8月の週末、レーニア山国立公園(
Mt. Rainier National Park)の「パラダイス」側に行ってきました。
タホマ山、またの名をレーニア山、を取り巻く広大な国立公園には東西南北に4つの入口があって、南西の入り口から南の山腹をうねうねとのぼり、東側の山すそを巻いて東北に抜ける道路があります。
南の山腹にある「パラダイス」は訪問者が一番多いエリア。標高は1,600メートル。
シアトルからだと、東回りでも西回りでも、約2時間半のドライブです。
高い吹き抜けの天井のある巨大なビジターセンターでは、レンジャーが周辺のハイキングトレイルの状態などの情報を親切に教えてくれたりハイキングマップをくれるほか、山や自然を紹介する映画用のシアターとギフトショップとフードコートも完備。
このセンターはわりに最近、2008年に新築されたばかりです。
吹き抜けのロビーのガラス窓から見えるパノラマが豪華。
まるでリゾートホテルのロビーみたいです。
どうしてアメリカの国立公園の「ビジターセンター」って、ここまで立派なんだろうか。
さすが、南極観測基地の中にボウリング場を作ってしまう国。
「休憩所」とか「小屋」とかではなくて、「センター」ですから。
たとえば富士山の五合目とかに日本の政府がこんなに大きくて派手な「センター」を建てるという発想はないはず。
ルイス&クラークの時代からの、「苛酷な自然環境を克服して生きのびて、ここに文明開化の町を作るんだぜぃ」という開拓者的な意志のDNAが、自然保護を主な使命とするはずの国立公園にも無意識のうちになんとはなしに受け継がれている気がします。
このエリアは古くから観光客が来ていたところで、ビジターセンターの向かいには1916年に創業した大きなロッジ風のホテル「Paradise Inn」があり、山の中腹にぽつんとできた小さな町のようです。
クルマをまったく降りずに上がってこられるので、ご老人や赤ちゃんもたくさん来ています。
ビジターセンター付近は、山の中というよりも、ショッピングモールかファミレスに行くみたいな格好の人のほうが多い。
ここで子どもの誕生日パーティーをしたのか、 なぜか風船を持った人もいました。
いろんな国の言葉が聞こえる、国際的観光地です。
するっとクルマで通り抜けるだけでも充分山の雰囲気は味わえるのですが、やっぱりちょっとだけでもトレイルを歩いてみると、すれ違うハイカーもごく少なくて、ごった返している駐車場エリアとは極端に違う、静かな山の一角が満喫できます。
この日はパラダイスより少し手前の「Narada Falls(ナラダ・フォールズ)」の下からの短いトレイルを歩いてみました。
ナラダ・フォールズはかなり大きな、綺麗な滝です。滝の上に駐車場があり、満員御礼のパラダイスよりも余程空いていました。
駐車場のわきのピクニックテーブルでアジアの家族が鍋いっぱいの焼きビーフンを食べていて、すごくおいしそうでした。
トレイルは滝の下から始まってます。
往復約3マイル(5キロ弱)ですが、最初の半分の上りがけっこうきつかった。
なにしろ普段の運動量が、家から出て歩いたのが郵便受けまでの数十歩だけ、とかだったりする生活なので当然です。
針葉樹の森の中のよく整備された道でした。
クリスマスツリー(ダグラスファー)の甘い香りが漂う気持ちの良い小道。
登りが20分かそこら続きます。(足の速い人なら10分なのかも…。本当は1時間くらい登った気分でした)
なんだかマシュマロ的なきのこ発見。
Tatoosh Range (タトゥーシュ山脈)のPinnacle Peakが木の上に覗いています。
「タトゥーシュ」はチヌーク貿易語だそうですが、感じの良い響きです。
少なくとも「レーニア」とか「マッキンレー」みたいな、まったく土地に縁のない名前ではないのが嬉しい。
トレイルはReflection Lakeという小さな湖まで。ここでのんびり休憩して引き返して2時間くらい。
山には雲がかかってしまって、水面に映る姿は見られませんでした。
ようやく雲がいくらか切れて、輪郭があらわれたところ。
帰りに寄ってみた、「Copper Creek Inn」。
国立公園のゲートから5分ほどの Ashford という村にある人気ダイナー。いつも繁盛してます。
夕飯のお客さんで満席だったので、コーヒーとパイを持ち帰りました。
ブラックベリーのパイ、酸っぱさと甘さの配合がちょうどよくて、美味しかったです。
しかし、これでこの日歩いた分の倍くらいのカロリーを摂取してしまったような気もします。