2016/01/16

Starman



He’d like to come and meet us, but he thinks he'd blow our minds.....

去年みた映画『The Martian 』(邦題:オデッセイ)でもこの曲がかかって、泣きました。

まだの人はぜひ観て泣いてください。

デヴィッド・ボウイも69歳だったんですね。

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2016/01/08

雪と火炎



明けましておめでとうございます。

今年も素晴らしい1年になりますように。

クリスマスの後からちょっと風邪をひいて、今年のお正月はいつもにも増してのんべんだらりと過ごしました。

元旦からタランティーノの新作『Hateful Eight』を見に行き、2日はNetflix でキューブリックの名作『シャイニング』を見直すという、大変心温まる年始でございました…。
正月早々なぜこんなに血みどろ。


元日も2日もシアトルの冬には珍しい、豪華な快晴でした。

2日は郊外の湖畔の友人宅で焚き火を囲んで過ごしました。
なぜ私たちはこれほどまでに、火と水をみるのが好きなのでしょうか。
火を見ると引き込まれるし、水をみるとほっとするのはDNAに書き込まれている何かの作用であるのか。

この熱と光は、化学反応という大魔法。
薪の炭素が酸素と反応して二酸化炭素を生む。(といって良いのか。ちょっと不安) 

薪に蓄えられたエネルギーが目に見える形で光と熱にどんどん変換されてるこのスペクタクル。

火炎というのは生きものっぽく見える。

生物の体の中で起きている生命の動力、あの生物の教科書で何度読んでもよくわからなかったATPという謎のシステムも、未だにぜんぜんよくわからないけどこの焚き火みたいなものなのか。なんてね。


お正月3日目は街にもほんの少し初雪が降りました。
 

朝日新聞に連載されてた大岡信さんの『折々のうた』の新書版を揃えて暇があると開いています。新年にはこんなのが目に入りました。(三巻)

万(よろず)を有漏(うろ)と知りぬれば
阿鼻の炎も心から。
極楽浄土の池水も
心澄みては隔て無し。

平安時代の歌謡集「梁塵秘抄」の一節です。
有漏とは仏教用語で「迷いの世界」だそうです。

万象が迷いの世であるとわかってみれば、地獄の火も心の内にあるものであるし、静謐な天国も心をすませば目の前にあるものだよと、いうことであるようです。

平安時代も平安な時代ではなく、今の世と同じく先の見えない不安で過酷な世の中であったでしょう。
こんな境地を求めていた平安の人の心境をちょっと思ってみてみたお正月でした。


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2015/12/31

つながるサルたち


サンクスギビングから新年までの間、シアトルのPhinney Avenue - Greenwood Avenue 沿いの店のウインドウにはサルたちが並んでます。


こちらは Cafe Vita。看板の怪しいピエロと踊っているようにも見えますね。


マーケットの軒先にも、ひょいひょいという感じでぶら下がっています。



消防署の窓にも。この消防署はわりと最近オシャレに改装されました。

全部で200匹以上のサルたちがこの道を飾ってるそうです。

2016年が申年だから、というわけではなく、毎年サルです。
サルが装備されるようになったのは今年で2年目。
サル年の来年もサル、トリの年にもサルです。

この猿飾りはフィニーのネイバーフッドアソシエーション(日本で言ったら町内会ですね)の誰かが考案したもの。

このフィニー&グリーンウッドの通りは、狭い丘の上を通る1本の道だけの商店街なんですが、その立地が面白いキャラクターになってます。夏は歩行者天国のアートウォークをやるし、ここの町内会の人はアート好きのようです。

ウマひつじ年も残り1日となりました。新しい年が、明るい年でありますように。


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2015/12/29

ヒマラヤの宝物:ネパールのフェルトと猫の壺

9月にサンフランシスコに行ったとき、観光客でごったがえすフィッシャーマンズワーフ付近の土産物屋さん街の一本裏にある、人通りが急に少なくなる通りに、ネパール製グッズのお店があって、ここにやたらにはまってしまいました。
ここでなにより心惹かれたのが、思いっきり力の抜け切ったフェルト製の動物たち。
無理やりのように、友人の子どものクリスマスプレゼント用に、ペンギンや緑のゾウの指人形つきリュックや、ちょっと頭の悪そうなワニ(なぜか水玉模様)のぬいぐるみを買い込んでしまいました。

そしてシアトルに帰ってきたら、Ballard のMarket Streetにもネパールグッズの店があった!
Himalayan Treasure Inc という店です。

もちろんガネーシャ像や仏像もいろいろあるし、カシミヤストールやシルバーのジュエリーも、Singing Bowl もありますが、店の真ん中に積まれているのは、フェルトの動物たちやらスリッパやらキーホルダーやら。 毎月新作が届くそうです。

ネパールのフェルト製品はみんな手作りで、NPOによって自立支援のために始められたのだそうです。スウェットショップじゃないのね。
ネパール人の実直そうな店主さんがいつもいて、「It will support  people!」と請け合ってます。ほんとか!

検索したら2年前のこんなブログ記事をみつけました。あまりにデザインがひどくて売りものにならない爆笑グッズ…。当時からはかなりデザイン的に改善されたようです。誰かみかねてデザイナーが介入したのでしょうかwww サンフランシスコのお店のも、ここのシアトルの店のも、みんな全面的に力が抜けているけどとっても可愛いです。

先だっては、こいつを見かけて、↓↓↓↓ ついつい購入してしまいました。


海底のなにかの棲家のような、フェルトつぼ。猫用ハウスなんですが…


こないだH夫妻のお宅に猫シッターにいったときに持参したところ、サイズが小さすぎて一番小さいタマラちゃんしかフィットできませんでした。・゜・(ノД`)・゜・。
最初は興味しんしんだったものの、ちょっと入ってみただけで、あとは見向きもされず。
うちの息子は「だってこれ、ブキミだし」と感想を述べた。 そうかなぁ。わたしが猫だったらちょっと入ってみたいと思うけど。


このぽこぽこが可愛らしい鍋敷きは最近のお気に入りです。



うちの月兎ケトルちゃんによく似合う。
このケトルちゃんは、引越し後1年以上迷いに迷った末、一昨年日本で購入したもの。
コーヒーを入れる以外にはあまり実用性はないし沸くのもあまり速くないけど、この注ぎ口に癒される。うっかりするとすぐ取り落としてしまう琺瑯のフタの、ボタンのような持ち手も偏愛。


家にいることが多いので、テーブルの上に置くこんなものどもに、ささやかな幸せをかみしめています(涙)。

どんなものでも、誰かのアイデアが形になったもので、いろいろな人の手を経て届く。当たり前のことだけど、改めて考えると感慨深い。


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2015/12/23

ホワイトクリスマス



メリークリスマス!

まったくクリスマスの写真ではありませんが、色だけクリスマスカラー。ハワイで撮った葉っぱです。

昨日、買いものに行く途中で車のラジオを聞いていたら、ビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」についてのエピソードをやってました。

史上最強のクリスマスソングとして知らない人はまずないであろう曲ですが、この曲は1941年の12月に初めて放送(ラジオのライブ番組で初披露)されたのだそうです。知らなかった。

1941年の12月といえば。さて、何があった年でしょうか。

真珠湾攻撃の直後ですね! ドイツもアメリカに宣戦布告し、アメリカが参戦して、第二次大戦が本格的な全面世界戦争に突入した、ちょうどそのときでした。



この曲はそんな極限的に不安な世相の中で愛され、そしてまもなく海の向こうに送り出された兵隊さんたちが故郷のクリスマスを思いながら聴く曲として、それに息子や夫や父親を戦争に送り出した家族が戦場の人を思う曲として愛された、戦時下のアメリカ人のとてつもなく切ない思いをかきたてるクリスマスソングだったんだそうです。

ビング・クロスビーが戦地に慰問に行った時にも、この曲はあまりにもセンチメンタルで故郷を思い出させるということで本人は歌うのを躊躇したけれど、兵隊さんたちから熱狂的にリクエストをされたのだとラヂオでいってました。

2年後に作られた、家のクリスマスを遠くで想う悲しい曲「I will be home for Christmas」(1943)も、同様に遠い異国で戦う兵隊さんのセンチメントを代表する曲として、大ヒットしました。これはいわば、「White Christmas」の続編だったわけですね。


その頃日本では、制御不能になっていく戦争に国民が総動員されて、勇ましい軍歌だけを歌っていた。
うちの父母はまだ幼くて、田舎に疎開してました。

第二次大戦でのアメリカの戦死者は約41万人。
日本軍の戦死者は100万人ともいわれ、民間人の犠牲者はその3倍ともいわれてます。

そんなとんでもない人数の人がバタバタと死んでいた数年間に、この平和なクリスマスソングは戦地で米兵さんたちの心のよりどころになっていた。 そしてそのアメリカは鬼の国だと教えられた日本の兵隊さんたちは、食べるものも満足に支給されず南洋や大陸で大量に死に、沖縄でも本土でも、大人や子どもが大量に無差別で殺された。

そんなことを思って聴くと、この曲が全然違って聞こえてきます。

何年か前にクリスマスソング日記を書いたときにこの曲を自分的ベスト10クリスマスソングに入れなかったのは、あまりにも有名すぎて、格別な感慨もわかなかったからです。

私が育った高度成長期の呑気な日本でも、この曲はクリスマスになると繰り返し繰り返し町中でかかっていたと思います。
私はこの曲を聴くと、バタークリームをこってり盛ったクリスマスケーキが並ぶデパートを連想してしまいます。

たしか村上春樹さんはエッセイで、小さい時に家にこのビング・クロスビーのホワイトクリスマスのレコードがあって、繰り返し聞いていた、と書いていたと思います。満ち足りた平和の象徴のような曲として聞いていた。というような話だったと記憶してます。超うろ覚え。

ともかく昭和後期の平和な日本では、そして1950年代以降のアメリカでも、この曲は平和と繁栄と、その結果としての消費の象徴みたいな感じでうけとめられてたのだと思います。


74年目のホワイトクリスマス。

そしてこの歌に関するもうひとつのエピソード。それは、この曲の作者、アーヴィング・バーリンはロシア出身のユダヤ人で、クリスマスを祝う人ではなかったということ。
そして、彼にとってクリスマスの日というのは生後3週間の息子が亡くなった日で、お墓にお参りにいく日だったのだそうです。

クリスマスは家族や大切な人が集って満ち足りた食卓を囲む幸せな時、というのは、当たり前のことなんかではなくて、永遠の願い、というかかなえられない夢であることも多い。だからこそ心地よくて完璧な平和と幸せを歌うクリスマスソングが、これほど深く愛されるのかもしれないですね。

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2015/12/21

椅子で負傷


座っていて背中を痛めるという、とほほな失態をやらかしてしまいました。

このあいだまで猫シッターに行っていて、そこのお宅のキッチンのテーブルで1日仕事をしていたら、その晩から背骨の下から3番目のあたりに、なにかヘンなわだかまりができてしまいました。
最近新しいノートブックを買ったので、うっかり無理な姿勢で固まっていたようです。

普段、自分のデスクで仕事をするときは、ノートPCに外付けモニターとキーボードをつけて、15分おきにタイマーをかけて体を伸ばすようにしてたのですけど、気が緩んでしまってました。

やっぱりノート型を長時間使ってると姿勢に無理が来ますね。

やっぱりもうお年頃なので本当に気をつけなきゃダメだわ、と反省しました。
痛めたといっても歩けないというほどじゃなくて、立ち上がったり姿勢を変えたりするときに背中の中が鈍く妙な方角に引っ張られるような痛みを感じるという程度なのですが。

なんといっても体が資本の自転車操業なので(涙)、健康管理には気をつけなくちゃ。

自分の足でひょいひょいと歩けるということはなんという大きな恵みなのだろう、と、子どものときにはまるで気づいたこともなかった幸せをしみじみと感じながら散歩するという、だんだん老境な日々。


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2015/12/14

amazonの実店舗登場





ワシントン大近くの屋外ショッピングモール、University Village に行ったら、アマゾンのブックストア「amazon books」ができてました。
前にたしか変な回転寿司屋「ブルーシー寿司」のあったところ。
先月開店したばかりのようです。
アマゾンのサイトによると、全世界でも実店舗はこれが初めてだそうです。


書店としての規模は、とても小さい。
奥に児童書のコーナーが広めにとられています。あとは、ミステリー、SF、文学、ベストセラー、料理書などのコーナーが本棚2本分くらいずつ。


書棚にもさりげなくkindleが。

書籍の点数もきわめて少なく、すべて表紙を見せて陳列。アマゾンのサイトに掲載されているブックレビューの星の平均数とレビュー数、レビューの一部が紹介データとして本の下につけられてます。
星が4つ以上の書籍ばかりでした。


やっぱりショッピングモールという性格上、児童書コーナーに力を入れてるっぽい。お買い物の合間にお子様連れで来るマダムたちがメインターゲットなのでしょうか。


キッズ用テーブルにも電子書籍リーダーがついてます。


私の愛するLe Guin女史の名作 「闇の左手」もあった。星4.1つだって。


窓辺には座れるコーナー。このスペースはちょっといいな。

店内でコーヒーは売ってないけど、近くのスタバからコーヒー持ち込みで雑誌を読みふけっている人もいました。


店の中央は、もちろん、Kindleコーナー。
お客さんは、なんか全体に非常に年齢層が高かった。60代から70代のご夫婦が目立つ。


ここのモールからはバーンズ&ノーブルも数年前になくなってしまいました。書店のないショッピングモールがますます増える中、モール内に書店が復活するのは喜ばしいこと、といっていいのか。しかしアマゾン。

いうまでもなくアマゾンは街角から書店が減っている大きな原因のひとつなので、書店好きなシアトルの人々はどう受け止めるでしょうか。


少し前にニューヨークタイムズ紙の記事でブラック企業ぶりが注目されてしまったアマゾンですが、地元ではそのブラックぶりは以前から噂の的でした。アマゾンには都市伝説みたいな話がたくさんあります。同じコンドミニアムに越してきたアマゾンの新入社員が、数ヶ月後にはゾンビのようになっていたとか。

スターバックスやマイクロソフトに比べて地元への貢献度も高くなかったこともあり、シアトルではこれまでのところはっきり言ってあまり好かれてない企業でした。

消費者としては、本当に行き届いたサービスを提供してくれる企業なんですけどね。頼んでないのに日曜に配達もしてくれるし。ほかの地元書店でなるべく買い物をしようとは思うのだけど、小規模書店はオンラインショッピングの使い勝手が悪すぎて結局アマゾンで買ってしまうこともしばしば。ウェブサイトの買い物サービスのスムーズさでアマゾンの右に出るものはないですね。

この店でアマゾンが何をしたいのか、地元シアトルの人々に良い印象をもってもらって仲良くなりたいのか、データを収集したいのか、Kindleのショウルームを作りたいのか、よくわかりません。店の売り上げでは、きっと採算はとれないのではないだろうか。

なんとなく、この座り心地の悪いビニールの椅子↑↑が全てを物語っている気が。

全体に、書店の雑多な心地良さがない気がするのは偏見なのでしょうか。書店にある「余計な要素」がない気がする。

私もきっと、ここに本を買う目的では来ないと思う。でも買い物のついでに時間があったら、きっとまた寄ってしまうに違いないとも思う。

なんといっても書店は磁石です。


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