2010/09/22

In the first sight

初めて見たときから懐かしい場所というのがある。わたしにとっては、アメリカの太平洋北西沿岸部、パシフィック・ノースウェストがそういう土地だったみたいだ。

もうひと昔前、トランジットで降りたポートランド空港で、窓から見えた風景に呼ばれた。豊かな緑、入り組んだ川と湖、感じのよさそうな町並み。空港のガラス窓越しで空気の匂いもわからないのに、がっちり掴まれてしまった。ここに戻ってこなくては、ここに住まなくては、となんだか強い焦りを感じた。結局それから15年以上、ポートランドを訪ねることはなかったが、ノースウェストがずっと気になっていた。

縁あって常夏の島で暮らすようになって、あっという間に10年以上が経った。ハワイは純粋に素敵な特別な土地だけど、自分がそこに本当に属していると思ったことはなかった。いつも借りてきた靴を履いているような落ち着かなさがあったのは、ノースウェストに帰らなくちゃ、とずっと思っていたからかもしれない。

シアトルを初めて訪ねたのは11月の朝だった。その季節には珍しい晴天で、まっさきに飛行機の窓から真っ白な富士山そっくりのレニアー山が見えた。魚市場のうしろにピュージェット湾がキラキラしていて、遠くに雪をかぶった山々が見えた。おかえり。と言われた気がした。なにもかも珍しく、懐かしかった。



オアフ島からシアトルに引っ越して、1年と1か月。本当は何も知らないのに、ずっとここに住んでいるような気もする。季節ごとの花も、天気も、食べものも、お店や建物も、土地の歴史や人びとも、まだまだ毎日目に新しく、知らないはずなのに心地よい。

旅の人と住人の真ん中くらいな目でみた、新しくて懐かしいノースウェストのもろもろを少しずつご紹介したいと思う。

1 件のコメント:

  1. 祝 ブログ開店?
    まだ文章は読んでないけど、写真がもうすてきすぎちゃって……。
    あなたはすごい!

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