2015/03/26

サンノゼ美術館のインドと都市


所要があってカリフォルニアのサンノゼに行ってきました。
一日ぽっかりあいたので、サンノゼ美術館へ。


カリホーニアの青い空でございました。(今回もすべてiPhone写真です)

この美術館の向かい側にあるMUJIのお店に行くのも、この日のメインイベントでした。

カリフォルニアでの買いものは無印良品とユニクロのみ。って、いったいどこに行ってきたんか!
(アメリカのユニクロは安くない。MUJIはもっと高い。でも買ってしまう)

 

ミュージアムに入るとすぐ頭の上に、シアトル(タコマ出身)の有名ガラス作家、チフーリさんの作品が。
商売上手で知られるチフーリさんですが、このいきものっぽいグルグルっぷりはやっぱり素敵。


美術館は半分改装中でしたが、小1時間くらいでぱぱっと見て歩くのにちょうど良いボリュームでした。

 「Postdate: Photography and Inherited History in India」という、インドの現代写真家たちの作品展。

 インドという国については、ついステレオタイプで話をしてしまうけれど、その実、行ったこともないしほとんど何も知らない。

若いフォトグラファーたちの作品は、当たり前だけれどとても知的でストレートで都会的で、かなりがつんと来ました。



とくに、都市の風景を大きなパネルにプリントしたJitish Kallat さんの作品や、Madhuban Mitra&Manas Bhattacharya というユニットの、カメラの廃工場を舞台にした詩的な写真シリーズが素敵だった。




2階の小さな展示室で開催中だった企画展、「City Limits, City Life」は、「都市」に焦点をあてたもの。


展示によると、都市に暮らす人は、1950年には7億4600万人だったのが、2014年には39億人に増えたそうです。

そのうち8億6300万人がスラム住まい。


これは香港。

SFに出てくる建造物のようです。

サンノゼも、ハイテク企業が多くて収入の高い住民も多い反面、ホームレス問題は全米有数というほど深刻なんだそうです。

作家イタロ・カルヴィーノの言葉が展示室の壁にプリントされていました。

Cities, like dreams, are made of desires and fears, even if the thread of their discourse is secret, their rules are absurd, their perspectives deceitful, and everything conceals something else.

(都市は、夢とおなじように、欲望と恐れとでできている。たとえそこでの会話は秘密の糸で織られており、決まり事は馬鹿げていて、見通しは胡散くさく、すべてのものが何かしら他のものを隠しているのだとしても)



    
都会とはなんだろうか。なんて、小さな展覧会でしたが、いろいろ考えさせられました。


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2015/03/23

息子がジハドに行ってしまったら




冬学期は大学のインターネット講座で「政治的イスラムとイスラム原理主義」という講義を受講しました。

ちょうど日本人人質の殺害事件があった、タイムリーすぎたときでした。

オスマン帝国からトルコの歴史、ヨーロッパ統治の後のエジプト支配があって、民族主義とイスラム主義が絡まりあいながら互いに混じり合わず発展してきた歴史、アルカイダや「イスラム国」を名乗る過激派の出てきた背景など、てんこ盛りの情報で毎週頭がパンク状態でございました。


これは、VICE NEWS というインデペンデント系ニュース機関の、「イスラム国」への潜入ドキュメンタリー。

これもこのコースの一環でみたものですが、強烈だった。

「イスラム国」としてはプロパガンダとして取材に協力し、自分たちの正しさを世に問うているつもりらしく、シリアの占領地域の街をクルマで廻り、イスラム法にのっとって皆が生活しているかどうかパトロールする憲兵みたいな役割の若者や、ちょっと見にはYMCAのサマーキャンプみたいな、子どもから老人までが集う集会の様子も紹介されている。
何年も住んでいたベルギーから幼い息子を連れて「聖戦」に参加しようと「イスラム国」に来た若い父親は、自分たちの目的のことを語るとき、感激のあまり涙を流す。

この若者たちにとって「イスラム国」は自分たちが実現しつつある革命で、人生を賭けた善い行ないであり、信仰を守る戦いであり、ようするに世界中で意味のあることのすべてなんですね。

それが外から見てどれほど間違っていても、方針が過激で外部からの非難や糾弾が激しければ激しいほど内部の結束が固くなる、というのは、歴史上これまでも何度も繰り返されてきたこと。

集団の中心にまばゆいばかりの真実と正当性を感じ、それにつながっていること、大義を果たすために生命を投げ出す戦いに参加していることに、この「イスラム国」の若者たちはどれほど誇りと勇気と生きがいを見出していることか。

いってみれば、毎日が終わらないスーパーボウル的熱狂の中に生きているようなもの。


ヒトラーユーゲントの子どもたち、あさま山荘事件の「革命家」たち、オウム真理教の幹部たち、あるいは太平洋戦争末期の日本の将兵たちが、この「イスラム国」の若者たちに重なりました。


こんな熱狂的な信仰を持ってしまった人の心を外から変えるのはきっと不可能です。無理がある団体はいつか自壊するもの。でも、それまでにどのくらいの人命が失われることか。


欧米から「イスラム国」に参加しようと志願する若者も増えていて、特にヨーロッパでは深刻な問題になっています。

その多くは、アフリカや中東地域からのモスリムの移民2世や3世。親たちは移民先の言語も得意でなく、あまり生活には恵まれず、親の文化が自分のものとして消化できない。社会に憤りを感じ、モスリムとしてのアイデンティティに迷っている時、過激派のこうこうだから世の中は間違っていて、それを正さなければならない、という理論に説得され、「キミも革命に参加して世界を変えてみないか?」という誘いがあると、目の前が晴れたようになってアドレナリンが爆発してしまう、というのは良くわかる気がします。

何かにつながる、目的につながる、大きな物語の中に自分の居場所を見出す、というのは、恐ろしく磁力のあるものです。


アメリカでは、特にソマリアの難民の子たちに、中東のイスラム過激派がアプローチしているんだそうです。

この間Wall Street Journalで読んだ(2月28日の記事、『A Mom's Choice: Jihad or Jail』)、イギリスのモスリムのお母さんと息子の話が心に痛かった。

21歳、大学でコンピュータサイエンスを学んでいた息子。学校主催の旅行でトルコに行くといって息子が家を出たあと、お母さんは息子の部屋で自分宛ての手紙を見つける。

「お母さん、ごめんなさい。休暇で旅行に出るといったけど、本当の目的はアッラーの神のためのジハードを行うことです」

息子はトルコからシリアに向かい、「イスラム国」に参加してしまったんでした。

このお母さんは警察に相談し、警察から諜報機関へ通報され、どういう経緯かは詳しく記事では説明されていなかったけど、諜報機関の人が居所をつきとめて連絡をしていたものか、ともかく「ジハード」に参加してみて幻滅したらしく、息子は帰国することに同意。イギリスの空港についたところで逮捕され、懲役12年の刑がいいわたされたそうです。

人を殺す戦闘行為に参加したかどうかは定かでなく、本人はしてないと言ってるそうだけど、このおっちょこちょいの若者を12年間刑務所に入れておいて、「更生」するんだろうか。

お母さんは今では警察に通報したことを後悔していると洩らしています。
警察や当局は、ジハードに行こうとする若者たちを水際で引き留めるため家族に情報提供を求めているというけど、こんな重い刑が課されるのでは協力しようにも二の足を踏んでしまう、と親たちが言うのももっとも。


新聞の写真は、なんだか頼りないような、むしろ心の弱そうな、今どきのワカモノ。
なんだか息子の友人にもちょっと顔が似てたりして、他人事と思えない。

この青年なりの夢と希望と革命にかけた熱狂と挫折と、お母さんの心痛とを思うと、あまりに痛すぎる。
手遅れにならずにイギリスに戻り、曲がりなりにもやりなおす機会を与えられてよかった、と、彼が思えるだろうか。
この若者が本当に彼にとって正しい精神的な導きを、どこかから得られると良いのだけど。


憎悪だけが増えていかないことを祈るばかりです。

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2015/03/18

ワシントン大学のお花見2015


今年はシアトル地方は超暖冬で、桜も早い。

ワシントン大学の桜も先週うちからもう「ほとんど満開だよ」と、息子が上の写真↑を撮ってきた。
たしか3月9日の写真です。

こんなに早く咲いちゃって、週末にかけて雨が降ったので、もう今年は見られないかと思ったけど、まだ咲いてました。



月曜日(16日)の午後、ワシントン大学キャンパスに行かなければならないイラっとする用事があったので、ついでにQUADの桜を見てきました。



まだ咲いてました。(これはQUADじゃなくてレニアビスタのところ。ソメイヨシノじゃないですね)。

幸運なことに雲が切れて青空ものぞき、素晴らしいお花見びより。


大きなカメラは持っていかなかったので、今回も iPhoneの写真です。

去年、背後から追突してきた流木のせいで4Sを水没させてしまい、5Sに買い替えたんですが、カメラがまた進化しておる。

直径5ミリのレンズのくせにこんなに撮れるなら、一眼レフはよっぽど本気で撮りたいものがない限り、持ち歩かなくなっちゃいます。

すごい編集アプリも出てるし動画もパノラマも撮れちゃうし。


急にお天気がよくなったので、QUADと呼ばれている桜と芝生の広場にはわらわらと人が集まって来ていました。



高校生みたいなアジア系の女の子たち。卒業式のガウン姿で、自撮り棒を片手に撮影してました。
もう本当にきらきらと楽しそう。


花を撮る人、花をバックに自撮りする人。



はだしでお勉強に励む人。気持ち良さそうです。わたしもここで、幕の内弁当とお茶を広げて、ゆっくり本を読みたい。

 今週は期末試験の週なので、図書館やラウンジにはあんまり桜どころじゃない学生がいっぱいでした。



幹もほんとうに見事なソメイヨシノですが、植えられたのは第二次大戦のちょっと前なので、もうそろそろ80歳近い老境に入ってます。そろそろ寿命なので交代用の若木を育成中なんだそうですが、この立派な幹の大木が見られなくなるのは悲しいですね。



桜の下の家族はみんな幸せそうに見えます。

お団子と抹茶の屋台があるといいのに。大学も学費の値上げをするだけじゃなくて、そういうところで小さい商売をしてみたらいかがでしょうか。



ゴージャスな桜の下で、女性カメラマンがゴージャスなカップルの撮影をしてました。



花もいいんだけどむしろお花見の人びとが面白すぎる。

今年も花見ができてしあわせだー。

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2015/03/09

やたら刺激的な花火チョコレート



Trader Joe's で見つけた新製品、「ファイヤーワークス」チョコレート。

チョコレートは業務上、欠かせない備品です。
経費で落とすべきか真剣に考えるほど、チョコレートがないと仕事に差し支える。

なので新しいのが出ると即チェック。

Fireworksとな。
ダークチョコレートというのが嬉しいので早速買ってみました。1ドル99セントなり。

一口食べて、これはかなりびっくり。

そして数秒後に、ダブルでびっくり。

最近、チリペッパー入りの辛いチョコがかなり市民権を得てますが、これはその中でもかなり辛いめのペッパー入り。

そしてその上、口の中で弾ける、懐かしの「ポップ・ロック」キャンディみたいなものが含有されてて、はじけるはじける。

( 中学のころ、アメリカ輸入雑貨店で売ってたあの袋入りのはじけるキャンディが爆発的に流行しました。最初に食べたときの衝撃が、このチョコで一瞬よみがえった)

おっぴり辛、と思うそばからパチパチ来ます。おおなるほど、花火チョコ。

これは使える! 午後2時頃の眠気覚ましにちょうど良さそう。

これなら経費で落としても良いに違いない。2ドルだけど。


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2015/02/24

春の植物園



ワシントンパーク植物園の日曜日(先々週)。

前回は椿の花のことを書き始めたはずが、いつの間にかうっかり胡乱な話に迷いこんでしまいました。大変失礼いたしました。




可憐な春の花。桜のファミリーだと思うけれど、なんだかさっぱり。



今年はやっぱり花が早いようです。マグノリア(木蓮や白蓮)たちももう咲き始めました。

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2015/02/21

カメリア、そして春先の椿事


この間の週末、あまりにもお天気が良かったのでワシントンパーク植物園に行ってみました。

椿の花が満開でした。

見晴らしの良いガゼボのあるあたりに、いろいろな種類の椿が集められている一画があります。




一重のも綺麗ですね。

椿って、花も大きくて色鮮やかなのに、常緑の葉の色が濃く、花が埋もれてしまうからか、あまりパーっと派手やかな感じがしない。

こんなに満開で華麗に咲き誇っていてもどこかもの静かで、わたしの中では「演歌の花」というイメージ。

英語名のCamelliaは「この木をヨーロッパに持ち帰ったイエスズ会の宣教師G.J. Camellusの名にちなむ」だそうです。へー(by ランダムハウス英和大辞典)。

「カメリア」というと「椿」よりもさらに妖艶な気がするのは、むかし深夜によく流れていた「じゅわいよ・くちゅーるマキ カメリアダイヤモンド」のコマーシャルのせいかしら。

シャロン・ストーンも出てましたねー。うふふ、懐かしいでしょう。

わたしがよく覚えてるのはこれ。


80年代の香りですねえ。これは90年代初めだったかな。


ところで、奇妙なハプニングとか珍しい出来事を「椿事」っていうのはなぜなのかなと以前から思っていました。

広辞苑には
【椿事】意外の出来事。非常の事件。珍事。 
とあり、尾崎紅葉が引かれていますが説明はなし。

検索してみたら、こんなに詳細な記事をまとめている方がありました。素晴らしい。
ほうほう。
…でも結局わからないみたいですね。中国の「椿木」にひっかけて日本でいつの時代にか造られた造語みたいです。

ところでつい先日、インターナショナル・ディストリクトで椿事にでくわしました。

とあるカフェで本を読んでいたときのことです。
狭い店内にはわたしのほかには白人女性のお客が1人だけ。 カウンターの中にはアジア系の若い女の子が1人。

そこへ、バックパックを背負った中年~初老の小柄な黒人男性2人が入ってきました。
このお店の客層タイプじゃない二人連れだな、と一瞥して思ったのですが、特に気にせず本を読み続けていたら、すぐにそのうちの1人は出ていき、あとの1人はわたしのすぐ後ろのテーブルについたようでした。
すると、女性のお客さんが急に「オーマイガー」と言うので、本から目をあげて振り返ると、そこには。

小さいおっちゃんが、まるっきりの素っ裸で立っているではありませんか。

 床には脱ぎ捨てたジーンズとジャケットがまるで脱皮したヘビの皮のように置かれています。

おっちゃんは明らかにちょっとどこかネジが飛んでいる状態のようでしたが、襲いかかってきたりはせず、ただすっぽんぽんで店の真ん中に突っ立って、何かつぶやきながらウロウロとしている。

店員さんは、
「SIR! you NEED to LEAVE NOW」
ときっぱり宣言して、ケイサツを呼ぶからね、と 本当に通報しはじめました。(こういうときにもたじろがずに「SIR」と呼びかけているところ、しっかりした子だなと感心しました。偉いわ)

わたしともう1人のお客さんは、顔を見合わせて苦笑。店員の女の子がポリスに電話をしているのを聞きつつ、なるべくおっちゃんの方面を見ないようにしつつ、万一凶暴化したときに武器になりそうなものは、と考えつつ、窓の外に目をやってはやくお巡りさんが来ないかなーと見ていたのですが、こういうときに限ってちっとも来やしない。

おっちゃんは何度か怒られた後、なにかうわ言をブツブツいいながらまた服を着て、数分後にフラフラと店を出ていきました。

お風呂か何かの夢でも見ていたのだろうか。


春先にはいろいろな椿事が発生するようです。


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2015/02/19

チキンフライドステーキとは何か



シアトルから30分くらい南のKENTという町のダウンタウンにある、Maggie's というお店に、何度か朝食を食べに行きました。

手作り感あふれる看板の字がいい感じ。名は体を表すといいますが、メニューもまったくこの字のとおり。


すごーく地に足がついた感じの、アメリカの正しい食堂。

何が特別ってわけでもないんだけど、正統派ダイナーです。


ワッフルはフワフワさくさくで美味しかった!
ちゃんとした生クリームつき(クールウィップでなく)。


ポテトチップスも自家製だそうです。


ウェイトレスのおばちゃんはみんな少しサイズが大きめで、声が大きい。

コーヒーはかなり濃い。


照明は蛍光灯だし、なにかの収容施設の食堂みたいなインテリアですが、ウェイトレスのおばちゃんたちが元気で、いつも活気があります。

日曜の朝ともなると、教会帰りの人びとで満員の盛況になることも。

マグカップが全部バラバラなので、どんなのが出てくるかも楽しみ。


ある日のマグカップはファラオ模様でした……。


 ここである日、「chicken fried steak」というものを注文したのです。上の写真の、白いソース(グレイビー)がかかってるやつです。

チキンフライドステーキ。

て何だかご存知ですか?

わたしは知りませんでした。

「チキン」フライドステーキって言われたら、通常、疑うことなく、それは鶏肉であると推論しますよね。わたしはそう思いました。

しかし、そうではなかったのです。このカリっとした衣に包まれた肉は、なんだかメンチカツの中身によく似ていた。

同行の友人Mに「これはいったいどんなチキンか」と尋ねると、「それは牛である」という驚きの答え。

チキンフライドステーキとは、ビーフをフライドチキンであるかのように料理したものだったのです。

こんなレシピもありました。

「カントリーフライドステーキ」という名で呼ばれていることもある(多分そのほうが多い)ようです。

「だってステーキっていったらビーフじゃないか」というのですが、そ、そうだったのか。なんと紛らわしい。

アメリカ生活17年になりますが、驚くことはまだたくさんあります。




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