2016/11/15

IKEAごはん


このあいだ、久しぶりにIKEAに行ったら(シアトルから南へクルマで40分くらいのところ)、なんと駐車場の反対側にもっと巨大なIKEAが建設中だった。

シアトル近辺にはどんどん人が増えてるので、IKEAも大繁盛でフロアがたりないんでしょう。

今でさえ一周すると疲れるのに、もっと広くなるのか…!
完成予定は来年春。


まんなかにあるIKEA食堂についたら急におなかが空いているのに気づいて、IKEAめし。

お豆たっぷりのルッコラサラダに豪華スモークサーモンつき。チーズケーキまでがっつり食べちゃった。ケーキ込み、コーヒーつきで9ドルくらい。満足度高い!


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2016/11/14

イーストサイドの静かなslough


この11月はまた気味の悪いほどあたたかい、シアトル近郊です。ここしばらく湖の東がわ、「イーストサイド」で、テンポラリーに猫まみれな生活。

夜のあいだ大風が吹いて雨が降り、 うっすらと日がさしてきた午後、お散歩へ。
イーストサイドは、マイクロソフトが大企業になるまではいちご畑や牧場ばっかりだったというだけあって、いまでも住宅街のなかにだだっぴろい公園や緑地がたくさんあるし、その間をぬける長いトレイルも豊富。

シアトル市内も公園の数では負けていないけど、広さとワイルドさではイーストサイドが圧勝。


自然のままの沼沢地のむこうに、ベルビューのダウンタウンにそびえるビル群がみえる、SFっぽい風景。

Mercer Slough Nature Parkというこの公園。直訳すると「マーサー沼自然公園」。
またはマーサー湿地、沼沢地かな。

Sloughという単語はあまりなじみがない。

英和辞典にはslough の訳語は「泥沼」「低湿地」とあるけど、河口域の広い湿地帯をさすこともあるらしく、場所によっても呼び方が違うらしくてあまりハッキリしない。
どちらにしても、あまり動きのない浅い水にひたされた、陸と水のあいだのあいまいな土地。

National Ocean Serviceのサイトには、sloughは「西海岸では、しばしば、河口域の戻り水でできた汽水域の湾や湿地をさす」とある。

Mercer Sloughは河口といっても小さな流れが湖にそそぐところにできた湿地帯なので、汽水域じゃなくて淡水の湿地/沼/小さな川からなる一画。
自然のままの雑木林と湿地帯が公園になっていて、とてもよく整備されたトレイルが張りめぐらされている。


きれいなキノコがたくさん。一昨年、キノコの図鑑を買ったのに、あれきりキノコ学習がすすんでいない。

この幹の苔と地衣類のテクスチャともようが素敵。


ほとんど葉の落ちた茶色の木立ちの中で目立つ赤い実は、たぶん、ズルカマラ(bitter sweet、またはnight shade)。有毒だそうです。


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2016/11/13

シノラの看板犬


あっという間に通りすぎてしまうくらいちっちゃいパロアルトのダウンタウン。

なんだかお洒落な自転車置場があった。


トラディショナルな自転車置場も。


デトロイト発のものづくりで成功してるシノラのブティックがあった。


床によこたわる看板犬におもわずひきよせられて立ち寄る。


キバちゃんという名前でした。
近くによるとお腹をなでてくれとごろりと降参のポーズに正面からやられた。

スーツケースにつけるネームタグがほしかったんだけど、革製75ドルだってー。
うちの庶民なスーツケースの本体と値段がほとんど変わらないー。まさに猫にコバン。



メイド・イン・アメリカのものづくりはぜひ応援したいけど、その前に自分に応援が必要だっ。収入が3倍になったら応援するから気長に待っててねーシノラ。


その前あたりにあったこのビル。全体のデザインは70年代ふうだけど、おもしろいところにナチュラルな風合いのベニヤをはりつけて、壁に木の絵を描いて全体に21世紀な自然志向でモダンな感じになってる。
たぶん既存のビルのリフォームだと思うけど、そうだとしたらいままでみたリフォーム物件のなかでも出色のおもしろさ。壁のティールグリーンも目立ちすぎず個性的で面白いなー。


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2016/11/12

ブルーボトルコーヒー


先日、スタンフォード大学のあるパロアルトというところに行ってきました。

シリコンバレーはのっぺりした郊外の住宅街だったところに急にIT企業が増殖した地域なので、都市っぽいカルチャーがまったくない。とうぜん優秀なカフェもあまりみかけない。

知的でこじゃれたお金持ちの人が住むというパロアルトにはこじゃれた小さなダウンタウンがあって、まんなかへんにBlue Bottle Coffeeがある。


雨の日。このパロアルト店は去年だか今年だかにオープンしたばかり。


1920年代に建った映画館を改造したという、ひろい店。


なんちゃってヨーロッパの広場ふうな中庭。まんなかに噴水がある。

雨降りで外の席があまり使えないので混み合っていた。

そして中国人観光客が多かった! いまは世界中どこにってもきっと中国人観光客が多いんだろうなあ。


日本では去年、東京にオープンした店にすごい行列ができてたそうですが。
みんな並ぶの好きね!いくらなんでもコーヒーに1時間以上並ぶって、なぜ?

シングルオリジン豆のPour over(ペーパードリップ)があったので頼んでみた。えーと豆はたしかエチオピア。でも香りがほとんどなく、苦味がずどんと滞ってる感じであんまりおいしくなくって、三分の一くらい飲んでカプチーノに買い替えた。
ちょっと期待していただけにがっかり。
この豆がたまたまだったのか、しばらく風邪ひいてた後で舌のほうがダメだったのか。

カプチーノはふつうにおいしかった。中国人観光客が食べていたワッフルもおいしそうだった。


「サードウェーブコーヒー」の代表みたいにいわれているけど、ここは実はぜんぜんブティックロースターというのではなくて、第二のスタバをめざすカフェビジネスなんだな。
 そして「ニューオーリンズコーヒー」という冷たくて甘いエスプレッソドリンクが人気みたいだった。セカンドウェーブじゃん!

「サードウェーブ」 という言葉の元祖になった記事はこちらだそうです。この著者によると「サードウェーブのコーヒーは、コーヒーそのものを味わう」ということにつきるという。こないだも書いたけど、日本にはそういう、真面目に豆の味を追求するコーヒーおたくのお店が昭和の昔から無数にありますよね。

でもこのブルーボトルコーヒーは、店内やパッケージのデザインが素敵。
ミニマリストなパッケージやロゴのデザインは、無印良品とかの日本のデザインに影響受けてると思う。思わずもしかして日本の資本なのかと思っちゃったくらい。
オーナーはオークランドの人だった。


広い店内の半分は、Hanahausというレンタルワーキングスペース。
1時間1人3ドルから。会議室は1時間15ドルから。
カフェの席が埋まっているためか、こちらもほぼいっぱいだった。試験勉強してるらしい学生さんがたくさん。殆どの人はMacBookProをにらんでいる。


映画館の時からあったのだと思われる、この飾りつき柱の使いかたが面白い(この内側が小さな会議室)。
それに配管むきだし天井のくみあわせ。



帰るころになってカリフォルニアらしい青空がみえてきた。


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2016/11/11

芽キャベツのお酢煮


芽キャベツと、人参と、ねぎを、水とお酢とオリーブ油とシーソルトでゆっくり茹でる。

大橋鎮子さんのエッセイ集にあったレシピ。

<深めの鉄鍋で煮ます。ダシも、なんにもなしです> 。

とくに分量は書いてなかったのでホワイトバルサミコ酢をどぶどぶいれて、絶対間違いないハワイの赤いソルトで。
鍋にほうりこんで煮るだけなのに超うめえ。
ジャパニーズスタイルのねぎは高いから、こっちのスーパーでひと束1ドル以下のほそい「グリーンオニオン」使用。

<ナベにネギ、ニンジン、芽キャベツを並べて、油、酢、塩を入れ、水をたっぷり注ぎます。はじめは強火、ナベが温まったら火を落とし、弱い弱い火にかけて放っておきます。
 ときに白い粒胡椒を、ときに七味を、ときには柚子を。
音もたてず、ひとりでふっくらとおいしく煮えています。この野菜は充分に酢油の水分を吸って太り、それぞれ豊かな持味を、精いっぱいに出し切っています>。

芽キャベツはずっとなんとなく敬遠していたけど、シアトルに来たら枝ごと売っているので、あの突拍子もない妙ちきりんなかたちがなんともかわいくて、つい買いたくなり。
去年くらいから野菜レパートリにくわわった。 オリーブ油やベーコンで炒めるのもおいしいけど、このお酢煮はさらにかんたん。


このエッセイ集は、このあいだ東京にいったときに丸の内KITTEのこじゃれた雑貨やさんでみつけて買った。なぜ7巻だけ買ったのかというと「ヤンソンの誘惑」というタイトルに惹かれて。それもまた魅力的な冬向けの料理なのだけど、まだ試してない。

半世紀たってもオシャレな花森安治さんのイラストつき。なんて洒脱なんでしょうね。
毎日、ぐったり疲れるとこの本を取り上げて、1ページから2ページほどの短いエッセイをひとつかふたつ読むと、ほんとに癒される。


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水曜日のプロテスト


選挙の翌日、水曜日のワシントン大学キャンパスでは、 ほぼもれなく全員が大統領選挙の結果に動揺していた。

わたしがいま通っている人類学のクラスは夜7時からの講義で、学生は高校卒業したての18歳から60代まで年齢層が幅広い。

水曜日の夜のクラスでは、授業の半分の時間をつぶして、この結果をどう思うか、ここから何が生まれると思うか、のディスカッションになった。

15人ほどの小さなクラスだし、全員がまちがいなく「ブルー・バブル」の中に住んでいる民主党支持者で、壮大にショックを受けている人ばかり。かなり濃い話になった。

ヒラリーを推し続けた民主党の指導層に怒りを向ける人(ほぼ全員が同意)。楽天的に考えたい、すくなくともブッシュの8年間よりはずっとマシなはずだという人(わたしもそう思いたい)。自分の隣人や家族の中のモスリムや移民のひとを心配している人(深刻)。

分子生物学専攻の、すごく頭が良くていつも元気な白人の若い女の子が、「私がいちばん恐いと思うのは、これまではきちんとした場で言うべきではなかった、ひどい(差別)発言が普通になってしまったこと。だって大統領が言っているなら、もう誰が誰に対してどんんなことを言ってもオーケーだってことになる」と言いながら声を詰まらせて泣いてしまった。

これほど皆が感情を刺激されるのは、この選挙での大きな争点は、LGBTの権利、移民の権利、女性の(中絶の)権利などの<進歩的>価値観だったのだと皆が感じているから。

シアトルの人にとっては自明で、いってみれば神聖なものともいえるようなそれらの権利が、目の前で「あの下品な親父」に否定されてしまったと、みんな感じているのだ。

シアトルでも自然発生的な抗議活動があった。

わたしは知らなかったのだけど、ダウンタウンからサウスレイクユニオンを通り、キャンパスの中を通ってまたダウンタウンに戻るデモの列が、ちょうどこのクラスのあとキャンパスを通っていったらしく、うちの息子はたまたま学校にいあわせたので、1時間くらい参加したのだそうだ。参加者は千人ちかくいて、多くは学生だったそうだ。


上の2枚は息子が撮ったiPhone写真。

 ポートランドではデモの人たちが高速道路を占拠したらしいけど、シアトルのデモは両脇を警察が牽制して高速入り口に行かせないように固め、デモの参加者たちもなにかを壊したり燃やしたりというバカな行動に出る人はいなくて、ただ平和的に、「love trumps hate」(愛は憎悪を踏み越える)、「her body is hers (彼女の身体は彼女のもの―自分の身体のことは自分で決める権利がある)」などのいくつかのスローガンで声をあげて怒りを表現していたもよう。

不安と怒りを表現して、自分たちが大切にしていることを確認する作業としての、抗議活動。平和裏にできるなら創造的な行動だ。

頭にきても壊したらダメだ。

いまの学生たち、ミレニアル世代の子たちは、上の世代よりもずっと冷静で、視野が広くて、思慮深く、柔軟性があるように思う。

この世代が世界を仕切るときには、今の世代よりもずっとうまくやるに違いないと思う。


こちらは、あくまでも平和な人。

いやこの人も起きているときは、かまってかまってかまって!ごはん!ブラシ!ごはん!ブラシ!と抗議活動を繰り広げている。


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2016/11/09

ブルー・バブル


きのうの夜、選挙の火曜日。

西部時間午後7時。トランプがすでに優勢をきめていて、うちの息子はひどいショックを受けていた。

<まさか本当にこんなことになるとは。>

シアトルには、本当にそう感じて心底ショックを受けているひとが多い。
うちの息子のガールフレンドも、彼女のママも、大学の先生も、ほかの友だちも。

わたしは、この結果は予想していたはずなのに、夜更けてから何年ぶりかというような、胃のあたりになにか気分が悪いものがすぅーっと落ちていくような憂鬱感におそわれてきた。

「Blue bubble」という言葉を今朝、新聞でみかけた。

この国は完全に、民主党支持のリベラルな「青い州」と、共和党支持の保守的な「赤い州」にわかれている、と思われているけど、それだけではない。
ワシントン州も、ピュージェット湾沿いの「青い」地域と、山のむこうの「赤い」地域にまっぷたつにわかれている。

青いエリアのひとたちは、赤いエリアのひとたちがトランプに熱狂する理由を理解できないし、単純にバカだと思っている。

赤いエリアのひとたちは、自分たちの危機感を共有できない青いエリアのひとたちを、限りなくのぼせ上がったバカだと思っている。

青い価値観のひとたちばかり集まるシアトルでは、その大きな「バブル」の中で、なんだかんだいってもこの国を動かしているのは自分たちと同じ価値観のひとたちだ、という安心感があったのだと思う。

今回の大統領選挙は、途中から「ヒラリーが代表するエスタブリッシュメント対 トランプが代表するアンチエスタブリッシュメント」という構図になってしまった。

この国の選挙は、特に大統領選挙は、やたらに二項対立を深刻化させる装置になっちゃった気がする。

しかもそれが、ひとりの個人のキャラクターに代表されるものだから、どんどん曖昧でセンセーショナルな方向にいっちゃう。

相手をけなすことで自分の存在意義を主張して、それを相手陣営がさらにののしるという、悪循環。これまでだってそういう構図だったんだけど、今回ほどそれがあけすけに、どんどんひどくなっていったことはなかった。

その中でマイノリティーへの中傷が、政治の言葉のなかでの既成事実になってしまった。

トランプが嫌悪と恐怖をかきたてた罪は大きいし、これから何年もその傷はのこる。

だけれど、そういう人(ヒラリーがうっかり「デプロアブル」と呼んでしまった)は確実にいるのだし、それは必ずしも決まったひとたちではない。

今回の選挙は、そういう膿を出すプロセスだったと思いたい。

ニューヨークタイムスの「トランプは良い大統領になることもできる」というコラムで、共和党支持だけどヒラリーに投票した法学部教授(ブッシュのホワイトハウスで法律顧問だった)ペインターさんは、トランプは以下のふたつの理由で「良い大統領」になることもできる、といっている。

1)少なくとも本当のバカではない、2)選挙中に約束したことはほとんど意味不明だから、たぶん実行しないだろう。

わたしもそうであることを祈る。

トランプを支持した赤いひとたちが、これで不満をいったん解消して、青いひとたちとの間に長く続く対話をはじめていける、そのプロセスのはじまりだと思いたい。

いま猫シッターをしているおうちにはテレビがないし、じぶんちのテレビも壊れてしまったので、きのうはテレビを見ずに済んでほんとうによかった。

今朝の新聞でみたトランプの顔は、熱狂する支持者ほど嬉しそうでもなかった。
彼としても、ヒラリーが勝って、自分は「選挙の不正を追求する」立場でいたかったんじゃないかという気がする。

今朝、ワシントン大学の学長から全学生あてにEメールが来てた。

 In the aftermath of this very close and highly contentious election, I want to take this moment to reaffirm our University’s commitment to our mission of education, discovery, healing and public service. I also want to reaffirm our ongoing and unwavering support toward creating and nurturing an inclusive, diverse and welcoming community. It is central to our commitment to equity, access and excellence, and it is essential to building a better future for us all. Here at the University of Washington, we hold sacred our responsibility to serve the public good, and that will never waver.

大学の、多様性とインクルーシブなコミュニティへのサポートは、絶対に揺らぐことはありませんよという宣言。

Ana Mari Cauce学長(チャンセラーじゃなくてプレジデント)は、自分はラティナでレズビアンで、だからこそマイノリティーであるコミュニティの一部のひとたちの恐れを、とてもよく理解することができる、と書かれていた。

わたしはこのメールを見て、ほろっと泣けてしまった。

なんかもう、シニカルになってる場合じゃないよね。

とにかくそれがどんなに大変なことでも、エンパシーをもって互いを理解する、たとえ合意できなくても互いの立場を尊重する、というところからしか、21世紀の文化は始まらないのだと思う。それがどうしたら可能になるのかどうか、わからないけど。

キャンペーンは終わって、これから憂鬱な年があける。

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