2011/02/07

タコマの浮世絵


 雨の土曜日、タコマ美術館 Tacoma Art Museum に行ってきた。

タコマ市はシアトルから高速で片道30分弱。仮免をとったばかりで運転したくてたまらない息子が運転手。車の運転ができるなら、どこへでもほいほいついて来る。母につきあって浮世絵だって見に行っちゃうw 浮世絵はNot his thingらしくて、さーーっと20分ばかり見て、あとは車で寝てしまったが…(悲。 

こじんまりした美術館で、疲れずに見られる良いサイズ。
入り口をはいると地元アーティスト作の巨大犬「Leroy」がお出迎え。
入場料は大人9ドルなり。回廊式ギャラリーが4つの展示室にわかれていた。


ひとつめは、タコマ出身のガラス作家Chihulyの作品が並ぶ 常設展示室。
海の生物のような、うにうにした超豪華巨大シャンデリアが有名だ。ここにあるのは、深海の生物のような壺や花瓶や、熱帯の花たち。

タコマだけでなくノースウェストにはガラス作家がとても多くて、この美術館のすぐ近くにガラスミュージアムもある。

北斎です。モダンな色使い。おいしそうな山。
メイン展示室はお目当ての『Edo to Tacoma 』展。けっこう見ごたえがあった。
なんと、前期後期ですっかり展示替えがあったのだった。悔しい〜。前期も見たかった。
こちらの展示は13日まで。

浮世絵や江戸期の日本画が最近とても好きで、日本に帰るたびに探して美術館に行くのだけど、浮世絵がまとめて見られるところって都内にもなかなかない。ハラジュクの太田記念美術館も、おなかいっぱいというほどではないし。
国立博物館は収蔵品は多いはずだけど、点数まとめてださないし。保護のためにずっと飾りっぱなしにするわけにはいかないのだろう。今回の展示も、古いもので特に光に弱い作品は、カバーがかかっていた。ちらりとカバーをのけてのぞいて観覧。


歌麿の雀。銅版画のような、繊細な線。アウトラインも背景の葉っぱは薄い墨色。
これが木版画って。
美人画も、生え際の髪の毛の一本一本に見入ってしまう。彫り師の人、あり得ない技術力。

 わたしの今回お気に入りは二代目豊国、国貞。抱えられて嬉しそうなゾウ。
 書き初めウサギ。これは、扇子やウサギの毛のところが浮き彫りになっている、当時の版元の超絶技巧を誇る作品。

 どこの若旦那か役者さんか、えらくアバンギャルドなファッションである。柄の羽織に合わせたパッチワークみたいなチェックの立体的な襟が、コム・デ・ギャルソンみたい。良くわからないけど大変なおしゃれさんに違いない。刀をさしてるから芝居の場面なのかも。

明治以降の浮世絵が発展した木版画、戦後の「創作版画」も何点かツボを押さえて展示してあって、時代の流れがざっと眺めわたせる。
明治になると舶来の絵の具が使われるようになって、どピンクや真紅など「文明開化カラー」が出現する。横浜を描いた絵なんかはそういえば、真紅がこれでもかというように使われていた。


 そして鴨緑江会戦、日露戦争。


この浮世絵たち、ここの美術館の収蔵品の一部なのだ。
地元の木材会社で財をなした名士の未亡人が集めたコレクションと、明治初期に日本へ公使としてわたって、明治天皇と個人的に親しくもなった外交官が日本で集めてきたものらしい。
 
第3の部屋は、印象派 の小部屋。
ルノアールやスーラなどパリの作家たちの作品と、同じ時代に太平洋北西部で作品を描いていた、ノースウェストの印象派の人たち数点などを展示した小さなギャラリー。

メアリー・カサットの小品。きっぱりとした勢いのある筆で鮮やかな色をとらえた、緑が匂うような夏の風景。この人の作品は母と子を描いたのが多くて優しい絵だと思っていたけれど、実物を見るととっても骨太な印象を受ける。

 4つめは、地元タコマをテーマにした写真展。


印象的だったのは、19世紀末の中国人排斥(タコマでも600名くらいの中国人移民の家を焼き、財産を取り上げて有無を言わさず本国へ送り返した)を90年代になってから街をあげて恥ずべき歴史として認めて、市が作った和解の橋のモニュメント。


なかなか居心地の良い美術館です。建築はAntoine Predockの作品。

タコマはこれが2回目で、ダウンタウンには素敵な古いビルもちらほらとあるのだが、前回も今回も雨降りでしかも腹ぺこだったりして、街歩きはまだ果たしていない。次回ぜひ。


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15 件のコメント:

  1. Tacomaは何度か行っているものの、美術館は未訪でした。浮世絵展が開催中とは、知りませんでした!行けたらいいなぁ。日本の国立博物館で、数年前に開かれた大規模な北斎展を見て、北斎を見直した経験がありますが、日本で企画展があると、どんな内容でも激しく混むので、ゆっくり見れないんですよね。Tacoma美術館、ゆったり見れそうで良さそうですね。
    それから、中国人排斥については知りませんでした。90年代になって、恥ずべき歴史と認めようという機運が起こったと言うことは興味深いです。

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  2. 写真が次第にプロっぽくなってきましたね~。さすが。

    タコマ美術館の日本展、昨年から気になっていながら行きそびれています。あと数日ですか、どうしようかな~。

    ちなみに、Chrome9だと、このブログのヘッダーが見えないんですよ。レイアウトも右コラムが下に行ってるし…。ブログポストのテンプレートに問題があるんでしょうか? 見たい!>新調のヘッダー

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  3. ziziさん、今週いっぱいですよ〜。国博の北斎展、いいなあ、行きたかったのですよーーー。日本の企画展は本当に混みますよね。日本の人は皆、美術に熱心で驚きます。それに我慢強いというか。
    津和野の小さな北斎美術館には行ったことがあります。北斎漫画がだーーっと展示してあって、あれは見飽きなかったです。

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  4. Kaoruさん、あら大変!クロームで確認してなかった。チェックします!情報ありがとうございます。

    浮世絵展、点数はそんなに多くはないけど、とても良い展示でしたよ。タコマって用がなければ行かないので遠い気がしますが、I-5さえ混んでなければわりに近いのですよね。ものすごくおいしい南部料理の店をみつけたので、通っちゃいそうです。

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  5. Tomozoさんに七五三の写真を撮ってもらったのは、もしかしてものすごーくものすごーくラッキーなことだったのかも、と思ってしまうような写真続出。

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  6. Chromeでヘッダー見えました。Tnx!
    (コラムレイアウトは、やはり1コラムになってますけど)

    北斎展、ちょうど日本に行った時、たしか江戸東京博物館で開催されていたのをエンジョイしました。圧巻でしたね。

    Tomozoさん、シアトルの画廊でもそれなりに面白い浮世絵を持ってますよ。こんどご一緒に?

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  7. ziziさん、訂正。「恥ずべき」は意訳しすぎでした。shamefulとはいってなくてTacoma's most traumatic episode て文言だったです。
    ま、でも、なかったことにせずに次の世代にも伝える姿勢は素晴らしいと思います。

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  8. Eriさん、ありがとう。
    七五三、とても楽しい撮影だったんだけど、とてもとても納得のいく写真が少なかった。成人式にリベンジってどう?あ、振袖着ない?

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  9. Kaoruさん、ありがとうございます。コラムも直ったでしょうか。
    IEではまだヘッダが出てこないようなのですよー??
    シアトル画廊の浮世絵、いいですねーー!ぜひぜひお供させてくださいませ。

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  10. 満6歳の今年、七歳のもやっちゃおうかと思ってるけど撮りにきてくれる?

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  11. これはご一緒できなくて残念だった。
    しかも息子君の運転だったのかー。本当に悔やまれる。

    いいですね〜、ガラス。
    いつかトライしてみたい。

    浮世絵、本当に見入ってしまうよね。
    絵師、彫り師、摺り師、どれも皆プロ中のプロでないと、あ〜も完璧な絵にならない訳だから、どんなチームワークだ!って話しです。色のセンスにもドキっとさせられ、タイムトリップして一瞬北斎に恋しちゃった?って錯覚が起きる。でも今はどっちかというとHiroshige Blue に恋してるかな〜。うふ。

    アバンギャルド?コムデギャルソン?
    久々に聞いた単語達だー。

    印象派の小部屋の壁の色&照明が好き。
    これにラスティなゴールドのフレーム!いい、いい♪
    私の下手絵もこうすれば見栄えするかも。

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  12. Eriさん、はい、よろしいですよー。じゃあシアトルの椿大神社でってことでお待ちしておりまする♪ だめ?w

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  13. Motokoちゃん、いろいろお世話になっております!!

    え、息子の運転で車に乗りたいとな。きっと旦那さんに泣いて止められるよ! 

    陶芸だけでなくてガラスも始めちゃう?? ダウンタウンにもガラス工芸のギャラリー&工房があって、行きたいなと思ってるのだ。
    ガラス工房の作業は見てるだけでも面白いよね。

    年末にNHKの北斎の番組を見たんだけど、本当にすごい技術。現代の彫り師さんがまだ真似のできない技術で彫られてるんだって。
    このあいだピカソ展みにいって、まー元気なエロオヤジ(失礼)だわって思ったけど。北斎も90歳近くまで現役で多作だったのよねー。杉浦日向子の漫画でわたし最初にフォーリンラブだったのですけどw、(読んだことある?超おすすめです)ほんっとに晩年までのびのびと制作していたのだなあと思う。
    北斎とピカソと比べたら、浮世絵(売り絵)という縛りがあった分、逆に北斎のほうが自由だったんじゃないかしら、なんて思った。

    そうそう印象派の部屋のフレームね、載せなかったけどコローのやつがいちばん豪華でしたよん。フレーム幅だけで10センチくらいあるやつ。お部屋にあったら浮くだろうなあw

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  14. 貸衣装があるなら行きたいヨ。

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  15. 貸衣装か〜。そうだよねー着付けとか。調べておきましょう。

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