猛暑の日曜日のあと、また爽やかな夏が戻ってきたシアトルです。
極暑の中にいらっしゃる皆さん申し訳ありません。快晴で微風もあって、もう本当にものすごく快適です。永遠の5月のようです。秋冬の半年間は曇り空と雨なので、許してやってください。
日曜は猛暑になるという予報だったので、前日の土曜日にハイキングに行ってきました。
シアトルから北へ小一時間ほどのDeception Pass (デセプション・パス)。
もうひと頑張りでカナダ国境というところ。本土と橋でつながっていますが、ふたつの島のまんなかにある狭い海峡。グーグルマップ日本語版では「デセプション峠」と表示されますが、このPASSは峠ではなく「水路」が正解です。
ご覧の通りかなり内陸に入り込んだ内海なので「海峡」だとちょっと大げさですね。
前回行ったのはなんと、2013年の7月だった。M太郎ちゃんと一緒に行ったのでしたが今回は息子とふたり。
毎週末、デートもせずに母とつきあってくれてます。ふびんな子よ。
靴の制作に燃えている青年はいろんなテクスチャに興味があって、花崗岩とか木の幹の皮とかに釘付けになっていました。
素敵な木像は、サリッシュ部族の乙女。
Civilian Conservation CorpsのInterpretive Centerは閉鎖されていましたが、キャンプ場とトイレは開いていて、快晴の週末だけにパーキングは満車。でも10分ほど待っていたら幸運にも空きが出て停められました。午後2時頃。朝型組が帰る頃合いだったのでしょう。
州立公園の利用料金は、1年間有効の「ディスカバリーパス」は30ドルで据え置きなのですが、デイユースの料金が10ドルに値上がりしてました。
そしてここも森林局とおなじくキャッシュを封筒に入れて名前を記入するアナログ方式です。カードが使えるペイステーションも1台あったけれど、故障中でした………。
シアトルの街なかの路駐課金は「Pay by Phone」というアプリで簡単にできるし、やる気になればすごく簡単にデジタル化できるはずなんですけどねー。
連邦政府や州はフットワークが重いですね。
そういえば、連邦政府のIT入札とセキュリティを一元化して、各省庁でバラバラに運用されているサーバーも集中して効率化をすすめ無駄を省くという作業がオバマ政権のときに実行されはじめたはずなんですけど、あれは今、どうなってるんだろう。現政権下じゃグダグダになっているであろうことは予想がつくけど。
今回は、ロザリオ岬への短い散歩。ハイキングというほどの距離でもありません。
最初にここに来たのはさらに遡ること2013年2月。舞踏家で数学者の薫さんとご一緒したのでした。
あのサンドイッチ屋さんは健在かな。確認のために寄るつもりだったのにフリーウェイの出口を間違えてしまい、行けませんでした。
オリンピック半島もカナダも見える絶景の岬。
パーキングの前のビーチは大混雑でしたが、トレイルや岬の上は人影もまばら。
絶壁から下をのぞく青年。お母さんはお尻がむずむずして崖っぷちには近づけません。
カヤックやスタンドアップパドルボードの人たちがたくさんいました。カヤックいいなー。
やっぱり見ているだけで普通にこはい。やめて。
ロザリオ岬のすこし手前に小さな岬が突き出していて、そこの横がミニ入り江になっています。誰もいない!よしチャンス!
15メートルくらいか、ほぼ垂直の崖を降りなくてはならないのですが、岩や木の根などにつかまれるのでそれほど難易度は高くありませんでした。
しかし、崖を下りきって、やった!と思った瞬間に、ふくらはぎに鋭い痛みが。
細いトゲでも刺さったかと見ると、なんと黄色いハチが脚にくっついていて、思わず叫びました。
ミツバチではなくて英語でhornetとかyellow
jacketというやつ、ウェストがしゅっと細くて黄色と黒の細い縞模様になっているやつです。種類はわからないけどアシナガバチくらいの大きさでした。
痛かった。
よく見ると、崖の一番下に巣があって、そこからハチのみなさんが忙しく出たり入ったりしていました。わたしはそのお宅の上を踏んづけたか玄関の前を通ったかして逆鱗にふれてしまったようです。
ハチに刺されたのは生まれて初めてかもしれない。記憶にある限りでは初めてです。
アレルギー体質ではないので、とりあえずハンドサニタイザーで消毒だけして(あまり意味ないと思うけど)我慢することに。抗生物質軟膏と抗ヒスタミン剤の軟膏を持ち歩くべきですね。
アレルギー体質のジェニファーちゃんやキリコちゃんはいつもかばんにエピペン注射薬を携帯してますが、こういうことがあるから必須よね。
息子はニヤニヤ笑って「通行料だ」と言う。
午後中ヒリヒリ痛かったけど、この入り江を午後中プライベートビーチとして独占利用させていただいたので、刺されただけの甲斐はありました。
おやつは、朝ベーカリーで買ってきたハムクロワッサン。
本はC.S.
ルイスの『Mere Christianity』。そうか、第二次大戦中の原稿だったのね、と読み始めて気づく。
『ナルニア国物語』で有名な作家ですが、平易な言葉でキリスト教の真髄を大衆向けに語ることのできた人としても有名です。『ナルニア国物語』にもキリスト教のモチーフや教えが散りばめられているのはよく知られています。
今読むと、そのひたむきさが少し悲しい。
ロンドンが空爆されているさなかに、ラジオ番組のために話した内容を原稿にしたものです。
1章分しか読めず、すこし疲れた。
打ち寄せる水が透明度100%。どこからやってきたのか、瑪瑙や水晶の小石もたくさんあって綺麗すぎる。またもや、ここも天国の海。
波にもまれて磨かれたこういうきれいな小石は「水磨礫」というそうです。すいまれき。
鳥の卵のようなすいまれき。
流木はたっぷり陽射しを吸収してあたたかく、その上に寝そべって本を読んでいると気持ちがよくて最高でした。
たまにボートやカヤックの人が通っていくのと、崖のうえから時々人がのぞき込む以外は完全に貸し切り状態。
青年も本を持ってきてちょっと読んでいたけど、それより流木でモビールを作るのに熱中しはじめ、2時間くらい制作にはげんでいました。
25歳だけど、5歳児のような真剣さ。
一銭にもならないことに全精力を集中できるのは、美点としておきましょう。
海中の岩の上に、作品1。
小石の浜に作品2。
こういう手作業や工作好きは、いったい誰に似たんだろうか。
わたしは小さい頃から絵を描くのは好きだったけど、立体のものを作るのは苦手で、なんでもすぐに面倒くさくなって放り出す性格でそれにうすうす罪悪感を感じて生きてきたので、靴でもモビールでも「制作」に集中できる青年に、吾が子ながら、偉いわねえ根気があって、と思う。
元夫もまったく根気のない性格なので、謎です。隔世遺伝か。金庫職人だったという母方の祖父(わたしの)かな。そういえば母方の祖母の父(わたしの曽祖父)もなんかの職人だったそうです。2〜3世代スルーして日本の職人の血がよみがえったのかな。地下足袋似合うし。
マドローナの木と松の木立ち。崖に生えている樹々の生命力発現すごい。水面と平行になって崖からまっすぐ張り出して生えてる、俺は重力に屈しないみたいな意思をかんじさせる松の木もありました。
またもや、爽やかすぎる天国先取りの週末でした。