19日、中秋の名月の宵。
Aさんの、緑に囲まれた素敵な邸宅にて、舞踏家薫さんのパフォーマンスを拝見いたしました。
かぶりつき席にて。『ツクヨミの笑み』
能舞台のような、緑の梢の海の上に張り出した素敵なデッキがステージ。
今回も書家 Yoshiko氏が、文字のうごめく空間を作る。
今回は、赤いTシャツ地に書かれた文字を引き裂いた、赤麺、こと「しがらみ」が、舞台の真ん中にうにうにと異常な存在感を放って鎮まっておりました。
白い結界に置かれた、しがらみ。
舞台をしつらえている間に、梢の間に月がさしのぼって来ました。
日もとっぷりと暮れたころ、鐘の音とともに舞踏家が登場。
にじり口のような、小さな窓から! 『リング』の貞子を一瞬思い出してしまいました。
しがらみにまみれる。 舞踏家の後ろでは月が静かにのぼり続けています。
漢字は幾百億の重い思いを背負っている。
月の人は文字を散らしながら歩く。
冷たい月の見下ろす舞台。ドラマチックなパフォーマンスでしたが、サロンでの開催だけに、のどかでくつろいだ感じでもありました。
昔の人は月の光が人を狂わせると、いわれのない罪を月にかぶせたものです。
ツクヨミのことは良く知りませんが、ギリシャ神話でも月は女神。夜は女のものか。
舞踏の後は、大皿に張った水に映る月を囲み、「炭坑節」が出たり、唄をうなる人もあり、たいへんに楽しい月見の会でございました。