2011/12/04

Cyber Monday


前回からもう一週間たってしまいました。師走は早い早い。
一週間遅れの話題ですが…(汗)。

感謝祭休日明けの月曜日は「Cyber Monday (サイバー・マンデー)」と呼ぶのだと、数年前からテレビのニュースが言い始めていました。なぜならその日は、「ブラックフライデー」とそれに続く週末で買い足りなかった人たちが、会社に出勤してからオンラインで買い物をするから、と説明されていました。週末の売り上げをさらに伸ばすべく、各小売業者もこの日に追加セールをしていて、実際にオンラインショッピングの売り上げが年間で一番跳ね上がる日のようです。

今年のサイバーマンデーにPatagonia から来たEメールは、「全品30%OFF」でも「本日限りお買い得商品のご案内」でもなく(それを期待していたのですが)、「DON'T BUY THIS JACKET」というタイトルでした。

メール本文にもその文字と、シグネチャーの「R2」ジャケットの写真。 海賊品の注意かなにかかな、と思ったら、そうではありませんでした。

Today is Cyber Monday. It will likely be the biggest online shopping day ever. Cyber Monday was created by the National Retail Federation in 2005 to focus media and public attention on online shopping. But Cyber Monday, and the culture of consumption it reflects, puts the economy of natural systems that support all life firmly in the red. We're now using the resources of one-and-a-half planets on our one and only planet.

(今日は「サイバー・マンデー」、おそらくはオンラインショッピング売り上げの記録が更新されることでしょう。サイバー・マンデーは、2005年、オンラインショッピングにメディアと人々の注目を集めるため、全国小売連盟(National Retail Federation )が、2005年に作り出しました。サイバー・マンデー、そしてそれが映し出す消費文化は、生命を支える自然体系の収支バランスを大きく損なっています。現在わたしたちは、たった一つしかない地球がもつ資源の1.5倍を消費しています。)

という文章に続いて、この「R2」ジャケット1枚を作るために(6割がリサイクル素材で作られているこのジャケットでさえ)、1日に必要な飲料水45人分に当たる135リットルの水を要し、材料の運送のために20ポンドの二酸化炭素を(これは完成品のジャケットの重さの20倍)排出している、と説明して、このジャケットもほかのものも、必要でないものは買わないようにしよう(Don't buy what you don't need. Think twice before you buy anything.)と呼びかけているのでした。


小売業者から「モノを買うのを控えましょう」という直接メッセージが来たのは初めてで、これにはびっくり。単なるきれいごとでしょう、という人もいるだろうけれど、ブラックフライデーの異常な買い物騒ぎ報道と、クリスマスセールのあふれかえる広告を強迫的に感じていたので、すがすがしく感じてしまいました。

最近家でネットにつないでいるときは大抵 Pandra Radio をつけっぱなしにしていますが、何曲かおきにCMがはいり、このごろはあのイラッと来る英国なまりのヤモリ(保険会社のGEICOのキャラクター)か、アニメの声優みたいなハイパーな女の子の声が「シーズン最大のセール!」と頭のてっぺんから叫び続けるトイザラスのCMばかりです。CMが入るとすかさずミュートにするのですが、それでも最初の何秒か分、ショッキングピンクや紫のプラスチック製おもちゃが並ぶ店頭を思い浮かべてしまい、トイザラスへの反感は高まるばかり。まったく逆効果だと思うのですがー。

それはさておき、トイザラスに並ぶおもちゃって、本当に「要らないもの」の代表だなあ、とつくづく思うようになりました。子どもはそりゃもらったら嬉しいけれど飽きてしまうのも早いし、部屋中に散らかるプラスチックやビニール製のおもちゃは、せいぜい長くても数年でゴミ箱行きです。

でも子どもが小さい時は、クリスマスの朝にツリーの下にならんだプレゼントの箱を次々に開けさせてやりたかったし、部屋をおもちゃでいっぱいにしないと、なんだか親として失格みたいな気がしてもいました。クリスマスプレゼントって子どものためではなくって、本当は、親の満足のために買ってやるものなんですね。



写真は数週間前の晩秋の紅葉と、紫式部。いまはもうすっかり散ってしまいました。
気温は氷点下に下がる朝もあるけれど、雪の気配はありません。スノータイヤにつけかえたので、ちょっとだけなら降ってほしい。ほんの気持ち程度の雪でよいのです。


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10 件のコメント:

  1. 子供が小さい時は〜親の満足のために買ってやるもの。
    本当に、おっしゃる通り。わたしも、部屋を埋め尽くすおもちゃが「子供の幸せの象徴」みたいに思わされちゃっていた時期がありました。
    何か違うかも、と心のどこかでは感じていながらも、そうすることで自分が満足したかったのですね。

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  2. 子供のときって、
    おもちゃがたくさんある友達のうち、って
    すっごく羨ましかったし、
    自分もたくさん欲しいなあ!って思ったけれど、
    でも、今思えば、
    なかったから、自分で絵を書いたり、着せ替え人形を紙で作ってみたりしたんだよなあと思うので、
    結果的には、おもちゃがなかったことで、自分の中の想像力がついたのかなとも思ったりしてます。
    日本も、アメリカも、どちらにも言えることですが、
    必要なものを、見極める力をつけないといけないですね。。

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  3. accoさんみたいに手作りの絵本でお嬢さんたちのバースデーを祝うほどのワザと信念をお持ちの方でも、そう思うのね。
    わたしなんか流されまくってて、サンタをやってた頃は、「まわり」や、たぶんテレビやなにかの幸せな家族像と気づかないうちに比べて、アレくらいはないとなあ、という勝手なスタンダードに強迫されてたなあ、と今になって思います。だから、ブラックフライデーの朝にウォルマートで子どものおもちゃを奪い合う親たちを、笑えません。なんだか物悲しく感じてしまいます。

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  4. masakingさん、それはすっごく恵まれた幼少時代だったのかもしれませんね。
    今、このアメリカや日本で、何も与えられないで想像力を伸ばせる環境って、最大の贅沢なのかも。既成のおもちゃを与えないで子どもを遊ばせるって、親のほうに相当の想像力と気骨がないと無理ですよねー。

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  5. 実は、クリスマスのプレゼントって、中身よりも、ラッピングを開けることを重視してるのかなって思ってたんです・・・。Tomozoさんの文章を読んで、納得するところがありました。
    私も、おもちゃは買ってもらえない幼少期でしたが、大人になってそのことに感謝したので、義両親から、「要らないもの」を大量にもらったりすると、正直なところ、困ったなぁと思うこともあるのですが、ちょっと切ない気持になりました。

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  6. ZIZIさんのご両親も、しっかり見識を持って子育てしてらしたのですね。
    とにかく豊富にツリーのまわりにプレゼントが並ぶこと、クリスマスの朝に包装紙をビリビリ破って(これもビニール袋一杯のゴミ!)プレゼントを開けること、が正しい幸せなクリスマス、ってキマリになってしまってますよね…。

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  7. Patagonia、すごいこと言いますね。
    なんか好感が持てます。
    REIに行ったらPatagoniaの商品を意識して見てしまいそうです。
    (まんまと戦略にはめられたのかも?(笑))

    アメリカって超消費社会で無駄なものが妙に多い気がします。
    私も子供の頃はめったにおもちゃを与えられなかった方なので、甥や姪の周りにあふれるおもちゃに、これってどうなんだろうと思うことしきりです。

    でも私も、数年前までは物欲があまりなかったのですが、なぜか最近、子供の頃の欲求不満を満たすがごとく、
    高価な大人のおもちゃ(カメラやコンピュータ関連)に向かう傾向が(笑)。
    あんまりにも子供をストイックにさせると、突然反動が出るかもしれないので、ほどほどに、がいいのかもしれません(笑)

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  8. 本当にアメリカは凄い消費社会ですからね。

    でも個人的には、シアトルに来てから物欲なくなりました~。日本に居たときと比較すると本当にお金を使わない生活であります。クリスマスのプレゼントも無いですね~あは。

    ちなみに、コンシューマーという言葉に、個人的にちょいと引っ掛かりを感じてしまいます。
    私たちって、コンシューマー? それが私を定義する言葉のひとつなのですか?
    消費することが、私たちの存在価値なのですか?(おそらく企業にとってはそうなのでしょう)

    生きていく以上、何らかのものを消費しなければならないのは致し方ないのですが、
    「消費者」と位置づけられるよりは、出来れば、生産する者でありたいものよ。としみじみ思うのであります。

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  9. prunusさん、同感同感。わたしも戦略にはめられておりますw 
    安くても数シーズンしか着ないものよりも、高くても、10年以上着られそうなものを買うべきかな…て思うようになったの、年とったからもあるでしょうね。前シーズンに買ったものなんか恥ずかしくて、ていう時代は(個人的に)もう終わってます。アメリカの人は日本ほど流行を気にせず、好きなものを着てるからっていうのもあるかもしれません。
    とはいっても物欲がないわけじゃ全然なくって、お買い物大好きなんですけどwww 
    カメラやコンピュータも、きりのない世界ですよね〜〜!わかります〜〜〜。それはどんな子ども時代を過ごしても、また別だと思いますよ!!

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  10. Kaoru さん、「消費者」という言葉のかわりに「生活者」を使おうって、日本では一部でたしか随分前に言っていたようですが、定着していないですよね。

    いらないものを次々に買いたい衝動をかき立てることで経済が回ってるんでしょうけど、つい百年ほど前にはこのアメリカでだってなんでも手で作る生活だったと思うと、この消費社会ってやっぱり地球史上まれにみる異常な状況には違いないと思います。
    アメリカや日本で暮らしていると、これが当然でスタンダードだなんて思い込んでしまいますけど、時代的にも地理的にも、ほんの限定された地域で、つい最近始まった事象に過ぎないんですよね。

    > 「消費者」と位置づけられるよりは、出来れば、生産する者でありたいものよ。としみじみ思うのであります。

    まことに同感です。土いじりの才能がないので駄目ですが、食べるものを生産する人って本当にすごいなあ、と思うこのごろです。

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