イエローストーンは、19世紀、汽車と馬車を乗り継いでくる観光客に「ワンダーランド」と呼ばれていたそうです。
ルイス・キャロルの『アリス・イン・ワンダーランド』が出版されてアメリカでも人気を博していたころ。(当時の出版サイクルは気の長いものだったんでしょうね)。
イエローストーンには、間欠泉や温かい川や、色とりどりの変な形の岩や峡谷があって、変わった野生動物もいるし、インディアンだっている。
アリスが迷い込んだ不思議の国のような場所というキャッチフレーズがぴったりだったんでしょう。
まだ写真のないころ、イエローストーンを探検して来た人が東部に帰って、これこれこういう光景で…と説明しても、全然信じてもらえなかった という話です。
イエローストーン公園のサイトで、昔の写真が公開されています。
それを見ると、19世紀から20世紀はじめの旅行客は本当にやりたい放題。
この頃に東部から汽車と馬車を乗り継いで来たのは、ほんの一握りの冒険好きな上流階級の奥様や旦那様たちだったのでしょう。
現在はすっかりボードウォークが完備され、そこから出てはいけないことになっていて、「地面から急に蒸気が噴き出すこともあるので、絶対に道を外れないように」としつこいくらいに書いてあります。
整備されたボードウォークの決まった位置に、屋外美術展示みたいに間欠泉や温泉池の名前や説明が書いてあるのを読みながら歩いていると、大自然の中にいるというよりも温泉テーマパークのアトラクションを見物している気分です。
とはいえ、この景色の中へ車椅子の人も入っていけるようになっているって、すごいことです。全部ではありませんが、駐車場からまっすぐ車椅子で行ける段差のないコースがかなりの数あります。
この鮮やかな色は、温泉の熱い水にだけ棲む微生物の色なのだそうです。
帽子屋もトランプの女王もいないけど、たしかにワンダーランド。