ニューヨーク滞在中にまず行ったホイットニー美術館で、アレクサンダー・カルダー展をやってました。
ワンフロアの小さな展覧会だったけど、めったに見られない動く彫刻のデモンストレーションがあった。
ちょうど運良く、デモの時間に立ち会うことができました。わーい。
カルダーの動く彫刻が動いてるのを見たのは初めて。
ほんとにかわいい。洒脱。すべてが垢抜けている。
これは予想を裏切る有機的な動き。Sの字がミミズっぽい。
こちらはデモには入ってなかった。これが動くところも見てみたかった〜。
傘のようなアンテナのようなのがどう動くんだろうか。
滑車がついてるから回転するのかな。
5階のカフェの配色と、カルダーのモビールがマッチしてました。
カフェの外はハイラインを見下ろす展望デッキ。
ほかの階ではビエンナーレをやってました。
これはヘンリー・テイラーという1958年生まれのロサンゼルスの画家の作品で、去年起きた、警官による銃殺事件をあつかったもの。
この人は人種間の緊張をテーマにしているけど、ほかにもマイノリティや移民の視点から見た「いま現在」のひりひりするようなナマの題材を取り上げた作品がたくさん。
そしてもちろんコレクションの展示もがっつり見応えがあるのでした。
これは1940年の写真で、「Tenement on Perry Street」。
Perry Street ってあのSATCの「キャリーの家」がある通りじゃないのか。今ではアップスケールになっちゃってたぶん何百万ドルもするアパートが並んでいる界隈。
1940年には移民の町だったのか、小さな部屋の隅に作られたつつましいキッチンの写真。
ちょうどツアーをやっていたので途中から飛び入りしちゃった。
アンディ・ウォホールの1961年「$199 Television」。
この時代の199ドルって高いよね。61年の頃のテレビの存在感って、とほうもなかったのに違いない。
テレビが世界をすっかり変えてしまうことに、ウォホールさんはすぐ気がついた。
バーネット・ニューマンの「Day One」1951年。
ガイドさんは、「オプティミスティックな赤」といっていた。タイトルにも、新しいものが始まるワクワク感が表現されているといっていいのか。1951年。アメリカはまだベトナム戦争を知らず、冷戦も宇宙競争も始まったばかりだった。
なんの第1日だよ、と思うとちょっと背筋が寒くなる気もする。
エドワード・ホッパーの有名作品とも、ナマで初の対面。
ホッパーの木炭デッサン。かっこええ。
また画がかきたくなってきた。
ジャスパー・ジョーンズと、ホッパーの「Early Sunday Morning」。1930年。
うら寂しいホッパーの作品の中でも大好きな1枚。
もちろんナマで見るのは初めて。意外と小さい絵だったんだ。
そしてこれはニューヨークの7番街の絵だった。なぜか中西部のどこかの街だと思いこんでいた。
「almost a literal translation of Seventh Avenue」
(7番街をほとんどそのまま写したもの)
と、ホッパーさんはこの画のことを説明したそうですが、ウィンドウの金文字はぼかされて読めないし、人は一人もいないし、7番街にはこんな具合に朝日が当たることはないのだと説明されてた。ぜんぜんそのままじゃない。
要素を切り取った、がらんとして美しい、情感をそいだハードボイルドな風景。
大恐慌時代の景色なのだった。
アートミュージアムは歴史のミュージアムでもあるのだなと思いました。