2015/02/05

ウィルソン君とヨハネによる福音書


スーパーボウルの日の朝、たまたま聖書アプリのコマーシャルがメールで来てました。

聖書アプリとは、スマートフォン用のアプリで、毎日「今日の聖句」が届いたり、少しずつ聖書を読むためのプランをおすすめしたりしてくれるもので、「You Version 」というやつです。

(私はインストールだけしてみましたが、今のとこまったく使っていません。)


スーパーボウル出場選手が出るCMがあって、うちのQB、ウィルソン君も出てるというので観てみました。


「カールおじさん」ラッセル・ウィルソン君は、敬虔なクリスチャンとしても知られてます。

このCMでも至極真面目に自分のデボーションについて話してるんですが、一番好きな聖句はヨハネによる福音書の3-30だ、というのにちょっとびっくりっていうか、心打たれてしまいました。

He must increase, then I must decrease.
(King James バージョン)。

別の版(NIV)では
He must become greater; I must become less. 

新共同訳聖書では
あの方は栄え、私は衰えねばならない。

というのがその箇所です。

これは、洗礼者ヨハネに対して弟子たちが、別の場所でイエスが洗礼を授けているので皆そちらに行ってますよ、どうしましょう、と弟子たちが言いにきたのに対して、ヨハネが言った言葉。

あの方は天から遣わされた方なのだ、だから私はそれを聞いて喜びで満たされている、自分の時は終わり、あの方が世に示される時が来たのだ、という意味です(だと思う)。

要するに、自分の力ではなく、神の力が全てなのだ、という宣言ですね。

えーと、「ペイトリオッツは栄え、シアトルは衰えねばならない」では決してありませんから、そこのところは間違えないように(笑)!
 
20代で目立たない控えのポジションから急に表舞台に立って注目を集め、あれよあれよという間にスーパーボウルの晴れ舞台にまで行き(去年)、やすやすと勝ってしまって、またそれ以上の活躍を期待されているこの青年。名声と責任をどれほど重く感じているかが伝わって来る気がして胸を打たれてしまいました。

 一見世界の頂点に立ってるようなこの真面目な男の子が、このようにシンプルな言葉を深くリアルなものとして受け止め、日々の支えにして心の危機を切り抜けているんだと思うと、おばちゃんぐっと来てしまいます。

でもなぜよりによってスーパーボウルの前にこの聖句、と思わないでもなかったんですがW

ほんとうに真面目な人なんですねえ。どんだけ大変なんだろう。

19世紀に哲人は神を殺してしまったつもりでいたけれど、彼らは自分の目が見たものしか、理解できていない。

祈る人がある限り、神は生きてそこにある。それは本当に紛れもなく現実なんです。

信仰を持つ人と持たない人の世界は、どちらも紛れもなく現実なのだけれど、2つ同じ場所に存在しながら違う地平に所属している。

片方から見ると片方がどうしても偽物でなければならないので、困ったことになるのですね。

それはともかく、 ウィルソン君、がんばれー。



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2015/02/02

フットボールの魔物


スーパーボウルの日。
息子はとある観戦パーティーにお呼ばれして、ガールフレンドといっしょにバスでダウンタウンへでかけていきました。
89番、ワカモレ製作中の図。

わたしはいろいろやることが片付け切れず、第1クオーターが終わったところでやっと家をでて、クルマで5分のCTちゃんちへ。

日曜日の午後4時すぎ。
道路には人影がまるでなし。本当に「人っ子一人いない」 ってこのこと。ゾンビ映画でゾンビ菌にやられて無人になった町のようでした。

車道にもクルマはまばら。
しずまりかえった町を急いで、ワカモレ持ってCT家へ。
 


カンファレンス決勝戦よりももっと落ち着いて観られるかと思ったんだけど、最終クオーターの残り数分はもう生きた心地がしないとは、このこと、みたいな心地になりますねぇ。やっぱり。





そして。


何このドラマ。

さすが、シーホークス、負け方もドラマチックすぎ。

最後の2分間、前回の試合にも勝る大波乱でございましたね。

逆転されて残り2分を切って、オフェンスの最初の数プレイで小気味良く(リンチへの素晴らしいパス&キャッチと、あのUW出身カース君の奇跡のようなお手玉的キャッチのあと)ゴールライン目の前に来て、さああと残り1分未満、これはもう絶対勝つよね。

もう間違いないよね。

とシアトル中がバンザイの用意をした瞬間。

…という場面でまさかあのようなことが起こるとは。

サッカーもだけど、フットボールの試合終了前2分とかのフィールドには、通常の世界にはあり得ない、なにか異常な力がみなぎっています。

ほとんど生き死ににかかわるような殺気。

魔物が飛んでいる。
または天使。立場によって、見方も変わる。


いやいやあれは、ただ単に悪い采配だよと友人は言ってましたけど。しかしそれにしても、NFL史上に残る、あまりにも惜しい負け方だったのではないだろうか。

帰りに外に出ると、道がまるで朝の渋滞のように混んでました。

みんな、あのあとではそそくさと家路を目指すしかなかったんでしょう。

勝ってたらきっと皆もう少し残って祝杯を上げたり花火を上げたりしただろうから、これほど一度に道が混むことはなかったはず。

あのコールはないよな!首にしろオフェンスコーディネーター!という話で月曜の朝はもちきりなことでしょうが、この晩の帰り道、シアトル中の人が同じようにがっくりしてるんだと思うと、それはそれでなんだか不思議に心あたたまるような、しみじみとした感慨がありました。

ほんとに良い試合を見せてくれたなあ、と思います。

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2015/02/01

あやかり商法


というわけで、スーパーボウル前夜、超絶盛り上がっているシアトルです。

ダウンタウンのビルはみんなチームカラーの青と緑のライトをつけていて、スタバ本社もセイレーンの頭の上にでっかい12の旗をたててるし、コロンビアタワーにも旗が出てるし、スペースニードルは緑の帽子になってます。

カフェにもでっかい「12」が書かれているし、スーパーマーケットに行くとほとんどの店員さんはシーホークスのジャージを着てます。

ほんとはダウンタウンのビルとスタバの旗の写真を撮りに行きたかったんだけど、今週はどうにも動きがとれず、無理でした。スーパーに食品を買いに行く以外、ほとんど家から出ていない。

旗を立てて走ってるクルマも多いのだけど、上のは先日みかけた、しばらく洗ってない荷台のドアにやたら綺麗にGO SEATTLE SEAHAWKSと書かれたトラック。とても綺麗に揃った書体で書かれているので、不精なんだか几帳面なんだかわかりません。あ、洗車などで水を無駄に使わないエコ派なのかもしれませんね。



昨日の金曜日、スーパーマーケットに行ったら、スーパーボウル観戦用のスナックと飲み物が山積み。ビールもシーホークスファン仕様になってる。


お店は観戦パーティーのための買い出しとみられる人びとで、午後早めからもう混み始めてました。


こちらは紙パック入りのシーホークス仕様ワイン。

去年スーパーボウルに進出したときは、これほどのあやかり商法は見なかった気が。

今年はもう早くから見計らってたんでしょうね。これの商品担当の人は、この間のカンファレンス決勝試合を見ながら大変なスリルを味わったことでしょう。

シアトルの人びとの盛り上がりも、前年比30%(推測)くらいの気がする。

スーパーボウル特製のジャージは超品薄状態で、うちの息子のガールフレンドのお姉さんがシーホークスのプロショップでバイトをしているんですが、彼女によると、品物を出して来た途端に人が殺到して商品を奪い合うような殺人的状況なんだそうです。

すごいなー。落ち着け、みんな。

そうそう、あやかり商法といえば。

よくハイウェイの出口なんかにホームレスの人が立っていて「おなかが空いています」などと書いたダンボールを掲げていたりするのですが、先週見かけた人は「12」の旗をつけて「GO HAWKS!」という手描きのプラカードを持っていました。そして、目の前のトラックから何ドルかもらってました。全然意味不明なんですが、正しいマーケティングですね。

では、楽しい試合になりますように。



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2015/01/28

異世界の浜 リアルトビーチ


寂しい海岸探訪記の最後です。



河口をはさんでLa Pushの向かいにあたる、細長いくちばしのような岬の付け根にあるRealto Beach (リアルト・ビーチ)。



この川、Quileute River (キルート川)は、オリンピック半島のレインフォレストから太平洋に流れ出しています。
河口あたりでは沼のよう。川とは思えない動きの緩慢な水面で、ルイジアナの沼地みたい。


これが河口。ここにもフルサイズの流木が。



リアルト・ビーチはハイキングコースになっていて、干潮の時は浜辺づたいに何マイルも歩いていけます。
キャンプをしながら数日かけて歩くハイカーもいます。

が、この日はほんとうに横殴りの雨。全身雨具に身を包んで歩いていく強者ハイカーも見かけましたが、私のようなヘタレハイカーの出番ではありません。


La Pushのリゾートの目の前に見えていた「シースタック」たちが、遠くに見えます。


なんだか、生きている者が行ってはいけない場所のような風景。

どうしたことか立木までがみんな枯れている。

アメリカ国の北西の果て近くは、ほんとにこの世の果てのような光景だったのでした。


目を惹くオレンジ色の幹は、マドローナの木でしょう。




モノクロの世界でこれだけが鮮やかな色彩なのですが、これもなんだかむき出しの傷のような生々しい色に見えて、はっとする。


この先に、「ホール・イン・ザ・ウォール」という岩があるのだそうです。
この次、風と雨が吹きすさぶ天気でなければ行ってみたいと思います。


こちらもよろしく。
PONDZU WORDS BOOK  (1 of 1)

ようやく更新しました。「脳みそを満たすあなた」について。


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2015/01/27

寂しい浜の禁欲的リゾート


La Pushで泊まった、キルート族経営のQuileute Oceanside Resort(キルート・オーシャンサイド・リゾート)。



寂しい浜辺にコテージがかたまって建っているだけの「リゾート」です。

プールもカジノもアスレチック施設もなければ、バーもレストランもありません。

あるのは雑貨屋1軒のみ。(追記:ちょっと先の港のとこにレストランが一軒あります)


オフィスの建物前にあるトーテムは、なんだかどこかで見たことがあるような顔。
誰だっけ、誰に似てるんだ。




コテージはわりに最近新築されたもので、施設はととのってます。

こずも食堂主人かなぼんさんによると、改装前は「漁師の小屋みたいな、あぶったイカがほしい感じ」だったそうですが、私たちが泊まったこの「デラックスオーシャンビュー」のスタジオは、フルサイズのキッチンとお風呂とガスの暖炉風ヒーターがついてて近代的でした。



コテージの家具類はネイティブアートの彫刻がある素朴なもの。部族の中に家具職人がいるんでしょうか。
ダイニングの椅子にもベッドのヘッドボードにも彫刻が。



レストランもなし、ネットなし、テレビなし、ビデオもなし。

エンターテイメントは、目の前に広がる、この荒涼とした海の風景のみ。

もう本当に最高です。

ネット環境がないのでコンピュータを持っていったとしても仕事はできません。

わたしはここに来る前に電話を水没させてしまったので電話すらなく、メールのチェックすらできませんでした。

なんだかいっそ清々しい気分になりました。世界と隔絶されても私は生きている~ルルル~。みたいな確認ができて、気分はプチ・リトリートな1日でした。


片道20分のフォークスの町に大きなスーパーがあるので食料品はそこで調達できますが、町まで出てもあんまり食指をそそられないピザ屋とハンバーガー店があるくらいで、気の利いた店など一軒もありません。

でもここに来ると別に御馳走を食べようという気にはならない。

チーズとパンと果物とサラミくらいあれば充分な感じ。かなぼんさんじゃないけど炙ったイカで晩酌とか、いいですね。プチ断食リトリートにはぴったりかもしれません。

なんと禁欲的な気持にしてくれる海辺のリゾートでしょうか。


とはいいながら、途中の町で卵とパンを買ってきたので朝ごはんは簡単にフレンチトースト。

1泊しかしませんでしたが、できることなら読みたい本を一抱え持っていって、4、5日こもっていたい。 ここでなら小難しい本もすいすい頭に入りそうな気がする。するだけだけど。


なんといっても最大のフィーチャーは、広々した窓辺のジャグジー!ちょっとした温泉の露天風呂気分になれるというものです。お刺し身の夕飯は出てきませんが。

ジャグジーにつかって禁欲的もなにもないですねw 
冷たそうな海を見ながらお風呂で熱燗などいかがでしょうか。


でもお風呂の窓のすぐ外にはこのような散歩道があるので、朝風呂に入るときには注意が必要かも(笑)。

コテージはスタジオから2ベッドルームまで。コテージのほかにもアパート式の建物もあり、犬連れもオッケーです。

ここはまた必ず行きたい。いや絶対行く。 こんな風景が好きな人には超お勧めです。


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2015/01/22

LA PUSH のアンフレンドリーな砂浜


というわけで、La Push 遠足のつづきです。

これが「ファースト・ビーチ」。

この写真、青いフィルターかけてるわけじゃないんです。まんまこういう色だったのです。

ここは西に太平洋が広がっているので’、晴れていれば夕陽が美しいビーチだそうですが、残念ながらどこに太陽があるのやら不明なお天気でした。


だいたいこの流木のサイズ!ゆうに樹齢数百年の大木で、たぶんこの白くなり具合からいうと、数十年は波に洗われていたのかもしれません。

さすがにこの巨大流木はワイヤーで浜に固定されてましたが、ふつうに大きな木が一本まるごと波間にプカプカいくつも浮いてます。

こんな海に間違って流されたら、とってもイヤですね。


そして波が激しくぶつかり合うので、このような泡が、浜に一面に積もっていました。


La Push というのはチヌーク貿易語で、「口」という意味のフランス語 La Bouche (ラ・ブシュ)から来てるんだそうです(by Wiki)。


この「シースタック」と呼ばれる離れ岩の向こう側が、キルート川の河口になっているので、「口」。

キルートの人たちは昔、近隣の部族が攻めて来ると、このシースタックにこもって防衛したそうです。

この容赦のない、アンフレンドリーな海。でも、まったく見飽きない。



この次は晴れた日に行きたいものですが。


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2015/01/21

ミラクル。



ミラクル。ほんとにびっくりしました。「うちの」シアトル・シーホークスったら。

日曜は学校の課題も仕事も山積みで首がまわらない状態だったんですが、やっぱりテレビをつけて仕事。

シーホークスのオフェンスになったら見ようと思ってちまちまと仕事を続けていたものの、前半はタマがきてもちーとも前に進まず、振り向いたら攻撃が終わってる状態。

パスがぜんぜん通らないQBウィルソンくんの上に、なにかおおきなヌリカベのようなものが乗っているようだった。 観ているのがつらい。

街中が12番をつけて青と緑になっている中で、ホームグラウンドでは負けないという山のような期待とジンクスを破って、18対0で負けちゃうのかー、と、しんみりした悲痛な気分になっていたら!


第3クォーターの残り5分で、おどろきのクリエイティブなタッチダウンでようやく得点。それからはもう、テレビの前にわたくし、正座。ほんとに、急にチームが(ていうかオフェンスチームね)動き出すってあるんですね。

それでも残り2分で、この点差じゃね、と思わなかった人が果たしていたでしょうか。

フットボールの2分は、長い。まさかの逆転で、心臓止まるかと思いました。2つめのタッチダウンではほんとに涙が出そうになった。そしてグリーンベイの木こりチームの反撃を死守して同点でくいとめ、オーバータイムの先制で鮮やかに軽々、勝っちゃった。

NFL史上に残る大逆転劇っていわれてるそうですけど、こんなの映画の筋書きにしたら出来すぎだよってくらい、ドラマチックなゲームでした。

試合後号泣してた「うちの」クォーターバック、ウィルソンくん。素晴らしいときには本当に、どうしてこんなコンマ数秒で的確な判断をして的確な場所に正確な曲線の美しいパスが出せるのか、理解に苦しむほど素晴らしい天才を見せてくれますが、ヌリカベが乗っているときには、ほんのミリ秒の差でパスが通らない。いったいこういう人の能力ってなんなんだろう。ほんとに繊細な人なんだね。

一軍の将のQBとしてあまりに童顔でかわいらしすぎるのを気にしてか、今シーズンは「泥棒ひげ」をはやしてどんどん顔が黒くなっていっているんですが、どうしても、「カールおじさん」に見えてしまいます。



さあ次はスーパーボウルですね。温かいアリゾナで、リラックスしてプレイしてきてほしいです。

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