2020/06/24

テディさん退場



近所の、これはカシワバアジサイ(oakleaf hydrangea)かな。

緑に埋もれた緑の消火栓が気持ちよさそうです。
ここ数日、シアトルはほんとうに爽やかな初夏の日々。空は青く湿度は風は涼しく、緑がわさわさで、緑陰に薔薇が咲き匂う、まさに天国です。



3日ほど前、ニューヨークの自然史博物館の前にあるテディことセオドア・ルーズベルト大統領の騎馬像が撤去されることが決定した、というニュースを読みました。写真はニューヨーク・タイムズ紙

先月からの#blacklivesmatterの抗議活動の流れで、全米各地で、奴隷制時代や植民地時代の人の銅像が抗議の人々によって壊されたり、自治体によって撤去されたりしています。
アメリカだけでなく、ヨーロッパにも飛び火していますね。

ジョージ・フロイド殺害事件以来、世界で沸騰しつづけている抗議活動について、今日配信のデジタルクリエイターズ(メルマガ)に書かせていただきました。
NOTEのほうにも転載したので、よろしければご笑覧くださいませ。
こちらです。

ここ数週間はこの件で、コロナ以上に精神的にゆさぶりをかけられていました。社会全体が揺さぶられていたので当然なのですが。きっと日本に住んでいる人にはそのライブ感は伝わりにくいだろうと思います。

構造的差別って、この国にとってそれこそ「実存的」な問題だし、もちろんすぐに解決するような問題ではなく、まだこの先、社会が何世代もかけて向き合っていかなければならないことだろうけれど、いま、少なくともかなりの人々の意識が切り替わったのは瞠目すべきことだと思ってます。これから揺り戻しもあるだろうけれど。




自然史博物館前のこのルーズベルト騎馬像は1940年に設置されたもので、意外とあたらしい。

3年前にはじめてニューヨークに行ったとき、滞在最終日にお目にかかりました。(そのときの日記

わたしはメトロポリタン美術館をじっくり見たかったので、自然史博物館を見に行ったマダムMと別行動をとって、夏の夕方、セントラルパークをのんびり横切ってこの博物館前で待ち合わせしたのでした。

西部劇のヒーローのように馬にまたがって西方をめざす大統領。その両脇にネイティブアメリカンと黒人男性がつき従う構図。まんま、19世紀の世界観をそのままあらわしてます。これが1940年のものだっていうのはちょっと意外だった。まあでも、時代精神は大きく変わってなかったってことですね。

ルーズベルト大統領の時代というのはまさにアメリカが帝国主義デビューをした時代といえます。

このあいだハーバードの自然史博物館を見に行ったときに実感したのだけど、自然史博物館とか博物学っていうカテゴリーそのものが、文明国の視点で世界のあれこれを収集するっていう時代の産物なんですよね。シカゴ博覧会をはじめとする万国博覧会の流れ。その視点は、当時は誰一人疑わなかったであろう、圧倒的に優位な立場にいる支配階級(白人社会)のものです。

だからルーズベルトが馬に乗ってて「さあ、未開の兄弟たちよ、わたしについてきなさい」とでもいうように、明らかに下の位置に「インディアン」と黒人を従えている構図が、20世紀をとおしてスタンダードに受け入れられていたのですね。

この像の撤去は博物館が決定して、ニューヨーク市が了承したそうです。

上記の記事で、博物館の館長さんはインタビューにこう答えています。

“Over the last few weeks, our museum community has been profoundly moved by the ever-widening movement for racial justice that has emerged after the killing of George Floyd. We have watched as the attention of the world and the country has increasingly turned to statues as powerful and hurtful symbols of systemic racism.”

「この数週間にわたり、当博物館のコミュニティは、ジョージ・フロイド殺害に端を発し、人種間の正義を求めてますます高まっている運動に深く心を動かされてきました。我が国の人々と世界中の人々の間で、構造的なレイシズムのパワフルで心に傷を残すシンボルである様々な像への関心がますます高まっていくのを、私たちは目の当たりにしてきました」

この像を撤去する理由は、差別的構造をあらわにしているこの構図が問題なのであって、ルーズベルト大統領その人を問題視するものではない、と館長さんは言ってます。





『ナイトミュージアム』のテディさんも、「引退の潮時だわな」と言っていることでしょう。



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2020/06/22

夏至の日没



土曜日、夏至の日のサンセット。サンセットヒルの公園、週末だけれど曇りがちですこし寒かったせいか、人はまばらでした。

日没は、午後9時11分。その30分前ほどに行くと、ちょうど車1台分のスポットとベンチがひとつ空いていました。予約しておいたみたいに。

しかし肌寒い!今日なんか16度Cっていうけど、風が冷たくてダウンジャケット着て散歩に行きました。6月末ってこんなに寒かったけか。



広い空の下、刻々かわっていく空の色と、オリンピック半島の雪をいだいた山なみをぼんやり眺める。幸せだー。
ちょっと書きものをしていて、数分たって顔をあげると、空の色がすっかり変わっています。

いま体が不調でダラダラと調子が上がらないのですけど、外の空気を吸うと気分がすかっと明るくなります。

さいわい仕事は暇なので、散歩して、おいしいお茶を飲んで、好きなだけゆっくり眠っています。



空が広く見えるって大切だ。


きょうの散歩で出会った近所のお嬢さん(お坊ちゃんかも)。
顔のまんなかにベルマークがついているかわいい子。




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2020/06/20

チェリー豊作


近所でチェリーが豊作です。うまそうです。

道にもぽつぽつと落ちている。
そしてリスが食い荒らしている。



キイチゴも豊作です。いいなー。



見てたら食べたくなるのでスーパーで買ってしまいました。初物です。

ワシントン産レーニアチェリーはお高いのでなかなか手がでませんのよ。
1ポンド5ドル98セントだった。
100グラムあたり1.33ドル。日本の佐藤錦ほどじゃありませんが。
日本のメロンが食べたいなあ。



ベランダ紫蘇がだいぶ育ってきました。ホクホク。


シアトルで占拠が続いているCHAZ改めCHOPでは、今朝早く、銃撃事件がおきてしまいました。もー、だから武器をもちこんじゃ駄目だって言ってるでしょ!FOXニューズの思うツボじゃないのよ!タッカー・カールソンがホクホクしてる顔が浮かぶ。

19歳の子がひとり亡くなった。とにかく胸が痛いです。暴力を排除するのはほんとうに難しい。「人」が当たり前に「人」であると思っているあいだは無理です。

革命がしたいなら当たり前に人であることを超えなきゃ駄目なのですよ、きっと。完全に武器を捨てることができないと。



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2020/06/19

夏至とともにフェイズ2へ


DOGWOOD(ハナミズキ/ヤマボウシ)が豪華です。

夏ですね。あしたは夏至!

シアトル市のあるキング郡も今日金曜日から「フェイズ2」に。
レストランは、定員50%で室内飲食も再開OKになります。 床屋さんや美容院も。

しかし感染者は今週増えているのですけれどね。木曜日に新たな感染者62名。NPRの記事によるとこれはちなみにプロテストとは関連なく、主にエッセンシャルワーカーだったり同居者から感染した人らしいです。




快晴の木曜日、ジェニファーちゃんと植物園の散歩に行ってきました。
リアルで誰かと長時間会うのはとっても久しぶり。

もちろんお互いマスク着用、なるべく距離をあけての散歩ですが、新鮮でした。



巨大葉っぱが育っている。


夏の蔓バラ?がとても良い香りでした。正確には薔薇ではないのかな。
トゲはなかったけど、バラ科には間違いなし。香りはバラ香水そのものでした。



これ、ちょっとわかりにくいけど、大きな木が上までそっくり蔓バラにおおわれて真っ白になっていました。ケーキのアイシングみたい。

気温は20度くらいで、1時間くらいゆっくり歩いただけで少し汗をかきました。
湿度の低い爽やかさは本当にありがたい。



毎朝活躍のディルちゃん。花房が育ってきたのでちょきちょき切って卵にのせたり。
(たんにゆで卵とマヨですが)。花が可愛すぎる。
葉よりも香りが強くてビリっとするような野生味があって面白い。




このあいだCTちゃんが例の騒ぎになっていた黒川検事長関連の記事を読んだあとで、「いやこれと比べたら、どんだけトランプがめちゃくちゃだかわかるわ」と言ってましたが、まさにまさに〜。

司法長官がトランプの身内のジュリアーニその他を捜査していたニューヨークの検事をすげ替えようとしてます。検事は「上院が後任者を正式使命するまでやめないし捜査は続ける」と宣言。がんばれー。

トランプのお友達ロジャー・ストーンの減刑といい、司法が大統領府の思うままって異常すぎるよね。

今週はこの司法長官、もとトランプ側近の国家安保担当補佐官が書いた暴露本の出版を差し止めようとしてるし。

これだけのことがあっても、納税申告も公開していなくても、トランプサポーターの方々はトランプが最高で、検察がディープステートで反米主義者だとでも思っているのでしょうね。

今週は最高裁で意外にも、職場でのLGBTQの人への差別は公民権法違反になるとして権利を保護する判決と、トランプが強行しようとしていたDACA(子ども時代に不法移民として米国に来た若者の救済制度)撤廃を「充分な法的根拠なし」として、DECA継続を決定する判決がありました。5対4だからギリギリの判決。
最高裁判事にバランス感覚があってまことに嬉しいです。この国、かなりあやういバランスの上に乗ってます。




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これは見てほしい☆



「地球上に人らむきだしで生きられる 時間まだありて若葉のひかり」

馬場あき子さんの歌です。最近よく思い出す。 
「むきだしで」人が地上に生きられる時間はあとどのくらいあるのでしょうかね。




#BLMでいま注目されてるNetflixの2016年制作のドキュメンタリー『The 13th』(邦題:13th 憲法修正第13条)が、米国内ではYouTubeで全編無償公開されてます。

監督は、キング牧師の公民権運動を描いた『SELMA』(邦題はグローリー/明日への行進)のエイヴァ・デュヴァーネイ。

リンクはこちらです。(白金マダムMに確認していただいたところ、日本ではYouTubeでは見られないみたい。残念。でもNetflixでぜひぜひご覧ください)
追記:どうやら日本でもYouTubeで見られるようです。お試しを!

なぜアメリカには230万人も囚人がいるのか(全世界の囚人の4分の1だって)。
なぜそのうち4割が有色人種なのか。
なんで民間会社が刑務所を経営してるのか。

なぜ警察はミリタリーのようになってしまったのか。

などなどの謎が1時間40分でわかるドキュメンタリーなのでとってもおすすめです。
日本語字幕もありですよー!

これは今回の#BLM抗議活動のサポートで無償公開したのかというとそうではなくて、コロナのおかげで学校が閉校になってしまったあとで、先生たちをサポートするためにNetflixが4月半ばにYouTubeで無償公開を始めた「教育ドキュメンタリー映画」のひとつだったのですね。

先生や生徒でもなくても、すべて見られます。YouTubeで公開中のドキュメンタリー一覧はこちら

この中に入ってる「Abstract」シリーズも面白いです!

「Our Planet」はときどき別のことしながら環境ビデオ的に流してぼーっと見てたりします。
フラミンゴとかほんとにすごい。唖然とする大自然。



地球上にフラミンゴの時間もたくさんありますように。


あとはー、Dave Chappelleの『8:46』もパワフルでした。ひさびさにみた、デイヴ・シャペル。なんだろう、その場の空気をすべて所有してしまうこういう人。

こちらで見られます。こちらは字幕なしです。これの字幕翻訳は難しいだろうなあ。

仕事が本格的に暇になってきました。困った。しかし映画ばかり見てしまう。さらに今はマンガが読みたい。困った。




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2020/06/13

Defund the Policeと暴力装置



どよよーん。気分が上がりません。

耳鳴りみたいに世の騒乱が常に耳の中に侵入してきていて、毎朝目覚めるたびにかなり気分がまずい感じになっている。能天気だけがとりえのわたくしとしたことが、本格的にダウンしてます。

2001年の同時多発テロの後にも動揺したけれど、あのときとはまた全然違う気持ちのわるさがある。日本でもネトウヨと呼ばれる人たちがうようよしているのは似たような気持ちのわるい状況だけれど、ヘイトにまみれている人、コンテクストと痛みを理解しようとしない人、共感のない人たちが無神経な分厚い壁のように立っていることにいいようのない怒りを感じて、その怒りように自分で驚いてます。

これは自分の無力感へのフラストレーションでもあるんだろうと思います。

日本ではいまだに暴動と略奪ばかり報道されてるのではないか、またはそこしか伝わらなかったのではないかという印象を受けるのだけど、今回の抗議活動がほんとうに全米でたくさんの普通の人、白人の普通の人たちまでの感情を巻き込んで、大きな抗議運動になっていること、そしてその中からひとつの具体的な焦点として、「Defund the Police」(警察の予算カットを)の要求が早い段階で出てきていることが、どのくらい伝わっているのかな、と不安に思います。


警察というのは、力をもって暴力を制止する組織です。

市民を守るはずの組織的な力の行使を受け持つこの組織が、ときには弱いものに暴力をふるうこともあるというのは、わりと一部の人しか知らないで済んでいた問題でした。

日本の警察もそうとうにえげつない暴力を被疑者にむけてふるったりしますけれど、その対象はごく限られていて、めったに社会に知られることはない。
かなり昔ですけど、ケーサツにつかまって、取り調べ室で手錠をかけられて面白半分にボコボコに殴られて前歯を全部折った友だちがいました。15歳の少年でした。

不良少年や不良少女だったことがある人なら日本のケーサツがどのくらい陰湿ないじめをすることがあるかよく知っているけど、そういう子たちはリソースも知恵もないので訴え出ることなどない。

仮にひとつふたつ、そんな話が表沙汰になったところで、世間の大半の人からは「自分が悪いんでしょw」「学校行ってろww」とバカにされて省みられることはないというのを、そういう悪いおまわりさんはよくわかってて、絶対に表沙汰にならない人たちだけを対象にいじめをやる。

先日、渋谷でクルド人男性に対する警察の暴力が撮影されて、それに対する抗議活動が起こってます。「こういう奴」になら暴言を吐いても、蹴っても殴っても大丈夫、という了解がおまわりさんにはあったのでしょう。

アメリカでは、20世紀を通してまさにあれとまったく同じことが有色人種にたいして日常的に大規模におこなわれてきてて、そのために殺害される人も多かった。

この国でも今までは、そういう警察の暴力に対する抗議には
「自分が悪いからでしょw」「たまたま運がわるかった」
とかわすのが世論の主な反応でした。自分にはとりあえず関係ないから。

ブラックコミュニティやリベラルな大学の中で警察の刷新やミリタリー装備の解体が主張されても、けっしてメインストリームになることはなく、それこそ「極左」「社会主義者」の考え方とレッテルをはられてきました。

でも今回、あれだけの衝撃的な映像がこれ以上ないほどハッキリとその暴力を明るみに出したこと、それに先立って警察の暴力による死者が直近で何人も出ていたこと、それにたぶん、トランプのかき立てたヘイト文化に対する反動がこれだけの抗議活動につながって、先週あたりから「Defund the Police」が現実味を帯びて語られてます。

まだ具体的な結果につながっていなくても、これだけこの問題に共感が集まっていることそのものが、歴史的なことなのです。

アメリカの警察組織は市や町の自治体単位で完全に独立しているので、これは生活に密着した自治体の政治問題で、改革はやろうと思えば割合にすぐできる。

Defund the Police というと、おまわりさんが一人もいなくなってしまい、まるで『マッドマックス』の世界のような光景が繰り広げられるのではないか、という想像をしてしまう人が多いかもしれないのですが、そうではありません。

ニューヨーク・タイムズの論説記事によると、トランプもそういうイメージを掻き立て、「ドロボウや強姦魔がやりたいほうだいになる」と不安をあおっています。

でもそうではなくて。

警察に使われている予算の一部を、問題そのものを解決するために、社会的なサービスに使おう、というのが「Defund the Police」の主旨なのですね。

レーガンが勇ましく立ち上げたけれどまったく効果がなく、多くの人を刑務所に入れるだけに終わりむしろ問題を深化させた「ドラッグとの戦争」以来、どこの戦争に行くんですか?というような過激な装備を警察が導入するようになり、警察が装甲車を持つようになったりして、それと平行して警察による暴力もエスカレートしてきました。

市民を守るはずの警察が、軍隊の装備を持つようになるとどういった心理的効果があらわれるか。

結局暴力は暴力を生み、エスカレートさせていくだけではないか。
暴力で暴力は解決できないというのが今まででハッキリした教訓ではないか、というのが、Defund the Policeの背景となる考えかたです。

抗議活動している人にもそれこそいろんな考えの人がいるし、そうそう簡単ではないだろうけれど、わたしは「Defund the Police」の流れにはまったく大賛成で、これが今少なくとも注目を浴び、これまでよりも多くの人の共感を得て、まともに議論されているのがとても嬉しいです。

だからこそ、その論旨とその背後にある痛みの歴史に共感できない・しようとしない人、ましてやあからさまにそれを「弱さ」として攻撃する人々への怒りを感じてしまうのでした。

変わらない人は変わらない。

でも恐れを基盤にした社会よりも、共感と理解を求めようとする社会、懲罰よりも癒やしにフォーカスした社会のほうが豊かだと思うし、それはユートピアでなくてもある程度実現が可能だと思うし、これからの世代には今までにはなかったほどのスピード感と軽やかさでそれを可能にする力があるはずだと、わりとかたくなに信じています。




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2020/06/11

シアトルの「CHAZ」をめぐる罵倒合戦



もう終わってしまったロードデンドロン。

花の時期はあっというまに終わりますね。

シアトルがまた全国ニュースに登場していました。ニューヨーク・タイムズのトップに出てきてた。

ボストンにいる息子から聞くまで知らなかったんだけど、シアトルのキャピトル・ヒルというダウンタウンの丘の上にある昔からファンキーなネイバーフッドの一画が、いまプロテスターに占拠されて「Capitol Hill Autonomous Zone」(キャピトル・ヒル自治地域)と名乗っているのでした。略称「CHAZ」だって。



シアトルでもご存知のとおり5月末からデモに続いて暴動があり、警察とデモの人々との間で衝突があり、逮捕者やけが人も出てました。

今週になってシアトル市は衝突を緩和するため、キャピトル・ヒルにある警察署の一時閉鎖を決め、警察が退去したあとで、この一画が「警察の入ってこない自治区」を名乗るようになったとのこと。

この記事によると、現在のところはきわめて牧歌的で、スピーチをしたり、映画上映をしたり、おやつを配ったり、(たぶんマリファナ吸って)のんびりしているようです。

わたし野次馬なので見に行きたくてたまらないのだけど、息子にきつく止められています…。COVID陽性だったら行ってもよかったんだけど…っていやいやいや、それは駄目だな!


そして、やっぱりトランプが今朝になってシアトル市長とワシントン州知事にむけて口汚い毒ツイートを吐きました。


(極左知事とシアトル市長は、このグレートな国はじまって以来のバカにされようだ。おまえらの市を今すぐ手中におさめろ。お前らがやらないならオレがやってやるぜ。ゲームじゃないんだ。汚いアナーキストを今すぐ止めるんだ。早くしろ!)

これに対して市長は「Make us all safe. Go back to your bunker.」(私たちを皆安全にさせといて。隠れ場所に戻んなさい)」と返答☆

トランプは、先週、抗議の人たちがホワイトハウスの前に何千人も集まったのに恐れをなして、一時ホワイトハウスの電気を消し、地下の「 bunker(退避壕)」に隠れていたのを報じられて、「bunker boy」と揶揄されてたのでした。

ニューヨーク・タイムズによると市長は「これはテロじゃない、愛国精神です。大統領だろうが誰だろうが、これ以上の分断や不信や、間違った情報をを焚きつける人を私たちは必要としていない」と、勇ましい。

もともと「極左」の人が多いシアトル、しかも場所はシアトルの中でも極左の集まるキャピトル・ヒル。
極左でない人も、たいていの人は自分に直接の不利益が及ばないかぎり、寛容です。



BloombergQTより。

このままホビット村のように平和なままで占拠が続けばよいのだけど……。

最悪のケースを勝手に考えてわたしが暗くなっても仕方ないけれど、イヤな事件などが起きないことを祈ります。

ジョーン・ディディオンがレポートした1967年のサンフランシスコをちょっと思い出します。

記事によると、この「自治地域」に武装した白人至上主義者が潰しにくるんじゃないかと怖がっている人もあり、ライフルを持ってパトロールしてる人もいるそうだ。

それはちょっとどうかと思う。ホビット村ならホビット村らしくあくまでラブ&ピースをつらぬいたほうがいい。銃を持ってきた人がやってきたらSNSでその暴力をさらせばいいので、キャピトル・ヒルが銃で対抗しちゃ駄目だと思う。

市長はCHAZの「リーダー」たちと話し合う用意があるというけれど、まとまった組織ではないのだし、「警察の解体」という過激な目標とどのようにすりあわせていくのか、なかなかスムーズにはいかないと思うけど。トランプや保守派からのプレッシャーもあるし。

BLMのムーブメントで以前から要求されていたこと、「Defund Police」(警察の予算大幅削減)と警察のアカウンタビリティと透明性の強化、に大きな注目が集まっていて、ミネアポリスではすでに警察組織の完全な刷新が発表されてます。

警察の改革がこれほど全国的に支持されたことはかつてなかったそうです。

民主党は時機をのがさず、警察改革案を出しました。なかみはまだちゃんと読んでないけど、このスピードは素晴らしいと思う。もちろんトランプは大反対で絶対阻止の構え。

それだけでなく、あちこちで(ボストンでも)コロンブス像や、南北戦争時の南部連合の将軍の像が倒されたりもしてます。

でもそれに怒りとヘイトを燃え上がらせている人たちもとても多く、その人々の怒りをトランプが利用して毒をまきちらしているし、まだこれから夏にむけてさらに醜いバトルが巻き起こるのは必至です。



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