2016/07/24

N駅と黒い花


東京国立近代美術館の日本画コーナーいりぐち。福田平八郎「雨」。

この美術館は毎年常設展の内容を変えるけど、これは有名な絵なので、きっと永遠に展示されているのでしょう。雨が降り始めて水玉もようになっている瓦屋根を描いたもの。



このキノコ的な椅子たちが好きだ。ここに座って植物や雨や美人の画を眺めていると、ありがたーい気分になってきます。


わたしは美術に教養が深いわけではないので、この美術館に行くたびに自分にとって新しい画家を「発見」できるのも幸せ。

今回は松本竣介という画家にフォーリンラブ。

これは「N駅近く」という画の一部。「

N駅」は西武新宿線の中井駅だと説明に書いてあった。わたしは子どものころ西武新宿線の下井草に住んでたので、中井ってすごく身近。
降りたことないけど何百回も通過した。こんなところで親近感。

これは昭和15年、太平洋戦争の始まる前年の作。

当時の「前衛」画家だったそうなのだけど、このドライで繊細で都会的な画面がむちゃくちゃ好きです。


これも同年、昭和15年の作「黒い花」。の下半分。半分ですみません。
魚とハイヒールが気になって。この色といいモチーフといい線といい、素敵すぎる。
 
戦争直前の東京に、こんなに都会的な世界があったんですね。これから国が滅ぶような戦いになだれこんでいく前の年の作品だと思うといたいたしい。


松本竣介さん、昭和17年の自画像。アラ素敵。
やっぱり都会的だ。都会的ってなんなんだろう。さっぱり淡々としていること。力んでコブシを回したりしていないこと。洒脱さ。感情を強調しすぎないすっきり理知的な線。


もう一人、立体作品で好きな人を発見。 若林奮(いさむ)の「2.5mの犬」。なんだか馬鹿馬鹿しいところがみごとにツボ。


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2016/07/23

藤田のノモンハン


竹橋の近代美術館。明治から現代までの、主に日本の画家たちの作品ががっつり見られる常設展が好きなので、必ず行きます。

お濠を望む「眺めの良い部屋」。



収蔵品がいっぱいあるので、毎年展示の内容が変わる。

前回行ったときにサイパン玉砕を描いた藤田嗣治の戦争画に衝撃を受けたので、ぜひ今回も見たいと思っていたら、今年展示されていたのは違う絵でした。

『哈爾哈(ハルハ)河畔之戦闘』。ノモンハンの絵。

ノモンハンで戦闘にたずさわった将校から、部下の鎮魂のために描いてほしいと頼まれたそうで、実はもう1枚、日本兵の遺体が累々と積み重なる悲惨な絵もあったのだけれどそれはどこかになくなってしまったと説明があった。


この絵は、南洋の玉砕を描いた絵とは違って、ぱっと見戦争画とは思えないようなのどかな色彩。日本兵がロシア軍の戦車に向かって攻撃をかけている場面なのだけど、画面はとても静か。

薄いブルーの空に綺麗な雲、地平線まで続く柔らかな草原。そこに走り回る、地面の色の兵隊たちと、同じ色の戦車。

音が消された映画の画面を見ているような感じ。遠くで多くの戦車が煙を上げているけれど、全体に明るいこの野原そのものが、もうこの世のものではないようだ。


そして画面の真ん中に描かれているのは、草原に咲く花。

これが鎮魂のための絵だという説明には納得。

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とらのもんと妖怪たち


東京の最先端ビル、虎ノ門ヒルズというところに行きました。広告代理店や、あのアンダーズ東京がはいってるお洒落ビルです。

そしたら入り口にこのビルのキャラクターが。その名も「とらのもん」……。
ちゃんと藤子プロ(c)の公式キャラだそうです。

どうして日本の人はこうまでキャラクターが大好きなのであろうか。


別の日、愉快な広尾マダムMちゃんと『大妖怪展』へ。(@両国:江戸東京博物館)
百鬼夜行図から円山応挙の幽霊絵、浮世絵、そして妖怪ウォッチまでありとあらゆる物の怪の図が展示されてましたが、水木しげる先生の妖怪がフィーチャーされていなかったのはなんといっても片手落ち〜〜!

自然現象はもちろん、音(こだまとか)やモノまでが妖怪化していたことと、日本人のキャラクター好きはきっとつながっていると思う。


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2016/07/21

パワースポットで桃を買う



吉祥寺ハモニカ横丁。吉祥寺は癒されるパワースポット。(個人的に)
吉祥寺は10代のほとんどを過ごした町なので、故郷のようなもの。
用がなくても気づくとふらふらと行ってしまう。

今の拠点(弟Sんち)からは決して出やすくはないんだけど、買い物があると吉祥寺へ。
そしてやっぱり、買い物しやすい。完全に条件づけされている。

反対に、渋谷に行くとなんだか無駄にぐったり疲れる。


ハチ公前交差点は写真を撮る外国人観光客だらけでした。


とにかく白桃が食べられて嬉しかったです。これだけで今回の旅の目的は果たしたようなもの。
中央線沿線の方、桃を買うなら吉祥寺ですよw。
ハモニカ横丁わきの果物やさんが山梨の桃園から産直のを売ってます。ここのはほんとに安くて美味しかった!大きいのが4個で1000円とか。


東京滞在中のある日の夕飯。スーパー買い出しに行って弟ハウスで作った日。
しじみ味噌汁、鯵たたき、鮭、厚揚げ、ほくほくの山芋に青じそと梅。野菜売り場で野菜たちの美しさと安さに興奮して買いすぎる。
ミョウガもオクラもなすもピカピカだ!
山芋もシアトルで買うのより、水分が多くて食感がふんわり。そして安い。
京王ストアに毎週買い物に行きたい。


新宿ビックロにも観光客むけに「TAX FREE」の看板でてた。

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四万六千日とホウズキ猫


東京滞在の最後、めたくそ暑い日曜日に浅草寺に行きました。

浅草駅を降りると、異常な人混み。

そして激混みの雷門には、さらになにやら人だかりが。


ををを!?
仁王門でみんなの注目を浴びているのは!


ほうずき猫…!!


ぴくりともにせずに仁王門に座りつづけてました。
周囲に飼い主らしき人もなし。なんなんだ君は。


とにかく混んでました。
コスプレっぽい不思議なコーディネートで浴衣を着ている若者が多かった。



まるで初詣のような人出!


なんとこの日はたまたま、「四万六千日」のほうずき市の日だったのでした。

この日に参拝すると四万六千日参拝したのと同じ功徳があるというのです。
一体誰がそんなことを言い出したんだ?


(ブリタニカ百科事典:引用)
もとは「千日詣り」といい,本来はこの日に参詣すると 1000日参詣したのと同じ功徳が得られるとされていたが,享保年間(1716~36)頃から 4万6000日参詣したのと同じ功徳があるとされ,「四万六千日」(しまんろくせんにち)と呼ぶようになった。
(ここまで)

だそうです。享保年間に1000日から46倍のインフレが起きたらしい。


年になおすと126年分です! 江戸時代の平均寿命からしたら人生2回分か!!


そしてなぜホウズキなのか。
巨大なホウズキも売ってました。でかい。これは一枝500円。


鉢植えは、たしか2500円均一でガラスの風鈴つき。
都内に家があったらうっかり買って帰るとこでしたが、さすがにホウズキは持って帰れない。



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2016/07/19

チャイニーズ・イン・ギンザと高級レタス畑


銀座通りのシャネル。
壁がデジタル画面になっててメリー・ポピンズみたいなアニメーションの素敵ディスプレイ。

2年ぶりの東京でちょっと驚いたのは、もしかして日本の人口の7%くらいが中国人になったのかと思うくらいの、中国人観光客の多さ。

とくに夏休みの季節だったから格別だったのかもしれないけど、店でも駅でも街を歩いていても、ふっつーに中国語が聞こえてきてました。電車に乗ると同じ車両で必ず中国語会話が聞こえてきた。

友人Nちゃんによると、とくに銀座通りの四丁目から新橋寄りはチャイナタウンかと思うくらい中国人のほうが多いのが常態になっているのだそうで、大型観光バスで乗りつけた中国人観光客が道ばたにスーツケースを広げていたりするのを良くみるという。

東京でも京都でも、街の人はすっかりインバウンドに慣れたんだなあ、と思った。もちろん京都はもう筋金入りなのでしょうけど。
去年の外国人観光客入国数は前年比50%近い増加だったんですねー。日本人の出国数を上回ったのか!


松屋に併設のルイ・ヴィトンの素敵ビルの向かいはシャネルとブルガリ、斜向かいにはカルティエが建設中で、銀座通りはほんとにキラキラ度が増している。

チャイニーズ観光客にも何種類かいて、ハイブランドを完璧に着こなしてネイルもぴかぴかな銀座のお姉さんのような美女から、トトロのぬいぐるみを首にかけた少女たち、それから、大陸からだとひと目でわかる家族連れ。

とくに、ウキウキした感じの家族連れがたくさんいた。楽しそう。お母さんのファッションが特に、突拍子もなくて面白い。


ブルガリの隣りの伊東屋は、改装して文具売り場が減り、11階には畑ができていた!
個展をしていた版画家のNちゃんが案内してくれました。


フロア全体が水耕栽培の畑で、サラダ用の野菜たちが作られている。

上の階のレストランで一皿1500円とかのサラダに使われています。


世界一地価の高い畑かも。


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遠いところに連れていかれるコーヒー


銀座の裏通りにある小さな珈琲屋さん。
いっぱし珈琲スノッブ気取りのうちの息子が、東京の喫茶店文化を紹介しているオサレ雑誌でみつけたらしく、行ってみたいというのでたずねてみました。

普通の豆のほかに10年寝かせた豆を焙煎した珈琲を出している。

10年もののエチオピアをたのんでみました。1,200円なり。



使い込んだ木のカウンターの中で、生まれてこのかた休むことなく珈琲を淹れ続けているかのような寡黙な珈琲職人さんが、黙って小さなネルドリップで淹れてくれる。

薄い磁器のシンプルなデミタスカップに入って出てくるこのコーヒーは。

なんだか本当にすごかった。

脳がどうかしていると思われると何だけど、見たことのないどこか遠くの土地の風景が見える気がした。

これは単なる間抜けなたとえではなくて、本当にリアルな体験として、眼の前に知らない風景が見えた気がした。

繊細さと複雑さ、すっきりした明るさ、といった風味が、完璧な音楽を聞いたりすごい風景を見たり、といったようなときに脳が受け取るものと似た体験を創りだしたのかも。

音を聞くと色が見えてしまうとか、味に音がついてくるとか、そういう「共感覚」というのとちょっとだけ似ているかもしれない、と思ったりしました。

この次東京に行ったらまた必ず行きたい。1,000円でトリップできるなんて安いものw


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