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2020/03/10

ハーバードの自然史博物館


ハーバード大学の自然史博物館。


前回は近くのサイ像をみただけで帰ってきてしまいましたが、今回は中も見物してきました。

入館料は、大人15ドルなり。

 地味な建物にある地味なミュージアムですが、みごたえたっぷりでした。


お宝のひとつは、入ってすぐの部屋にある、ガラス製の植物標本のコレクション


ハーバード大学の依頼でチェコのガラス作家、ブラシュカ父子が1887年から1936年まで、半世紀をかけて制作した、780種!4,300点!の植物モデル。
 


解像度の高いカラー写真もない時代に科学教育用の教材としてつくられたもので、あくまでも正確でほんものそっくり。素晴らしい3D資料。

そしてほんものと同じに美しい。


果物に生えたカビ!!や、腐った果物!!のモデルもあり、実物大だけじゃなくて、部分の拡大モデルもあります。


バナナの花。


かびの拡大モデル。かわいい。

ひとつひとつ本当にきれいで、見飽きません。



もともとブラシュカさんは、19世紀なかばにイソギンチャクなどの海の生物のモデルを大学の研究室むけに作っていたところハーバードから声がかかって植物標本制作の大事業にとりかかることになったそうです。


海の生物モデルは数点しか飾られてなかったけど、これがまた植物モデル以上に繊細で素晴らしい。クラゲ、アメフラシ、イソギンチャク。触手の繊細なこと!神モデル。


こちらは岩石標本の部屋。

高校のとき地学の先生と地学室が大好きで、地学部にはいってたことがありました。

地学室のなにが好きって、引き出しに入ってる岩石標本が大好きで、暇さえあれば石をながめていた。


たんに結晶と岩石が好きだったのでした。だったらもうちょっと真面目にサイエンスを勉強すればよかったのにねえ。


超特大のデザートローズ。


さすがに高校の地学室とは比較にならないコレクションでした。ものすごい標本がたくさんあった。


超特大のアメジストもあるし。

石たちに真剣に見入っているひとびとがけっこう多かったのも印象的でした。


これは鳥がつくった家。こんなの鳥がつくれるなんて絶対おかしい。ニューギニアの踊る鳥の仲間も絶対にヘン。鳥ってあやしい。

このほかにも、剥製の部屋や化石標本の部屋もあり、さらに、ピーベリー民俗博物館という博物館も併設されていて、同じ入館料で見ることができます。

ピーベリーのほうは、4階に展示されている19世紀末のシカゴ万博の展示がおもしろかった。

しかし、3時間ばかりかけてガラス製植物や化石や剥製や岩石標本を見たあとで、もうすっかり疲労困憊してしまい、民俗博物館のほうはもうほとんどなにも頭にはいりませんでした。

美術館や博物館は見ているだけなのに、すごく消耗することがある。
とくに古いものをたくさん見ると、とてつもない情報がうわーっと押し寄せて来て知らない間に疲れていることが多いようです。


クジラちゃんもいました。なんと大きな生物なのだ。こんなに大きな身体を持って生きるというのはいったいどういう気持ちのするものなんでしょうか。

身体の端まで5メートル以上先ってちょっと想像できない。


  鯨の世紀恐竜の世紀いづれにも戻れぬ地球の水仙の白

  大きなるステゴサウルス小さなる頭脳もて草食の夢いかにみし

(『世紀』馬場あき子)

今朝たまたま開いた本のページに馬場あき子先生のこの歌が出てきました。なんてタイムリー。

「いづれにも戻れぬ地球」はどこにいくのか。


ぜんたいに19世紀の風情がただよう博物館でした。(古い建物なので古い匂いがする)

自然史博物館というもの自体、19世紀〜20世紀初頭の産物なのですね。

「博物学」の時代は、未知の世界をコレクションするというロマンが熱い時代だったのだな、としみじみ思いました。



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