アトランタ歴史センター(
Atlanta History Center )に行きました。
博物館のすぐ隣にある「Swan House」は、1920年に建った、当時のアトランタ有数の大富豪の邸宅。
一日に数回、ガイドつきのツアーが開催されていて、中を見ることができます。
博物館の入場料$16.50に、おうち拝見ツアーも含まれています。
これが表の正面玄関。一番上の写真は裏側のお庭から見たところです。
中は撮影禁止で写真を撮れませんでしたが、センター作成の動画があります。
『風と共に去りぬ』に出て来たのとおんなじような優雅な回り階段は、南部の邸宅のお約束。持ち主の富豪夫人が白鳥好きだったらしく、邸宅のいたるところに白鳥の意匠があるので「スワンハウス」と呼ばれています。夫人が亡くなる前に、屋敷をこのままの形で保存したいと、センターに破格の安値で提供したそうです。
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これは20世紀に入ってから建った家で、この家の主は直接プランテーションを経営していたのではなく、祖父や親の代が綿事業で築いた財産を受け継ぎ、政界にも進出していた資産家でした。
タランティーノの新作『
DJANGO 』に出て来る、ディカプリオ演じる
極悪農園主 の邸宅「シュガーランド農園」も、ほぼおんなじ造りでした。
「スワンハウス」も「シュガーランド農園」と同じく、1階に優雅な(伊万里のフルセットが飾ってあった)メインダイニング、男性用の図書室兼サロン、女性用のサロンがあり、2階は吹き抜けの階段をはさんで客用と主人用の寝室があります。
そして、表の華麗に飾り付けられた部屋とは壁一枚隔ててくっきり分かれた使用人たちの領域があり、メインの仕事場である機能的な広ーい台所がとても印象的でした。
センターの敷地には、この邸宅のほかに、19世紀半ばに建った小さな農園の建物が移築されて展示されています。この「スミス農園」、母屋はごく素朴な造作で西部の開拓小屋と大差ありませんが、小農園ながら14人の奴隷が使われていたといいます。敷地内に奴隷小屋のレプリカがあり、奴隷の生活がイラストつきで解説されていました。
「スミス農園」の母屋入口。
菜園や離れの台所、燻製小屋、鍛冶場なども再現されています。
アトランタは、南北戦争でこてんぱんにやられたんでした。
センターの博物館本館には、南北戦争の顛末を詳細に解説する常設展示「Turning Point: The American Civil War」があります。短い映画もいくつも用意されていて、じっくり見るとかなり面白い。
アトランタには南軍に物資や武器を供給する工場が集中していたために、北軍はアトランタを潰せば南軍は落ちる、とみたのだそうです。アトランタ陥落は南軍に対して、ロジスティクス上だけでなく精神的にも大きなダメージを与えたといいます。
19世紀の戦争。戦死者はなんと62万人で、米国人の戦死者では第二次大戦よりも多い。
"There is no middle ground to be occupied. It is right and just that the black race should be held in bondage, or it is wrong and sinful." Nathaniel Macon, Alabama planter, 1860
「中立的な立場はあり得ない。黒人を奴隷にしておくのが正当で良いことなのか、あるいは不当で罪深いことなのか、どちらかだ」1860年、アラバマの農場主の言葉。
奴隷制度は国を分裂させるに足るだけの巨大な矛盾だったのだということを、あらためてリアルに感じることができます。人が人を所有することが常識だった社会が、ほんの150年前には確かにここにあったんでした。
歴史センター、おうちツアーも博物館も見ると半日かかりますが、南北戦争ブームな人にはとってもお勧め。