2016/09/12

ホビットたちの道と折口信夫。熊野古道と玉置神社 


7月1日の、巫女との旅のつづきです。

天河大弁財天社とごろごろ水を後に、十津川渓谷をさらに奥へ。


…この子といっしょに。
軽ちゃん、くねくねの山道をほんとによく頑張ってくれた。


途中、十津川の道の駅でいろいろ買い込む。
メインは十津川名産「めはり寿司」(高菜で巻いたおにぎり)と柿の葉すし。柿の葉すしは奈良の名産だと思っていたら、このへんにも「ホンモノ」があるのだと、巫女のグレープちゃんが力説。

「ホンモノを食べていかなあきまへんで」

と、吊り橋のたもとのおみやげ屋さんのおばさまが道の駅に電話を入れて、わざわざ道の駅で確保してくれた。なんと親切。

十津川の水の色はスモーキーなターコイズブルー。
渓谷の眺めは素晴らしかった。

でもまだまだ先が長い一日だったので、有名な吊り橋も横目でみただけで通りすぎました。


道の脇にこんな見事な滝をみつけて、少しだけ寄り道。


どうしても足をひたしてみたくなる、水晶のような水でした。


渓谷をくねくねいく国道からさらに、このねじれた小腸のような山の街道(「野菊街道」という名前)をくねくねと登る。


…この子でね。山道がんばったね。軽自動車ってとっても久しぶりに運転した。
坂道ではおもいっきりアクセル踏んでも、ぐわーんぐわーんというだけでなかなか進まなかった…。



そしてついに、山また山のただなかへ。ここは紀伊半島の南端に近い中心部。

熊野の奥の院といわれる古社、玉置神社。


思い切りくねくねした「野菊街道」の上の、思いがけず広々した駐車場に車を停めると、入り口の茶屋のおじさんが声をかけてくれた。

「初めて来たのー? なら奥のほうから山道を行ったほうがいいよ。こっちが世界遺産だよ、世界遺産!!」とな。

駐車場から神社へ行く参道のほかに、玉置山の山頂を回って神社に降りていく道があって、そっちは熊野古道の一部なのだそうです。

グレープちゃんと二人、茶屋のおじさんのすすめに素直にしたがい、山道へ。


かねてから行きたいと思っていた熊野古道にまで、はからずも来ることができました!

それまで全然知らなかったんだけど、熊野古道ってめちゃめちゃ長くていろいろあって、紀伊の海辺から山の中を通って大阪のほうまでつながっているんだそうだ。

世界遺産登録されたのは、「紀伊山地の霊場と参詣道」で、かなり広い範囲におよぶ。

この玉置山の上をとおっているのは、熊野古道の中でも最も険しい修験道の「大峯奥駈道」の一部。

天狗になる一歩手前みたいな山伏のひとびとが辿った縦走道で、いまでも修験道の行者さんやダイハードなハイカーが使っている山の道。



駐車場から玉置山山頂まではゆるやかな上りで、明るい広葉樹の林の中の気持ちのよい道。

吉野から熊野への神社めぐりの旅というのは、来る前にうっすらと、あら折口信夫の世界かしら〜、と思ってたのだけど、歩いてみたら、折口信夫よりも『指輪物語』のホビットたちの通った道が、あたまに浮かんだ。

国文学の素養がなさすぎるすみません。

エルフの森ロスロリエンのような、空気がひときわ濃く、あかるい森。

エルロンドの館に行く道はこちらでしょうか。

ロスロリエンも、人間の世になる前の神代の(中つ国ではエルフたちの時代だけど)時間が生きている古い時代の魔法の残る森なので、連想としては当たらずといえども遠からず、かもしれません。

熊野の森も、古い神々の物語が今なお生きている森です。


これはブナの木かな。木漏れ日と苔が浮世離れした美しさ。

折口信夫は、友人の日英翻訳者で日本文学オタクのジョーが大学院の卒業研究として折口の『くちぶえ』を英訳した時に照合チェックの手伝いをさせてもらって、その時に初めて読んだ。

インディアナ州生まれで高校まで日本語を見たこともなかったというジョー君は、日本人の中でも名前の読み方さえ知れ渡っていない(はい、「おりくちしのぶ」ではなく「おりぐちのぶお」と読んでジョー君を困った顔にさせたのはわたくしです。恥)、いってみれば京都や奈良の知られたお寺ではなくて秘境の山あいの神社のような存在である折口信夫の、ひっそりとした美意識にどういうわけかぴったりと息が合ってしまったようなのだ。

それほど昔の作品ではないのに感覚としてわかりにくい、少し気味の悪いような、生々しい感性と古い記憶につながる言葉。

さ夜ふかく
大き鬼出でて、
斧ふりあそぶ。
心荒らかに
我は生きざりき
(『春のことぶれ』)

日本神道は明治以降、無理やりに「国家宗教」にされてしまったけれど、本来はそのようなものではなかった。

土地とその空気と、水や木々や滝や石などの、その土地にある形あるものから、切り離せるような性格のものではなかったのではないか。それは身体を通してしか得られない、その場に固有の体験だったのではないか。

そこで語られている神性を無理に煮詰めて一般化しようとするとフランケンシュタインのようなキメラのような醜く平板で制御できないものが生まれるのではないか。

と、古い神社さんたちをいくつかめぐり、古道を少しだけ歩いてみて、そんなのはごく当たり前のことなんだろうけれど、あらためて実感したのでした。

江戸時代までの、仏教と密接に結びついてもちつもたれつだった神社の存在に、とても興味を惹かれる。


やや胸を突かれる上りのあと、ものの10分か15分ほどで山頂へ。


玉置山山頂にいた蜻蛉。
小さな鐘があった。鳴らしてみた。ここちよい響き。

さて山頂についたものの、神社に降りる道がみつからない。
しばらくウロウロしたあと、一本だけあったのがこの降り口。

この険しさから、いくらなんでもこれではないだろうと最初はスルーしたのだけど、他に道はなかった。


45度くらいの斜面でした。いや本当に、世界遺産の修験道だったのね……。
上りでなくてよかった…。

巫女グレープちゃんはここをビーチサンダルでひょいひょいと下った。さすがである。


空気がますます濃い感じの谷あいに入る。古い杉の木がたくさんあらわれる。


杉の木はみんななにか物言いたげ。

もともと玉置神社は何日もかけてこの古道、大峯奥駈道を行く行者さんたちの宿として始まったのらしい。


はからずも、修験道の古道をとおって神社の奥の裏口から入ることになったので、まず奥社の「玉石社」に出逢う。

ここには「玉石」が三柱祀られていて、これは玉置神社そのものよりも古い聖域なのだそう。

神社のサイトでも、「修験道では玉石社を聖地と崇め、本殿に先んじて礼拝する」と書かれてました。裏口から神社に入ったのは初めてだけど、この場合、修験道的には正しい入り方だったのらしい。駐車場の茶屋のおじさんのススメに従っただけだけど。


綺麗な苔がむした杉の木に護られるように木製の柵があって、なんだか丸い古い石たちがそのなかにあった。


鳥居も柵も何も塗ってない、素朴な造り。倒れている鳥居もあった。


石たちの社から素朴な鳥居をいくつもくぐって下っていくと、社務所の裏手に出る。
社務所には長髪の若い宮司さんがいた。今時の若者という感じで、日本で有数の山深い古い神社とは面白いとりあわせ。

冬は、霧氷が見られるので、マニアックなフォトグラファーがやってくるのだそうだ。


そしてようやく玉置神社の本殿へ。建物はこぢんまりしていて、やはり鳥居は丹塗りではない。社殿は欅材。


ここにも茅の輪が。


斜面に建っている社殿のかたわらには神代杉。樹齢3000年ともいう。


なにしろ三千年。キャラが立っています。


このほかにも、しめ縄を巻かれた巨大杉がたくさん。


良いものにたくさん出遇った。山深い、空気の濃密な神社でした。


帰り、例のおじさんが一人でやっているお茶屋さんで飲んだ「じゃばらサイダー」。「じゃばら」はこのへんで取れる柑橘類なのだそうです。きりっと酸味が爽やかで、うまかった。

もうそろそろ午後も遅い山道を引き返し、十津川渓谷を戻って、この日の次の目的地、高野山へと旅は続くのでした。



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2016/09/04

山あいの天の川温泉 ジブリな洞川温泉と天河大弁財天社


うひゃー、気づいたらもう9月になっていた〜。

元気でやっておりますが、ちょっとこのところ予想外に忙しく、相も変わらずあっちこっち行ったりあるいはじっと座ってジタバタしていました。

というわけで7月1日の日記のつづき。

前回の、水の神社、丹生川神社下社のあと、山道を更に奥へ。

渓谷沿いにある小さな温泉街、洞川(どろがわ)温泉がこの日の宿でした。


泊まったのは花屋徳兵衛という宿。

創業500年の老舗。

縁側や火鉢の似合う古い建物を、建物の個性を活かして微妙にモダンにアレンジしてある。
貸してくれるタオルや浴衣、下駄のデザインや素材も気が利いていて、スタッフも明るくて親切で、気持ちの良い宿だった。
ご主人はインテリジェントな感じの上品な方。

お風呂もこぢんまりしてるけどほかほかでよかった〜。
「後鬼の湯」という名がついた湯。「後鬼」は役行者の弟子らしいです。


ここは、むかしは修験道の行者さんたちの宿だったという。
この一帯の山は金峰山と呼ばれて、役小角がひらいた修験道の修行場だったそうな。
大峯山というのはいまでも女人禁制で、修行が行われてるらしい。
山伏1日体験なんていうのもあるようです。

両側に山が迫った、ほんとうに細い谷あいの、細い街道沿いの宿場。
軒にはイワツバメがたくさん舞い、朝夕には山の上から山伏の法螺貝がきこえてくる!
なんだか物語のなかに入り込んでしまったような温泉街。

『千と千尋』にでてきたいろんな姿の神様たちがやってきそうな、静かで浮世離れした温泉町です。好きすぎるー。水の神社につづいて、ジブリ度の高い奈良県吉野郡。というかミヤザキ映画に描かれる日本はここに(も)あったのかー、ということか。



お食事は素朴な山の幸。地元のにじますの刺身や野菜。


宿場の街道にそって川が流れていて、橋をわたったところにお寺がある。

そこの池にホタルがいるというので、ご飯のあとMちゃんと見に行った。
ホタルちゃんが闇のなかの迷えるタマシイのようにひゅーひゅー飛んでいた。
女二人で行くには残念すぎるほどロマンチックであった。



翌朝6時前、巫女でジャズ歌手で通訳のMちゃんは近くの天河大弁財天社というけっこう有名な神社で毎日開催されているという「早朝のおつとめ」にでかけていった。
その間、わたしは朝湯をつかわせてもらって、そのへんを散歩。

谷を流れる川の水のきれいなこと!


橋の下にニジマスちゃんたちが群がる。宿の方に「ニジマスを見に行く」というと、厨房に走っていってビニール袋いっぱいのごはんをくれた。
ごはん粒を投げると、橋の下でニジマスちゃんたちの熾烈な争いが繰り広げられる。


ちょうど、七夕の少し前で、あちこちに短冊が飾られてました。
ここは天川村。そこに天の川のお祭り。できすぎのようだ。


細い街道を少し行ったところに「ごろごろ水」という湧き水の出るところがある。

これが有名な銘水なのだそうで、たくさんの人が軽トラにポリタンクをたくさん積んで汲みに来る。
水はタダだけど駐車場に500円くらい徴収される。
車を停める場所のすぐ後ろに蛇口がついていて、ここで汲み放題のシステム。
まろやかでおいしい水でした。


宿をチェックアウトしてから、有名な天河大弁財天社にもお邪魔しました。
巫女はこの日2度目だけれどつきあってくれた。

小さな社で、階段の上にすぐ拝殿があり、神坐はさらに階段状の椅子が並んだ上に。

ここの鈴は鳴らすのにコツがいるもので、とても良い音が響く。
ちょうど祈祷がはじまるところで、少しだけ拝見させていただいたけれど、神主さんの声が朗々と響く美しい裏声でびっくりした。


ここは弁財天だけに、音への感性が鋭敏になるようになっているのかもしれません。

この神社も、とても古い由緒があって、役行者が開いたともいわれ、空海が修行した場所でもあるそうです。

とても気持ちの良い場所でした。
そしてさらに巫女との旅は続く。

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2016/08/27

巫女との旅。 水の神社、丹生川上神社下社



6月末から7月初頭にかけて、関西を旅行しました。

大阪市内に在住の美人通訳M嬢のお宅に遊びにいくことにしてたので、Mちゃんにごくごく気軽に

「大阪付近で、どこか面白い神社仏閣とか、ない?どこがおすすめ?」

と聞いてみたところ、

「ありますよ〜すごいのが!

という返事が速攻かえってきました。

…えっ、…すごいの?(・_・)……??となっている私のところへ、きいたことのない神社の名前が書き連ねられた長〜いリストがさくっと送られてきた。

そしてどういうわけか、 大阪市内でも付近でもぜんぜんなくて、大阪から険しい山道を何時間もいったところにある神社たちとお寺たちを訪ねる2泊3日の旅の計画があっという間に立案されたのでありました。

わたしもときどき「フットワーク軽いね」と人から言われることがあるけど、この美人通訳Mちゃんは、たぶんわたしの約12倍はフットワークが軽い。

中東からアジアから北米から、水中から空の上までいつも移動中のパワフルウーマンです。
月に3回は海外に出張に行ってるのではないだろうか。

そんなMちゃんに何か気軽に声をかけると、思ってもみなかった旅の計画が電撃的な速さでできる。

前回日本に帰省した2年前にも、ひょっと「こんなのもいいよねー」と口に出したら「それ行きましょう!」と、まったく予定してなかった道後温泉ツアーが実現してしまった。

その旅は、後からしみじみ思うと、ほんとに収穫が多かった。

今回の旅も本当に面白くて、噛みごたえのある旅でした。まだまだ咀嚼中。

なんといってもMちゃんの家は巫女の家系なんだそうです。
人に何かをもたらす人、なのでしょうね。

大阪市内でレンタカーを借り、巫女の運転で高速道路を抜けて、いつしか山道へ。ここは奈良県。


しかも足は、この子でした(大阪で借りたレンタカー)。

巫女に選択をまかせておいたら軽自動車だった!

2日間の行程はレンジローバーでガシガシ上りたいようなカーブ続きの山道が多く、アクセルを踏んでも踏んでも馬力が出ない(´・ω・`)…。この子はとっても頑張った。
ちょっと、ロバの背に乗っているような気分でもあった。


大阪から1時間ほどで、こんな幽玄な山の中へ。
大阪市内を出発したのが午後遅い時間だったので、この時点でもう夕方。

この日の目的地は洞川温泉(どろかわ)温泉。

そこへの道のりにある、古い神社にまず立ち寄り。

とても綺麗な水が流れる川のほとりにある神社。
 


丹塗りでない、木の肌の鳥居。うっそうとした木立ちに囲まれた、水の社。

丹生川上神社下社。水の神様として、広い信仰をあつめているのだとか。

古くから雨祈願には黒馬、止雨祈願には白馬を奉納したのだそうで、今でも境内に馬ちゃんが飼われてます。



祀神はいざなぎ神といざなみ神の子神だというクラオカミノカミ。

ざっくりいって、つまり龍神なのらしい。でも「美しい女性の神様」だそうです。

とても古い社だけれども、いろいろ紆余曲折もあって、祀神の名前が変わったりしている。



この日は6月末日。大祓いの日で、「茅の輪」(ちえの輪でもカヤノワでもなくて「ちのわ」!読めなかったww)がしつらえてありました。


もう夕方だったので、いつもは鳥居のすぐ近くにいるという馬ちゃんも厩舎の中。

ひと気がなく、しんとして、川の音が聞こえる。
綺麗な水の気配に満ちた、すがすがしい境内でした。ジブリ映画みたい。



拝殿のうしろに屋根付きの急な階段があって、その奥に本殿がある。
巫女のM嬢は以前に行ったことがあるといってました。


この神社は「絵馬の発祥地」でもある。
雨乞いに馬を奉納したことから、願い事のある人がウマの代わりに札を奉納するならわしができたらしい。

そうそうウマを奉納できるものではないですものね。

この絵馬は古式ゆかしくて素敵。ウマちゃんがちょっと困った顔に見えますが。

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2016/08/19

郵便番号98103の蜂蜜


ファーマーズマーケットで買った蜂蜜です。

Seattle Urban Honey は、2008年にシアトルのご夫婦が庭においた2つの巣箱からはじまったという、マイクロビジネス。

そのご夫婦の友人たちの庭や大学の植物園など、シアトル市内のあちこちと郊外のいくつかの場所に置かれた巣箱から收穫した蜂蜜を、ファーマーズマーケットで売っている。



この夏の蜂蜜は、シアトル市内で穫れた「98103」、シアトルのすぐ北にある郊外の街ボセルで穫れた「98011」、シアトルから西へクルマで30分ほどのところにある小さな町カーネーションで穫れた「98014」。

この番号は、それぞれ巣箱が置かれている地区の郵便番号(ZIPコード)。

味見をしてみて、やっぱり一番気に入った、「98103」地区のを買いました。

グリーンレイクの周辺のリンデンバウム(セイヨウシナノキ)の花の蜜で、レモネードのような薄いイエローの、きらきら輝くとても綺麗な蜂蜜。

独特のきりっと爽やかな風味があって、明るくて爽やかなシアトルの初夏をぎゅっと凝縮したような蜂蜜です。


お値段はこの小さいビン(たしか8オンスかな?)が10ドル。もっと小さいオミヤゲ用のビンもありました。
今度日本に帰るときにはこれをオミヤゲにしようかな。

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2016/08/15

夏の色


 真夏の日没は午後8時すぎ。 波のないピュージェット湾の長い夕方。



ファーマーズマーケットのきれいなペッパー。
U-district のマーケットに出店しているこの家は、いろんな種類のペッパーをたくさんそろえてます。ピーマンのように辛くないものから、激辛まで。



宝石のようなオクラとみょうがを売ってる農家は日本人の方の経営。片道3時間はかかる山向うのヤキマから毎週夜中に出てくるのだそうです。なんとありがたい。

こちらは、一茎に一果だけ栽培するプレミアムメロン。


初夏に真っ白な花(ほんとうは苞)をいっぱいにつけていたDogwoodも秋仕様。

スペースエイリアンのような実が育ち、初夏とはがらりと変わった風情です。


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2016/08/12

都市が成長するとき


いま、シアトルのあちらこちらでやたらに目につくもの。

それは建築用のクレーン。


ダウンタウンやサウスレイクユニオンのあたりなど、数ヶ月ぶりに行ってみるとすっかり景色が変わっていて面食らうことも多い、この頃のシアトル。

ここ数年というもの、年間1万4500人もの人が流入しているんだそうです!


恐ろしいほどの勢いでビルが増えている中、当然ながら、古くからあるネイバーフッドもどんどん変わる。

特に、以前は絆の強いブラックネイバーフッドだったセントラル・ディストリクトの変わりようはすさまじく、いろいろニュースにもなっている。


今回のSoy Sourceの「たてもの物語」では、パイオニア・スクエアのCenter for Architecture & Designでやっている展覧会「BOOM:Changing Seattle」を紹介してます。

現在のシアトルの成長ぶりは、19世紀のアラスカのゴールドラッシュの時以来!という人もいるほど。

そんな激変する街角で、なくなってしまうもの、なくなりつつあるものに目を向けた展覧会です。


地価と家の値段が高騰するのにつれて当然家賃も上がり、生活コストが高くなって、古くからの住人が市内に住みづらくなっているこの頃。

シアトルは家賃統制はないのですが、最低時給を段階的に15ドルという全米トップの水準に引き上げる法案が去年通りました。
(大手は来年、小企業は2021年に15ドルになるスライド制です)

今をおいてほかに、このような法案が通ることはなかったと思う。
それだけ、ここ数年の成長ぶりがずば抜けていると、シアトルの人が実感しているということなんでしょう。



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