2014/12/18

カフェ・ロココ


カークランドの水っぺりのダウンタウンにある「ブレーメンの音楽隊」(たぶん)のウシ像がサンタ仕様になってました。



カークランドにもインデペンデントなカフェがけっこうあります。あんな狭いダウンタウンに5軒以上ある。考えてみると都会なベルビューよりカフェ事情はずっと良い。

ギャラリーやオシャレショップやイタリアンレストランが並ぶオシャレストリートにあるのは「カフェ・ロココ」。 

ここもロースタリーで、奥の部屋に立派なロースターマシンがあります。
コーヒーはとても美味しいです。

名前はロココですが、インテリアはモノトーンでまとめられててぜんぜんロココじゃない。
壁にはモノクロのポートレイトが並んでいる。



豆乳カプチーノを頼んだらラブリーなハートが描いてありました。


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2014/12/17

シアトル夜景の鉄板、ケリーパークからの眺め


シアトルの冬には珍しい快晴の日曜日の夕方、クイーンアンのKerry Park に行ってみました。


ちょうどシアトルで試合中だったシーホークスがフォーティーナイナーズからタッチダウン2つをもぎ取るところをテレビで見届けてから出かけたので、4時すぎてしまいました。

なにしろ日没は4時18分。1年中で一番日没が早い時期です。

急いだものの、着いたときにはもうビル群からはサンセットの色が消えていた。orz。

快晴の日だけあって、カメラを構えた人たちが鈴なりになってました。


タホマ山AKAレーニア山もくっきり。

シーホークスが試合をしていたスタジアムから花火が上がりました。

「あー、勝ったね」と一眼レフを構えたお兄さんが言うと、ミニスカにブーツの女の子が「当然よ。アタシたち負けないのよ」といばっていました。


30分後。スペースニードルの上に立てられた白いツリーが目立ってきます。ウォーターフロントの観覧車にも照明がつきました。


そして5時、もうとっぷり暮れてます。
今年は暖冬が続いていて、この日も摂氏12度くらいありました。寒ぅ!というほどではなかったのですが、さすがに戸外で1時間も立っていると手がかじかんで来ます。


ケリーパークの近くには、マーサ ・スチュワートの雑誌にでてきそうな全身「クリスマシー」なおうちがありました。

やっぱりクイーン・アン地区はステキ度が筋金入りです。


いやはや師走ですね。もうクリスマスまでカウントダウン! 




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2014/12/16

シアトルの新観光名所 スターバックスの旗艦店


キャピトル・ヒルに先週開店したばかりのスターバックスの新フラッグシップ店Starbucks Reserve Roastery & Tasting Room に行ってきました。

パイク・ストリートの角に面した大きな建物。1500平方フィートだから約140平米で、ちょっとしたコンサートホールくらいの広さです。以前は画材屋さんが入っていた(もともとは1920年に建てられた自動車ディーラーでした)、クラシックな美しいビル。



よく見ると、建物の正面にはスタバのトレードマークのマーメイドじゃなくてサイレンのレリーフが。

外装のマテリアルからして、ちょっとお高めのレストランくらいな高級感を漂わせてます。
お店の外で掃除していたお兄さんも良い素材だった(笑)。黒いエプロンで、お掃除姿がとっても絵になってました。「リザーブ」店は緑のエプロンじゃないんですね。


「新しいスタバが開店したよ」というのは、中学生のおでこにニキビができたよというくらい実にありふれた出来事になってしまいましたが、この店は特別です。

創業40年以上、 全世界に21000店以上があり、スーパーの棚にも飲料を送り出してるスタバが、これからの社運をかけて本気出したお店。

飽和状態なマーケットで洗練されたお客さんを相手に小規模流通の豆「スターバックス・リザーブ」のブランドでハイクラス路線を開拓っていうのが今後目指す方向らしく、このお店はその宣言みたいな新機軸のフラッグシップ店です。

カフェというよりショウルームか、ちょっとしたテーマパークみたいです。


「ロースタリー&テイスティングルーム」というだけに、真ん中にはぴかぴかのロースターが据えられて、「マスター・ロースター」さんがつききりで面倒をみてます。

ノームのような顎ひげをネットでカバーしたこの道14年というロースターさん、くだらない質問にもなんでも嬉しそうに答えてくれました。

「スターバックスの豆って、なんでみんなあんなに深煎りなの?」と聞くと苦笑いして、「いや僕もライトなほうが好きでね、ここの豆はほとんど浅めのローストだよ」といってました。

この店で扱う「スターバックス・リザーブ」ブランドの豆はすべてこのマシンでローストしてるんだそうです。
 
 

なんといっても店の中央で強烈な存在感を放っているのが、ロースターの隣にあるこの銅製の「キャスク」。

ローストしたての豆がここに入っています。



そして、このキャスクから銅の気送管を通ってバリスタさんたちが働くバーに挽きたて豆が送られるというしくみ。

『チャーリーとチョコレート工場』 に出てくる、ウィリー・ワンカのあの工場みたいな場所を作りたい、というアイデアがベースになっていると主席デザイナーがプレスリリースで語ってました。

内装の基本は自然素材をたくさん使ったミッドセンチュリー風のシンプルでクリーンで落ち着いた、温かみのあるデザイン。そこにこんな銅を使ったスチームパンク的なデザインの仕掛けが大胆に組み合わされていて、すごく楽しい。

ウンパ・ルンパはいないけど、ノームっぽいロースターさんがいるし、開店当初だけに他のスタッフもみんなハイテンションで超フレンドリー、超親切。ちょっとテーマパークの「キャスト」的な魂が入ってます。

写真撮り忘れたけど、パタパタと字が変わる掲示板(電光掲示板じゃなくて)もあって、ロースターで今どんな豆がローストされてるかという情報が表示されていました。



ロースターの前には豆の量り売りコーナーがあって、挽きたての「リザーブ」の豆を1オンスから買うことができます。

豆のラインナップは毎月替わり、常時6種類くらい。ほとんどシングル・オリジンの豆で、今月はスマトラとコロンビアが2種類、あとどこかアフリカのがあったかな。この店だけの特別ブレンドもあります。


サビ色のクリップで留めたバッグに入れてくれます。



ペストリー類は普通のスタバにあるのと同じみたいですが、サンドイッチとサラダはシアトル地元のレストラン・キング、トム・ダグラス氏のプロデュースらしくて、ちょっと高級感がありました。


行ったのは日曜日の午前中で、飲み物を注文する「メインバー」のレジには長い行列ができてました。レジが1個しかあいてないというのにはちょっとびっくり。

バリスタさんたちは脇目もふらずテキパキと働いてましたが、コーヒーが出てくるまでにかなり待ったのも事実。週末に行ったらかなり待たされるのは必至です。

でもオフィスビルのカフェとは違い、ここに来ているお客さんは皆観光客気分なので、みなニコニコと待っていました。


待ち時間には新聞もございます。さりげなく社長ハワード・シュルツ氏の著書がおいてある。

日経新聞もあった!


そして注文はもちろん、ペーパーカップやプラスチックではなくて、ちゃんとした陶器のマグやグラスで木のトレーに載って出てきます。


淹れ方もドリップ、サイフォン、「クローバー」、フレンチプレス、エスプレッソ、ケミックスから選べます。

スタバでサイフォンが!



3種類試せるセットで、ドリップ式のスマトラとコロンビアとブレンドを頼んでみたら、すごい量だった。4オンスずつくらいかと思ったら12オンスずつポットに入ってやってきた。こんなに飲めないよ!
3人で行って分け合うのをおすすめします。

サイフォンか「クローバー」のほうが良かったかも。とすこし後悔。


豆量り売りバーのあたりはショップになってて、シアトル周辺の陶芸家の作品なんかもありました。

内装の椅子やカーテンなどもほとんど地元で特注したものだそうで、ローカルの職人やアーティストを起用してますよっていうのが強調されてます。

今までのスタバは全世界どこでもハンコで押したようなデザインで統一されてましたが、最近は、とくにこの「リザーブ」豆を出す高級めの店舗は、各地域の地元アーティストを起用した個性的な内装にシフトしてるようです。
  


店の一画には、シアトルのベルタウンにあるトム・ダグラス氏の人気ピザ店「シリアス・パイ」が入ってます。

このレトロっぽいワイヤー製のペンダントがかわいい。



コンベンション・センターからも坂を上がってすぐの場所だし、パイクプレイス・マーケットからも頑張ってまっすぐ坂を登ってくれば、たぶん徒歩15分くらい。絶好のロケーションです。

シアトルはスタバの地元なのに、グローバル企業のチェーン店でコーヒーなんか飲めるか!けっ!というスノッブなお客さんが多いため、いままではわりあいに遠慮がちで、このキャピトル・ヒルというインデペンデントカフェの牙城では名前を伏せてカフェを作ってみたりいろいろやっていたスターバックスでしたが、ここへ来て満を持して、この目立つ角に正面切って巨大な陣地を構えました。

ローカルのコミュニティに対する腰の低さと繊細さは好感度が高いと思います。
それに何より、どうせやるなら徹底的に、という姿勢がすみずみまで感じられるデザインの店内が圧巻で、とっても楽しい。普段はスタバをバカにしているうちのいっぱしスノッブ気取りの少年19歳も興奮してました。

「ロースタリー」店舗はこれが世界初。プレスリリースによると、「リザーブ」の高級店を今後5年間で世界各地に100店舗作るほか、2016年にアジアで第2の「ロースタリー」を作る計画もあるそうです。日本かな?中国かな?


パイクプレイスの「1号店」を見たら、こちらも必見ですよ。

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2014/12/14

新築ハウスと「アポッドメンド」


うちの近所のBallard地区では、あっちこっちで家の建て替え工事が大進行中です。

もともとは1920年代から1940年代に建てられた、とんがり屋根でポーチと広い庭のついた可愛らしい小さな家が並んでいる住宅街なのですが、最近の工事はほとんどが、そういう築50年以上の家をつぶしてサラ地にして、その敷地に4軒のちっちゃい家を建てるもの。


1軒の家が建ってたとこに、だいたいこんな感じ ↑ のレイアウトで4つの四角い家ができてます。

ちょっと前の新しいタウンハウスは昔の家ふうのとんがり屋根を真似たデザインにしてるのが多かったけど、今建っているのはみんな四角くてモノトーンで、ちょこっと木材があしらってあるという、「無印良品の家」的なモダンデザインです。

売りだされた家の前に置かれてるチラシを見ると、だいたいこれで1戸が50万ドルから60万ドルくらいでございます。

今だと円安だから、7000万円ちょっとですかね。

バラードに家を所有している友人によると、築50年以上の広いロットの家(つまり、つぶしてサラ地にしたとしたらその後に4軒建つ家)を売りに出すとしたら、だいたい50万ドルいくかどうか、ってとこだそう。

4分の1の広さで目の前に他人のリビングルームがあっても、やっぱり新築のほうが格段に高く売れるのね。

近所の新築物件を見てると、ほぼ2週間以内で速攻「SOLD」の札が出てています。
「パンケーキのように売れる」って言い方があるけど、まさにそんなかんじ。



1軒があったとこに、4軒ならまだしも、単身者27世帯を収容するキッチン共同のマイクロなアパートメント、「aPodment(アポッドメント)」という集合住宅を作りますよという計画が発表されて、去年この界隈が大騒ぎになりました。

この話が合った物件が、うちのアパートのすぐ近く。

反対の人びとの声が大きく報道されてましたが、一番の(そして表立ってはほとんど唯一の)反対理由が「パーキングがない」こと。

「アポッドメンド」はキッチンが数世帯で共同であるため、世帯数分の駐車スペースを用意しなくてはいけないという規制からはずれていたのです。

パーキングなしに27人もの単身者が急に増えたら、路駐のクルマが溢れかえって近所の道が大変なことになる、ただでさえ路駐できるスペースが少ないのに、というのが反対理由。

デベロッパーは、いやいや、この「アポッドメント」に住む人たちはほとんどクルマを持たないライフスタイルの都市生活者たちなんだ、と反論してましたが、近隣のハウスオーナーたちからの反発は凄まじかった。

誰もハッキリ表立ってはいわないけど、このへんに家を持っている人からしてみれば、60万ドル出して小さい家が買える中流でプロフェッショナルな職を持った若い夫婦や小さな子どものいる家族が4世帯引っ越して来るのはぜんぜん構わないけど、クルマも持ってないような低所得で単身の不安定な身分の人たちが27人もかたまって来るのは勘弁してもらいたい、そんなものが建ったらウチの値段が下がっちゃうでしょ、という気持ちがあるんだと思う。

「アポッドメンド」はキッチンなしのシャワーつき1部屋(100平方フィート、約6畳くらい)で、家賃が650ドル~800ドルくらいの見当です。
ちなみに同じバラードの町内で新築アパートメントだと、Studioで家賃1300ドルくらい。

結局、ここだけじゃなくほかの地域でもアポッドメンドへの反発がすさまじく、今年の10月にはシアトル市の建築条例が改訂されて、アポッドメンド形式の集合住宅を建てられるエリアが限定され、これまでよりも厳しい条件がつけられるようになりました。

近所のアポッドメンド新築予定だったロットは取り壊しが進まないまま1年近く放置されていたんですが、この間前を通ったら、どうやらタウンハウスらしきものが建築中でした。デベロッパーは諦めたみたいです。建てれば即売れる今、数ヶ月でも放っておいたらもったいないですもんね。

とにかくシアトルはいま景気が良いので人が増えていて、バラード地区はとくに若い人に人気なので、デベロッパーが大忙し。「あなたの家買いますよ!」という立て看板も見かけます。

ウチのヴィンテージなアパートメントの家賃もいつ値上がりするかと、毎月ビクビクしています。

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2014/12/07

1889年のクール・ジャパン『日本少年』 


今年の夏、松山に行ったときに、子規記念博物館で購入した本『日本少年』。
ハワイでの通訳クラスの同級生で松山を案内してくれた、マダムNこと菅紀子さんの翻訳による本です。

著者の重見周吉さんはバリィさんで有名な今治の出身で、明治の半ばにイェール大学に留学し、医学部を卒業して帰国し、学習院と慈恵医大の教師になった人。

政府に送り出された官費留学生ではなく、同志社を卒業したあとでもうどうしても米国に行きたくて、イギリスの軍艦に乗せてもらい、船の中で雑用をして費用を稼いだという強者。イェール大の学部を卒業したあと、医学部の学費を捻出するため、自分が生まれ育った日本の風物を米国人に英語で紹介する『A Japanese Boy/日本少年』を書いて出版したのだそうです。これがベストセラーになってめでたく医学部を卒業できたという素晴らしい話。

当時はパナマ運河も開通していなかったので大陸をまわって片道2ヶ月の船旅。日系スーパーに行けばなんでも売ってる今の気楽な米国生活とはまるで違い、さぞや味噌と醤油のごはんが恋しかったことでしょう。

周吉さんはこの本で、ふるさと今治の学校のようす、子どもたちの勉強や遊び、お正月やお盆などの行事、お祭りなどをいきいきと紹介しています。

当時、開国してまもない日本は、礼儀正しく優秀な留学生や官僚たちを送り出す、風変わりながらも非常に洗練された文化を持った国として、欧米の人びとから高い関心をもって見守られていたのでしょう。

ちょうど、後期印象派のゴッホやルノアールといった画家たちも日本の浮世絵に影響を受けた作品を生み出していたころ。

今の「クール・ジャパン」なんかよりずっと深い興味が持たれていたんじゃないでしょうか。

マダム紀子の翻訳は、小学生の子どもにも読みやすいよう、ふりがなをつけ、読みやすく工夫されています。さすが地元の方だけに話し言葉の方言がオーセンティック。

125年前に書かれたこの本は、いまの日本人からしてみても、珍しい風物でいっぱいです。
わたしは特にお風呂と芝居小屋の部分が面白いと思いました。

銭湯のようす。
<今治には、このような銭湯が十カ所以上あります。それらはアメリカのドラッグストアのように、ほとんど通りの角にありました。それに夕方から夜中まで開いていました。休みの日は、明け方には宿泊もできる風呂が準備できていました。昼間、用意ができしだい、番頭さんが軒にのれんをつり、日が暮れると四角い紙のちょうちんを置きました。……… お湯が熱すぎるばあい、お客同士、互いにきちんと望みの湯加減を相談し、お客の一人が手をたたきます。すると入り口の番台から音で返事が来て、すぐに冷たい水がゆぶねの中に吹き出します。……>

芝居見物に行く前の、姉や妹たちはこんなふうに描写されてます。
<食べ物の準備のあとは少女たちの身づくろいです。彼女たちはだいたい人生の半分を着飾ることに使うのではないかと思います。ぼくは、一度も辛抱づよく待ったことがありませんでした。少女たちは派手なファッションに身を包み、えんえんと鏡に姿を映し(ガラスの鏡はまだなくて金属の鏡です)、一つ形を決めるまでに五十回以上も飾り帯を結び、髪飾りをああでもないこうでもないといじり、身のこなしの練習をしました。>

周吉さんの本で紹介された日本は、奥ゆかしくて活気があって、心優しい愉快な人々が住む、行ってみたいなと思わせる国です。

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2014/12/05

猫と大魔神



ソファに、猫ボール発見。

りんちゃん(男子、6歳)は、わたしがそろそろ寝るよ-、とリビングを片付けて下の階に行くと、待ちかねていたようにとっとっとっと階段を降りてついて来ます。

そうして、ベッドのわたしが寝ている場所のよこのいつもの場所に落ち着く。

使わせてもらってるゲストルームのベッドはだだっ広いんだけど、ほかの猫たちが近くに来るのを彼は好まない。
でもタマラ(女子、6歳)は、いつの間にかベッドのもう一方の端でおしりをこちらに向けてひっそりと眠っています。

しんちゃん(男子、6歳)は、寝室に入ってくるとりんちゃんに追い出されるので、いつもひとりで上の階の猫タワーで眠っているのだけど、わたしが朝寝坊をしていると、いい加減に明るくなった頃降りてきて、ものすごくゴロゴロいいながら頭の横によこたわる。りんちゃんも朝は爆睡しているので手を出さない。

寝ているだけで男子2名、女子1名が寄って来るという、人生最大のモテ期な毎日です。



なぜこの猫たちはこれほどまでにヒトが好きなんだろうか。



この間、この猫たちのおとうさんがニューヨークタイムズの面白い記事を送ってくれました。

わたしたちの猫とわたしたち」(直訳)というもの。

犬が人間と暮らし始めてから3万年になるけれども、化石にのこっているところでは、猫が家畜化されたのはずっと新しくて、もっとも古いもので9500年。だから犬は人間の友になりたがるけど猫はそうでもないのもうなずけるよね、という話になりがちだけれども、ヤマネコと家猫のゲノムをくらべてみると、これが意外なほど違うんだそうです。ニューロンの発達に関するとこが違うらしい。

1万年のあいだに、ヤマネコに較べてイエネコ(または「わたしたちの猫たち」)の脳は小さくなり、野生動物だったときよりも、のんびりした性格になった。身の危険にビクビクしなくても良い比較的安全な環境で、常にごはんが出てくる生活をしているので、生存に全精力を使わなくてもよくなった結果だというのです。

「結局のところ、猫たちは私たち人間に適応してきたのだ」

とこのコラムの著者(




















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2014/12/02

恒星間旅行


このあいだ、『インターステラー』を観てきました。

謎の多い映画だった。

『沈黙の艦隊』を見にいったつもりが途中から『宇宙戦艦ヤマト』になってしまったような。ちょっと違うか。『2001年宇宙の旅』かと思ったら『アルマゲドン』になっちゃったみたいな。

以下ちょっとだけネタバレ。

いまからたぶん数十年後の世界、アメリカ中西部。謎の気候変動かなにかによって、作物がどんどん育たなくなっている。国は農業を守るのに必死で、そのほかの科学、とくに宇宙工学なんかは全部無視。20世紀の月着陸なんかは歴史上存在しなかったことになっている。

才能あるパイロットだった主人公も今は農業に専念中。しかしひょんなことから地下組織と化していたNASAの秘密基地を発見……。
 
この映画はもしかして、宇宙開発のプロパガンダ映画なのではないだろうか、と思いました。

人類の未来を担保するには宇宙開発に投資しなければなりませんよ、という脅し、といって悪ければ、ケイモウしたいという意図が、ベタベタに感じられる。草の根啓蒙映画か!

NASAもどんどん予算を削られて、地下組織にはならないまでも、有人宇宙開発計画はどんどん先送りになってますし、ほかにお金のいることがいくらでもあるので、政治家的には宇宙はぜんぜん人気のない話題みたいだし。

中西部のとうもろこし畑が舞台で、元パイロットの農夫をカウボーイ的なキャラのマシュー・マコノヒーでという、文句のつけようのないアメリカンな主人公っていうところも、なんかアメリカ人のハートにがっちりアピールしようという下心がみえる、気がする。
 
「アポロ計画なんてなかったのよ。人類が月に行ったことなんかないの。あれはプロパガンダの作り話よ!」と中学校の教師がいうところはリアルで怖くてよかったです。

あと、ロボットのTARSは可愛かった。サブゼロ冷蔵庫みたいな外見なのに、ロボットっていうだけでどうしてこうかわいいんでしょうね。君、それができるなら最初からそうしなよ、っていう場面もいくつかあったけど。

くらくらしそうな5次元的世界の映像も、万華鏡みたいですごくよかったです。

異世界の惑星の超特大津波も怖くて綺麗。

アン・ハサウェイは素でCGみたいですね。

でも全体に突っ込みどころが満載だし、話の作りもディテールもなんかあちこち、とても雑。オチもちょっとアレはないだろうよ、と思う。うちの少年は感動してましたけど、うーん。

ハードコアじゃないけど、いちおう昔からSFファンです。
『スター・トレック』や『スターウォーズ』は、最初からワームホールとか超光速航法のある世界ってことで安心して楽しめるんだけど、こう片足を地面につけた上にワームホールを使って定石どおりのストーリーで啓蒙されちゃうと、どうもずっこけてしまうんです。

21世紀版『COSMOS』のナビゲーターの人気もの天体物理学者ニール・ドグラース・タイソンさんがこの映画について「インターステラーの9つの謎」というシリーズでツイートしてて、

「この映画に出てきた(ほかの銀河系の)惑星のどれよりも、(地球のすぐ隣の)火星のほうがぜーんぜん安全に見えるんだけど」

と言ってました。たしかに。

何年か前に読んだ『地球生命は自滅するのか』(ピーター・ウォード、2009年。ワシントン大学の教授が書いてる本です)という本がすっごく面白かったんですが、それによると、現在の重力アシストを使った推進技術の限界である秒速30キロメートルでは、たとえば、「手近な」プロキシマ・ケンタウリまでの旅は4万年かかるんだそうです。

4万年!
 
これまでの人類の歴史よりも、はるかに長い時間がかかっちゃうってこと!

現在の技術では部品の耐久年数は40年と考えられるので、自動修復できる技術が開発されない限り、星間旅行はいまのとこ事実上不可能だそうです。 うーん、寂しい。

やっぱ「ワームホール」でも突然出現するか、モノリスが来て何か教えてくれるか、現在の科学技術を塗り替える発明がされないかぎり、人類は地球で生きるしかないんですね。

ブレイクスルーが生まれるとしたら、それこそ人工知能が人間の能力を超えたあとではないかと思うし、そのときには人間の「個人」というものは今の考え方とは全然違っているんじゃないかという気がします。

だから、この映画が納得できないのはそこなのかも。

ヒトが恒星間(ブラックホールでもいいけど)を旅行するようになることがあって、行って還ってくる存在っていうのがあれば、それは「個人」じゃないのではないかと思う。

時間と3次元を超えたところに意識があるとすれば、それはもっとミツバチとかアリの巣とかに似たものなんじゃないか、なんて気がするんですけどね。

それより納得できないのは、アン・ハサウェイの髪型が長期間の宇宙旅行後も美容院行きたてみたいなこと。

もしかしてアンドロイドなのか!ならば納得!


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