2014/04/10
ジャクソン通り アフターアワーズ
ここのとこ数週間の仕事が一段落してほっとしてます。スケジュールはちょいきつかったけど、すごく楽しいお仕事でした。またご縁があると良いなー。
さて、先月で、1年半ほど続けさせて頂いたSoy Source の連載を、しばらくお休みさせて頂くことにしました。
ちょっと立て続けにきついスケジュールの仕事が来ていたのと、色々ほかに片付けたいことが山積みになっているので、先にその長いリストに取り組まないことには。
もともと学校で歴史を専攻したわけでもなく、何のクレデンシャルもない者がぽっと思いつきで始めたものですから、始めてみて大汗。
毎回毎回、試験前夜の付け焼き刃の詰め込み勉強のようでした。資料を読み込んだりあっちこっち行ってみたり、しかしそんな機会でもなかったら手に取らなかった本にも出会えたし、考えてもみなかったことを深く調べてみるきっかけになって、自分的にはとても面白かったです。
間違っていたら後からこっそり修正できるブログ記事と違って、刷っちゃったらそれっきりの印刷物の緊張感も、文字数制限があるのも久々で、なかなか良かったです。
最後の回は、『Hotel on the Corner of Bitter and Sweet』(邦題『あの日、パナマホテルで』)を読んで以来ずっと気になっていた、ジャクソンストリートのジャズシーンについて。
この本をとっても参考にさせて頂きました。
Jackson Street After Hours (Paul De Barros著)。
1993年出版の本ですが、ペーパーバックも出てます。
(アマゾンのこの本のページには、やっぱり、「この本を見た人はこの本も見ています」に 『Hotel on the Corner of Bitter and Sweet』が。あの小説を読んだら、ジャズ最盛期のジャクソンストリートについてもっと知りたくなるはずです!)
というか、『Hotel on the Corner of…』の作者、ジェイミー・フォードさんも、小説世界を描くにあたって、きっとこの本を参考にしたのは間違いないと思う。
この表紙のピアニストが、シアトルジャズ界の超大物、オスカー・ホールデン。
ナッシュビルで生まれ、ミシシッピ河のリバーボートでルイ・アームストロングと共演していたこともあったという人で、シアトルを訪れるミュージシャンや後進の若者たちにもとても慕われていた、「長老」といった立場の人格者だったようです。
『Hotel on the Corner of…』では、主人公のヘンリーとケイコが路地裏からジャクソンストリートのクラブ「Elks Club」のライブを見ようと忍び込み、オスカー・ホールデンに出会って、特別に店内に入れてもらい、生きた音楽に圧倒されます。
ケイコの家族が収容所に送られ、それぞれ別々の人生を送って年老いたヘンリーとケイコを半世紀の後に結びつけるのも、そのオスカー・ホールデンの幻のレコード、という設定。
この小説の魅力の1つは、チャイナタウンと日本町、そしてジャズ・クラブの並ぶジャクソンストリートという、同じ町内に共存していながら決して交じることのなかった、でも微妙に反応しあっていたに違いないコミュニティが、ケイコの家族、ヘンリーの家族、ヘンリーの友人の黒人ミュージシャン、という3つの視点から描かれているところ。(そしてシアトル住人にとっては、舞台となる実在の通りや建物を立体的に感じられること)。
『Jackson Street After Hours』は、シアトル創設期から「スピークイージー」全盛の禁酒法時代を経て戦中戦後のジャズ黄金期、そしてその後現在に至るまで、シアトルのジャズ史に足あとを残したミュージシャンやクラブを丹念に追ってます。
禁酒法の時代には、ジャクソン通り近辺だけではなく、街の中心を外れた街道沿いにかなりおおっぴらな「スピークイージー」と呼ばれる隠れ酒場があって、もちろんジャズのバンドが夜中過ぎまで演奏していたとか(レイクフォレストパークのあたりに、繁盛店があったそうです)。
禁酒法時代の酒場、スピークイージーはたびたび警察の手入れを受けたものの、ほとんどお目こぼし状態だったのに、まるでニューヨークの「コットンクラブ」のような人気店だった店の黒人オーナーのみが実刑を受けて刑務所に送られたとか。本人も歴史家も、そのオーナーが当時白人しか住んでいなかった住宅街(マウントベイカー)に家を買ったために、白人エスタブリッシュメントの怒りを買ったのだと信じていたとか。
黒人ミュージシャンが演奏できる店と白人の店は暗黙の了解ながらはっきりと分かれていて、ダウンタウンにあった大きなクラブの舞台は白人ミュージシャンのみだったとか。
白人ミュージシャンと黒人ミュージシャンの組合が統合されたのはやっと1958年になってからだったとか。
サードストリートの、今のベルタウンのあたりには、5000人を収容できる大きなジャズホールがあって盛況だったのだ、とか。
そんな話が満載の労作です。
(これは現在のベルタウンの唯一のジャズクラブ、Jazz Alley前)。
今ではもう、ジャクソン通りにはジャズの店はかげも形もなく、あるのはベトナム料理店や中国マーケットばかり。
でもシアトルのジャズの伝統は、音楽そのものがロックンロールやポップスに追われて隅っこのほうに場を占めるようになってからも脈々と続いてます。
シアトルに来て1年め、息子の進学関連でルーズベルト高校に用事があって行ったとき、たまたま、学生のジャズアンサンブルが音楽室(とても立派)でプチ演奏会をしているのに行き当たって、本当にぶったまげた。これ高校生? なにこの学校??? 普通の公立だよね? と頭がクエッションマークでいっぱいになった。しばらく後で、このルーズベルトとガーフィールド(クインシー・ジョーンズとジミヘンの出身校でもある。ジミヘンは卒業しなかったけど)高校というのは長年、全米の大会で毎年優勝争いをしているほどジャズに力を入れてることを知ったのでした。
今でもこの2校は、才能ある音楽家を送り出してます。
シアトルは、こんな国の端っこにあるにも関わらず、何か図抜けた人が出てくる確率が高いようです。 「水に何か入っているに違いない」って話も(笑)。私は、きっと火山のせいだと密かに思ってます。
これは去年、ジャズ・アレイに見に行った、パット・マルティーノのバンド。
サックスはジェームズ・カーター。シアトルの人たちじゃありませんけど。
まるで銀行家のように冷静で正確でストイックなギターと、飛んだり跳ねたり踊ったりのサキソフォンの会話が、かっちりいきいきしたリズムに乗ってて、めちゃめちゃカッコよかったです。
パット・マルティーノさんはCDで聴いた分にはあまりぴんと来なかったんだけど、ライブで聴いたらとんでもなくすごかった。
来週はバラードで小さなジャズ祭りがあるもよう。行けたらちょっと覗いてみたいです。
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2014/04/04
fegato grasso
知らない間に4月になっていたのでもう先月のことになってしまいましたが、誕生日ディナーということでベルタウンのBarolo Ristorante というイタリア料理やさんにいってきました。
ごっつめのシャンデリアとクラシックな燭台などがあるモダンなお店。
早めのディナーで、平日だったけど混んでました。お客さんはなんだかとってもコーポレートアメリカな感じ。隣のテーブルの男4名は明らかにビジネスディナー。首からIDタグを下げてるエンジニア風の人と、ベゾズ似の役員風がアジア人ビジネスマンをもてなすのディナー。全員ネクタイなし。エンジニア風は上着もなし。
近くにアマゾン本社があるので、みんなベゾズ風に見えてしまう。ていうか客層、髪型がベゾスの人が多かった。
しばらく家から半径100メートル外に出ていなかったので、なんだかとっても都会に来たようでドキドキワクワクしてしまいました。
それはさておき、ちょうど Dine Around Seattle というお得なコースディナー週間が開催中だったのでその中から選んだ3コース。
Faggiano con polenta 、「オレゴン州産の雉子肉蒸し煮、ポレンタ添え」。
ポレンタはとってもふんわりでおいしかった。雉子肉は、硬い。「ゲーミー」というのはこのことか、と納得の独特のケモノくささが。ソースはこってり。
友人は、カルボナーラ。これも、こってり。味が濃い。
メインはリゾットにしました。
Risotto fungi e fegato grasso 「地元産ワイルドマッシュルームのリゾット、フォアグラ添え」。
野生きのこっていうわりに、椎茸が…しかも石付きごと、まるっと入っていて、ちょっと驚く。
まあきのこの季節じゃないしね…。でもフォアグラっていうのをメニューで見落としていて、きのこのリゾット、とインプットされていたため、てっぺんに載ってきたぺろんとした塊を
「…いったいこれは、何のきのこだろう ?」
と怪訝にフォークで突ついたあげく、もう少しで女優のように美しいウェイトレスのお姉さんに
「これは、何のきのこ?」と聞きそうになった。
おいしゅうございましたが、やっぱり味が濃くてこってり。半分で挫折してお持ち帰りに。
それに、1皿目のポレンタとほとんど似たベースのソースだったのでちょっとがっくり。
美しいお姉さんも、味が似てるよって教えてくれたら良いのにな。しかし、フォアグラを見落としていた時点で、私はやや負けていたのだった。
フォアグラとか載ってなくてもいいです。もっとシンプルなキノコ味のリゾットが食べたい。
ふだんシンプルな食事ばかりしているせいか、 あんまりこってり濃い系についていけなくなっているのかも。胃が年寄りになりつつあるのかしら。
デザートはホワイトチョコレートムース。
これもこってりー。で、半分で挫折。この量はアメリカンすぐる。
全体にこのお店はこってり系イタリアンなんでしょうか。
食事のあと、少し血が濃くなった気がするディナーでした。
最初に出てきたタプナードが一番おいしく感じた。パンもおいしかった。
やっぱり素朴な食事が一番なお年ごろなんでしょう。
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2014/04/01
夜桜の宴
3月の末、Aさんの素敵なお宅で開催された<夜桜の宴>にお招きいただきました。
まずは素敵な赤米のお稲荷さん、そして美しいお料理の数々。日本の美!
まるで薪能舞台のようなベランダには、桜の金屏風が!
まずは猫姫登場。主役を呼びに行く係りだったみたい…。
舞踏家登場。 蝋燭の火が揺れる中、後ろに満開の桜!
20年以上前にAさんが植えられたというソメイヨシノが、枝ぶりも見事に花をつけていました。
シアトル周辺、今年は少し例年よりも桜が早く、この日曜日(3月23日)は珍しく快晴、ワシントン大学キャンパスの桜も超満開で、見に行った人は「千鳥ヶ淵並みの混雑だった!」と言ってました。
半分以上アジアの人だった!とも。
今年はほんとにたまたま、進行のきつい仕事が花の時期に重なってしまって全然見にいけなかったのですが、満開の素晴らしい夜桜を舞つきで観覧できて、眼福でございました。
桜は可憐なのに、迫力のある花ですね。特に夜の桜は。
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2014/03/23
べにばら組
3月も気づけばもう残り少なく…(毎月同じことを言っているような)。
今月は誕生日だったので、仕事で家にこもりっぱなしのわたしに大事な友人たちが花を持ってきてくれました。
きっと近郊のスカジットのチューリップ畑で育ったチューリップたち。
息子と数年前に見に行ったちゅーりっぷ畑。
気づけば近所も花が次々咲きだして、水仙もれんぎょうも満開、木蓮も咲き出した。もう散り始めてる桜もあるし(涙)。
花見に行きたいのをこらえて、キッチンでチューリップをカシャカシャ。
幼稚園のときはちゅーりっぷ組とべにばら組でした、そういえば。
「べにばら」と「のばら」と「しろばら」があったんだけど、なぜか「しろばら組」に憧れ、べにばらなんてつまんなーい、と強く感じていた記憶が。4歳のとき…。
4歳児って謎なことにこだわるものだ。
いやたぶん、ほかのほとんどのだわりも、少し離れてみれば謎なくらいにどうでも良いようなことなのかもしれません。
花は、男性にもらっても女性にもらっても嬉しいものです。
食べられないし、なんの役にも立たず、1週間ももたないというところが素敵。
ラベル:
植物
2014/03/19
キーボード
去年の引越し後、右腕がずっと痛かったので、本がぎっちり入った箱を無理して持ち上げたりしたせいかと思っていたら、しばらくして右腕の痛みが緩和するのと同時にこんどは左が同じように痛み出した。
…どうやらキーボードのせいなのかも、とようやく思い至ったのが最近という、デスクワークを生業としている割には、まったくお恥ずかしいていたらく。
友人にはマウス使いで右手が腱鞘炎になったなんていう人もいるのですが、私はこれまで「へー」なんて思ってるだけで、会社づとめのときも(リストパッドは使ってましたが)ほとんど気を使ってなかったのが、ここに来て急に一気にツケが出て来た感じです。(目のほうはもう、かなり前からやられてますけど)
で、ようやくエルゴノミクスのキーボードを急ぎ購入。
真ん中がもりあがってるー。馴染むまでに数時間かかりましたが、慣れたらこれはラク!
ほぼ同時にマックのほうのキーボードにコーヒーをこぼしてしまい、何も触っていないのに
oooooooooooooooooooooo;;;;;;
などと言い出すようになってしまったので、仕方なく新品を購入。
新しいエルゴノミクス君(マイクロソフト)より、そっちのほうが倍近く高かった…。
ウェブで探したら非正規品の10ドルくらいのもあったんだけど、東海岸から届くのを待っている余裕はなかったので、アップルストアにまたもや売上貢献してしまいました。ぐぬぬ。
iMacはもうほとんどどんなアプリにも相手にしてもらえないほどOSが古いので、早く入れ替えなくちゃ、ともうかれこれ半年思ってるのですが…
この新しいキーボード君も、見た目はまったく同じなのに、ショートカットキーに対応してくれてない(涙)。
来月必ずやってしまおう。
ウィンドウズのラップトップもそろそろ4年だから、もう買い替え時なんですよねー。Windows8はどうなんでしょう。
アプリの互換性のこととか考えるとほんとに入れ替えや買い替えって面倒で、腰があがらない。
もうあと1年くらいは働いてほしいと思っているのですが…。
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2014/03/14
2014/03/11
バンクーバーの収穫
たまに青空がのぞく、2月のバンクーバーでした。
バンクーバーって、去年行った時にも思いましたが、街の顔が香港に似ている。
新しいビルの意匠、そしてこのせせこましい建ち並び方が、とってもアジア的に感じます。
バンクーバーのダウンタウンは、シアトルのダウンタウンとベルビューをくっつけたらこうなるかも、という感じです。シアトルよりもずっとコスモポリタン。
住宅街は、それほどあちこち見て回ったわけじゃないんですが、わたしはシアトルの方が風情がある気がします。
庭木の手入れとか、小さな古い家をこまめに改装して住んでいる手の込み方とか、家に対する情熱にかんしてはシアトル住人のほうが群を抜いているような。
バンクーバーはとにかく、アジアのお金が大量に流れ込んでるな〜って感じがありありとしました。
売りに出ているおうちの不動産エージェントの多くは中国の名前でした。
今回はちょっと用事があって、Burnaby というエリアに行ってきました。
ダウンタウンから車で20分くらい、えんえんと広い幹線道路を走って行ったのですが、途中、チャイナタウンを出た後のエリアはちょっと荒んだ印象でした。
いろんなエスニックタウンを通っていくのが面白かった。
アジアのありとあらゆる国の料理やさんの看板が並んでいました。
バーナビーには日系プレースという場所日系のシニアのためのハウジング、小さなミュージアム、コミュニティホール、小さな食料品店までありました。ここで古本市をやってたのでちょっと寄って覗いてみました。
とっても盛況でした。バンクーバーも日本&日系コミュニティが活発なんですね。
日本語学校もこのへんにあるみたいです。
収穫〜。スティーリー・ダンのLP2枚、各25セント!ジミヘンのCD2枚、各50セント。
角川新字源と新明解国語辞典、各1ドル。
その他文庫本などいろいろ、ぜんぶ美品で合計15ドル未満!
国境をこえてバーナビーまで古本買いに行ったわけじゃないんですが、ほくほくな雨の午後でした。
同じ建物でやっていた浮世絵展も、小規模でしたが面白かったです。
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