2017/12/11
日本人初のハリウッド大スター
今回のソイソース「たてもの物語」は、シアトル・ダウンタウンのバナリパを紹介してます。
写真は夏に撮ったもので、季節感がなくてすみません。
ソイソース、Issuuを使ってオンラインでも見やすくなってます。
よろしければぜひご覧くださいませ。
コラムで紹介しているとおり、このビル、「ザ・コロシアム・シアター」というサイレント映画時代の豪華絢爛な映画館だったのですが、1916年1月のオープニングを飾ったのは、セシル・B・デミル監督の『The Cheat』。
早川雪洲が悪役の日本人を演じて大人気スターになった映画で、サイレント映画の傑作といわれてるそうです。
愛人にしようとした白人女性に、自分の所有物というしるしに焼きゴテをあてるという、もう実に悪辣で残虐非道な金持ちの役です。
しかもその焼きごてが「鳥居」のマーク!(「トリ」という謎のファミリーネームで、どうやら鳥居が家紋らしい)
白人の財産や女性を食い物にする黄色人種という、20世紀初頭の人種偏見をそのまんま反映したステレオタイプなキャラクターだったのですが(ユダヤ人のステレオタイプでもありますよね)、このクールなマスクとセクシーさが白人女性の間で人気爆発、ルドルフ・ヴァレンティノと並ぶエキゾチックな大スターになったそうです。(バイ・ウィキペディア情報)
ちょうど、アジア人の移住を実質禁止する移民法が制定されていく頃だというのは皮肉ですが、とにかくものすごい人気で、アメリカ中でセッシュウ・ハヤカワを知らない人はいないくらいの勢いだったらしい。
雪洲が出る映画は、白人女性のファンはそわそわとおめかしして観に行ったという話もあります。
ちょっと気味悪いけどエロっぽくて目が離せない感じは、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジョニデみたいな存在だったのかしら?ちょっと違うか。
むしろアニメの美形悪役キャラのようでもある!
イロモノぎりぎりの色男。
やばい人。異世界の人。というアンタッチャブルな存在だから、ますますゾクゾクしたのかも。
早川雪洲って名前くらいはさすがに聞いたことあったけど、どんな人だか、ほとんど知らなかった。
20世紀初頭にこんな超弩級の日本人スターがいたんですねー。実生活の女性問題でもいろいろ大変だったみたいですが。
アメリカ映画界を追われてパリに移住するきっかけになったのが、白人女優との間の不倫で子どもができたことだったというのがなんともいえん。
後年、パリに移住し、長いブランクのあと『戦場にかける橋』に出演したときにはハリウッドの大御所たちが大歓迎したんだとか。
雪州は1907年にシアトルからアメリカに入国してるんですね。シアトルってなにげに、アジアからの移民にとっては太平洋の玄関だったのね。
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