入り口に一人、灯台の狭い階段を登った上の巨大レンズの横に一人、おじさんがいてニコニコと説明してくれました。
この人たちは 「ダンジネス灯台協会」のメンバーで、ここに1週間滞在しているのだそうです。
どこの国にもけっこう熱心な灯台フェチの方々がいらっしゃいます。
灯台は人を熱狂的に惹きつける何かを持っているようです。
このローカルな協会はファミリー会費50ドルで誰でも入会可。
そして、この灯台で1週間灯台守をして過ごす「
Keeper Program(灯台守プログラム)」というのがあって、ひとり1週間350ドルで滞在できます。
この日いたおじさんたちも、このプログラムで滞在している週間灯台守なのでした。
6歳以上なら子ども連れも可。
この時には、60代くらいのご夫婦が二組とあともう一人の計5名で滞在しているのだといってました。
「ここに1週間、 ずっと一緒に顔を合わせてるんじゃ、ウマが合わないと辛いですね」
といったら、「いやー別に、好き勝手なところにいるし、それぞれ部屋は別だし、あんまり顔合わせっぱなしってわけでもないよ」と。
一人きりで灯台守ハウスを1週間借り切ることもでき、その場合は2100ドル/週だそうです。最大9名収容なので、家族で借り切ることも可。
灯台の上からの眺め。ここにいたおじさんも楽しそうでした。
1泊50ドルで1週間灯台守、いかがでしょう?
もちろんテレビもWiFiも多分ない(と思う)ものの、見学のお客さんにホラ話をしてあげたり、灯台のガラスを磨いたりして過ごすのもけっこう楽しいかもしれませんよ。
宿泊費を払う上に、灯台の階段の手すりを磨いたり、芝生を刈ったりという仕事もしなければなりませんが、リトリートだと思えば安いもの。
一生に一度は灯台守になってみたいという灯台フェチの方がお知り合いにいらしたら、ぜひ教えてあげてください。
灯台の下の部屋は、昔の家具やら以前に使われていた灯台のライトやらが飾ってあってミニ博物館になってます。
ここの砂浜に転がっている石たちは、長年荒波にさらされただけにとても綺麗です。コンブ(?)が根を張った石もみつかります。ダンジネスクラブの殻も。
帰りの9キロは向かい風。とてもとても長かった。行きよりずっと時間がかかって、約2時間半。
顔にびゅうびゅう強風を受け、
これは何の修行だったっけと思いながら、ひたすら足元を見て黙々と歩く。
だんだんと頭がぐらんぐらんしてきて、そのうち無になります。無。
あっ、灯台守をするときは、この砂浜を9キロ歩くのではなくて、ボートで荷物と一緒に運んでくれるのだと思いますよ。たぶん。