2011/02/09

Pedophilia

【Pedophilia】n. 小児愛、ペドフィリア
【Pedophie】n. その性向/嗜好の人。

先月、『The Pedophile's Guide for Love and Pleasure(小児愛嗜好者の手引き)』と題された自主出版本がアマゾン・コムで販売されて問題になった。

著者によると「未成年(少年)との性交渉をより安全により傷つけない方法で行ない、捕まっても軽い罪で済むよう」にするための手引きだという。LAタイムスによると、「大人と少年との性交渉が絵入りで描かれていた」とのこと。

当然、すぐに一般の目に見つかって、100件以上の怒り狂ったレビューが殺到、オンラインで(Kindle版もあった)販売していたアマゾンにも矛先が向かった。

アマゾンは最初のうち、「犯罪を助長したり肩を持つ気はないが、表現の自由を尊重して出版物の検閲はしない方針です」という声明を出したものの、あまりにも非難の声が高まったために耐え切れず、その本をネット書店から取り下げた

が。激怒した人々はそれだけでは収まらなかった。

フロリダのある郡の警察が覆面捜査に踏み切り、この本の著者にわざわざメールで直販を申し込み、取引が成立して本が送られてきたところで逮捕状を発行、著者はコロラド州の自宅で逮捕され、フロリダに送られて拘留された。罪状は、猥褻罪(felony obscenity)。

医療マリファナの件でも驚いたのだけど、同じ国でとは思えないほど州によって法律が違い、犯罪が成立したりしなかったりの差が激しい米国。

このような書籍の販売はコロラド州法では罪にならないが、フロリダ州の「obscenity laws(わいせつ法)」では犯罪になる。らしい。

著者の弁護士は「表現の自由を保証した憲法修正第1条に照らして犯罪は成り立たない」と主張しているけれども、フロリダ州の判事は1万5000ドルの保釈金を設定して、12月末の段階ではまだ牢屋に入っていた。
自宅で逮捕されてほかの州の牢屋に送られるってすごい話だ。


日本では去年、「非実在青少年」をめぐって東京都の条例改正が大議論になっていた。
規制の当面の効力や内容そのものよりも、誰が判断するのか、いったん制定されてしまうと歯止めがなくなってしまうのではないか、などを危惧した全面反対派が多数だったように見える。

言い出した人があの知事でなければこれほどの反発は買わなかっただろう。
その後も知事の発言は、意見の違う人の話を理解しようという姿勢はひとかけらも見せず、大上段から火に油をそそいで挑発を狙っているとしか思えない内容ばかりで、まともな議論になりようもなかった。

私の愛する萩尾望都氏も署名に参加していたし、「文化が滅びる」とまで言っている漫画家さんもいた。たしかに萩尾氏の作品が、暴力や性描写があるから高校生に見せてはいけないという法解釈になるのだったら、私も反対する。

とは思うのだが。
あの都知事の言うことに賛成するのは非常に不本意だけど、私は基本的に、日本にはこれに関してもっと規制がないのが不思議だと思っている。

条例文を実際みてみると、
「当該図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は閲覧させないように務めなければならない」
と、いたって慎重で腰が低い。「させてはならない」でも「禁止する」でもないし、違反となりうるのは青少年に対して販売したり閲覧させた場合であって、どんなにお下劣な本であっても、大人が売買したり所持していても犯罪にはならない。
こんな腰の低い条文に文化を滅ぼすなんて大層な力があるとは思えない。
 
だいたい、最初に議論の的になった「非実在青少年」=マンガやアニメなどで性的対象物にされている 未成年や子ども。という語については、笑われたあげくに条文から消えてしまった。
もともとはコドモを性的対象にしている画像があまりに氾濫しているという認識から出てきた改正案だったはずなのに、議論の方向が変わってしまったみたいだ。

日本に帰るたびに、本当に、びっくりするような露骨なエロ画像、が公共の場所に野放しになってるなあと思う。コンビニや駅の売店で売ってる雑誌に、こんなもの載せていいんだ、と仰天してしまう。
ちょっとネットを探してみようものなら、本当に本当に胸の悪くなるような画像が次から次へと出てくる。アマゾンジャパンでは、幼稚園児や小学生の女の子をレイプして楽しむ成年男子を写実的に描写したマンガが普通に買えるし、ネットで簡単に見ることができる。そんなもの、できれば一生見たくなかったです。

そんなものを描くやつは直ちに生きたまま腐って死んでしまえと心の底で思わないではないが、人の頭の中は自由である。人の勝手だから好きなものを作って楽しむことを止めることはできない。児童ポルノは国際犯罪だけれども、非実在犯罪の被害者が非実在である以上、個人で作って楽しむことを禁止はできないし、どれほど遺憾であっても、禁止するべきではない。(できることならフロリダ州の保安官かDexter に一網打尽にしてどこかに連行してほしいと思うけど、それは私の頭の中の自由な妄想)


でも、それは日のあたるところにさらすべきものじゃない、人に見られてはいけない妄想だ、という、そういう意識があまりに希薄なんじゃないか?作り手と、配給している側にも。

わたしは、人の道に反したことを妄想して楽しむ変態さんには、変態なりの矜持をもってほしいとすごく思う。自分たちは日陰モノであるという自覚と矜持だ。


日向に出てきてはいけないものが(目についたら被害者の立場に共感して不快に思う人がいたり、リアルであれば犯罪な行為を愉楽の対象として描くモノについて言ってます)、日本ではあまりにもゆるくとり扱われていて、「だからどこかいけないんだよ」という意識がオモテの文化にも目に見えてしみ出しているように思えてならない。

昔の貸しビデオ屋さんには、アダルトな部屋をビニールのビラビラした暖簾で隔離していた。今はネットで何にでもアクセスできる分、どこかのまんなかに微温な巨大な水たまりができていて、その中で何やってもオッケーみたいな空気が醸成されているような気がする。

ていうか、もしかして、変態の人がすでに絶対多数を超えてしまっているのかもしれない。





これはいいけど、これは嫌だなと思うラインが引きづらいのはわかる。
しずかちゃんの入浴シーンとアダルトロリマンガの間のどこかにその境界はあるのだろうけど、そのグラデーションがまことに広大すぎ、複雑すぎるのはわかる。でも必ずどこかに境界はあり、それは、変態さんの方がむしろわかっていらっしゃるのではないかと思う。それは社会が話し合いで決めていくべきものだと思う。

こんなもの見たくないと拒否する声が、女性の側からほとんど出てこないことが、一番の驚きだ。小さい子どものお父さんやお母さんたちや、女性たちで、目に触れる画像に不快な思いをしている人は、そんなにいないのだろうか。
 世の中そういうものだと達観しているのか。日本の寛容性なのか。本当にぜんぜん気にならないのか。私が知らないだけなのか、今回の論議では、そういう保護者目線の意見はまったく見かけなかった。

都条例が何を変えようとしているのか良くわからないけど、何にせよ多分、法律を作ることだけで変わるものではないのは確か。

旧式不良少年の都知事がいくら的外れなイヤミを連発しても、そんなものでは何も変わらない。都知事の声は一瞬大きくてもだれもまともに聞いてないし、最初から議論になってないし議論する気もないらしい。だったら都知事に発言の権利はない。

セクハラは被害者が嫌だと声をあげなければ犯罪にならない。日本の女の子たちや子どもの親たちがこれはハラスメントだと言いださない限り、この議論がちゃんとしたまな板にのることはないのじゃないだろうか。「これはいけません」と役所に言ってもらうのじゃなくて、「私はこんなものが公共の場所にあったり、子どもに簡単に手にはいるところにあるのをのぞまない」という人の声には、表現者、販売者とも耳をかたむけるべきだ。その声は今のところ、まったく聞こえない。ということは、誰も思っていないってことなの?

肌で感じる日本と米国の大きな違いは、こと児童を性の対象にするという考え自体について、米国ではもう本当に圧倒的に「気持ち悪い」「変態は死ね」「逮捕しろ」という声が多いこと。これは、単純に振りかざす正義のように聞こえるけれど、子どもを守る者の感情だ。

いろんな層で徹底的に価値観の違うアメリカ人だが、大半が共感する数少ない絶対的価値のひとつに、子どもは大人がきちんと守るべきもの、ということがある。これは青い州でも赤い州でも、人種や年齢層を問わず、ほぼ共通した価値観として守られていると思う。


それだけ、現実に子どもが暴力にさらされていることの裏返しであって、子どもが被害に合うたびに法整備がされて来た結果、社会の意識が変わってきたのでもある。アメリカで児童ポルノが違法とされたのは1982年の判決以来で、それ以前はなんでもありだった。

Pedophileに対してのアメリカ人のこの壮絶なまでの反感は、病んでいる社会の症例と言うことも、もしかしたらできるのかもしれないけど、日本のほうも非実在青少年を対象にしたPedophile の取り扱いに関しては、相当に深いヘンな病にかかっている気がするよ。

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2011/02/07

タコマの浮世絵


 雨の土曜日、タコマ美術館 Tacoma Art Museum に行ってきた。

タコマ市はシアトルから高速で片道30分弱。仮免をとったばかりで運転したくてたまらない息子が運転手。車の運転ができるなら、どこへでもほいほいついて来る。母につきあって浮世絵だって見に行っちゃうw 浮世絵はNot his thingらしくて、さーーっと20分ばかり見て、あとは車で寝てしまったが…(悲。 

こじんまりした美術館で、疲れずに見られる良いサイズ。
入り口をはいると地元アーティスト作の巨大犬「Leroy」がお出迎え。
入場料は大人9ドルなり。回廊式ギャラリーが4つの展示室にわかれていた。


ひとつめは、タコマ出身のガラス作家Chihulyの作品が並ぶ 常設展示室。
海の生物のような、うにうにした超豪華巨大シャンデリアが有名だ。ここにあるのは、深海の生物のような壺や花瓶や、熱帯の花たち。

タコマだけでなくノースウェストにはガラス作家がとても多くて、この美術館のすぐ近くにガラスミュージアムもある。

北斎です。モダンな色使い。おいしそうな山。
メイン展示室はお目当ての『Edo to Tacoma 』展。けっこう見ごたえがあった。
なんと、前期後期ですっかり展示替えがあったのだった。悔しい〜。前期も見たかった。
こちらの展示は13日まで。

浮世絵や江戸期の日本画が最近とても好きで、日本に帰るたびに探して美術館に行くのだけど、浮世絵がまとめて見られるところって都内にもなかなかない。ハラジュクの太田記念美術館も、おなかいっぱいというほどではないし。
国立博物館は収蔵品は多いはずだけど、点数まとめてださないし。保護のためにずっと飾りっぱなしにするわけにはいかないのだろう。今回の展示も、古いもので特に光に弱い作品は、カバーがかかっていた。ちらりとカバーをのけてのぞいて観覧。


歌麿の雀。銅版画のような、繊細な線。アウトラインも背景の葉っぱは薄い墨色。
これが木版画って。
美人画も、生え際の髪の毛の一本一本に見入ってしまう。彫り師の人、あり得ない技術力。

 わたしの今回お気に入りは二代目豊国、国貞。抱えられて嬉しそうなゾウ。
 書き初めウサギ。これは、扇子やウサギの毛のところが浮き彫りになっている、当時の版元の超絶技巧を誇る作品。

 どこの若旦那か役者さんか、えらくアバンギャルドなファッションである。柄の羽織に合わせたパッチワークみたいなチェックの立体的な襟が、コム・デ・ギャルソンみたい。良くわからないけど大変なおしゃれさんに違いない。刀をさしてるから芝居の場面なのかも。

明治以降の浮世絵が発展した木版画、戦後の「創作版画」も何点かツボを押さえて展示してあって、時代の流れがざっと眺めわたせる。
明治になると舶来の絵の具が使われるようになって、どピンクや真紅など「文明開化カラー」が出現する。横浜を描いた絵なんかはそういえば、真紅がこれでもかというように使われていた。


 そして鴨緑江会戦、日露戦争。


この浮世絵たち、ここの美術館の収蔵品の一部なのだ。
地元の木材会社で財をなした名士の未亡人が集めたコレクションと、明治初期に日本へ公使としてわたって、明治天皇と個人的に親しくもなった外交官が日本で集めてきたものらしい。
 
第3の部屋は、印象派 の小部屋。
ルノアールやスーラなどパリの作家たちの作品と、同じ時代に太平洋北西部で作品を描いていた、ノースウェストの印象派の人たち数点などを展示した小さなギャラリー。

メアリー・カサットの小品。きっぱりとした勢いのある筆で鮮やかな色をとらえた、緑が匂うような夏の風景。この人の作品は母と子を描いたのが多くて優しい絵だと思っていたけれど、実物を見るととっても骨太な印象を受ける。

 4つめは、地元タコマをテーマにした写真展。


印象的だったのは、19世紀末の中国人排斥(タコマでも600名くらいの中国人移民の家を焼き、財産を取り上げて有無を言わさず本国へ送り返した)を90年代になってから街をあげて恥ずべき歴史として認めて、市が作った和解の橋のモニュメント。


なかなか居心地の良い美術館です。建築はAntoine Predockの作品。

タコマはこれが2回目で、ダウンタウンには素敵な古いビルもちらほらとあるのだが、前回も今回も雨降りでしかも腹ぺこだったりして、街歩きはまだ果たしていない。次回ぜひ。


プログラマーでアーティストで3児のママでしかも美女。パワフルなスーパーママMotokoちゃんが、ヘッダーを新調してくれました♪ 彼女のブログはこちら。もうすぐウェブデザイン会社のサイトも本格開店だそうで、期待してます。


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2011/02/02

青犬珈琲店

ご近所カフェ『Blue Dog Coffee House』。

上目遣いなビーグル犬?が目印。

なんだか食堂車のように細長い、明るくこじんまりしたレイアウト。
ここの椅子は黄色い壁に似合ってキュートだなあ、と思っていたら、小学校の食堂にある椅子だよ、と息子。そうなのか。

どこから見つけてきたのか、テーブルも懐かしい60年代ふう。

入り口には、「私たちはスターバックスをインスパイアしたインディペンデントカフェです」と書いてある。 

スタバやTully's はシアトルの地元企業で、もとは同じようなインディペンデントから出発しているけど、地元ではほかの元気なインディペンデントカフェに遠慮しているような感じをうける。

ほかの街でのほうが、スタバは大きな顔をしている。
ホノルルなんか一時期、新しいビルが出来るたびにスタバが入居して、雨の後のきのこのような増え方だった。1ブロックに3店あったとこもある。


シアトルでのスタバは、ご近所カフェがない街道沿いやダウンタウンのオフィスビル、モールの中なんかを押さえ、ご近所カフェのひしめく住宅街では、セーフウェイなどの大手スーパーチェーンの店内にひっそり(でもないけどw)出店してる感じ。もちろん昔からのロケーションはそのまま営業してるけど、むやみやたらと増やしてほかのカフェをつぶしたりなんてことは、シアトルでは大顰蹙を買うので絶対にしないと思われるよ。かなり前だけど、ホノルルのマノアにあった感じの良いインデペンデントカフェがスタバ出店のあおりで消えてしまって、悲しかった。

スターバックスは カフェ激戦区のキャピトルヒルでは「変装」して出店中で、これまた賛否両論浴びている。これはまだ未見なので、こんど見にいってみます。

青犬珈琲店はキッチンがあって、ブレックファストやランチも出している。 スコーンやマフィンも自家製。バリスタの女の子はみんな感じが良い。珈琲はふつう。Wi-Fi 無制限。でも、長居するにはちょっと寒い。すきま風がおしりのほうから…。
 
Blue Dog Coffee House
5905 NW 15th Ave. Seattle, WA 98107


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2011/01/31

チャイナタウンてどこ?


もうすぐ春節、チャイニーズ・ニューイヤーですね。

シアトルのチャイナタウンでは、先週土曜にライオンダンスやドラゴンダンスがあったらしい。残念、見逃した。




チャイナタウン  ≦「インターナショナル・ディストリクト」。日系スーパーも紀伊国屋書店もダイソーも、フジベーカリーも、ラーメン屋や居酒屋もあるし、お店は見た感じ、中華系と日系と半々くらいの感じ。もちろんベトナム系のPHOの店とかもある。要するにアジア街ということでひとくくり。

私より前からシアトルに住んでいる友人は、ここにある日本食スーパーの宇和島屋に月に一度くらいの頻度で来ておきながら、「チャイナタウンてどこ?」と私に聞いた。

そのくらい影が薄い。ちゃんと「中華門」もあるのに、いちおう。 ↑フジベーカリー前。 

ホノルルのチャイナタウンは、狭いながら活気のある市場がいくつかあって、派手な色の魚や豚の顔や鶏の爪や生きたナマズやドリアンやバナナの花などなど、カラフルで刺激的なものが山積みで、年末にもなると中国のおばちゃんが殺気だって押し合いながら買い物をしていて、楽しかった。



シアトルの「ID」(インターナショナル・ディストリクト)は、いっちゃなんだけど、寂れた感がただよう。


活気を出して人を呼ぶための工夫もいろいろされてるようだけど…。たぶんこういう壁画もその一環。
でもドラゴンを配置したり中華門を作ったくらいじゃ、活性化は難しいだろうと思ふ。
ダウンタウンに近くて、昔からの安宿がたくさんあるので、どうしてもギリギリの人たちが集まる。いかんせん、雰囲気が暗くなる。

ホノルルのチャイナタウンも昔は夜になるとヤク中と売春婦ばっかりで寂れていたが、10年くらい前からオサレなレストランバーやクラブやギャラリーが次々に出来て、一気にホノルルで一番ヒップな町になった。

ここの「ID」にも、たとえばベルタウンのバーが数軒引っ越してきたら相当変わると思うなー。でもきっと引っ越す意味はないなー。オサレで本当においしいラーメン&バーとかはどうだろう。

近くのもと移民局だった古いビルがアーティストの集合スタジオに改装されたそうなので、そのへんからなんとなく活気が出てきたらいいのに。とちょっと思う。



でも今のままのIDも、かなり好き。活気あった時代の怪しい名残がたくさん残ってて、ほんと面白い。

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2011/01/30

大統領のドーナツ

ドーナツは、哲学的なおやつだ。

こんなにもあからさまに、「無」を存在の中心に据えた食べ物がほかにあるだろうか。

あまりにも単純で、これ以上どうすることもできないシンプルな形。

存在自体がZENではないか。

…なんてことを思っているわけではないだろうけれども、アメリカのおやつキングはドーナツ。

警官ドラマでも良く出てくるけど、いい年の男の人が食べててもなんとなく絵になるおやつじゃないかという気がする。

シアトルでもドーナツ屋さんはしのぎを削っています。

ここのTop Pot Doughnuts は、多分一番人気。
店名に由来するチャーミングな物語はこちら。ちゃんとした日本語訳がついてます。

市内に数店舗ある地元オリジナルのドーナツ店で、シアトルのフットボールとサッカーのプロチーム、シーホークスとサウンダースの「公式ドーナツ店」ということになっている。ロッカールームにドーナツが積んであるとは思えないけど、積んであるのかもw 

オバマ大統領がシアトルに来たときにも自ら寄って、一箱お買い上げだったという。
オバマ大統領は、シアトルのFran's チョコレートの塩キャラメル(だったかな?)もお気に入りでホワイトハウス御用達なのだそうだけど、遊説先で選挙民にアピールするためには高級チョコレート店でお買い物では問題外で、やっぱりドーナツの大箱でなくっちゃ、話にならない。

ダウンタウン店は広い吹き抜けのカフェになってて、両側の壁には天井まで届く書棚が作りつけられて、図書館みたい。古い百科事典などの活字本が並んでいる。


コーヒー豆もここで焙煎している本格カフェ。
肝心のドーナツは、とても折り目正しい感じで、オールドファッションが格別おいしい。レモン味のもおいしかった。

Wi-Fi も時間制限なしフリー。なので、パーキングの心配さえなければ、仕事を持ち込んで数時間長居しても全然平気な、書斎代わりに気持ちよく使えるカフェのひとつ。


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2011/01/28

霧の朝

霧の朝のグリーンレイク。

シアトルは時々、局所的に深い霧に覆われる。



いつもの 景色が底のない濃淡になる。
霧の小道にはなにか異形のものがひょっこりと現れそうな。


「シモーン、外套を着よ、黒塗の厚い木靴を履け、
二人して霧の中を行かう、船に乗った人のやうに」
ルミ・ド・グールモン  堀口大學 訳



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2011/01/27

Cannabis

Cannabis  n. (植物)大麻。カンナビス。大麻から製した精神活性のある薬物(マリファナ、ハシシ、ガンジャなど)




ワシントン州もほかと同じく、厳しい財政難にみまわれている。

で、ある州議員が提出中なのが、マリファナを酒屋で買えるようにする法案
 若手じゃなくて、孫もいる64歳の女性議員です。
おばあちゃんに怖いものなし!

この方法で年間4億ドルの税収が見込めるとのこと。
 
21歳以上なら誰でも酒屋でマリファナが買えるようにして、州でライセンスを発行した農家が州内で栽培するようにすれば、税収以上の経済効果が見込めるはず、という。




今でも主に西部の15州とワシントンDCでは医療用マリファナが合法で、医師の処方があれば指定の場所で買うことができる。この対象になる病気や症状も州によってバラバラだし、一度に所持できる量なども違う。カリフォルニアはかなり緩くて、不安神経症や一時的な痛みでも割に簡単にほいほい処方してくれるらしい…。かと思えばまったく禁止の州もある。
この州による法制の違いにはいつもながら、いまだにビックリしてしまう。

実際に医療マリファナを使ってる人に会ったことはまだないけど、 日本で芸能人が大麻所持で捕まったって大騒ぎになったりするのを耳にすると、日常にいかにマリファナがあふれていることよ、としみじみ思う。

高校生の息子によると、中学校や高校の教室でも取引されているし、休み時間に校庭の隅でマリファナをすっている子どもを見ても、先生はわざわざ注意もしない、という。

コンサート会場ではどこかから焚き火のような煙がもうもうと流れてきて、ライブのあとは服や髪がマリファナくさい。

大量に売りさばいたりしているのでなければ警察も所持くらいで検挙したりしない。
これはワシントン州だからで、テキサスとかではまた全然違うのかもしれないけれど。

大麻は太古の昔から役に立つ植物であるし、タバコやアルコールよりも毒性も中毒性も低いのだから合法化すべきだと主張する人々は昔から一定数いて、シアトルでは毎年そういう主張の人が集まるHemp Fest というお祭りも開催される。(吸う目的でなく、紙や布の原料として栽培を合法化するべきだという人も多い)

 さすがに一般へのマリファナ販売を合法化しようという議論をまともにまな板に載せた州はまだないようで、これが本当に審議にかかればワシントン州が最初になるだろう。…まだ相当にかかるとは思うけど。

現実に大変な量のマリファナが流通しているわけで、すべてアンダーグラウンドに流れているこの資金を税収として取り込んで、健康保険などの資金に充てよう、という思い切った議論は、たしかに一目おかれても良いと思う。反対する人がまっさきに言うのは、大麻を許可したらコカインとかヘロインとかもっとシリアスなドラッグにエスカレートしてしまうのではないか、ということだが、そういう人はすでにエスカレートしているし、手に入りやすいから中毒になるというものではなくて、ほかに理由があるはずだ。食事時にワインを飲む人が全員アル中になるわけじゃない。

現実に、子どもたちが気軽にドラッグをお小遣いで買えてしまえている。むしろ薬物中毒になってしまった人に対する救済や、子どもたちが夢中になれる薬物以外のものを提供することに使えるお金が入ってくるならそっちのほうがよいのではないでしょうか。

でも、新聞記事のコメント欄をみると(議論白熱していて700件以上のコメントがついていた)、「税収に貢献するわけないだろう。だれが裏庭で栽培できるものをわざわざ酒屋で買うんだ」という意見もある。たしかに、もうちょっと法がゆるくなったら裏庭に大麻がわさわさしている光景がシアトル中で見らてしまうかもしれない。

ただし、万が一可決されても、現状ではマリファナの売買はもちろん所有も使用も禁じている連邦法と矛盾するので、ほんとに税収にするには難関がある。

(医療用については、連邦法では違法ではあるけれ州法に従っている限りは検挙しないという方針)
現在でも医療用マリファナの販売はグレーゾーンで、ワシントン州では法律がないので解釈次第ということになる。

酒屋で売るようになったら、やっぱり「オーガニック」や地元ビールみたいなご当地ブランドが競い合ったりするのだろう。20年後くらいには実現するのではないかという気がする。

追記:1/30の新聞が 医療用マリファナ販売についての一面で特集していて、いろいろ興味深かった。
訂正→ 医師や療法士は、マリファナを「処方」ではなくて、「推薦」することができる。事実上処方と同じように医師が署名する。医師だけでなくて「自然療法士」なども可。
医療用マリファナが合法化されたのは12年前で、今では数万人の患者が利用していて、100軒以上の販売店が 営業している。法は、本来患者が自分で栽培して利用することを前提としていて、販売店が合法なのか違法なのかは明確でないので、患者を登録制にして販売店も許可制にしようという案が出ているそうだ。


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