2018/12/30

シアトルの聖イグナチオ礼拝堂


シアトル大学のキャンパス内にある聖イグナチオ礼拝堂(それとも、英語式に「聖イグナシアス」というほうが正しいのかな?)。

英語で「unassuming」という形容があります。

「控えめな」と訳されることが多いけど、「自分はこれこれである」とあえて激しく主張しないというようなニュアンス。

このチャペルの外見はまさにそんな、アンアスーミングなたたずまい。キャンパスのなかで特別に存在を主張していません。



でもオーガニックな明り取りのある正面扉や、広いリフレクションプールなどの造作が、ただものではなさをかもしだしています。


カトリック教会だけれど、「ZEN」的な東洋の静かさを感じるリフレクションプール。

1回めの入院中にプチ脱走して近所をプチ放浪中、たまたま前を通ったので中を拝見させていただきました。


アンアスーミングな外見とはうらはらに、あまりにも美しい内部の空間に度肝を抜かれました。

エントランスホールの壁にリフレクションプールから反射されるこの光の美しいこと。
細い十字架の繊細さ。

建物全体に緻密に自然光がとりいれられていて、複雑でオーガニックな角度の天井や壁と、そのテクスチャといっしょになって、ほんとうに繊細な、ため息がでるような空間がつくられています。

ところどころに青や緑のカラーが使われているのも素敵。抽象的なステンドグラスといっていいのかもしれません。


設計はスティーヴン・ホールさん。
そういえばCTちゃんからここの教会は有名なんだよって、ずいぶん前に聞いてたのだった。
1998年にこの礼拝堂で米国建築協会の賞を受賞してるそうです。


礼拝堂のサイトより。建築家によるコンセプト画。

「石の箱のなかにおさめられた7つの光の瓶」をイメージしているそうで、不規則な形の屋根が東西南北それぞれ異なる個性を持つ光を礼拝堂のなかに招き入れ、教会がもつ異なる機能(ミサの進行、コミュニティへの貢献など)にそれぞれ関連づけられている、のだそうです。

教会の機能と光の個性というのはちょっとすぐにピンとこないけれど、この繊細で柔らかな自然光のつくる空間は、とても説得力があります。


一方の端にはこぢんまりとした親密な祈りのスペースがあります。


まったく魅力が伝わらないひどい写真でございますが、ほんものはずっと良いです。
ずっといたくなるような素敵な場所でした。



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