2014/11/01

なぜ人を殺してはいけないのか


別ブログで「なぜ」と「WHY」ででてくる検索フレーズの違いに驚愕!という話を書きました。

グーグル先生に「なぜ」と聞くと出て来る検索フレーズには、「なぜ人を殺してはいけないのか」というのがありました。

どういうわけでか、日本で「なぜ人を殺してはいけないか」の説明がブームになっていたようなのです。

そこで、もし自分の息子が今小学生か中学生で、「なぜ人を殺してはいけないのだ」と真面目に聞かれたらなんて答えるだろうか。

と、ちょっと考えてみました。以下、答え。

 

 なぜ人を殺してはいけないか。それは、今、わたしたちが住んでいるこの社会は、どんな人にも同じ権利があるという考えのもとに成り立ってるからです。

君の目から見てどんなにキモくても、臭くても、年取っていても、生まれたてでも、ブスでも、頭が悪くても、自分と違う外見でも、自分と考えが違っても、嘘ばかりついているやつでも、怠け者で一つも世の中のためになってないように見えても、人である以上は誰でも、君や君の大事な人とまったく同じ権利を持って生きている。というのが、この社会の前提です。

だから、どんな人でも勝手に殺してはいけないだけではなくて、人から盗んでもいけないし、殴ってもいけないし、嫌がらせをしてもいけないのです。

この社会の法律は、「人はみんな同じ権利を持っている」 という考え方をもとに作られてます。

そのきまりで、君も君の家族も、そのほかの君が大切に思う人も守られています。

でもこういう考え方は、わりに新しいものです。人間の社会がずっとこうだったわけではないし、今後もいつもそうとは限りません。

戦争になって兵隊にされたら、「人を殺してはいけない」というスイッチをオフにして、相手の国の人を殺すことが仕事になります。

奴隷や異教徒や罪人を猛獣に襲わせたり互いに殺し合いをさせてそれを見物していた国もありました。日本ではサムライの時代には名誉が人の命より大切だったので、サムライ的な名誉を傷つけた人は殺さねばならないことになっていました。

おおむね、ベーシックなルールとして、身分の高い人は身分の低い人を適当な理由で殺しても、傷つけても、あんまり何もいわれないという時代が、どこの国でもけっこう長かったのです。

奴隷制があった時代や国では、奴隷として所有されていた人には持ち主と同じ権利がなかったので、どんな目にあっても、殺されても、何もできませんでした。奴隷のある世界では、「人を殺してはいけない」という決まりの「人」の中に奴隷は含まれていなかったからです。

浮気をした女の人は石で打ち殺されるきまりになっている国もありました。その国の決まりの下では、女の人には男の人と同じ権利がなかったからです。

今現在でも、みんなに同じ権利が保証されていない国や地域はたくさんあります。国がきちんとした法律をもっていないところもあるし、その法律をきちんと守らせる力を誰も持っていない場所だってたくさんあります。

日本やアメリカやその他の多くの国では、これまでにいろいろあって、その結果「人が人である以上、みんなが同じ権利を持っているので、互いにそれを守らなければならない」ということを基本的な考え方にすることに決まりました。

何百世代もの人びとが苦しんだあげくにようやくこういう社会が実現した、と私は思います。

だから、この考え方を尊重して、私たちは勝手に人を殺したり傷つけたりしてはいけないのです。

私はこの決まりができて良かったと思うし、こういう決まりのある社会に住んでいることを幸せだと思います。
君はどう思う?

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4 件のコメント:

  1. いいねえ。うちの小学校の高学年にわかりやすく伝えることができる。
    日本の戦争の歴史(ニュースや、黒田かんべえやテレビの歴史ドラマなど)韓国のニュース(船の事故など)北朝鮮(拉致被害者の話など)はてはイスラム国、・・・・。こどもたちは今できているルールの成り立ちやそこにいるまでの歴史をよくわからない。でも、現時点でも日本にいたらびっくりするような事件事故の話がばんばん耳に入ってくる。ゲームの世界のどきどきと現実の出来事がごっちゃになってしまわないか・・・。整理してあげることも大切かと思う。Tomozoさんの今日の日記いただき~   

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    1. りょんさん、ありがとうございます(´;ω;`)
      このトピックで2ちゃんの書き込みをまとめたものとかを読んで、「道徳」なんか持ちだして子どもを説得しようとしても無理だよなあ、としみじみ思い、じゃあどう説明するだろう、と考えたら、「キマリだから」というほかになく、ただそのキマリができてきた背景にはすごく長いいきさつがあって、すごく沢山の人の考えと価値観がまとまってきたものなんですよ、ということはいくら強調しても強調しすぎることはないように思いました。
      歴史から何か学べるとしたら、「いま」は過去の結果だということを実感してみることじゃないかと思います。

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  2. おれんぢ猫2014年11月5日 10:57

    とてもわかりやすい説明ですね。ロジカルでシンプル!でもこういう疑問が日本でブーム・・・というの、へえ~!っと不思議に感じました。若者は迷っているのだろうか・・・???私なんてたぶん年齢のせいかしら?「そんなの決まってるじゃん!」というか、「人として当たり前のこと」としか思わないかも。でもよーく掘り下げて突き詰めてみると、やっぱり「人間の価値は、他人が勝手に決められない。」ってことですよね。
    うーん、深いわ。

    つい最近、あれ?どこの国でしたっけ?イスラムの国でしたけど・・・、女性が襲われそうになり、抵抗してその男性を刺してしまった結果、その「女性」が死刑になりましたよね?ものすごく理不尽で、ものすごくBackwardsな国だ!と思いましたね。まさに人の命(特に女性かも)を軽視しているのでしょうか。宗教のせい?

    ところで先日Boraxで、お掃除しました!
    うちのお風呂場(?)ぴかぴかになりましたよ~♪

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    1. おれんぢ猫さん、こんにちは。ありがとうございます。
      ブームというほどじゃないかもしれませんが、一部で話題になっていたみたいです。
      小学校高学年や中学生くらいのときに、こういうような疑問を持つ子は多いと思うんですよ。
      真面目な質問には大人が真面目に答えてあげなきゃいけないのに、あんまりすっきり説明している人がいなかったので、ちょっとまじめに考えてみちゃいました。
      価値観は相対的なもので、日本でも江戸時代にはちょっと恥をかいただけでも切腹しなくちゃいけなかったり、もっと最近でも太平洋戦争中には10代の子たちをほとんど効果のない特攻機に載せて人間爆弾として自殺させたりしてたし、国の方針と違う思想を持っているだけで死刑になった。人間であるというだけで無条件に生きる権利が守られるようになったのなんて、ほんとにこの数十年の話なんですよね。
      この間サンディエゴの博物館で「拷問展」を見てきて、もう一生忘れられないような器具が目に焼き付いてますけど、あんなものを見ると世の中むしろ理不尽なほうが人間社会のありのままの形なのかもしれない、なんて思うようになりました。「ありのまま」って怖すぎる。法律って、そうやって考えてみると、すごい思想のカタマリなんですよね。

      BORAXでお風呂ぴかぴかになったとな!Borax仲間ができて嬉しいですww!



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